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2016年、ポッドキャストのSEOが重要なスキルに① ―― ポッドキャストの現状とiTunes上の「経路」

ポッドキャストを公開する計画がまったくない人にとっても、この記事は役立つはずだ
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

マーケターのみんな ―― ポッドキャストでのプロモーション力をスキルに加えよう

この記事はポッドキャスターには面白くて、たぶんためになると思う。だが、ポッドキャストを公開する計画がまったくない人にとっても、この記事は役立つはずだ。

2016年以降は、ポッドキャストでのマーケティング力が、あらゆるマーケターのスキルに加えるべき重要な要素になると僕は考えている。

そこで今から、iTunesの順位決定要因を探り、僕がポッドキャスティングに取り組んだ6週間でリスナー拡大のために用いたプロモーション戦略を説明したいと思う。

また、僕のポッドキャストで得られた指標を、すべて隠すことなく公開するつもりだ。

ただその前に、ポッドキャストが具体的にどのくらいの規模で成長しているのかを見ておきたい。

「続き物」効果

その規模を理解するために、全体的な傾向を眺めてみよう。

ポッドキャストは2016年初め、月間リスナー数が対前年比で最大の伸びを記録し、リスナーの割合は17%から21%に増えた(2008年から統計データを収集しているEdison Researchによる)。

ポッドキャストの月間リスナー数
12歳以上の合計人数
推定5700万人
過去1か月以内にポッドキャストを聴いた人の割合

米国民に占める割合は、2008年にはわずか9%だったものが今や21%になっており、今後さらに大きくなると予測されている。

そう、今目の当たりにしているのは、いわゆる「続き物(連載)」効果だ。史上最高のポッドキャスト作品とも言われる「続き物」の大きな人気に引っぱられて、急速に成長した。

ポッドキャストを見つけてもらう手段も拡大

当然ながら、アプリ開発者もこのメディアに飛びついており、ポッドキャストを見つけ出してもらうための経路も増えている。

ポッドキャスターやマーケターなら、検索の観点からこの状況を眺めてみたいと考えるだろう。

iTunes(検索エンジンの機能も持つ)は、ポッドキャストを見つける手段として最も馴染みがあると思われる。他にも、StitcherPlayer.fm、さらにはグーグル(2016年4月の発表)などがさまざまに、ポッドキャストを見つけるための検索機能を提供している。

グーグルは最近の発表で、Android版Googleアプリでポッドキャストの検索結果を表示することを明らかにしたばかりだ。

すべてのグーグル検索にこの機能が搭載されるまでに、どれくらいかかるだろうか。
Android版Googleアプリでポッドキャストのエピソードを検索した結果

ポッドキャストに利用できるデータ

残念ながら得られるデータは、ごくわずかしかない。

Appleは検索ボリュームを公開していない。また、「ダウンロード」が実際に何を意味するかについて、考え方の混乱が見られる。それにエンゲージメントの指標もない(つまり、ユーザーがエピソードを実際にどれだけ聴いたかという時間を知ることができない)。

こういった理由で(さらに、僕は筋金入りのオタクではなく、並のオタク程度の資質しか持ち合わせていないため)、この記事には見栄えのいい図表やビッグデータのグラフはない。

それでも、ポッドキャスティングを手がけたSEO担当者として、これまでの経験を伝えることで、マーケティングコミュニティ全体に価値を提供できるのではないかと期待している。

注意:この記事は、Evolving SEOのサイドプロジェクトとして、2名のポッドキャスティングチームが1週間に合計12時間というわずかな時間で取り組んだ経験から書かれたものだ。

では、始めよう。この記事はかなりの分量があるので、必要な箇所をピックアップして利用してほしい。

I iTunesにおける順位

I-1 iTunesでポッドキャストを見つける「経路」は?

まず理解すべき重要なことは、iTunesにおける「順位」には、微妙なニュアンスや表示場所の違いがあることだ。

言い換えると、iTunesでは、ポッドキャストが表示される可能性のある場所が複数存在する。

iTunesが編集するリストと検索結果の違い

僕が学んだ(そして、読者にも知ってほしい)最も大きな特徴は、リストの順位と検索順位の違いだ。「順位」の決定要因は、それぞれで大きく異なるらしい。

  • リストの順位は、検索キーワードに紐付いたものではない。検索は行われないからだ。リストは、クリック操作でサイトのあちこちを見ているときに表示される。

  • 検索結果の順位は、ユーザーが検索バーに入力した検索キーワードで決まる。検索の実行で表示されるものだ。

ポッドキャストの「トップページ」リスト

「ニューリリースと注目作品」セクションに表示されることは、ポッドキャスターにとって「究極の目標」だ。このリストに表示されたら、おそらくダウンロード数はうなぎ登りとなり、大金が手に入り、バハマのビーチでのんびり過ごせるようになるだろう。

ポッドキャストの「トップページ」には、iTunesが選んだ作品、すべてのカテゴリの「ニューリリースと注目作品」、それに人気の高いエピソードが表示される。
iTunesのポッドキャストのトップページ

カテゴリページのリスト

各カテゴリページには次の内容が表示される。

  • そのカテゴリの「ニューリリースと注目作品」
  • そのカテゴリの「人気作品」
  • そのカテゴリの「全てのPodcast」

ここは「トップページ」ではないが、それでも掲載されれば大きなアドバンテージになる。ただし、カテゴリページを表示するには、カテゴリリストでカテゴリ名をクリックする必要があり、検索からは表示されない

「ビジネス」カテゴリの「ニューリリースと注目作品」のトップ200
「ビジネス」カテゴリの「人気作品」のトップ200
iTunesのカテゴリページのリスト

サブカテゴリページのリスト

iTunes(デスクトップ版)の操作はわかりにくい。カテゴリからサブカテゴリに入っていくことができないからだ。

サブカテゴリページを表示するには、カテゴリページでいったん何らかの作品ページを表示し、パンくずリストによってその作品ページから出なければいけないのだ。

カテゴリページで作品をクリックして作品ページを表示し、クリック操作でそのページから「外に出なければ」、サブカテゴリページは表示できない。
iTunesのサブカテゴリページのリスト

これで、「ビジネス」カテゴリ内にある「キャリア」サブカテゴリを表示できた。

パンくずリストをクリックすると、サブカテゴリページに移動し、「ニューリリースと注目作品」「人気作品」「全てのPodcast」が表示される。この画面は、「ビジネス」カテゴリ内にある「キャリア」サブカテゴリだ。
iTunesの「ビジネス」カテゴリ内の「キャリア」サブカテゴリ

見てわかるとおり、「ニューリリースと注目作品」と「人気作品」はここにも表示される。なお、ポッドキャストアプリを使えば、ずっと簡単にサブカテゴリを表示できる。

関連のポッドキャスト

iTunesの「関連」ポッドキャストのページには、次の3つのセクションが表示される。

  • 「(チャンネル名)のその他のアイテム」
    • 2つ以上の作品を公開している場合に表示される。

    • ここに表示されるようにするには、複数の作品を公開する必要がある。

  • 「(カテゴリ名)のトップPodcast」
    • 基本的に、これはトップ200カテゴリリストのようなものだ。

    • したがって、ここに表示されるようにするには、そのカテゴリでトップ200に入る必要がある。

  • 「他のリスナーはこちらも購読しています」
    • これが唯一の「関連」機能といえるもので、(Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と同じように)ユーザー行動に基づいて表示される。

    • ここに表示されるようにするには、iTunesで購読者数を増やす必要がある。

同一パブリッシャーによるその他の作品が表示される(複数の作品を公開するほうが賢明なのはこのためだ)。
ここには、そのカテゴリのトップ作品だけが表示されることが多い
iTunesの「関連」ページ
一部の作品には、「他のリスナーはこちらも購読しています」セクションも表示される。
iTunesの「他のリスナーはこちらも購読しています」セクション

ポッドキャストの検索結果

こここそが、iTunesの真の「検索エンジン」セクションだ。どうやら、リストとはかなり異なる動作をしているらしい。

下の図は、「marketing(マーケティング)」の検索結果の先頭ページだ。

「marketing」の検索結果
検索結果としてポッドキャストまたは一つひとつのエピソードが表示される。
iTunesで「marketing」を検索した結果

ここで学ぶべき重要な点は、iTunes Storeにはポッドキャストを見つけるためのさまざまな経路があり、そのすべてを把握して最適化を行う必要があるということだ。

この記事は非常に長いため、4回に分けてお届けする。今回はだい1部の前半に当たる「ポッドキャストを見つける『経路』は?」までを紹介した。次回は、第1部の後半「順位決定要因となりうるものは?」について見ていく。→第2回を読む
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