はじめてWEBエキスパート(専門家)コラム Web文章入門(全7回)

わかりやすい文章の10大原則の、+5原則(特別編1)

「Web文章入門」第2回「わかりやすい文章の10大原則」が好評でしたので、特別編として「+5原則」をお送りします。
※「はじめてWEB」は2020年10月13日をもってサービスを終了しました。

「Web文章入門」では、ウェブサイトで求められる文章表現とコピーライティングのエッセンスを解説します。おかげさまで、第2回「わかりやすい文章の10大原則※「はじめてWEB」は
サービスを終了しました
」が好評でしたので、特別編として「+5原則」をお送りします。

もう一歩、読み手への気づかいを

第2回「わかりやすい文章の10大原則※「はじめてWEB」は
サービスを終了しました
」では、

  • 論旨を明確に伝える(理解しやすさの向上)
  • ストレスを感じさせない(読みやすさの向上)

のふたつの観点から、それぞれ5つずつ、合計10個のコツを解説しました。

これから解説する「+5原則」は、「さまざまな読み手に気づかう」ということです。読み手への配慮によって、いっそうわかりやすく、内容のよさが際立つ文章になるでしょう。

では、+5原則を見ていきましょう。

+1. 固有名詞を正確に

固有名詞を間違いのないように書くのは基本中の基本とはいえ、意外と気をつけていない人が多いものです。固有名詞の間違いは、単に失礼なだけではなく、厳密にいえば書かれている対象が異なること、気づかいの不足が如実に感じられることで、文章全体の価値を大きく損なってしまいます。

固有名詞では、特に次の点に気をつけましょう。

  • マエカブかアトカブか(株式会社など法人種別の位置)
  • 拗音や促音(小さな「ツ」や「ヤ」)
  • 長音(音を伸ばす棒「ー」)のありなし
  • 英語であれば、大文字と小文字の区別、スペースの位置

自信がなければ、正式名称をきちんと調べることが大切です。その会社のサイトにアクセスし、次の部分を確認するとよいでしょう。

  • ページタイトル
  • 会社概要
  • コピーライト(特に英語の場合)

ロゴはデザイン(意匠)であり、必ずしも正式名称を体現しているわけではありません。特に英語の社名やブランド名にそのようなケースが多いといえます。たとえば「Sony」のロゴは「SONY」と全部大文字に見えますが、正式な表記は「Sony」です。「Google AdWords」は「google adwords」でも「Google adwords」でも「Google Adwords」でもなく、きちんと「Google AdWords」と書かなければなりません(G、A、Wを大文字にし、単語間のスペースが必要)。

有名企業を例にあげると、特に気をつけたい会社名は次のとおりです。

×
キャノンノン
キューピーーピー
富士フィルム富士フルム
文化シャッター文化シッター
オンキョーオンキヨー
シャチハタチハタ
ブリジストンブリストン
トイザラストイザ
ビッグカメラビッカメラ

+2. 語尾を繰り返さない

語尾の繰り返しは、読み手に単調な印象を与えます。

  • 「思います」を「でしょう」に変えられないか
  • 前の語句も含めて異なる表現に変えられないか
  • あいまいな「思います」という表現ではなく「です」と言い切れないか

を検討しましょう。

+3. ら抜き、い抜き、さ入れ言葉に注意する

ら抜き言葉、い抜き言葉は、少なくとも書き言葉としては標準的ではありません。地域によって、また、世代によっては気にならない人が多いとはいえ、文章の印象を損なう可能性があるので気をつけたいところです。

ら抜き言葉の代表例は次のとおりです。

×
見れるれる
着れるれる
来れるれる
食べれる食べれる
起きれる起きれる
考えれる考えれる
覚えれる覚えれる
信じれる信じれる
生きれる生きれる

一方、い抜き言葉については、家族や友人とのカジュアルなコミュニケーションで、たとえば「見ている」を「見てる」、「向かっている」を「向かってる」と書くのはそれほど珍しいことではなく、そのクセが出てしまう恐れがあります。きちんとした文章を書くときは、ら抜き言葉と同様に気をつけましょう。

さ入れ言葉は、「休まさせていただく」「読まさせていただく」など、「~させていただく」と書くときに思わず出てしまう表現です。ら抜き言葉、い抜き言葉と同じく、気になるかどうかは地域差、個人差がありますが、「さ」を入れずに「休ませていただく」「読ませていただく」と書くほうが望ましいといえます。

ただ、そもそも「~させていただく」は過剰敬語であり、ほかの表現のほうがふさわしいかもしれません。「休ませていただいております」を「休んでおります」に、「読ませていただきます」を「拝読します」に変えたほうが、文章がすっきりとします。

+4. 文字の並びに気を配る

読み手は、文字をある程度のかたまり(チャンク)ごとに認識しながら読み進めます。「今出発」と書かれていると、「今・出発」ではなく「今出・発」と誤読してしまう可能性があります。「今、出発」と読点を入れるか、「今」をひらがなにして「いま出発」と書いたほうが誤読を防げます。

また、「ギリギリバス」は、そのような名称のバスがあるかは別にして、視覚的にひとかたまりに読めてしまいます。「バスにギリギリ間に合いそうです」と書いたほうが、読み手が理解しやすいでしょう。

+5. 言葉のかかりに気を配る

語句の順序によって、意図の伝わりやすさが大きく変わります。「ひとつの店舗経営のあり方」という表現では、「1店舗の経営」なのか「ひとつのあり方」なのかがはっきりとしません。「店舗経営のひとつのあり方」とすれば、「1店舗の経営ではなく、店舗経営一般に関する、ひとつの方法として」ということが明確になります。

さらに、「アルバイトを飲食店で大学時代に」は、言葉それぞれの「広さ」を考えると、広いほうから順に「大学時代に飲食店でアルバイトを」とするのが自然です。話し言葉ではそれほど気になりませんが、それでも、語尾伸ばしで「アルバイトをー飲食店でー大学時代にー」と読むのと、「大学時代にー飲食店でーアルバイトをー」と読むのとで、どちらのほうがよい印象を抱くかといえば、後者という人が多いでしょう(前者からは、文章というより、語句をぶつ切りで話しているような印象を受けます)。

まとめ

わかりやすい文章の「+5原則」は、次のとおりです。

  • +1. 固有名詞を正確に
  • +2. 語尾を繰り返さない
  • +3. ら抜き、い抜き、さ入れ言葉に注意する
  • +4. 文字の並びに気を配る
  • +5. 言葉のかかりに気を配る

ウェブで公開する文章には、ある決まった読み手だけでなく、さまざまな読み手がいます。自分にとっては当たり前の表現が、読み手にスムーズに伝わるとは限りません。気づかいの積み重ねによって、さらに洗練された文章を目指しましょう。

表現に気を配ることは、けっして読み手のためだけではありません。自分の書いた文章を、より多くの人に届けるための、とても大切な取り組みです。

ひとりでも多くの人が納得してくれること。心を動かしてくれること。文章を書く楽しさやよろこびは、そこにあると考えます。

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このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。

※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました

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