オーガニックランキングとソーシャルシェアの本当の関係とは(後編:事例+機械学習にみるその背景)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。前編で明らかになったとおり、ソーシャルエンゲージメント率とCTRには強い相関関係がある。
後編となる今回は、そのような相関関係をもたらす要因について考えてみよう。→まず前編を読んでおく
前回は、次のような理論を、既存のデータから導き出した。
ソーシャルでのシェア数とオーガニック検索の順位に目を付けるのは正しくない。
「ソーシャルでのエンゲージメント率」と「オーガニック検索結果ページにおける順位あたりの予想CTRとの比」に着目すると、強力な相関性が見えてくる。
理論は素晴らしい。では、この理論が合っているのかどうか、パフォーマンスが高いコンテンツをいくつか見ていこう。
実例: ソーシャルでのエンゲージメント率とSERPでのCTR期待値比は相関する
ここでは、当社の投稿のなかで、グーグルのオーガニック検索の上位にあり、オーガニックCTRが予想値を上回っている3つを例にあげよう。フェイスブックのエンゲージメント率ははたしてどうだっただろうか。
オーガニック検索からの訪問数を50万件近くもたらしたこの投稿。Facebookでのエンゲージメント率は7.4%だった。
わかってる。一度だとまぐれ当たりかもしれない。
オーガニック検索からの訪問数が25万件を超えている投稿。フェイスブックでのエンゲージメント率は8.5%だった。
2つ目だ。しかしまだ単なる偶然の可能性もある。
オーガニック検索の訪問、10万件をもたらした投稿。フェイスブックでのシェアのエンゲージメント率は7.1%だった。
さあ、これはもう傾向だと言っていい! 検索順位が高い3つの投稿はすべて、フェイスブックでのエンゲージメント率が平均的なフェイスブック投稿の3倍から4倍だったのだ。
こうした例をもっと挙げていくことはできる。しかし、同じことの繰り返しになる。
相関関係かそれとも因果関係か
この相関を引き起こしているのは何なのだろうか。
1つ確信できるのは、ソーシャルエンゲージメント率とオーガニックなクリックスルー率の間の関係は、共依存の因果関係だということだ
機械学習
機械学習システムでは、実際、エンゲージメントが高ければ露出をより高くする。
露出が増えれば、それだけオーガニック検索の順位は上がるし、ソーシャルシェアも増える。
成功を判断するにあたり、アルゴリズムはユーザーのエンゲージメントを見る。
エンゲージするユーザーが増えれば、アルゴリズムが適切なコンテンツを表示している明確な証だ。
エンゲージするユーザーが増えなければ、システムは人々の関心を呼び起こすものを見つけようと、審査する対象を別のコンテンツに変える。
ここでは、機械学習システムがフェイスブックのニュースフィードやグーグルの検索結果に対し果たしている役割を、大幅に簡略化して紹介する。要するに、エンゲージメントが予想値を上回るコンテンツが報われるということだ。
グーグルでもフェイスブックでも、ユーザーのエンゲージメントを測定しているシステムではどれも、コンテンツが予想エンゲージメントを超えられない場合、そのコンテンツは同じ露出を得られなくなる。
検索が行われたときには常に最高の結果を返したいと、グーグルは考えている。そのためには、グーグルはあらゆるクエリについて、表示できうる潜在的なすべての検索結果の中から、最も有用で関連性の高いものを見つけなければならない。
グーグルが自己を点検する1つの方法として、オーガニックなクリックスルー率の確認がある(ただし、これが唯一の方法というわけではない)。ユーザーは1位に示された結果をクリックしたのか。2位や3位の結果をクリックした人の方が多くはなかったか。
1~3位のページがすべてユーザーのニーズに応えている場合にも、クリックスルー率は、グーグルが最高の回答を適切な順序でユーザーに提供しているのかを判断する大きな手がかりとなる。
次はフェイスブックについて考えてみよう。コンテンツが人気になっているということは、それを見た人数に比較して大勢の人々が、短期間にそのコンテンツについて語っていることを意味する。大勢の人がいいね!したり、コメントを書いたり、投稿をシェアしたりしているのではないだろうか。
その場合、フェイスブックの機械学習アルゴリズムは、こういった投稿やトピックの露出を高める。すると、好循環が回り始める。
投稿にたくさんのユーザーエンゲージメント(シェア、いいね!、コメント)が集まる。
フェイスブックはこのエンゲージメントを受け、投稿をより多くのユーザーに表示する。
露出が増えた結果、投稿にはより多くのユーザーエンゲージメントが集まる。
フェイスブックはこのエンゲージメントを受け、投稿をさらに多くのユーザーに表示する。
ソーシャル投稿に新鮮味がなくなり、エンゲージメントが減少するまで、この繰り返しが続く。
では何をすべきなのか?
自分の最も良いソーシャルコンテンツを、オーガニックコンテンツにする。その逆でもよい。
ソーシャルにおいてオーガニックに通用するものは、ペイドコンテンツでも素晴らしい成果が上がる傾向がある。だとすると、オーガニック検索の順位が上位のコンテンツは、ペイドでもオーガニックでも素晴らしいソーシャルコンテンツになるだろう。
逆にいうと、ソーシャルメディアのプラットフォーム(ペイドでもオーガニックでも)で多くのエンゲージメントを集めるコンテンツは、扱っているトピックのオーガニック検索でも順位が高くなる可能性が高いということだ。
僕がこだわっているこういったユニコーンは、いつまでも重要であり続ける。傑出しているのだ。君のコンテンツは、まばゆく輝く堂々たるユニコーンだろうか。それとも、年老いた退屈なロバだろうか。
ユニコーンの中核は、心躍らせる真に卓越したアイデアだ。(自分が最高だと思っているだけではない)本当の意味で刺激的なアイデアだ。エンゲージメント率が著しく高いコンテンツはコンバージョン率が高く、ペイドであれオーガニックであれ、検索においてもソーシャルにおいても信じられないほどうまく行く。ユーザーのエンゲージメント率が著しく高いものには、機械学習システムが大きく報いるからだ。
結論
これまでの理論は、ソーシャルシェアの多さとオーガニック検索の順位の高さに相関があるというものだった。
しかし本当は、大事なのはシェアの数ではなく、エンゲージメント率だ。
著しく高いソーシャルエンゲージメント率は、オーガニック検索のCTRの高さと強い相関があり、またこのCTRは検索順位と相関がある。つまり、クリックスルー率がきわめて重要なのだ。クリックスルー率は、コンテンツの成功と失敗を親指の向きで判定する、見えざる手のようなものだと考えよう。
現状では、フェイスブック広告、フェイスブックのニューフィードのアルゴリズム、グーグルのAdWords広告、そして特にグーグルのオーガニック検索、このすべてが機械学習システムによって動いており、顕著なエンゲージメントに対して露出を増やす仕組みになっている。
高いエンゲージメント率と機械学習システムが、SEOとソーシャル指標の相関を説明する共通因子なのだ。
どうだろうか。パフォーマンスが最高に良いコンテンツを見てみると、ソーシャルシェアがとても多く、ソーシェルエンゲージメント率が高く、オーガニック検索からトラフィックを大量に集め、そしてコンバージョン率が良いのではないだろうか。
ソーシャルもやってます!