Web文章実践講座(第2回)商品紹介をブラッシュアップ
「Web文章実践講座」では、主に文章の観点からウェブサイトのコンテンツをよりよくするコツを解説します。第2回は、商品紹介のブラッシュアップ方法です。5W1Hを発想のきっかけにして、見に来てくれた人に提案できる商品紹介を目指しましょう。
見に来た人は「提案」がほしい
ホームページを見に来た人は、商品の「なに」が知りたいのでしょうか。価格、サイズや容量、原材料、送料、パッケージや内容の写真など一般的に掲載する情報があり、それらはきちんと含めておくべきです。
しかし、見に来た人がもっともほしいのは「提案」です。「どのようなシチュエーションでその商品を生かせるのか」ということが、もっとも気がかりであり、かつ、購入の決め手となります。
提案型の商品紹介は、5W1Hをきっかけに考えるのがよいでしょう。ひとつひとつの商品について、だれが(Who)、なにを(What)、いつ(When)、どこで(Where)、なぜ(Why)、どのように(How)を考えて、キャッチコピーや説明、写真をページに含めることが大切です。
まず、贈答用の商品として「こだわりの竹素材の弁当箱」を5W1Hで考えてみます。
- 会社の先輩が(Who)
- この「弁当箱」を(What)
- お昼休みに(When)
- 会社の近くの緑の多い公園で(Where)
- 和食のお弁当を美味しく味わうために(Why)
- ちょっとオシャレな小紋の風呂敷に包んで(How)
※bizYouショッピングのこちらの商品です。
公長齋小菅 積層二段弁当箱 赤
次に、自分用に購入を検討している「財布と一体型のiPhoneケース」を5W1Hで考えてみましょう。
- 自分が(Who)
- この「財布ケース」を(What)
- いつでも(When)
- ビジネスの場でも望ましいデザインで(Where)
- 持ち物を少なくし、忘れ物をなくしたいので(Why)
- 特に、急いで外に営業や打ち合わせに出るときに(How)
※bizYouショッピングのこちらの商品です。
Cygnett FlipWallet Textile Case for iPhone 5
このように5W1Hで考えると、その商品のよさやアピールポイントが鮮明に浮き上がってきます。よい商品紹介は、これらの点がきちんとカバーされていることが多いものです。商品紹介をどのように充実させればよいかわからない人は、ぜひ5W1Hから考えてみましょう。
また、写真を撮影する場合も、5W1Hにもとづく具体的なシチュエーションが役に立ちます。どの場所で、どの時間に、どの構図で、というポイントをあらかじめ決めておき、カメラマンと調整しながら撮影することで、生き生きとした商品写真にできます。
こまかなことへの配慮も
インターネットショップであれば、商品に関する直接的な内容だけでなく、たとえば次のような情報が求められます。
- 支払い方法
- 配送方法/送料
- お届け日時指定の可否
- ギフトオプション(包装/のし)の可否
- 返品/交換
- 納品書の同梱や別送の可否
特にギフトオプションの柔軟性は、インターネットショップへの親近感を増します。
たとえば、オリジナルのメッセージカードや別送品を同梱できるかどうかなど、事前に想定するのがむずかしい要望があるかもしれません。
すべてに対応するのは困難だとしても、「どのようなことでもお気軽にご相談ください」という体制を整え、消費者に示すことは、きっと大きなアドバンテージになります。
販売しているものが食品であれば、さらに次のような情報が必要となるでしょう。
- 賞味期限/保存方法
- 常温便/冷蔵便/冷凍便の別
- 添加物表示
- アレルギー表示
これらの情報を含めることは、利用者の判断におおいに役立つと同時に、商品詳細に関する問い合わせを減らしたり、やり取りの回数を減らすなど、業務の効率化につながるといえます。
商品の「向こう側」を見せる
商品には、必ず作った人が(機械生産であっても担当者が)います。どのような思いで、どのような工夫を凝らして、どのような場所で作っているのか、どのような人に、どのようなときに使ってほしいかなどを、メッセージや写真で伝えるのも効果的です。これらは、いわば「利用者側」ではなく「作り手側」の5W1Hといってよいでしょう。
現在のように成熟経済で嗜好が多様化した時代では、作り手の思いや姿勢を伝えることが、多種多様なものの中から自社の商品を選んでもらうのに不可欠です。特に、中小規模の会社は、価格競争におちいらず、品質のよい物を一定の価格で提供することが求められます。では、言葉足らずでも消費者にわかってもらえるかといえば、やはり心もとなく、逆の立場で考えれば、「よさ」や「価格」に対する明確な説明がほしいと考えるはずです。
以上は、商品ではなくサービスを提供している会社も同様です。サービス業は主に「問題解決」によって成り立つ業種であり、商品よりも5W1Hを想定しやすいといえます。ホームページで、利用者の「問題」をどのように「解決」できるのかをていねいに説明しましょう。
みんビズで制作されているホームページの中から、おすすめのところをふたつ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
生産者や商品に関する詳細情報やこだわりを公開。放射能検査など食品の安全性、個人向けの直売所と法人向けの業務用卸のご案内など、とても充実したホームページです。
利用者の悩みや症状別にわかりやすく情報を分類。さらに、施術の様子について豊富な写真や動画を公開し、信頼できる整体院であることがホームページから伝わってきます。
まとめ
商品紹介は、利用者の5W1Hを考えて充実させることが大切。さらに、作り手の5W1Hにもとづく情報を提供することで、より利用者に対して提案力のある商品紹介にできるでしょう。
なお、作り手の5W1Hについて、商品紹介に含めるのがふさわしくない(テイストに合わない、情報量が多くなりページが長くなりすぎる)と考えられる場合は、別のページにまとめたり、カジュアルな内容であればブログ記事として書き、商品紹介ページからリンクをするのもよい方法です。
次回は「店舗紹介」のブラッシュアップ方法を解説します。
(第3回につづく)
このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
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