Googleアナリティクスのセッション数とは?訪問数との違いは?[第12回]
今回は「セッション数」について説明する。前回は「ページビュー数」を解説したが、「セッション」もGoogleアナリティクスで最も基本となるものの1つだ。セッションとは何か、そしてそれをカウントした「セッション数」はどのレポートで確認できるかを解説していこう。
- 「セッション数」を知る
- ECサイトなどで参照元除外リストを設定する
「セッション数」は「Webサイトへの訪問数」のこと
「セッション数」とは、Webサイトへの「訪問数」のことだ。たとえばリアル店舗であれば、お客がお店に入ってから出ていくまでの一連の行動が「1回の訪問」だと定義できるだろう。リアル店舗における「訪問」は「お店への出入り」をもって定義づけるのが一般的だ。Webサイトでも考え方は一緒で、来訪してから出て行くまでの行動を「訪問」としている(図1)。
しかしWebサイトのようにブラウザからサイトを閲覧して、自由にサイトの内外を行き来できるような世界では、何をもって「訪問」を定義づけたらよいのだろうか? 「訪問」についてはどのアクセス解析ツールでも共通の基本原則があり、細かい部分ではツールごとにローカルルールが定められているのが一般的だ。
なお、Googleアナリティクスでは「セッション(数)」という用語がたびたび変更されている。これまでも「訪問(数)」という言葉に変わったり、また「セッション(数)」に戻ったりしているので混乱している人もいるかもしれないが、この2つは同じものだ。その定義は頻繁に変わるものではない。意味と内容をしっかり押さえておこう。
「セッション」を定義づける3つのルール
Googleアナリティクスで「セッション」をどう定義づけているかは、公式のヘルプに書かれている。重要な点をかいつまんで説明していこう。
- アナリティクスでのセッション数の算出方法
https://support.google.com/analytics/answer/2731565?hl=ja
具体的には、次の3つのいずれかに該当する場合に「新しいセッション(訪問)が始まったと見なす」と決められている。
- 行動の間隔が30分を経過した場合
- 日付が変わった場合
- 参照元が外部サイトだった場合
つまり、これらのルールで計測対象サイトへの1つ1つの「訪問」の区切りとするということだ。どのツールでも共通の基本原則があると先に述べたが、1つ目の「30分ルール」がそれに該当し、これは多くのアクセス解析ツールでも採用されている考え方だ。
それぞれのルールについて、順に解説していこう。
1. 行動の間隔が30分を経過した場合
1つ目の「30分ルール」は、たとえ同じユーザーの同じブラウザによるページ閲覧であっても、各ページの閲覧開始時間の間隔が30分を超えたら、その2つのページの間でセッションを切る(異なる訪問にする)というルールだ。誤解が多い部分でもあるので、詳しく解説しよう。
たとえば、計測対象サイト内で、ある人が次のような順でページを見ていったとしよう。
そしてそのうち、「ページBを見始めた時刻」と「ページCを見始めた時刻」の間隔が30分を超えていたら、その前後にあるそれぞれの一連の行動は別のセッションと見なされる。つまり図2のようにページBとページCの間でセッションが切れて、ページA→ページBを1セッション、ページC→ページDをもう1セッションとカウントし、合計2セッションとカウントする。
例を出そう。たとえば動画を40分見ていて、その後にサイト内のリンクをクリックして、計測対象のサイト内でページ閲覧を続けたとする。その場合、セッションは動画閲覧のページまででいったん切られてしまう。「実際に動画を見ていたかどうか」を判定するのは困難なので、とにかく集計上簡易的に区切れるようにと考えられた方法なわけだ。
よく誤解があるので付け加えておくが、最初に閲覧を開始した「ページA」の閲覧開始時刻から数えて30分という計算ではない。たとえば、計10ページをそれぞれ10分間隔で閲覧すれば、合計で100分閲覧することになるが、それぞれの閲覧間隔は10分なのでセッションは一度も切れない。一覧の10ページ・100分の閲覧行動全体が「1セッション」とカウントされる(図3)。
従って、全体で100分閲覧していた場合に、「30分が1単位だから、30分×3+10分で4つに分割できる。だから4セッションだ」という考え方は正しくない。あくまで、閲覧の「間隔」が30分を超えたかどうかが基準だ。
タブブラウザで複数のタブを同時に開いている場合は?
現在の主要なブラウザは、タブで複数のページを切り替えて見ることができる。タブを複数開いておいて、交互に閲覧するようなスタイルでWebサイトを見ているユーザーも多いだろう。
タブブラウザの場合は、アクティブ(前面)になっているタブ以外のページは実際に見られていないわけだが、こうした場合「30分ルール」はどのように適用されるのだろうか?
先ほど動画閲覧の例を挙げたが、Googleアナリティクスは基本的に「実際に見ているか見ていないか」という情報は収集していない。各ページの閲覧開始時刻がすべての基点であるというのがポイントだ。アクティブでなく裏にあるタブでも、リクエストがあってページが表示されたらそのタイミングが「閲覧開始時刻」と見なされ、実際に見た/見ていないにかかわらずそこから30分で切れるタイマーが作動し始める。
なお、ブラウザの仕様や設定、またはページの作り方によっては、タブがアクティブになってからコンテンツを読み込んで表示するケースもあるようだ。この場合は、タブをアクティブにした瞬間が閲覧開始と同義になる。
ブラウザを複数のウィンドウで開いている場合は?
同じ種類のブラウザを、タブではなく複数のウィンドウに分けて表示している場合はどうだろうか? 同一の種類のブラウザであれば保存されているCookie(クッキー)は同一なので、同一Cookieによるブラウザ閲覧は同一人物の行動と見なされ、閲覧時間の間隔が30分を超えない限りセッションは切れない。
逆に、ChromeとInternet Explorerなど、別の種類のブラウザを開いている場合はどうだろうか。この場合は、Cookieが異なるので別のユーザーと見なされ、ブラウザごとに閲覧行動が分けられて、それぞれで30分ルールが適用される。
また、同種のブラウザでも「プライベートモード」「シークレットモード」「InPrivateブラウズ」など通常のCookieを利用しない特殊なモードで開いたウィンドウからのアクセスは、Cookieが別になるため「別のユーザーの訪問」だと認識されるので、それぞれのウィンドウで別々に30分ルールが適用されることになる(図4)。
ブラウザやタブを閉じるとセッションが切れる?
最後は、「ブラウザのタブを閉じたり、ブラウザを終了したりした場合」についてだ。結論からいうと、ブラウザの起動状態はセッションのカウントとは無関係だ。いったんブラウザやタブを閉じても前回の閲覧開始から30分以内にそのサイトを閲覧開始すれば、セッションは切れずにつながる。
つまり、ブラウザが起動していようがいまいが、タブがアクティブだろうが非アクティブだろうが、ブラウザの状態はセッションの判定の基準とは無関係ということだ。最後のページの閲覧開始時刻から30分経過したか否かが「30分ルール」の基準になる。
昔、Googleアナリティクスでは「ブラウザを閉じたらセッションを切る」というルールがあった。しかし、現在はこのルールはなくなっている。
「30分ルール」についての説明が長かったが、理解していただけただろうか。
2. 日付が変わった場合
2つ目のルールは「日が変わったタイミングでセッションを切る」というものだ。
アクセス解析ツールは基本的に日単位で集計をする。そのため、日付が変わったタイミングの0時にいったんセッションを切って、日をまたぐデータにならないようにしているのだ。
たとえば、23時30分~翌0時30分の間、5分間隔で連続してページを閲覧していたとしても、0時のタイミングでセッションが切られるので、2セッションとして集計される。
3. 参照元が外部サイトだった場合
3つ目のルールは「参照元が外部サイトだったらその前でセッションを切る」というもので、少々複雑だ。これは広告で集客を行っている場合などに、その広告の成果としてカウントされるかされないかが変わってくるので、重要なルールだ。
「参照元」については別の回で詳しく解説するが、基本的には「リンクをクリックしてページを移動するとき、移動する前にいたページ」のことだと考えよう。Googleアナリティクスでは、参照元が計測対象サイト外だったら、その前でセッションが切られる(厳密にはもう少し複雑だが)。
具体例で説明しよう。図5のオレンジ色の枠がGoogleアナリティクスでの計測対象サイトだとする。あるユーザーが別のサイトAからリンクをクリックして計測対象サイトにやってきて、ページW、ページXと見たあとに、いったん計測対象サイト外に出て、今度はまた別のサイトBからリンクをクリックして再び計測対象サイト内のページY、ページZというページを見たとしよう。
この場合、ページYの参照元は計測対象サイト外のサイトBなので、その前でセッションが切れる。つまり「ページW → ページX」で1セッション、「ページY → ページZ」で1セッションで計2セッションという計算だ。
いったん外部のサイトを見ていたとしても、リンクをクリックしてではなく、ブックマークからページYに再訪問したような場合は「参照元なし」となり、他のサイトのリンクから来たことにならないので、その場合はセッションが切れずに「30分ルール」だけで判定される。
特定のドメインからの訪問でセッションを切らない例外設定
このルールは、ECサイトなどで問題が発生する場合がある。たとえば、ECサイトでカートや決済部分だけ外部のASPを利用しており、ASPにGoogleアナリティクスのトラッキングコードを実装できないようなケースだ。この場合、購入のために外部のASPサイトに移動して、購入完了後に計測対象サイト内のサンキューページに戻ってくると、購入前と購入後で別のセッションと見なされてしまう。
そこで、「特定の外部サイトからの再訪問が30分以内であればセッションを切らない」ようにする例外設定が用意されている。外部のASPサイトを例外サイトとして登録すれば、「外部サイトからの再訪問」と見なさないように設定できる。
この例外設定を施すと、外部ASPサイトに移動したあと30分以内に元のECサイトに戻ってくれば、購入の前後がつながったままで1セッションとなる。広告でECサイトに集客していた場合も、サンキューページへの訪問ではなく、コンバージョンにつながったおおもとの訪問を正しく成果として評価できるようになる。
ではその例外設定はどのように行うのだろうか? Googleアナリティクスの「管理」画面(図6赤枠部分)を表示して、プロパティの列にある[トラッキング情報](図6青枠部分)→[参照元除外リスト](図6緑枠部分)をクリックしよう。
すると図7の画面が表示される。ユニバーサルアナリティクスで新規に計測を始めた場合は、図7赤枠部分に自分自身のドメインがすでに登録されているはずだ。前のバージョンのGoogleアナリティクスからユニバーサルアナリティクスへアップグレードしたプロパティで、自分自身のドメインが登録されていない場合は登録しておこう。続いて[+参照の除外を追加](図7青枠部分)をクリックする。
図8の画面が表示されたら、入力ボックスに例外としたい参照元のドメインを記述し(図8赤枠部分)、[作成]をクリックすれば設定は完了だ(図8青枠部分)。
図5の出入りの例でいえば、サイトBのドメイン(「example.com」など)を記述すれば、このドメインからの再訪問は無視して、単純に「30分ルール」だけでセッションの判定をするようになる。
参照元については少し難しかったかもしれないが、複数のドメインをまとめて1つのプロパティで計測する「クロスドメイン」という計測でもこの機能を利用するので、紹介しておいた。
なお、ユニバーサルアナリティクスでなく、以前のバージョンのGoogleアナリティクスの場合は、この3つ目のルールに関しては若干異なるので、過去の連載の下記記事を参照してほしい。
- 「訪問数」を理解する/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2012/06/21/13026
セッション数を確認できるGoogleアナリティクスのレポート
Googleアナリティクスにおけるセッションの仕組みは、以上だ。最後に、セッション数を確認できる基本的なレポートを紹介しよう。
Googleアナリティクスにログインした後最初に表示される[ユーザー]>[サマリー]レポート(図9赤枠部分)で、サイト全体のセッション数(図9青枠部分)を確認できる。
「どこから来たか」を表すトラフィックソース(参照元など)別の訪問数は、[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポート(図9赤枠部分)など、集客セクション(図9青枠部分)の各種レポートで確認できる。
セッションの列(図9緑枠部分)の一番上がサイト全体のセッション数で、その下は各ディメンション(図10の場合は「参照元/メディア」)の項目別(図9黒枠部分)のセッション数が表示されるといった具合だ。
「ページビュー数」「セッション数」と続けて解説してきたが、次回はもう1つの基本である「ユーザー数」について解説する。
📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
http://xfusion.jp/train.html
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