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そのアクセス解析はダメかも!? 初心者には使いドコロが難しい3大指標に注意(前編)

まるで役に立たない場合と、実際のところかなり有益な指標として扱える場合について
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

「直帰率」「訪問あたりの閲覧ページ数(Pages per Visit:PPV)」「サイト滞在時間」などの指標は、いつ利用したらいいのだろうか? 無視した方がいい場合は?

この種の指標が有益かどうかについては意見が尽きないし、おそらくお気づきのように、答えはグレーゾーンの中だ。今回のホワイトボード・フライデーでは、優れた指標に関する議論についてランドの意見を聞いてみよう。

直帰率・PV/セッション・サイト滞在時間――その指標が役に立つ場合と、何の役にも立たない場合
直帰率  PV/セッション  滞在時間
これらの指標が何の役にも立たない場合
コンバージョン行動の代わりとして、「成果」を示すために使う場合
関連性の低い「競合相手」や他のサイトと比較する場合
長期的な視点で見ない場合や、トラフィックの送信元を考慮しない場合
これらの指標が役に立つ場合
→コンバージョンファネルの診断に用いる場合:
トップページ
ブログ  ニュース
製品ページ
価格情報
コンバージョン
価格情報を見たあとに離脱する訪問者は多いのか?
ページを修正したが、訪問あたりのPV数は減った? 滞在時間は短くなった? コンバージョン率に影響はあった?
→内部の変更や外部の要因によって行動に変化があったかを、長期にわたって比較する場合
ブログの訪問あたりPV
新しい筆者が参加した影響?
→関連業界の競合他社と比較する場合
自サイトのトップページ  直接競合サイトのトップページ
直帰率
SimilarWeb、
Jumpshot、
業界調査

Mozファンのみんな、こんにちは。ホワイトボード・フライデーにようこそ。

今回は、直帰率、閲覧率(訪問1回あたりの閲覧ページ数)、サイト滞在時間といった指標がまるで役に立たない場合と、実際のところかなり有益な指標として扱える場合について取り上げよう。

デジタルマーケティングの世界では、これらの指標について、

いかがわしい代物で、誰も何の注意も払うべきでない最低の指標だ

というように言われる場合もあれば、

これこそ最適化の目的とすべき秀逸で完璧な指標だ

というように言われる場合もあるのを、僕は見てきた。

そのどちらも、厳密には正確ではない。たいていの場合、真実はその間のどこかにあるものだ。

まず、ウィル・レイノルズ氏とセイフ・シャリフ氏に感謝しておきたい。レイノルズ氏は、ロス・ハジェンズ氏が企画したインタビューで、Siege Mediaのオフィスで議論していた時に、このトピックを話題に挙げた人物だ。シャリフ氏は、Seer Interactiveのアナリティクス担当ディレクターであり、インタビューの動画が公開されたLinkedInのページで、この議論について素晴らしいコメントを残してくれた。ここでは、それらの記事にリンクしておこう。

レイノルド氏もシャリフ氏も、基本的にはこれらが役立たずの指標だと主張していた。2人ともこういった指標を信頼していないし、あまり使わないという。多くの場合、それも当然だと思う。

これらの指標が何の役にも立たない場合

「直帰率」「訪問1回あたりの閲覧ページ数」「サイト滞在時間」の各指標が使い物にならないのは、次のような場合だ。

×1 コンバージョン行動の代わりとして、「成果」を示すために使う場合

これらの指標は、コンバージョン行動の代わりに使うと、まるで役に立たない。

ここで少し用語を解説しておこう。

  • コンバージョンとは、ユーザーがウェブサイト上でこちらの願うとおりに行動してくれることだ。フォームに記入するとか、製品を購入するとか、クレジットカードを登録するとか、何でもいいから行ってほしいページに行ってくれるとかだ。

  • 直帰率とは、要するに、あるページにアクセスした後、そのサイトの他のページにはそれ以上アクセスせずに、サイトから離れた人の割合を平均したものだ。

  • 訪問1回あたりの閲覧ページ数は、まさに読んで字のごとくで、その特定のページにアクセスした人が、1回の訪問(セッション)で閲覧したページ数の平均だ。つまり、いずれかのページを通じて訪れた人が、サイト上でどのくらい多くのページにアクセスしたか、ということだ。

  • サイト滞在時間は、基本的に、非常に粗く、大まかな指標だ。コンピュータを離れてトイレに行った場合、あるいは別のタブに切り替えたりブラウザを閉じたりした場合、必ずしもそこでサイト滞在時間が終わるとは限らない。この指標は不完全な部分が多い。ただし、長期間にわたって平均をとると、使い方によっては興味深いものになる。

これらの指標を、本来なら最終的には誰もが最適化の目的にするべきコンバージョン行動の代わりに使うと、悲惨な状態に陥るのは間違いない。

×2 関連性の低い「競合相手」や他のサイトと比較する場合

関連性の低い競合相手と比較する場合も、そもそも大きな違いが生じるものであり、間違った結論に至ってしまう。

たとえば、「製品中心で購入に焦点を当てたサイト」と「ニュースやコンテンツに重点を置くメディア系のサイト」を比較するといった場合だ。

まず、君のサイトが製品中心の場合、訪問1回あたりの閲覧ページ数がメディア系のサイトとほぼ同じなら、そんな馬鹿げた話はない。そのメディアサイトがよほどひどいか、あるいは人々の注目やエネルギーを引き付けてやまないという点で、君のサイトがまったく驚くべき成果を上げているということだ。

サイト滞在時間も、やや誤解を招きやすい。ここでも「メディア系のサイト)」と「Eコマースに大きな重点を置いたサイト」の滞在時間を比較してみると、まるで異なる結果を得ることになるからだ。

アマゾンがユーザーに望むサイト滞在時間は、おそらくごく短いものだろう。デルが望むのも、ほんの短時間だ。購買プロセスに入って、欲しいコンピュータを見つけたら、購入してサイトを出る。そこまでを5分で済ませる代わりに、10分も20分もかかっていたら、それは失敗だ。購買ファネルを素早く通過できるほど優れた体験を用意できていなかったということだ。間違いなくそういうことだろう。

したがって、これらの指標のうち1つを取っても、その優先順位は場合によって異なったものになる。

×3 長期的な視点で見ない場合や、トラフィックの送信元を考慮しない場合

第3に、長い目で見ない場合や、トラフィックを送り込んできたソースを考慮しない場合にも、ひどいことになる。

たとえば、誰かがツイッターのリンクをたどってウェブページを訪れた場合、特にモバイルでは、直帰率が高く、訪問1回あたりの閲覧ページ数はごく少なく、サイト滞在時間も短い可能性が非常に高い。ツイッター経由の行動はそんなものだ。フェイスブックもこれとよく似ている。

これに対し、グーグル検索から来た場合、情報を求めるタイプのグーグル検索で、オーガニックな検索結果をクリックした場合は、まったく逆の現象が生じる。直帰率は比較的低くなるはずだ。訪問1回あたりのページビューも比較的多く、サイト滞在時間も比較的長くなる。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、「直帰率」「PPV」「サイト滞在時間」が役に立たない場合について取り上げた。後編となる次回は、これらの指標が役に立つ場合について考えてみる。
→後編を読む

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