信頼性のアピールで変わる購買意欲、SSL対応はECサイトのマーケティング施策になる/日本ベリサイン
意外にチェックされているECサイトのSSL対応状況
セッション冒頭で中川氏は、経済産業省による「購入するECサイト選定の重視ポイント」についての一般消費者向けのアンケート結果を挙げ、次のように語った。
消費者がECサイトの選定で重視するのは、やはり価格です。この調査でも、「価格が安い」「送料がかからない/安い、割引になる」が上位2位を占めています。そして、3番目に多いのが「セキュリティ対策が行われている」という回答なのです。ここから、訪問者に安心感を与えることが、購入意欲につながることがわかります。
それでは、ECサイトは、どういった点で安心感があると判断されるのだろうか。その疑問に応えるために中川氏は、「ネットユーザーがどのように安全性を確認するのか」というアンケート結果を取り上げた。このアンケートは、1,030名の一般消費者を対象に日本ベリサインが実施したものだ。
過半数の方が2つの回答を挙げました。1つは「有名な企業であること」、もう1つは「SSLに対応していること」です。ECサイトを選ぶ際にSSLへの対応状況を確かめているユーザーは、想像以上に多いのです。
暗号化プロトコルのSSLは、インターネット上の通信の安全性を確保する技術として普及している。SSL対応のページではURLの先頭が「https」となり、対応状況が確認できるため認知度も高い。このアンケート結果からも、SSLがサイトの安全性を判断する基準として広く知られていることがわかる。
SSLには、大きく2つの機能がある。1つはWebサイトとの送受信データの暗号化。もう1つは、サイトが本物か偽物かを見極める判断基準。ユーザーはこれらを確認しようとSSL対応かどうかをチェックしているため、SSLをうまく活用すれば、安心感を生み出し、信頼の獲得、引いてはコンバージョン率の向上につながるのだ。
SSL対応が不十分なサイトでは顧客は安心して購入できない
では、ECサイトでは、どのようにしてSSLを活用すべきなのだろうか。まず中川氏は、フォーム掲載ページ自体をSSLに対応させることを挙げる。フォームの入力内容を通信する際にSSLを使うのは当然だが、通信にSSLを適用している場合でも、入力フォームを掲載しているページ自体を暗号化していないケースがあるという。そうしたサイトは、訪問者からはセキュリティ対策が不十分と見なされかねない。少しでも訪問者のドロップアウトを減らすには、入力フォームのURLもhttpsから始まるようにすべきだ。
また、「安全性を高めるために、本サイトでは、SSLを用いて暗号化を行っております」といった形で、SSLに関する注意書きをフォームの近くに記載することも安心感の醸成につながる。SSL証明書を導入している場合は、それによって個人情報が保護されるという説明をページに記載しておく。
さらに中川氏は、「ECサイトに導入するのであれば、企業の実在性を証明できるSSLサーバ証明書を選ぶべき」と語る。SSLサーバ証明書には、「自己署名型」「ドメイン認証型」「企業実在性認証型」「EV SSL」という4タイプがあり、どれを選ぶかで訪問者に与える印象も異なってくる。
「自己署名型」は無料で作れるが、何かを審査した証にはならない。これを導入したWebサイトにユーザーがアクセスするとブラウザの警告場面が出てくるので、ECサイトには不向きだ。「ドメイン認証型」は、ドメインを運用しているのが誰なのかはわかるが、個人か企業かといったことまでは確認できない。
4タイプのうち、企業の実在性を証明できるのは「企業実在性認証型」と「EV SSL」である。特に「EV SSL」は、対応ブラウザで閲覧すると、サイト運用者名が表示され、アドレスバーの表示が緑色になるため視覚的にもわかりやすい。加えて、事業所の所在地、事業責任者の署名など、従来より厳密な認証を経て発行されるため、信頼性も折り紙つきだ。
中川氏は、EV SSLを採用した事例としてライオンを紹介。同社は、以前からSSLサーバ証明書を導入していたが、EV SSLに切り替えたことで購入完了率が10%向上したという。
認証済みマークの掲載方法で顧客の印象が大きく変わる
SSL対応を積極的にアピールできる方法の1つに、認証済みマークの掲載がある。認証済みマークは、認証局によって審査済みである証であり、クリックすると審査内容が表示されるようになっている。
中川氏は、認証済みマークの効果を調査したデータを紹介した。この調査では、「認証済みマークがサイトの信頼感に影響する」と答えた回答者は75.66%、「マークが見つからなかったので購買をやめた経験がある」とする回答者は60.96%にも上っており、認証済みマークの掲載がサイトの信頼感につながることを裏付けた。
ただし、マークが「認知できなかったために購買をやめた経験がある」との回答も75.66%となっている。このことは、マークがあったとしても広く認知されたものでなかったら、その効果が発揮されないということを意味している。
同社の顧客によるテストでも、同じような結果になった。その顧客が最も広く認知された認証済みマークと言えるベリサインマークを掲載したサイトと掲載していないサイトのコンバージョン率の違いをテストした結果、掲載したほうがコンバージョン率が42%高かった。
認証済みマークの掲載場所でも効果が違うという。同社の米国法人による調査では、掲載する効果が一番高かった場所は、クレジットカードの番号を入力する真横であったとのことだ。場所を変更することでコンバージョン率は約9%向上したそうだ。
また、中川氏は、GoogleやYahoo!などでの検索結果にベリサインのマークが表示される「シールインサーチ」を紹介した。このシールインサーチにより、自然検索時にクリック率を高める効果が期待できる。例えばカー用品販売の谷川屋では、Googleからの訪問者が1.6%増加した。さらに、シールインサーチを利用している99サイトの利用前と利用後を比較した結果、シールインサーチの導入で、Google、Yahoo!、Bingの検索結果からの流入数が平均で6.3%向上することがわかった。
中川氏が述べたように、SSLは使い方次第で、サイトのセキュリティを強化するだけではなく、コンバージョン率の向上にも大きく貢献する。同氏は、次のように訴え、講演を締めくくった。
ECサイトを運営されている方は、さまざまなマーケティング施策に取り組んでいると思います。SSLについても、そうしたマーケティング施策の1つと捉えてみてはいかがでしょうか。セキュリティ対策にしっかりと取り組んでいることをアピールして不安の低減を図ることが、コンバージョン率を上げることにつながります。
日本ベリサイン株式会社
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