【レポート】Web担当者Forumミーティング 2016 Autumn

プロが教える、EC売り上げ拡大のために押さえるべき2つのポイント

売り上げの因数分解で見えてくる
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ECサイトで最も重要な指標である「売り上げ」を因数分解することで、どこに着目して施策を考えるべきかがわかる――ECコンサルティングの経験からEC売り上げを向上させるためのノウハウを蓄積しているメディックスは、そう強調する。

「Web担当者Forum ミーティング 2016 秋」における「プロが教える、EC売り上げ拡大のために押さえるべき2つのポイント!」セッションの前半はメディックスの近藤氏が指標のとらえ方を解説し、後半に同社の杉浦氏がそれを実現するソリューションを紹介した。

「2つのポイント」とは、次のものだ。

  • 何が重要な指標か、分解・細分化すると見えてくる
  • 人手でなくていい部分は自動化し、施策を考えることに時間を使う

それぞれについて解説していく。

近藤 充氏杉浦 孝雄氏
株式会社メディックス 事業推進本部ソリューション部 チーフ 近藤 充氏(左)と
株式会社メディックス MarketingStrategy推進室 マネージャー 杉浦 孝雄氏(右)

ポイント1何が重要な指標か、分解・細分化すると見えてくる

ECサイトを運営していると、時には売り上げが下がる月もある。もちろん季節変動もあるだろうが、そのうち戻るだろうと放置するとどんどん下がり続ける可能性もある。また、売り上げが下がったのは訪問回数が減ったためと考えて、訪問回数を増やすためには広告をどんどん投入するというのは短絡的だ。

売り上げを戻すためには、なぜ下がったのかを考え、課題を把握して改善しなければならない。課題を特定するためには分析を繰り返す必要があるが、そもそも何を分析すればいいのだろうか。

ECサイトにおける最も重要な指標は、当然のことながら「売り上げ」だ。訪問数やUU数などの指標ではなく、売り上げを上げるためにどうするかを考える。この売り上げという指標を上げるにはどうすればいいかは、因数分解すると明確になってくる

売り上げ=購入回数×購入単価

売り上げは、購入回数と購入単価に分解できる。これが最も基本的な因数分解だ。このように、ひとつの指標はさまざまな別の指標によって成り立っている。指標を分解していくと、把握すべき指標や施策箇所が見えてくるので、さらに分解してみよう。

購入回数=訪問数×購入率

訪問数や購入率は、購入回数を形作る重要な指標だということが見えてくる。さらに分解すると

訪問数=新規訪問+リピート訪問

となり、購入回数は、新規訪問とリピート訪問の訪問数でできていることがわかる。

購入回数を因数分解し、重要な指標をあぶり出す

さらに細かく分解すると、新規訪問とリピート訪問それぞれに直帰と非直帰がある。

訪問数=新規訪問数(直帰+非直帰)+リピート訪問数(直帰+非直帰)

このように細分化することで、集客の施策にどういう動きをすべきかが把握できる。次に、購入率の方も分解してみよう。

購入率=購入回数÷訪問数

これは、基本的なCVRの出し方だが、これをさらに細かく分ける。そのためにはまず、訪問から購入に至るまでのサイト内回遊のなかで、ポイントとなる部分を把握する。一般的には、ランディングページから商品詳細ページ、カート投入、レジ、購入といった分け方になるだろう。これらの数は、次のポイントに行くまでにある程度減っているので、この減少数を把握する。

訪問から購入までのポイントと減少数を見る

訪問した数と商品詳細ページを見た数の差、商品詳細ページを見た数とカートへ投入した数の差というように、図の黄色い部分の合計を、訪問数から引くと、購入回数となる。つまり、

購入率=(訪問回数-途中離脱数)÷訪問数

ということだ。当たり前のことのようだが、このように分解するとどこに課題がありどういう施策を打つべきかが明確になっていく。

購入率を分解

ここまで、売り上げ=購入回数×購入単価のうちの購入回数を分解したが、購入単価の方を分解すると、以下のようになる。

購入単価=平均購入点数×平均商品単価

購入単価を分解

このようにとにかく細かく分解していくと、どの指標がどう影響するか分かる。分析するためには、これらの数字をスプレッドシートに落とし込み、レポート化する。データ化して数値を把握しておくと、各ポイントの課題が明確になるので、それを元に仮説を立て、アクションプランを決める

また、時系列やデバイスごと、集客施策ごとなどで比較すると、さまざまな仮説を立てることができる。アクションプランの優先順位は、まず売り上げにつながるインパクトが大きいところ、なおかつやりやすいところから改善する。とはいえ、サイト運営者は忙しいので、手が回らないというのが実情だろう。

ポイント2人手でなくていい部分は自動化し、施策を考えることに時間を使う

EC売り上げを向上させるためには因数分解・レポーティング・アクションプランが重要というのが前半の話だったが、言い換えると次のようだと杉浦氏は言う。

ECの売り上げを上げるためには、事実(データ)に基づくKPI設計とそれに紐づくPDCAサイクルをどれだけ高速に回していくか。どれだけ手数を打てるかが重要

しかし、1日は24時間だし1年は365日と、時間は限られている。

また、サイト運営者には保守的な業務もたくさんある。

商品情報の登録、在庫システム、アクセス解析、広告配信、基幹系、メルマガ、帳票類など、更新頻度はいろいろだが、毎日さまざまにシステムにログインして、CSVやExcelを登録したり加工したりといった作業に時間をとられていることだろう。

課題は、そのような保守的業務によって、PDCAサイクルを手数多く回すための時間が奪われてしまっていることだ

ちなみに、売り上げアップのためには「効率性」と「効果性」が必要となる。「効果性」とはマーケティング施策のことで、マーケターはこれを考えたり企てたりするために時間を使うべきである。しかし保守的業務に時間をとられてしまっているので、その業務を効率化して「効率性」を高める必要がある。これを実現するのが、業務効率化ツールだ。ツールには、以下のようなメリットがある。

  • 人手でデータを集める必要がなくリードタイムが短い
  • 人手によるミスが起きない
  • 属人的な作業ではなくなり、担当者の離籍・異動などの影響を受けない
  • 作業時間を短縮するのでコスト削減にもなる

業務効率化ツールをうまく使えば、朝からデータを収集して、レポートが出るのは午後になるといったことはなくなり、1日の仕事を分析や仮説構築、施策立案などから始められる。

また、手作業ではミスを完全になくすことはできないが、もしミスに気づかないまま施策を立案すると、間違ったデータ元にした間違った施策になる危険性がある。

そしてツールを使えば、「担当者がいないからレポートは待ってくれ」と言われることも、自分が異動になってデータ収集と加工などのやり方を引き継ぎする必要もなくなる。

メディックスの業務効率化プロダクト「スケールライジング」では、複数のデータの抽出から、データ統合、加工や集計まで自動化できる。ツールではなくプロダクトと呼ぶのは、ASP型サービスのためだ。どのデータをどのタイミングで収集するか、どのように加工するかの設定は、メディックスが裏側で行う。このためシステム開発は必要なく、データソースの追加や変更でも設定変更するだけでシステム変更が発生しない

スケールライジングはデータの加工・集計までを自動化

スケールライジングを導入すると、以下のように仕事のやり方が変わる。

  • 導入前:毎朝どこかの管理画面からログインして、前日のデータを絞り込んでCSVをダウンロードするところから作業を開始
  • 導入後:朝来たら、必要なデータが揃っている

導入のスケジュールや費用感は以下の通りだ。

  • 納期:打ち合わせから20営業日(1カ月)
  • 初期費用:25万円~(特殊なシステムでなければ25万円)
  • 月額費用:7万9800円

いきなり導入するのは不安という場合は、1業務だけ試してみるトライアルから始められる。

EC売り上げ拡大のための2つめのポイントは効率化という話だったが、工数削減だけで売り上げが上がるわけではない。

生産性(売り上げアップ)=効率性×効果性

であり、効率性とともに効果性が重要だ。業務を効率化した先の、PDCAサイクルをまわすために必要なKPIはどのようなものかについて、メディックスではコンサルティングの経験に基づいたノウハウがある。基本的なレポートのパターンはできているので、それを利用すればマーケティング施策のために時間を使う、効果性を高める業務へとシフトできる。

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