Webの運用オーバーヘッドを減らして、エクスペリエンス向上に予算を回せ!
SDLは、1992年に英国で翻訳会社として創業した。その後、1995年からはCMSベンダーとしてもビジネスを展開し、日本の企業を含む多くのグローバル企業で導入されている。言語展開は重要な顧客体験のひとつだ。
「Web担当者Forumミーティング 2016 春」では、SDLジャパンの小松賢志氏が、「デジタルエクスペリエンス成功のカギ - あの会社が成功する理由」と題し、多言語展開と新たなマーケティング施策による上質な顧客体験を両立する方法を、顧客の事例を取り上げつつ紹介した。
上質な顧客体験のための費用を現場の工夫で作り出す
デジタルマーケティングの世界では、1年とたたずに新しいテクノロジーが登場し、トレンドが変化する。昨今重視されているのは、「カスタマーエクスペリエンス(CX)」だ。魅力的なエクスペリエンスを提供するためには、テクノロジーや環境の変化に対応する必要がある。
たとえば、従来のWebサイトは「テキスト」中心だったが、最近では画像や映像といったコンテンツが増え、「メディア」化している。
環境の変化としては、タッチポイント・デバイスの増加が最も大きいだろう。スマートフォンは20年前には存在していなかったが、今やインターネットアクセスの7~8割がスマートフォンからとも言われている。
さらに、駅やショッピングモールで見かけるデジタルサイネージも、デジタルマーケティングのチャネルのひとつだ。Webサイトはキャンペーンサイト化の傾向が強まり、ECサイトは統合型ストア化している。
マーケティングのテクノロジーとしては、ターゲティングやパーソナライゼーション、最適化、これに伴うデータ分析が注目を浴びるようになっている。
何がコストを増やしているのか?
Webサイトで上質な顧客体験を提供するために必要な要素としては、以下のようなものがある。
- クリエイティブ、コンテンツの充実
- 言語展開
- 地域性への最適化
- パーソナライゼーションなどのマーケティング施策の展開
しかし、これらの取り組みを進めようとする企業のうち、半数が初期の段階でつまずき、先に進めないという調査結果がある。原因は、増え続けるコストだ。
たとえば自国語で読めるというのは、最も基本的で重要な顧客体験のひとつだ。たとえ国内向けビジネスだけの企業でも、外国語対応がまったく不要というわけではない。
2020年における海外からの訪問者数の政府予測は4,000万人とされているし、在留外国人数も200万人にのぼる。サービス業などでは、そこにリーチしない手はないだろう。
しかし言語展開はコストと工数がかかるため、途中でコンテンツの更新頻度が落ちてしまうことがよくある。せっかく多言語化しても、情報が古いのでは意味がない。
また、コストがかかるのは、ターゲティングやパーソナライゼーションなどの新しいマーケティング施策も同様だ。予算を獲得するには、コストに対するリターンを明確にする必要がある。
また、経営層からは「3カ月後に売上げを何%向上させろ」というように短期的な成果を求められることだろう。
ここで難しいのは、カスタマーエクスペリエンス向上による効果は、すぐには見えにくいということだ。広告であれば、テレビCMによって流入がとどのくらい増えたかという結果はすぐに出るしわかりやすい。
しかし、顧客体験がよくなったことによる効果は、すぐにはわからないしわかりにくいのだ。このため、新しいマーケティング施策に取り組みたくても、簡単には予算が下りないのである。
コストをツールで削減する
予算がつかないなら、現場の工夫で作り出そうというのが、SDLの提案だ。その方法は、運用に関わるオーバーヘッドを、ツールによって削減するというものだ。
オーバーヘッドとは、人手を介した例外処理やメールによるやり取り、コピーやペーストの作業、もろもろの確認などだ。SDLのテクノロジーを使って、これらのオーバーヘッドを減らすことで、多くの余剰金を生み出した企業がある。
たとえば某日系大手自動車会社の場合、Webサイトの制作費29%に対して運用オーバーヘッドが71%という割合だった。このオーバーヘッド部分を全体の39%まで縮小して、全体の32%に当たる余剰予算を作り出した。
これは、それまでの制作コストよりも大きい金額である。この余剰分を制作コストに使えば、クリエイティブの充実やロングテール商材への配慮が可能になる。
また、市場を拡大するために、新たなテクノロジーを採用した新たな施策への投資にも使える。
その他、富士通ではコンテンツ管理コストを90%削減、ヤマハでは75%削減という実績もある。これほどの効果が出るのは、Webやマーケティングコンテンツを多言語展開しているためだ。
某日系大手自動車会社や富士通、ヤマハといったグローバル企業では、言語の種類が40以上もある。あるいは、ブランドごとにWebサイトを作るなど、言語やドメインの数が増えるほど、オーバーヘッドを減らす効果は高い。
コストで比較すると、3~4種類展開するなら、SDLのツールを入れる方が安くなる。
コンテンツ管理に翻訳工程を統合
今どきのコンテンツ管理ツールで、多言語対応していないものはない。ただしそれは、「異なる文字セットが表示できる」「コピーできる」「コピーしたものがオリジナルではなくコピーだとシステムが認知できる」などの機能があることを意味している。しかし、実際の運用で重要なのは、その先の翻訳の工程だ。
翻訳作業には多くのステップがある。翻訳者の仕事はテキストを別の言語のテキストに変換することなので、WebサイトのURLを渡しただけでは翻訳してくれない。このため、まずWebサイトからテキストを抽出する必要がある。そのテキストをデータとして翻訳会社に送り、翻訳会社ではそれを確認して翻訳者に渡す。翻訳者から上がってきた翻訳後のテキストが翻訳会社から送られてきたら、それをWebに流し込んでチェックする。
このようにたくさんのステップがあり、それがオーバーヘッドになるのだ。
さらに、何か問題があると急激にコストが増える。
たとえば、受け取ったテキストをHTMLに流し込んでみたら、文字量が多くてエリアに収まらなかったり、図版にかぶってしまったりすることがある。この場合、翻訳者は直してくれないし、社内で対応するにはその言語がわかっているスタッフが必要になる。
新規にページを作るのであれば、翻訳後テキストに合わせてデザインを変えることもできるかもしれない。
しかし、更新の場合はそうはいかない。
また、文章の中のひとつの言葉を別の言葉に置き換える場合に、コストを抑えるためにその単語だけを翻訳してもらったとしよう。翻訳された単語が、ページのどの単語に当たるか、その言語を知らなければ入れ換えることができない。
このため、全文を翻訳に出すと、全文のワード数で請求書が来ることになる。
SDLのツールは、作業を自動化することでオーバーヘッドを減らす。
たとえば新規の言語展開では、といったステップがある。
- 対象テキストの選定
- テキスト抽出
- データ引き渡し
- 翻訳
- レビュー
- 受領
- テキストの埋め込み
- レイアウト確認
- 修正
- 公開
多くのステップで人手を介した処理があるため、ミスが発生する可能性もある。
しかしSDLのツールでは、ステップのうち「テキスト抽出」、「データ引き渡し」、「テキスト埋め込み」、「レイアウト確認」、「修正」をツール上で行える。
また、部分的な修正では、テキストの抽出作業がより複雑になり、修正前と後を比較する必要があるため、ページのコピーやバックアップも必要になるが、SDLのツールはこれにも対応する。
また、SDLのツールは導入に時間がかからないのも大きな特長だ。日進月歩のマーケティングテクノロジーに追従するには、導入に時間がかかっては意味がない。
SDLは、一般的なWebサイトなら最短4週間程度で導入できる。もちろん、オーディットトレイル、ガバナンス、セキュリティ、ワークフロー、アーカイブといった、エンタープライズ向けのCMSに必要な機能は揃っている。基本的なコンテンツ管理の技術と翻訳の工程を統合し、さらにターゲティングなどの新しいテクノロジーによる施策も可能。というように、SDLのツールは、デジタルマーケティングに必要な、すべてのテクノロジーを包括している。
\Web担主催リアルイベントが“オンデマンド配信”決定!/
満席で申し込みできなかった講演も聞ける【12/13(金)18:00まで視聴可能】
ソーシャルもやってます!