【レポート】Web担当者Forumミーティング 2013 Autumn

カシオ計算機、レアル・マドリードが実現したオンラインエクスペリエンスの向上/日本オラクル

カスタマーエクスペリエンス向上のポイントとCMS「Oracle WebCenter Sites」の導入事例を紹介
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優れた顧客体験を提供することで、売上や顧客保持率などの業務能力を高めることができると語るのは、日本オラクルの渡邊紳二氏。近年、Webの世界でも注目が高まる「カスタマーエクスペリエンス」の向上と、それを実現するWebエクスペリエンス管理「Oracle WebCenter Sites」の導入事例が、「グローバル」「ソーシャル」のポイントとともに紹介された。

多言語を階層管理することでグローバルビジネスを強化

日本オラクル株式会社
FM事業統括本部 WebCenterソリューション部
部長
渡邊 紳二氏

優れたカスタマーエクスペリエンスを達成し、業績を伸ばした事例として紹介されたのは、カシオ計算機のグローバル事例だ。カシオは、時計、デジタルカメラ、電子辞書、電子楽器など多様な商品を取り扱い、売上げの55%を海外市場で上げている。売上比率の高い、海外事業を拡大するために取り組んだのがウェブの強化だが、次のような課題があった。

カシオ計算機グローバルサイトの課題
  • 新興国やアジア諸国向けのサイトは英語で提供していたが、より正確な情報提供のために現地語化したい
  • 各国でばらばらにウェブサイトを作っているので運用格差があり、ガバナンス上問題がある
  • 商品の種類や数が多くウェブサイトの総ページ数は4000~5000ページにもなるため、それらを既存のCMSで各国の言語に変換して更新管理をするのは困難

カシオが導入していた既存のシステムでは、こうした課題を解決するのは困難だった。そのため導入するCMSには、「多言語対応」「製品情報管理」「翻訳連携」「容易なページ更新」といった機能が求められた。そこで選択されたのが、「Oracle WebCenter Sites」であり、渡邊氏は選択のポイントを紹介する。

  • 多言語対応

    複数の言語でサイト構築できるだけでは十分ではない。カシオでは、翻訳元となるコンテンツを英語で作り、それを翻訳業者に渡して各言語に翻訳する。しかし、ある製品情報が更新されたとき、翻訳が済むまで情報を遅らせるよりは、英語の情報であっても世界同時にコンテンツを出しておいた方がよい。Oracle WebCenter Sitesでは、言語階層(ヒエラルキー)を定義することが可能で、翻訳が済むまでは親言語である英語を表示するように設定できる。

  • 製品情報管理
    PIM(Product information management:製品情報管理)

    企業内の製品情報を統合管理し、業務システムなどと連携して利用できるようにするための技術や情報管理プロセスのこと。

    製品情報のシステムとCMSを連携させる方法もあるが、カシオの場合は製品数が多いためそれが難しい。Oracle WebCenter Sitesの場合は、CMSに製品情報管理の機能(Web PIM)が含まれており、1つの基盤で実現できる。その他、以下のような機能がある。

    • 複数の管理軸でコンテンツを管理できる
    • 同一商品が複数の親カテゴリに所属できる
    • カテゴリごとのアクセス権限の付与も可能
  • 翻訳連携

    翻訳は、CMSとは別の外部業務になるが、Oracle WebCenter Sitesは翻訳業者の作業までを一連のワークフローとして組み込むことができる。そのため、次のような一連のフローをCMS上で実行できる。

    1. 商品情報マスタを英語で作成
    2. XML化し翻訳業者に渡す
    3. 翻訳されたコンテンツをCMSのリポジトリに格納
    4. 各国語サイトに展開
  • 容易なページ更新

    公開サイトと同じイメージで編集ができる。カシオではOracle WebCenter Sitesを導入した結果、グローバルのウェブサイトの複数言語展開を迅速化できた。また、ページビューを最大3.8倍に増やして顧客接点を拡大する一方、サイト運用効率を30%向上。

    さらにページビューの増加によって海外拠点のウェブサイト活用意欲が高まり、販売促進につながってきている。

オウンドメディアのソーシャル化

ソーシャルメディアの活用も大切だが、それと同じくらいオウンドメディアのコンテンツも重要

ソーシャルメディアの利用者は確実に増えており、これをマーケティングに使うケースは増えている。ソーシャルメディアには、「消費者と直接接点を持てる」「将来の見込み客との接点を持てる」といったメリットがある。ただし、企業がコントロールできない、流行り廃りが早いなどの弱点もあり、費用対効果は測定しにくい。

また、ソーシャルメディアで関心を持った消費者も、結局はオウンドメディアに情報を確認に来ることが多い。つまり、オウンドメディアにきちんと情報があることが重要となる。

オウンドメディアのソーシャル化が成功している事例として、渡邊氏は「レッドブル」と「レアル・マドリード」の例を紹介した。どちらも、Oracle WebCenter Sitesを導入している。

レッドブル
  • マルチリンガル、マルチサイトに対応したウェブサイトを一元管理し、マルチチャネルに配信
  • 企業サイト、グローバルサイト、ブランドサイトなど、100以上のサイトを一元管理
  • デジタルアセット管理やビデオ配信システム、社内情報システムとの連携/統合
  • ソーシャルメディアに最新のイベントやリンクを同時配信

レッドブルでは、様々なソーシャルメディア活用を行うが、オウンドメディアと連携可能な仕組みを設けているという。

レアル・マドリード
  • 英語、スペイン語、インドネシア語、日本語のマルチリンガルサイト
  • 世界中のファンとクラブをつなぐハブとしてウェブサイトを戦略的に活用
  • 動画や画像を活用したオンラインエクスペリエンスを提供
  • ユニークユーザー数(月間):約300万

レアル・マドリードの場合は、サッカーの試合結果だけでなくファンが好む練習風景の動画を配信したり、有料コンテンツを用意したりするなど、デジタルユーザーの増加に力を入れているのが特徴だ。従来はスタジアムで観戦するヘビーファンを重視していたが、ウェブやソーシャルメディア展開などによってデジタルファンを拡大させている。

動的に切り替えられるWebコンテンツ管理基盤が必要

講演の最後、渡邊氏はレッドブルやレアル・マドリードのような、オウンドメディアとソーシャルメディア連携を行うために必要な要素は何か、そのポイントを次のようにまとめた。

ソーシャルメディア
  • コンテンツをソーシャルメディアにシェアできる仕組み
  • ソーシャルメディアのユーザーIDでログインできる仕組み
  • ソーシャルメディアのプロファイル情報を取り込む仕組み
オウンドメディア
  • コンテンツそのもの(中身)の作成に集中できる仕組み
  • コンテンツを継続的に更新できる仕組み
  • お客様の関心や興味にあわせてコンテンツを表示する仕組み

最近は単にカタログ情報を出すだけでなく、ユーザーのプロファイルに最適なコンテンツを出していく、パーソナライズされたサイトも登場している。しかし、ログインにためらいがある人もいるため、場合によっては行動履歴によってターゲティングを行う仕組みも有効となる。

Oracle WebCenter Sitesは、「Web PIM(製品情報管理)」「マルチリンガル」「パーソナライズ」「UGC(User Generated Content)/ソーシャル連携」「マルチデバイス対応」「キャッシュ」といった機能を備える。講演では紹介しきれなかったが、Oracle WebCenter Sitesの事例や製品情報は日本オラクルの公式サイト、FacebookやTwitterでも得られることを紹介し、講演を終えた。

日本オラクル株式会社
http://www.oracle.com/jp/index.html

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