衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

【緊急解説】ひと目でわかる!ユニバーサル アナリティクスへのケース別アップグレード方法(第92回)

ユニバーサル アナリティクスへの移行の状況と、ケース別にどう対応すべきかをまとめて解説する。

ある日、Googleアナリティクスにログインしてみたら、管理ページが突然ユニバーサル アナリティクスの管理ページになっていた!という方はいないだろうか?

2014年2月以降くらいから、アップグレードもしていないのに、管理画面がユニバーサル アナリティクス仕様に変わっているという相談が増えてきているのだ。

いったい何が起きているのか? 何の予告もなく、Googleアナリティクスからユニバーサル アナリティクスに移行したのだろうか? このまま慣れるしかないのか? それとも何か手続きをしなくてはいけないのだろうか? トラッキングコードはそのままでいいのだろうか?

まだ上記のような事態には遭っていないというユーザーも、他人事ではない。近いうちに同じような状況に陥るかもしれない。あるいは、自分が今標準のGoogleアナリティクスなのか、ユニバーサル アナリティクスなのか、見分け方がわからない、という方もいるかもしれない。

結論から言えば、どのような状態であれ、今のまま何もしなくても、集計や計測、レポート表示は問題なく動作する。焦って何かをする必要はない。

とはいえ、今自分がどういう状況なのか、いつユニバーサル アナリティクスへアップグレードすべきなのかは気になるだろう。

そこで今回は、ユニバーサル アナリティクスへの移行の現状を概説し、一ユーザーとしては、自分がどういうステイタスにあって、どう考えて対処すべきなのかを緊急解説する。

チャートで見る:ユニバーサル アナリティクス移行への対処方法

現状、ユニバーサル アナリティクスへの移行状態はユーザーによって異なるため、対処方法もケースごとに異なる。そこで、ケース別の対処方法を、以下のようなチャートにまとめてみた。まずは「①該当プロパティがユニバーサル アナリティクス対応になっているか?」で、自分のプロパティの状況を確認することから始めよう。

①該当プロパティがユニバーサル アナリティクス対応になっているか?
②プロパティ作成時にユニバーサル アナリティクスを選択した記憶があるか?
③「ユニバーサル アナリティクス アップグレード」表示がA プロパティを作成した時点で、すでにユニバーサル アナリティクス対応になっているあるか?
B ユニバーサル アナリティクスへ強制移行された状態になっている
C ユニバーサル アナリティクスへの移行処理が開始できる
D ユニバーサル アナリティクスへの移行処理がまだ開始できない
図1:自分のプロパティの状況を分類するチャート

①該当プロパティがユニバーサル アナリティクス対応になっているか?

Googleアナリティクスにログインしてみて、自分のアカウントが標準のGoogleアナリティクスなのか、ユニバーサル アナリティクス仕様になっているのかを確認してみよう。

ログインしたら、「アナリティクス設定」(図2赤枠部分)をクリックして、管理画面を表示してみよう。

図2:アナリティクス設定をクリック

標準のアナリティクスとユニバーサル アナリティクスの管理ページは、一見同じように見える。しかし、プロパティの2階層目を何カ所か見てみると違いがある。

図3:ユニバーサル アナリティクスの管理ページ

ここでは、プロパティの管理項目である「トラッキング情報」(図3赤枠部分)をクリックして確認しよう。そのサブ設定項目(図3青枠部分)があれば「YES」になる。つまり、「YES」なら、すでにユニバーサル アナリティクス仕様のプロパティになっているということを意味する。

「YES」の人はへ、「NO」の人はへ進もう。

②プロパティ作成時にユニバーサル アナリティクスを選択した記憶があるか?

これは、該当プロパティを作成したときに、「トラッキング方法を選択」の項目で「ユニバーサル アナリティクス」を選択(図4赤枠部分)した記憶があるかどうかということだ。

図4:ユニバーサル アナリティクスを選択した新規プロパティ作成画面

そんな昔のことは多分正確に記憶していないだろうが、1年以内くらいに新規作成したプロパティでは、デフォルトで「ユニバーサル アナリティクス」が選択されている。なので、こちらを選択したままプロパティを新規作成し、トラッキングコードは標準のアナリティクスにして実装したようなケースが「YES」だ。

「YES」の人はAへ、「NO」の人はBへ進もう。

③「ユニバーサル アナリティクス アップグレード」表示があるか?

これは、プロパティの設定項目の一番上に「ユニバーサル アナリティクス アップグレード」(図5赤枠部分)が表示されていれば「YES」だ。

「YES」の人はCへ、「NO」の人はDへ進もう。

図5:標準のアナリティクスの管理ページ

ケース別:対処方法の解説

以上の結果、皆さんのプロパティは、チャートのAからDのどれかに該当しているはずだ。それぞれの状況と対応方法、注意点をそれぞれ述べていこう。

「A:プロパティを作成した時点で、すでにユニバーサル アナリティクス対応になっている」ケース

このケースは、

  • 該当のプロパティがすでにユニバーサル アナリティクス仕様になっている
  • プロパティ新規作成時に、ユニバーサル アナリティクスを選択した
  • 標準のアナリティクスのトラッキングコードを実装した

という場合である。こういうケースは少ないかもしれないが、この場合もきちんとデータは収集され、レポートも正しく出てくるようだ。ユニバーサル アナリティクス仕様の箱を作ったのだけど、その上では標準のアナリティクスが動いているということになるのだ。

これは後で解説するアップグレード手順のステップ1終了時点の状況に最初からなっているということだ。つまりいつでもユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードへ移行(ステップ2)しても構わない。逆に言えば、ユニバーサル アナリティクスへの移行を始めなければ、標準のアナリティクスのトラッキングコードをそのまま利用することが可能だ。

「B:ユニバーサル アナリティクスへ強制移行された状態になっている」ケース

このケースは好むと好まざるとに関わらず、アップグレード手順のステップ1が実行されてしまっている状態なので、現在はステップ1終了時点の状況になっているということなのだ。つまりいつでもユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードへ移行(ステップ2)しても構わない。逆に言えば、ユニバーサル アナリティクスへの移行を始めなければ、標準のアナリティクスのトラッキングコードをそのまま利用することが可能だ。

「C:ユニバーサル アナリティクスへの移行処理が開始できる」ケース

このケースは標準のアナリティクスの状態で、ユニバーサル アナリティクスへのアップグレードができる状態にあるので、オーソドックスなステップ1、ステップ2の段階を経て、ユニバーサル アナリティクスへ移行してもらえればよい。一番素直なケースだ。

「D:ユニバーサル アナリティクスへの移行処理がまだ開始できない」ケース

このケースは標準のアナリティクスの状態で、ユニバーサル アナリティクスへのアップグレードがまだ開始できない状態にあるので、「ユニバーサル アナリティクス アップグレード」表示が出てくるまで、しばらく待つしかない

ユニバーサル アナリティクスへのアップグレード方法

標準のアナリティクスからユニバーサル アナリティクスへアップグレードしたい場合の一番素直なケースである「C:ユニバーサル アナリティクスへの移行処理が開始できる」ケースに沿って、アップグレードの手順を説明しておこう。

この場合、標準のアナリティクスの管理ページのプロパティの一番上に表示される項目「ユニバーサル アナリティクス アップグレード」(図5赤枠部分)をクリックして、表示されるガイド(図6)に準じて進行していくことになる。

図6:ユニバーサル アナリティクス アップグレード

アップグレード手順についてはおおよそ次のステップと内容になっていると考えてほしい。

ステップ1:プロパティの移行

管理ページの「ユニバーサル アナリティクス アップグレード」(図6赤枠部分)をクリックして、表示されるガイドに従って[移行]ボタン(図6青枠部分)をクリックする。次に表示される確認画面で再度[移行]ボタンをクリックすると、移行処理がGoogle アナリティクス側で開始される。

1日~2日で「ユニバーサル アナリティクス アップグレード」(図6赤枠部分)の表示が「移行が完了しました」などと変化する。これでステップ1が完了となる。この時点で、管理ページはユニバーサル アナリティクス仕様に変わっている。

ステップ2:トラッキングコードの変更

今度はユーザーの方で、標準のアナリティクスのトラッキングコードから、ユニバーサル アナリティクスのトラッキングコード(同じプロパティIDを使用して実装)への変更を随時行っていく。特に何日以内にこの作業を実施完了しなければならないという制約は今のところない

この段階で移行を中止して、標準のアナリティクスへ逆戻りすることはできないので、ユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードへ全面移行していこう。ユーザー側でトラッキングコードの変更が終了すれば、それをもってユニバーサル アナリティクスへの移行は完了する。

詳しい手順を知りたい方は、下記公式ヘルプにも記述があるので参照してほしい。

トラッキングコードは混在していても正常に動作する

重要なのは、ステップ2で同一のプロパティIDで標準のアナリティクスとユニバーサル アナリティクスの2種類のトラッキングコードが混在していても、どちらも正常に稼働するということだ。つまり計測対象サイトの全ページのトラッキングコードを一度に瞬時に差し替える必要はない

たとえば、計測対象サイト内のあるページでは標準のアナリティクスのトラッキングコードが実装されたまま、別のページではユニバーサル アナリティクスのトラッキングコード(同じプロパティIDで実装)に貼り替えたとしても、それぞれのトラッキングコードが動作し、集計、レポートされる。ユニークユーザーの認識、参照元、セッションの維持、新規/リピータの認識なども、この2種類トラッキングコードの混在環境で正常に動くように最大の配慮がされている模様だ。

また同じページに標準のアナリティクスのトラッキングコードが実装されたまま、追加で同じプロパティIDのユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードが実装されても、標準のアナリティクスのトラッキングコードの方のデータは集計されずに無視されるようになるとの報告もある。アップグレードが正常におこなわれるか、さまざまな方法で検証した記事があるので、くわしく知りたい方は下記リンクを参照してほしい。

ステップ2でトラッキングコードの変更以外にやるべきこと

ステップ2では、ユーザー定義やカスタム変数など、標準のアナリティクスでしか対応していないカスタマイズも速やかにカスタム ディメンションに移行するなどの対処を行おう。

またクロスドメインなど、サイト全体に関わるカスタマイズもうまく処理されるように工夫はされているとは思うが、100%の保証はないので、いずれにせよ、すみやかにユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードへの完全移行をするのが無難だろう。

セッション判定ルールは、ユニバーサル アナリティクスでは若干変更される(ユニバーサル アナリティクスの記事で解説予定)ので、なるべくこの2種類のトラッキングコードの混在環境が短くなるように移行作業をするのに越したことはない。

移行に関する注意点

最後にトラッキングコードの混在について、共通で重要な注意点を述べて終わりたいと思う。もしすでに同じサイトを標準のアナリティクスのトラッキングコードとユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードで並行実装(別のプロパティIDを利用)して計測している場合は、標準のアナリティクスのアップグレードを行う場合に、元あるユニバーサル アナリティクスとダブらせて実装してはならない

標準のアナリティクスのトラッキングコードを2種類貼ることも、ユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードを2種類貼ることも特殊なカスタマイズを行えば問題ないのだが、単に重複して実装してしまうと正しく計測されない

一方、標準のアナリティクスのトラッキングコードとユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードを普通に並行実装(別のプロパティIDを利用)しても問題ない。忘れがちだが重要な点だ。

よって、すでに並行稼働しているユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードをそのままにしつつ、標準のアナリティクスのトラッキングコードからのアップグレードによるユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードをダブルで貼るとおかしなことになるので、注意してほしい。

ユニバーサル アナリティクスへの移行はまだ始まったばかりで、これからもいろいろな変化が起きるだろう。リマーケティングなど広告系の機能が正式実装され、ユニバーサル アナリティクスへのアップグレードが本格化すれば、もっと情報が増えてくると思うので、その時点で慎重にアップグレード作業に取り掛かればよいのではなだろうか。

筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。

筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

インデックス
検索エンジンがWebページをデータベースに保存しているデータベース。データベース ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]