ネット広告不正データ (日本):不正インプレッション8.7%、ブランドリスク8.1%、ビューアビリティ49.8%
今日は、日本の広告市場における「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」の最新調査データの情報をお届けします。
デジタル広告の「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」に関する2017年下半期の調査データを、Integral Ad Science(IAS)が発表しました。日本のデータと、日本を含むグローバルでの、デスクトップやモバイルのディスプレイ広告や動画広告のデータが紹介されています。
この調査は、IASが年に2回行っているもので、今回は2017年下半期にIASのサービスを通じて配信された広告5000億インプレッションほどが対象(グローバルでの総数、日本の対象インプレッション数は非公開)。
サマリとしては次のような状況です(数値はすべて、各問題への対策を行わなかった場合のもの)。
- アドフラウド: 不正インプレッション率
- ディスプレイ広告(デスクトップ)(日本): 8.7%
- ディスプレイ広告(デスクトップ)(グローバル): 8.7%
- デスクトップ動画広告(グローバル): 7.2%
- モバイルウェブディスプレイ広告(グローバル): 12.7%
- モバイルウェブ動画広告(グローバル): 5.4%
- ブランドセーフティ: ブランドリスク率
- ディスプレイ広告(デスクトップ)(日本): 8.1%
- ディスプレイ広告(デスクトップ)(グローバル): 7.9%
- デスクトップ動画広告(グローバル): 10.3%
- モバイルウェブディスプレイ広告(グローバル): 9.7%
- モバイルウェブ動画広告(グローバル): 12.5%
- ビューアビリティ: ビューアブルインプレッション率
- デスクトップディスプレイ広告(日本): 49.8%
- デスクトップディスプレイ広告(デスクトップ)(日本): 55.8%
- デスクトップ動画広告(グローバル): 67.9%
- モバイルウェブディスプレイ広告(グローバル): 49.0%
- モバイルウェブ動画広告(グローバル): 70.3%
アドフラウド: 不正インプレッションは8.7%
「不正インプレッション」は、広告主やメディアに金銭的な損失を与える意図をもった、いわゆる「アドフラウド(アドフロード)」の率を示します。
(低いほうがいい数値)
日本のデスクトップディスプレイ広告では全体で8.7%で、2017年上半期の6.7%から増加しています。
グローバルのデスクトップディスプレイ広告では全体で8.7%と、日本と同等の状況でした。
グローバルのデスクトップ動画広告では全体で7.2%と、日本のデスクトップディスプレイ広告より良い状況でした。
グローバルのモバイルウェブディスプレイ広告では全体で12.7%と、日本のデスクトップディスプレイ広告よりかなり悪い状況でした。
グローバルのモバイルウェブ動画広告では全体で5.4%と、日本のデスクトップディスプレイ広告よりかなり良い状況でした。
ブランドセーフティ: ブランドリスクは8.1%
「ブランドリスク」は、ブランドイメージ低下やブランド毀損につながるコンテンツが掲載されているページでのインプレッションです。
カテゴリは「アダルト」「アルコール」「ヘイトスピーチ」「違法ダウンロード」「違法薬物」「不快な表現」「暴力」の7つで判断しており、IASの基準で「中レベル」「高レベル」「極めて高レベル」に該当する場合に、ブランドリスクありと判断しています。
(低いほうがいい数値)
日本のデスクトップディスプレイ広告では全体で8.1%でした(うちリスクレベル中が90%ほど)。取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では8.1%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では1.8%でした。
グローバルのデスクトップディスプレイ広告では全体で7.9%でした。日本より少し良い状況でした。しかし、取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では8.1%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では6.4%と、パブリッシャーダイレクトで日本より悪い状況でした。
グローバルのデスクトップ動画広告では全体で10.3%と、日本のデスクトップディスプレイ広告より悪い状況でした。取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では11.5%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では8.7%と、どちらも日本のデスクトップディスプレイ広告より悪い状況でした。
グローバルのモバイルウェブディスプレイ広告では全体で9.7%と、日本のデスクトップディスプレイ広告より悪い状況でした。取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では10.1%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では7.6%と、どちらも日本のデスクトップディスプレイ広告より悪い状況でした。
グローバルのモバイルウェブ動画広告では全体で12.5%と、日本のデスクトップディスプレイ広告より悪い状況でした。取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では16.0%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では10.6%と、どちらも日本のデスクトップディスプレイ広告より悪い状況でした。
ビューアビリティ: ビューアブルインプレッションは49.8%
「ビューアブルインプレッション」は、MRC(Media Rating Council)によるビューアビリティの定義に基づいて判断しています。定義は次のとおりです。
- ディスプレイ広告: 広告の50%以上の面積がブラウザ画面上に1秒以上表示された場合にビューアブルとする
- 動画広告: 広告再生時に50%以上のピクセルが画面上に2秒間以上表示された場合にビューアブルとする
(高いほうがいい数値)
日本のデスクトップディスプレイ広告では全体で49.8%でした。取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では49.7%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では63.0%でした。
グローバルのデスクトップディスプレイ広告では全体で55.8%と、日本より良い状況でした。しかし、取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では54.9%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では61.3%と、パブリッシャーダイレクトで日本より悪い状況でした。
グローバルのデスクトップ動画広告では全体で67.9%と、日本のデスクトップディスプレイ広告よりかなり良い状況でした。取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では59.8%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では75.1%と、どちらも日本のデスクトップディスプレイ広告より良い状況でした。
グローバルのモバイルウェブディスプレイ広告では全体で49.0%と、日本のデスクトップディスプレイ広告より少し悪い状況でした。取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では48.0%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では53.7%と、どちらも日本のデスクトップディスプレイ広告より悪い状況でした。
グローバルのモバイルウェブ動画広告では全体で70.3%と、日本のデスクトップディスプレイ広告より良い状況でした。取引タイプ別にみると、プログラマティック配信では51.0%、パブリッシャーダイレクト(純広告)では77.9%と、どちらも日本のデスクトップディスプレイ広告より良い状況でした。
これらのデータを見て感じたのは、日本のパブリッシャーダイレクト取引での掲載面は、プログラマティック取引での掲載面に比べて良好な面であるにもかかわらず、まだ取引全体における比率が低いということでしょうか。
Integral Ad Scienceのサイトからダウンロードできる完全版のレポートでは、さらに詳細なデータが掲載されていますので、詳しく知りたい方はダウンロードして確認してみてください。
- 2017年下半期メディアクオリティレポート(Integral Ad Science)
https://go.integralads.com/jp-mqr-2017-h2.html
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