グーグルSERPに変動! ナレッジパネルが30%以上増加し、強調スニペットが減少
グーグルのSERP(検索結果ページ)に変化が起きている。順位の変動ではなく、内容の変化だ。具体的には、「強調スニペットが減り」「(役に立たない)ナレッジパネルが増え」「画像の検索結果が減っている」のだ。
この2年間、グーグルのSERPでは強調スニペットが着実に増加を続けてきた。1万キーワードを対象とした日別の調査データを見ると、強調スニペットが表示されたクエリの割合は、ここ2年でおよそ3倍近い伸びを示している(2015年11月には約5.5%だったものが2017年10月には16パーセント以上に)。
この割合は、よりロングテールの検索を対象とした他のデータセットを見ると、さらに高くなっている。
ところが、10月の終わり近くになって(グラフの一番右)、この割合が初めて大幅に下落した(Search Engine Landのブライアン・パターソン氏とクリス・ロング氏が指摘)。
この下落が起きたのはおよそ4日間のことで、検索結果に強調スニペットが表示される割合がおよそ10%落ち込んだことを示している(10パーセントポイントではない)。下のグラフは、最後の2週間を抜き出したものだ。
これまで強調スニペットが右肩上がりに増加し、強調スニペットに表示されることを目指した最適化が熱心に行われてきたことを考えると、10%という減少率は注目に値する。
実際のところ、何が起こったのか?
たいていの場合、このような変化について調べるには、強調スニペットが表示されなくなったキーワードのリストを作るのが一番だ。検索量の多いキーワードに注目するほうが、興味深い結果を得られることが多い。
上記の期間に強調スニペットが表示されなくなったキーワードは、次のとおりだ。
- CRM
- ERP
- MBA
- buddhism(仏教)
- web design(ウェブデザイン)
- anger management(アンガーマネジメント)
- hosting(ホスティング)
- DSL
- ActiveX
- ovulation(排卵)
念のために言っておくが、このリストがいつでも大いに役立つわけではない。実際、「web design」「buddhism」「ovulation」の3つにはどのような共通点があるだろうか(どうか、答えは言わないでほしい)。
しかし、今回の場合は、明らかに興味深い傾向が見られた。強調スニペットが表示されなくなったクエリのほぼすべてで、以下のようなナレッジパネルが表示されたのだ。
新たに表示されるようになったこれらのパネルは、強調スニペットがなくなったことが確認されたキーワードの大半で出現した。また、こうしたパネルのすべてが、Wikipediaから直接情報を引用したごく普通のナレッジパネルだった。
また、実際に検索されたキーワードよりも一般的な言葉のナレッジグラフが掲載されることもある。たとえば、「HDMI cables」(HDMIケーブル)というキーワードでは、かつて強調スニペットが表示されていた(前にチェックしたときは、アマゾンの情報ばかりだった)。しかし現在は、「HDMI cables」の強調スニペットは表示されず、より一般的な「HDMI」という言葉のナレッジパネルが表示される。
また、めったにないことだが、SERPにナレッジパネルが表示されるようになったにもかかわらず、強調スニペットが残っている場合がある。たとえば、「credit score」(クレジットスコア)というキーワードで検索すると、SERPの上部は以下のようになる。
このようなキーワードでは、先のルールが当てはまらないようだ。
他のSERPではどうなる?
今回の注目点は、SERPに強調スニペットが表示される割合が減ったことだけではない。同じ時期に、ナレッジパネルが大幅に増加したのだ(およそ30%の伸び)。
このグラフでは縦軸の目盛りを拡大していないが、通常のスケールでも、ナレッジパネルの増加がはっきりわかる。RankRangerのような他のトラッキングサイトでも、同じような急増が記録されている。
この増加傾向は、言葉の意味を説明するタイプのナレッジパネルに強いようだ。対象のキーワードは、「wedding dresses」(ウェディングドレス)や「Halloween costumes」(ハロウィンコスチューム)といった商用キーワードから、
「Ray-Ban」のようなブランドキーワードまで、多岐にわたっている。
興味深い(というか検索ユーザーの視点では残念な)点がある。新たに表示されるようになったこれらのパネルの多くは、アンサーボックスと異なり、言葉やフレーズの一般的な意味が説明されているだけなのだ。つまり、価値ある情報が追加されていることはほとんどない。
たとえば次に示すのは、「job hunting」(就職活動)のパネルだ。
ナレッジパネルに表示されている「雇用先を探す行為。その理由は、失業、不完全雇用、現在の職への不満、より良い職を求めてなど」のような言葉の意味の説明は、「job search」(求職)や「job hunting」というキーワードで検索している人にはほとんど必要がないように思える。
同じように、「travel」(旅行)というキーワードで検索した人が、この言葉の意味がわからず悩んでいるとは考えにくい。
いろいろな言葉の意味を解説してくれるGoogleには感謝しなければならないが、「toilet」(トイレ)で検索した画面のスクリーンショットは載せないでおくことにしよう(ご自身で検索してみてほしい)。
この新しいパネルは、そのほとんどがWikipedia(またはWikidata)から情報を引用しているようだ。また、たいていの場合、そのキーワードの意味を1つの段落で説明している。
その他に見られた変化は?
まったく同じ時期に、SERPに表示される「画像の検索結果」の数も減少していることがわかった。次のグラフは、そのことを示すために作成した同じ2週間のグラフだ。
この下落は、ナレッジパネルの増加とほとんど対をなしている。新しいナレッジパネルが追加された場合、そのナレッジパネルにはたいてい画像ブロックが表示されている。この画像ブロックが、「画像の検索結果」の代わりになったのかもしれない。
興味深いことは、画像ブロックは左側のオーガニック検索結果の領域に表示されていたため、今回の変化によって、そのキーワードのSERPの先頭ページにあるこの領域に空きができることだ。
Googleがこの変更を行った理由は?
こうした変更の理由として考えられるのは、次のことだ。
Googleは、一般的な用語に対する回答を標準化しようとしている可能性がある。
または、次のような理由があるかもしれない。
これまでの強調スニペットの質と一貫性に問題があると考えていた可能性がある。
これまでは、(前出の「HDMI cables」のように)強調スニペットの中身が、商品を売ろうとするEコマースサイトの情報で占められることもあった。そのような情報は、公平な説明を提供するという目的にそぐわないこともある。
また、次のような理由も考えられる。
Googleがナレッジパネルを強化し、回答を外部サイトに求める頻度をできるだけ減らそうとした可能性がある。
ただし残念ながら、今回の変化に伴い、回答の参照先の多様性が大きく失われることになった(これまで見てきたように、ほとんどすべての情報がWikipediaの引用だった)。また、これまでランキングの上位に入って強調スニペットを獲得していたサイトや、獲得に近づいていたサイトが、オーガニック検索結果に表示される機会を減らすことになった。
さらには、たいていの場合、新しいナレッジパネルに付加的な情報はほとんど追加されていない。「ERP」を検索した人にとっては、「ERP」という言葉が何を意味するのか説明した短い文章が役立つかもしれない。しかし、「travel」を検索した人にとって、言葉の意味は、求めていた情報ではない可能性が高い。
いつものことだが、私たちにできるのは、状況を注視し、新しい状況に適応していくことだけだ。
強調スニペットは今でも多く見られ、オーガニックなトラフィックを獲得できる絶好の機会を提供している。しかも、ウィンウィンの状況をもたらす。強調スニペットの獲得を目指した取り組みによって、オーガニックランキングを上げられることが多いからだ。うまくやれば、検索ユーザーとサイト訪問者の両方のユーザー体験を向上できる可能性がある。
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