多くのECサイトが抱えるCRMの課題とは? 顧客との関係強化に必要な3つのポイント/プラスアルファ・コンサルティング
ネットショップのCRMがうまくいかない理由とは?
ネットショップにおけるCRMの目的は、「リスト(新規会員)の獲得」と「顧客の育成」という2点に集約される。この目的を果たそうとネットショップ担当者は、日々、さまざまな取り組みを進めている。
例えば、顧客の属性情報や購入履歴を顧客管理システムで管理するとともに、メール配信システムで顧客にメルマガを届ける。ときには、顧客の声を聞くためにアンケート収集システムを使い、また、データマイニングで売れ筋商品を分析して顧客ニーズを探ろうとする。
だが、これらのようなCRMに関する取り組みがうまくいかず、効果を出すためには解決しなければならない課題が山積していると感じているネットショップ担当者は多いのではないだろうか。セッションで鈴村氏は、そうした課題の代表例を次のように提示した。
コミュニケーションの課題
- すべての顧客に対し、同一内容のメールを送っている
- 顧客の嗜好、購入タイミングに合わせたメールを送付できていない
- メールのどの部分に顧客が反応しているかを把握していない
顧客分析の課題
- どんな顧客がリピートしているのかが把握できていない
- 新規顧客獲得コスト(リスティング、広告・宣伝)をかけているのに離脱が多い
消費者ニーズ把握の課題
- 既存顧客の満足度を把握できていない
- 消費者が何を求めているのかわからない
なぜ、このように多くの課題が生じているのか。鈴村氏は、その根本原因について次のように説明した。
多くのネットショップでは、顧客管理、メール配信、アンケート収集、顧客分析といった用途ごとにシステムを利用しています。それぞれが個別に顧客情報を持っているため、メルマガやアンケートなどのアクションの結果を、適切な形で顧客データベースに紐付けられないという状態に陥っているのです。
ばらばらに存在するシステム間の連携を図り、個別最適ではなく、全体最適を目指すことが効果的なCRMには不可欠だと鈴村氏。そうした問題意識からプラスアルファが開発したのが、「カスタマーリングス」である。
カスタマーリングスは、メール配信、Webアンケートなどすべてのアクションが顧客データに紐付けられる。例えば、誰にメールを送って、誰が反応してくれたか。アンケートでは誰がどういう回答をしてくれたか、といった情報を1つのシステムに集約する。そして、その集約された情報を見て、あらためてセグメントを検討し、次のアクションを起こすことができるようになっている。もちろん、売上データも取り込むことができ、さまざまな切り口での顧客分析が実現できると鈴村氏は言う。
CRMを成功させる秘訣は、やはりPDCAのサイクルを確立して、うまく回していくことです。メールを送ったら送りっぱなし、アンケートを取ったら取りっぱなしにするのではなく、それらの反応を分析して次のアクションにフィードバックできる仕組みが要となるのです。
カスタマーリングスは、2012年12月時点で約100社のユーザーが導入している。そのうちの1社が、健康食品会社のエバーライフである。同社は、年齢層の高い顧客に向けてDMなどでマーケティング施策を行ってきたが、30~40代にアプローチするにはWebマーケティングが不可欠と判断し、カスタマーリングスを導入した。
また、ある化粧品通販会社は、トライアル商品を購入した新規の顧客の8割が離脱し、リピート顧客にならないという悩みを抱えていた。このような初回購入客の離脱率の高さは、継続購入を前提とする商品を販売する企業の共通課題であるという。こうした状況に対して同社は、カスタマーリングスを用いて下記3点を中心に改善を図った。
- 個々の顧客ごとに適切なコンタクトポイントでメール配信
- リピート顧客分析を行い共通軸を抽出。その共通軸に近い顧客に商品を推奨
- トライアル商品を購入した理由についてアンケートを実施
ソーシャル連携も視野に機能強化を続ける
CRM領域における最近のトレンドの1つとして、ソーシャルメディアの活用が挙げられる。従来の施策に加えて、ソーシャルメディアのなかでも既存顧客を育成し、また、見込み客を見つけてアプローチしようという新しい動きだ。
鈴村氏は、その具体例としてカタログ通販のニッセンの事例を紹介した。ニッセンは、顧客サポートにTwitterを活用しており、ニッセンに関するつぶやきを見つけると、ニッセンのカスタマーサポートがTwitterで回答するという仕組みで、顧客満足度の向上に成功した。
CRMにおいてソーシャルメディア連携を図る際には、CRMの顧客IDとソーシャルアカウントを紐付ける形になる。「こうした仕組みの構築は非常に難しく、少し時間がかかるかもしれませんが、カスタマーリングスでもソーシャルメディアとの強力な連携も視野入れて機能強化を進めていきます」(鈴村氏)
最後に鈴村氏は、まとめとして次の3点を挙げて講演を終えた。
- 「全員に送って安心」からの脱却
メールを全配信する時代は終わりつつある。配信する顧客に合わせた内容やタイミングなどの精度を高めていくことが重要。
- 顧客育成のPDCAの構築が重要
メール、アンケート、施策に対する反応、施策の効果を顧客情報と関連付けていくことで顧客を知り、次の施策立案の精度を高める。
- Webマーケティング強化のプラットフォームへ
カスタマーリングスはWebマーケティングを強化するためのさまざまな機能をワンストップで提供。さらに、ソーシャルメディアへの対応も視野に入れている。
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
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