ユニクロ、アウディなど世界トップブランドが選ぶコンテンツ配信プラットフォーム/アカマイ
ネット検索が日常化した現在、ユーザーのWebサイトに対する期待は高い。ユーザーはわずか数秒のうちに情報を判断するため、コンテンツの中身だけでなく、表示するまでの速度も重要だ。eコマース、銀行、自動車業界、新聞など多くの企業Webサイトを支える、アカマイプラットフォームによる高速化の事例が紹介された。
表示が遅いサイトを我慢してはくれない
B2B/B2Cを問わず、Webで情報収集してから購買行動に移る傾向が強まっている。自社のWebサイトをどれだけじっくり見てもらうかが、実際に購入してもらえるかどうかに大きく関わっているのだ。
Webが情報行動で当たり前に利用されるようになったいま、ユーザーが求めるWebサイトへの期待は高く、コンテンツを見てもらうためにはページが速やかに表示されることが必須条件である。ページ表示が遅ければ離脱率は高くなり、逆にページを速く表示できればサイト内を回遊してくれる確率は高くなる。
また、昨今のトレンドとして、グローバル企業が各国のWebサイトを統合する傾向にある。企業買収により複数の企業サイトを統合する場合や、各国で個別に構築・運用されているサイトを統合してデザインや運用フローを統一しようとする動きだ。運用の効率化はもちろん、ブランド力を高めようとする目的もある。グローバルにブランドのキャンペーンを打つような場合は、統合されていないと難しい。
しかし統合することで発生する問題がある。たとえば、グローバルサイトの運用を日本のWebサーバーに集約したため、海外からアクセスしたときに表示が遅くなるといったことだ。また、世界中からのアクセスに耐えるインフラを用意するサイジングも難しいだろう。
その他に、Webサイトの複雑化もサイトが重くなる要因の1つだ。90年代は静的コンテンツが主流だったが、現在は動的コンテンツの割合が急増している。動画などのリッチコンテンツのほか、ソーシャルメディア連携など、さまざまなツールも使えるようになった。消費者とのタッチポイントが増える一方で、サードパーティコンポーネントの読み込みに時間がかかるなどの問題が発生しているのだ。
- 一極統合によるパフォーマンスの悪化
- サーバーサイジングの問題
- 信頼性の確保の問題
- Webセキュリティ対策
- Webを取り巻く複雑性の増加(サードパーティコンポーネントの利用、配信先のモバイル端末やブラウザの多様化など)
世界中のWebトラフィックを支える
インターネットでは、世界中のISPが契約関係に基づいて接続してコンテンツを届けているが、Webサーバーからユーザーのブラウザにコンテンツを届けるルートは常に最適だとは限らない。そうしたなか、アカマイはさまざまなWeb最適化ソリューションを提供している。アカマイのネットワークは、インターネットのネットワークにオーバーレイで構築されており、世界中のISPやIX(インターネットエクスチェンジ、相互接続点)に「Akamai EdgeServer」を設置し、独自プロトコルで接続しているのだ。
アカマイサーバは、それぞれが動的にネットワークを監視して最も早いルートを検出するため、距離による遅延を極力解消する。ユーザーは遠くのサーバーに接続する必要がなく、最適な経路が割り当てられるため、快適にWebサイトを表示できるのだ。
Akamai EdgeServerは、世界90か国に約14万1,000台が配置されており、これは四半期ごとにアップデートされて増加しており、今ではアカマイのインフラが、世界中のWebトラフィックの実に15~30%を配信しているという。グローバル展開している企業のWebサイトが世界中のどこからでも快適にアクセスできるために、このようなソリューションの利用は有効だろう。
高速かつ高信頼のコンテンツ配信を実現
アカマイのプラットフォームを利用することで、企業はどのようなメリットを得られるのか。松原氏は個別にいくつかのポイントを紹介する。
- オフロードと高速化
アカマイを使っていない場合は、すべてのアクセスがオリジンデータ(自社Webサイト)集中する。アクセスの集中によってサーバーや回線に高負荷がかかるので、パフォーマンスが落ちるか、それを避けるために過剰な投資が必要になる。しかしアカマイを利用すると、アカマイサーバが代理でアクセスを受けて配信するため、過剰な投資をしなくてもユーザーは快適に閲覧できる。
- 信頼性確保
24時間365日の情報提供が求められるWebサイトだが、大規模災害などでインターネット接続自体が断絶することも考えられる。Akamai EdgeServerは世界各地に配置されているため、地域的な災害などの場合にも迂回経路を提供する。
- フロントエンド最適化(FEO)による高速化
コンテンツのリッチ化によるWebサイトの複雑化や、サードパーティツールによる外部リンクの増加などによりWebサイトの表示は重くなりがちだ。パフォーマンスの80~90%は、Webページの読み込みや表示処理にかかる「フロントエンド」に費やされている。そこで、読み込みの遅いものは後回しにし、表示できる部分から表示していくように最適化するのが「フロントエンドオプティマイゼーション(FEO)」である。
EFOのためには、高いスキルのあるエンジニアが必要だ。Akamai EdgeServerはこれを自動的に行い、「リクエスト数の削減」「送信バイト数の削減」「レンダリング速度の向上」を実現する。
- モバイル端末向けの配信最適化
モバイルサイトの表示が遅くなる原因は画像にある場合が多い。また、移動中の利用が多く、ネットワーク状況の影響を受けやすい。アカマイは、モバイル端末の電波状況をモニタリングし、動的に圧縮率を変えて配信する。モバイル端末の小さな画面では、画像圧縮の影響はほとんど気にならないレベルだという。
- Webセキュリティ対策
Akamai EdgeServerがWAF(ウェブ・アプリケーション・ファイアウォール)の役割をする。自社サーバーに攻撃トラフィックが集中せずに、アカマイサーバが代理で受ける。適正ユーザーにはアカマイサーバがキャッシュを配信するため、攻撃による影響を気にせずにWebサイトを利用できる。
トップブランドを支えるプラットフォーム
講演の後半、松原氏はアカマイのプラットフォームを利用し、グローバルのサイト統合に成功した事例をいくつか紹介した。アウディホールディングス、ファーストリテイリング、堀場製作所といった企業で導入されている。
たとえばファーストリテイリングの場合は、ユーザーがどの国からアクセスしてきているのか、独自のIPアドレスデータベースから判断して、適切なWebサイトを表示している。ユーザーが「uniqlo.com」にアクセスすると自動的に最適な言語で表示される仕組みだ。特定の地域からのアクセスを遮断することもできる。
堀場製作所では、CMS導入によって各国の拠点情報を日本のWebサーバーに集約し、ブランドイメージの統一とWebの活性化を図った。一方で、各国から日本のWebサーバーにアクセスする際の遅延が課題となっていたが、アカマイサーバの導入後、英国で30秒かかっていた表示は約3秒にまで短縮された。
その他、アカマイでは動画配信最適化のソリューションも提供している。ビジネス向けライブ映像配信サービスの市場が拡大しているが、動画配信にはエンコーダやデコーダなどさまざまな設備が必要だ。また、受信側のデバイスによりビットレートの調節が必要など、運用も専門的である。アカマイでは、デバイスに最適化した変換作業などをクラウドサービスで提供しており、高品質な動画配信を容易に実現する。
アカマイは、パフォーマンスやスケーラビリティ、信頼性を提供する、Webサイトのコンテンツ配信に関しての“餅屋”だと、松原氏は言う。「餅は餅屋に任せ、みなさんはコンテンツや経営にリソースを割いてビジネスをしてください
」と、松原氏は講演を結んだ。
アカマイ・テクノロジーズ合同会社
http://www.akamai.co.jp/enja/
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