Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座「ヒット/セッション/ユーザー」のGoogleアナリティクスでの区分を理解する(前半)(第90回)
先日あるセミナーでGoogleアナリティクスについて説明していたとき、ある設定の画面に表示された「ヒット」「セッション」「ユーザー」という用語について、この3つの明確な仕様みたいなものを説明してほしいと言われたが、短い時間でうまく答えることができなかった。
結論から言えば、おおまかには、「ヒット」は「ページ」のことで、「セッション」は「訪問」のこと、「ユーザー」はそのまま「ユーザー」だ(詳しくは後述)。
今回は、この「ヒット」「セッション」「ユーザー」の3つの区分の違いをわかりやすく説明してみたい。
「ヒット」「セッション」「ユーザー」はどこで使われているのか?
「ヒット/セッション/ユーザー」の区分なんて見たことないという方もいると思うので、実際のレポートを使って、どこに表示されるのかを見てみよう。
新しいセグメントを作成する画面の
「ヒット」「セッション」「ユーザー」
まずは、新しいセグメントを作成する画面を見てみよう。
- どのレポートでもいいので、レポート左上にある矢印(図1赤枠部分)をクリック
- 表示された設定画面で[+新しいセグメントを作成]ボタンをクリック
- 「eコマース」の分類(図1青枠部分)を選択(「eコマーストラッキング」の設定を「オン」にしておかないと、「eコマース」の分類は表示されない)
- 「収益」の右横にあるプルダウンをクリックする(図1緑枠部分)
そうすると、「ユーザーごと」「セッションごと」「ヒットごと」という3つの選択肢が表示される(図1緑枠部分)。
従来のカスタムセグメントは、基本的に特定の「セッション(訪問)」条件によって絞り込むのが基本だったのだが、それが「ユーザー」条件や「ヒット」条件でも絞り込めるようになったのだ。とりあえず、「ヒット/セッション/ユーザー」が表示されることを確認して、次に進もう。新しいセグメント機能については、以前の記事を参照していただきたい。
カスタム ディメンションを追加する画面の
「ヒット」「セッション」「ユーザー」
もう1つの例を見てみよう。ユニバーサル アナリティクスのトラッキングコードには、「カスタム ディメンション」というカスタマイズがあるが、図2はそのカスタム ディメンションの宣言を行う設定画面だ。
- グローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックする
- プロパティの下の方にある「カスタムディメンション」(図2赤枠部分)をクリックする
カスタム ディメンションの範囲を指定するプルダウンに、「ヒット」「セッション」「ユーザー」の3つがある(図2青枠部分)。カスタム ディメンションという新しい分析軸を作る場合には、あらかじめこの3区分のどれなのかを宣言してから利用するということになる。
標準のGoogleアナリティクスのトラッキングコードのカスタマイズでも、じつはこの3区分がすでに利用されている。それは「カスタム変数のスコープ」にあたる指定部分だ。カスタム変数については、下記を参照してほしい。
「ヒット」「セッション」「ユーザー」とは何か?
さて「ヒット」「セッション」「ユーザー」とは何か、ひと言でわかりやすく言えば、次のとおりだ。
- 「ヒット」は「ページ」のこと
- 「セッション」は「訪問」のこと
- 「ユーザー」はそのまま「ユーザー」なので問題ないだろう
つまり「ヒット」「セッション」「ユーザー」とは、「ページ」「訪問」「ユーザー」という区分、すなわち、データを「点」で把握するのか、「線」で把握するのか、「面」で把握するのかを指定する概念だと思ってほしい。
名称 | 意味 | データの把握イメージ |
---|---|---|
ヒット | ページ | 点 |
セッション | 訪問 | 線 |
ユーザー | ユーザー | 面 |
図3は、ある同一人物(正確に言うと同一cookie)の3回の訪問履歴を表した図だ。
初めて訪問したのは1月20日で、このときは外部のAというサイトから訪問してきて、①、②、③の3ページを見たということを示している(図3赤枠部分)。
2回目に訪問したのは2月15日で、このときは外部のBというサイトから訪問してきて、①、③、④、⑤の4つのページを見たということを示している(図3青枠部分)。
3回目の訪問は2月25日で、このときは外部のCというサイトから訪問してきて、①、②、④の3つのページを見た(図3緑枠部分)。
つまり、丸数字の部分が見たページ(ヒット)、矢印でつながっている線(図3でそれぞれ色枠で囲んだ部分)が各訪問の閲覧履歴(セッション)、そしてこの3つの線(図3全体)が同一人物の閲覧履歴(ユーザー)という見方になる。つまり、点で見るのか、線で見るのか、複数の線の集合体(面)で見るのかというデータの刻み方に3種類あるということだ。
これが「ヒット」「セッション」「ユーザー」の大まかな定義だ。
補足:「ヒット」には「イベント」や「トランザクション」も含まれる
先ほど、わかりやすく「ヒット」は「ページ」のことと言ったが、もう少し正確に言うと、「ページ」だけでなく「イベント」や「トランザクション」(購入)などのデータも点のデータとして集計されるため、これらを総称して「ヒット」と表現する。
「コンバージョン」は「ヒット」には含まれない。「コンバージョン」は、1訪問の中で、1つの目標に対して最大1カウントされる指標だ。同一のコンバージョンのポイントを1訪問内で2回踏んでも1カウントとされるので、ページビュー(ヒット、点)をカウントするのではないのだ。だからコンバージョンはセッション(訪問)に紐づいている指標ということになる。
また、「コンバージョン」は同一訪問内であれば、1つの目標設定に対して最大1カウントしかされないが、トランザクションは点で捉えるため、のべ数でカウントしてくれるという違いがある。
筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。
筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール
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