衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

「参照元なし」とは?

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「参照元なし」とは?

次に「参照元なし」について解説しておく。Googleアナリティクスでは「ノーリファラー」と称するが、ツールによっては「参照元なし」などとなっていることもあり、表記方法はさまざまだ。

たとえばブラウザのブックマークをクリックすることで閲覧が開始された場合は、直前にハイパーリンクのクリックがないので、参照元は存在しない。だから「参照元なし」となる。

他にはどのような場合に「参照元なし」の状態になるのか、例を下記に列挙しておく。

「参照元なし」になる場合の例
  • ブックマークによる閲覧
  • URLをアドレスバーに直接入力して閲覧
  • ショートカットアイコンをクリックして閲覧
  • アプリケーション(メールソフト、Microsoft Word、Excel、RSSリーダーなど)に記述されたリンクをクリックして閲覧
  • セキュアサイト(URLが「https:」で始まるサイト)内のリンクから非セキュアサイト(URLが「http:」で始まるサイト)を訪問した場合
  • ブラウザの設定で参照元情報を削除してアクセスした場合
  • アクセスの際にプロキシサーバーやセキュリティソフトで参照元情報を削除されて訪問した場合
  • 参照元を引き継がないリダイレクトによる訪問

「参照元なし」はこのように、ブックマークなどそもそもリンクをクリックしない方法でサイトのページに訪問した場合、リンクをクリックしているのだが参照元が付かないアプリケーションのリンクからのページ閲覧、諸設定によるユーザー側やサーバー側での参照元の消去によるものなど、さまざまあるのだ。

「参照元」データが付いてないのが「参照元なし」なので、「参照元なし」の原因、すなわちこれら上記のどれによるページ閲覧だったのかの内訳も、アクセス解析データからは当然わからない。

メールマガジンのリンクをクリックした場合の参照元はどうなる?

メールマガジンを発行しているなら、どの記事がどれぐらい読まれているか、メールマガジンの効果を測りたいだろう。効果を測定する方法の1つとして、メールマガジンに記載されたリンクがどれぐらいクリックされているか、「参照元」を調べる方法が考えられる。

さて、この方法で参照元データを取得することができるだろうか? メールマガジンの閲覧方法は、大きく分けてメーラーを使う場合と、Webメールを使う場合が考えられる。

  • メーラー ―― OutlookやThunderbirdのような、デスクトップアプリケーションやスマートフォンアプリなどのメールソフト

  • Webメール ―― Yahoo!メールやHotmailのような、ブラウザで利用するメールシステム

※ただし、Android用アプリのようなスマートフォンアプリとして利用している場合は、原則としてWebメールではなくメーラーに分類される。
図4:メルマガからの流入パターン
図4:メルマガからの流入パターン

メーラーで受け取って、そのリンクをクリックしてWebサイトに訪問してきた場合は、先ほど説明したとおり、「アプリケーションのリンクをクリックして訪問」にあたるため、「参照元なし」になる。つまりメーラーで閲覧されている場合は、「参照元」データを分析しても、メルマガの効果を測定することはできない

一方、Webメールで受け取った場合、そのリンクをクリックしてWebサイトに入ってきた場合は、その時に利用していたWebメールのドメインが「参照元」として記録されるので、メルマガの効果だろうと想定できる。「参照元」は、たとえば下記のように記録され、ドメインからWebメールの種類が推定できる。

参照元URLWebメールの種類
http://jp.*.mail.yahoo.co.jpYahoo! メール
http://*.mail.live.comHotmail

もちろんセキュアサイト(HTTPS)のWebメールを利用している場合は、「参照元なし」になる。

※Web担編注 Gmailではメール内のリンクをクリックしてアクセスした場合でも、リンク先へのアクセスが「参照元なし」になるように処理されているようだ。

「参照元」以外の方法で流入する元のサイトを知る方法

「参照元」は、そのままではアクセスの原因や理由を特定するにはあまり精度の高いデータにはならないということが理解できたと思う。我々はこれを仕方がないという風に諦めてしまうしかないのだろうか。

「参照元」の情報はそのまま生かしながら、通常「参照元」が取得できないケースについて、流入元のサイトを特定することが可能な仕掛けを施すことが一部可能だ。ここではその方法についてご紹介しよう。

1つは、リダイレクトページの活用だ。

広告効果測定系のツールなら、広告をクリックした後に「リダイレクトページ」を挟んでから、最終的な飛び先に誘導することがある。そして、この「リダイレクトページ」に広告効果を計測するための仕掛けをしておけば、広告のクリック行為を計測することができる

もう1つは、ダミーパラメータを活用する方法だ。

最終的なリンク先を自分のサイトにしている場合に、「ダミーパラメータ」というものを自社サイトのリンク先のURLに仕込んでおくことで、自分のサイトのアクセス解析として計測することができるというものだ。

では、この「ダミーパラメータ」とは何かということだが、その名のとおり、偽のパラメータということで、コンテンツに何も影響を及ぼさないパラメータをつけるということだ。詳しくは「「URLクエリパラメータ」とは何か、 どのような場合に「除外」するべきなのか?[第4回]」を参照してほしい。

ここでは、ユーザーがどこから来たかを把握するため、つまり「参照元」の別の手掛かりとして、このパラメータを使うのである。Googleアナリティクスでは、どのようなダミーパラメータを使うかの形式(フォーマット)が定められているが、それについては次回、Googleアナリティクスの参照元の定義とともに、詳細にお話しすることにしよう。

筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。

筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール

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