お店の「こだわり」を伝え、見に来た人に「提案」できるサイトの文章術(第3回)
「Web文章入門」では、ウェブサイトで求められる文章表現とコピーライティングのエッセンスを解説します。第3回は、お店の「こだわり」を伝える方法です。
コンテンツの充実と明確なメッセージ伝達のために、「なにを」と「だれに」を意識し、見に来た人に「提案」できるWebサイトを目指しましょう。
見に来た人は「提案」を欲している
数年まえまで、ウェブサイトには自社で扱っている商品やサービスを一覧的に載せておくのが一般的でした。「あれもあります、これもあります。あとは、ご自分で選んでください」と、情報の取捨選択を見に来た人にゆだねることが前提でした。
現在では、このような単なる「情報提供型」では物足りず、もう一歩も二歩も踏み込んだ「問題解決型」のウェブサイトが求められています。インターネットには以前とは比べものにならないほどの情報があふれていること、それにともない、ほかにはない個性的なウェブサイトでないと利用者の印象に残らなくなってしまった、という時代の流れもあります。
ウェブサイトにおける問題解決とは、利用者に対する「提案」があるかどうかです。「ウチがこだわっているのはここ、だから、おすすめはこれだ」と、見に来た人に明確に伝える必要があります。
たとえば、ある讃岐うどん店のウェブサイトを見たとします。うどんを、ダシを、天ぷらを、そのほかの料理を、どのような「こだわり」をもって作っているのか、「おすすめ」はなにか、という提案を、見に来た人に提供することが、実際に足を運んでもらえるかどうか(インターネットショップであれば購入してもらえるかどうか)のポイントです。
お店の「こだわり」や「おすすめ」を、ウェブサイトで文章や写真としてはっきりと伝えること。それが、利用者への「提案」、引いては「満足」につながります。
こだわりを伝えるには「なにを」と「だれに」を意識する
讃岐うどん店のメニューページを例に考えてみましょう。
単なるメニューの一覧からは、お店の「こだわり」や「おすすめ」が伝わってきません。利用者は、数ある讃岐うどん店のなかで、このお店に魅力を感じることはできないでしょう。
お店がぜひ食べてもらいたいうどんを3つ選び、メニューページの上のほうで、写真やキャッチコピーでアピールするとよいでしょう。実際の注文数からベスト3を決めるのもよい方法です。「利用者は提案を欲していること」「情報にはメリハリが必要であること」を意識したページ作りが大切です。
お店のこだわりポイントとしては、原料はどこ産なのか、味つけや作り方で工夫しているポイント、お店の雰囲気作りや接客で心がけていることなどいくらでもあります。ひとつひとつきちんと把握し、ウェブサイトでアピールできるかどうか検討しましょう。
どのようなお客さんに来てほしいかをイメージすることも大切です。
地元の人だけに来てもらいたければ、地元だけで通用する言葉で、情報量も少なく、デザインもややぶっきらぼうなウェブサイトでよいでしょう。
一方、他県の観光客にも足を運んでもらいたいのであれば、より一般的な言葉を選び、交通アクセス、駐車台数や席数、店舗や周辺の写真など、観光客に役立つ情報を掲載し、魅力を感じるデザインにする必要があります。
一般向けかツウ(通)向けか、という視点もあります。ツウ向けであれば、原料の小麦粉(「讃岐すずらん」「さぬきの夢2000」「緑あひる」など)などがアピールポイントになりえます。素材や製法を深く掘り下げたコンテンツを充実させ、ウェブサイト全体として「味のわかる人にだけ来てもらいたい」というテイストを貫くのがよいでしょう。
このように「なにを」だけでなく「だれに」を明確にすると、ウェブサイトの充実とメッセージ伝達の両面で高い効果が期待できます。
まとめ
現在は、問題解決(提案)型のウェブサイトでないと、利用者の目には魅力的に映りません。
- お店の「こだわり」をメッセージとして伝えること
- 「なにを」「だれに」伝えるのかを意識すること
のふたつが大切です。
より身近な言葉でいえば、「ウチは○○にこだわっているから、△△のようなお客に来てほしい」ということを明確にし、見に来た人にきちんと伝えることが、問題解決型ウェブサイトのポイントです。
第4回では、効果的かつ効率的なキャッチコピーの作り方を解説します。
(第4回につづく)
このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
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