ついに移行したGA4、初心者がつまずきやすい設定を徹底解説!【前編・チェックすべき9つのポイント】
【この連載について】
この連載では、「1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本」を執筆されているウェブ解析士のみなさん(GA4アベンジャーズ)を中心に、初心者が引っかかりがちな疑問・トラブル解決の基礎知識から、知っておきたい役立ちノウハウ、解析の設定事例、個々の機能解説、最新のホットな話題までをお届けします。
今回は、フリーコンサルタント「デジタルドクター」としても活動する島田敬子さんによる解説です。
【今回のポイント】
- GA4用の測定タグ
- データ保持期間の変更
- イベント設定
- コンバージョンイベントの設定
- 計測から除外するIPアドレスの設定
- 計測から除外する参照元
- クロスドメイン設定
- レポート用識別子の設定
- 他サービスとの連携設定
Googleアナリティクス(UA:ユニバーサルアナリティクス)からGoogleアナリティクス4(GA4)に乗り換えず、いまだUAを使っているという人を見かけます。GA4の設定がうまくできたのか自信がないという声もよくお聞きします。
そういう方のため、今回は初心者が基本でよくつまずいてしまう設定のポイントをおさえながら解説していきます。基本をしっかりマスタ―してGA4苦手意識を克服しましょう。
1. GA4用の測定タグ
GA4だけで設定するケースを想定し、かならずチェックすべきポイントを以下紹介します。まずはタグの設定です。
UAの設定アシスタントを利用してGA4を設定した場合、UAのトラッキングコードのまま計測を行っている場合があります。またはGoogleタグマネージャーとGA4用Googleタグの両方が設定されているケースなどもあります。GA4の測定には測定ID「G-〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇」が必要です。対象サイトのHTMLファイルにGA4のGoogleタグが入っていることを確認しましょう。
【チェックする個所】
htmlファイル
2. データ保持期間の変更
デフォルトのデータ保持期間は「2か月」ですが、「14か月」の設定が可能ですので変更しておきましょう。GA4には「標準レポート(あらかじめ決まった形に基づいて作成されたレポート)」「データ探索レポート(自分で作成できるレポート)」の2つのレポート機能があり、この保持期間は「データ探索」での生データの保持に適用されます(標準レポートのデータはこの設定の影響を受けないのでもっと長い期間のレポート作成が可能です)。
なお両レポートは使用するデータに違いがあります。
・標準レポート:Google側であらかじめ集計されたデータ。
・データ探索レポート:生データ。
【チェックする個所】
管理画面>データ設定>データ保持
3. イベント設定
「イベント」はユーザーの行動を測定するための機能です。GA4では以下の4つの設定が用意されています。必要な項目がきちんと設定されているかを確認しましょう。
(1)自動収集イベント
事前設定なしに自動で設定・収集してくれるイベント
【例】first_visit:初回訪問、session_start:セッションスタートなど
【チェックする個所】
GA4では自動的に設定されますので特にチェックする必要はありません
(2)拡張計測機能イベント
管理者が設定を有効にすると収集してくれるイベント。有効設定されているか確認しましょう。
【例】scroll:90%の深さまでのスクロール、click:クリックなど
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のデータ ストリーム>イベント 拡張計測機能
(3)推奨イベント
Googleがあらかじめ用意しているイベントリストから管理者が設定すると収集してくれるイベント。測定するイベントがある場合、設定できているか確認しておきましょう。イベント内容によりタグマネージャー等の関連設定も確認が必要になります。
【例】purchase:購入、login:ログインなど
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のイベント
(4)カスタム イベント
上記のいずれにも該当しないもので、独自にユーザーの動きを計測していた、または今後計測したい指標を管理者が設定するイベント。
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のイベント
※カスタムイベントの詳細はイベント作成ボタンを押して確認できます。
イベント名について
- イベント名は40文字以下で英数字とアンダースコアを使用できます。
- アルファベットで始まる必要があります。
- イベント名では大文字と小文字が区別されます。
- 予約済みのイベント名は使用できません。
※日本語でも設定できますが、推奨されていないのでアルファベットを使用しましょう。
4. コンバージョンイベントの設定
イベントのなかでとくに重要なのがコンバージョンイベントの設定です。もし、既存イベントをコンバージョンイベントにしたい場合は、管理画面>[プロパティ]列の「コンバージョン」画面から「コンバージョンとしてマークを付ける」を有効にしてください。
コンバージョンイベントを新規設定する場合、管理画面>[プロパティ]列の[イベント]の[イベント作成]から新規イベントを作成後に、そのイベントがデータとして反映したらコンバージョンマークを有効にします。ただしイベントがGA4に表示されるまでに時間がかかります。そのため、イベントを作成したら下記の設定をしておくと、イベントが発生した段階でコンバージョンとして認識してくれるので便利です。
設定方法
(1)[プロパティ]列で[コンバージョン]をクリックします。
(2)[新しいコンバージョン イベント]をクリックします。 このボタンが表示されない場合は、必要な権限が付与されていない可能性があるので確認してください。
(3)新しいイベントの名前を入力します。[保存]をクリックします。
コンバージョンカウントについて
コンバージョンのカウント方法は下記のように設定されています。
- イベントごとに1回
イベントが発生するたびに、1回のコンバージョンとしてカウントされます。こちらがデフォルトで設定されています。
- セッションごとに1回
特定のセッション内でイベント1回のみをコンバージョンとしてカウントしたい場合にこちらを選択します。
※補足
UAから自動作成されたGA4で目標がコピーされたものは「セッションごとに 1 回」の登録がされています。下記に当てはまる場合は項目を確認し、必要があればコンバージョンカウント設定を変更しましょう。
- 自動作成されたGoogleアナリティクス4プロパティの場合
- 2023年4月以降に設定アシスタントの目標移行ツールを使用する場合
変更方法
対象コンバージョンイベントの右端にある三点アイコンをクリックします。 「カウント方法を変更」をクリックすると変更画面が表示されるので、内容に合わせて変更し保存します。
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のコンバージョン
5. 計測から除外するIPアドレスの設定
関係者のIPアドレスなどを除外する場合、下記の2か所の設定が必要になります。
(1)対象のIPアドレスの設定を確認
ルール名、traffic_typeの値、マッチタイプやIPアドレスが正しく設定できているか確認します。
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のデータ ストリーム>Googleタグ タグ設定を行う>設定 すべてを 表示>内部トラフィック の定義
(2)そのIPアドレスに対してどのようなルールを適用する設定になっているか確認します。
フィルタの種類を選択、フィルタ名、フィルタオペレーション、パラメータ値がそれぞれ正しいか、フィルタの状態が「有効」になっているかを確認します。
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のデータ設定>データフィルタ
6. 計測から除外する参照元
自社サイトにASPなどドメインの異なるショッピングカートを設置している場合などで、そのトラフィックを「参照トラフィック」から除外したい場合に設定します。ここを設定することで本来の流入元に紐づけ可能になるので、貢献度を正当に評価できるようになります。設定している場合、画面ではマッチタイプとドメインに間違いがないかを確認しましょう。
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のデータ ストリーム>Googleタグのタグ設定を行う>設定のすべてを表示>除外する参照のリスト
7. クロスドメイン設定
GA4はファーストパーティcookieを利用してユーザーを識別しています。そのcookieは通常ドメイン単位で管理・発行されるため、ユーザーが別ドメインに移動するとそこで新たなcookieが発行されます。そのため移動前のユーザーと移動後のユーザーは別cookieになるので別のユーザーとして計測されます。
クロスドメイン設定をすると、ドメインが違う先に移動してもユーザーとセッションの情報を引き継げるようになります。UAで設定していた場合やドメインをまたいだユーザー行動を、同一ユーザーによるものとして識別したい場合に設定します。設定画面ではマッチタイプとドメインに間違いがないかを確認しましょう。
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のデータ ストリーム>Googleタグ タグ設定を行う>設定 すべてを表示>ドメインの設定
8. レポート用識別子の設定
GA4レポートに表示するユーザーの識別方法は、下記の3つから選べます。何もしなければデフォルト設定の「ハイブリッド」ですが問題が起きることもあるのでかならず確認しましょう。
(1)ハイブリッド:User-ID>Googleシグナル>デバイスID>モデル化データの順に使えるデータを使用して識別します。この設定がデフォルトです。
(2)計測データ:User-ID>Googleシグナル>デバイスIDの順に使えるデータを使用して識別します。
(3)デバイスベース:デバイスIDのみが使用されます。
※補足
この設定はデータの収集や処理に影響しないため、いつでも切り替え可能です。どのように違うのは実際に切り替えて確認してみましょう。
(1)・(2)の識別方法を最大に活用するには、Googleシグナルを有効にして、User-IDを収集する必要があります。選択しても、Googleシグナル、User-IDが実装されていない場合は使用できません。Googleシグナルを有効にすると、識別に使える良い面もありますが、レポートがデータしきい値の適用対象となります。しきい値の対象となると対象ユーザーが少ない場合、データが除外されて正しいデータが表示されなくなる可能性があるのでご注意ください。
GA4が識別情報として使用するユーザー識別スペース
- User-ID:ログイン中のユーザーに独自のIDを割り当てている場合、そのIDを使ってデバイスをまたいだユーザー測定を行います。
- Googleシグナル:Googleにログインしているユーザーから得られるデータです。Googleシグナルのデータを利用できる場合、GA4はユーザーから収集したイベントデータをログイン中のユーザーのGoogleアカウントと関連付けます。
- デバイスID:ユーザーが利用しているデバイス(またデバイスで利用しているブラウザ)ごとにファーストパーティーCookieに保存されたIDで識別します。
- モデリング:ユーザーがCookieなどのアナリティクス識別子を承認しなかった場合、そのユーザーの行動データを、同じプロパティからCookieを承認した似ているユーザーデータを使用して識別します。
9. 他サービスとの連携設定
必要なサービスとの連携ができているかを確認してください。Googleサーチコンソールは必ず連携しておきましょう。Google広告、アド マネージャー、Merchant Center、BigQueryなど必要なものはリンク設定をしておきましょう。
【チェックする個所】
管理画面>[プロパティ]列のサービスとのリンク
ここまでで設定のおさらいが終わりました。後編ではGA4のレポートを見る際に初心者がつまずきやすいポイントを解説します。
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