Googleアナリティクス セグメント100選

eコマースサイトでの併せ買いの状況を把握して、レコメンドに役立てるには?(第8回)

eコマースサイトで、商品の併せ買いの傾向を把握して、特定の商品や商品群を購入したユーザーの行動を役に立てる方法を解説する。

特定の商品や商品群を購入したユーザーの行動を役に立てたい

今回は、eコマースサイトで、商品の併せ買いの傾向を把握する方法を紹介する。前回はメディアサイトで記事のレコメンドに役立つセグメントを紹介したが、今回はそれをeコマースサイトに適用した例だ。

具体的に使用するセグメントは下記の2つだ。

  • 特定の商品カテゴリを購入したセッション
  • 特定の商品カテゴリを購入したユーザー

大規模なeコマースサイトなどでは、レコメンドツールを導入して自動化を進めている場合も多いと思う。そういうツールを導入していない、あるいはするほどでもない規模のeコマースサイトなどでも、商品間での併せ買いの傾向を集計してみることは簡単にできる。意外な商品間の併せ買いが見つかればめっけものだ。

ただ商品アイテム数が膨大なサイトも多いと思うので、個々の商品間の併せ買いを見ていくのは現実的ではない。そのような場合には、まず主要商品カテゴリ間の併せ買いくらいから見ていくのがよいのではないだろうか

もちろん購入データは別のシステムで管理されていて、そちらを見ることで簡単に併せ買いの状況を見ることもできるかもしれない。しかし、このセグメントを使うと、購入以外の行動も把握できるということもメリットとしてある。今回そこまでは詳しくは紹介しないが、それを念頭に置いておくとよいだろう。

併せ買い分析をする前の準備

今回はeコマースサイトが対象なので、Googleアナリティクスでサイトにおける商品購入状況がわかるようなデータ収集をあらかじめ行っておく必要がある。トラッキングコードのカスタマイズに関しては、まずこちらを参照してほしい。

売れ行きの現状を把握するには?

購買データの収集ができたら(できていたら)、次に行うのは売れ行きの現状把握だ。どの商品カテゴリが売れ筋なのかは、まあ担当者なら把握しているとは思うが、Google アナリティクスのデータでも確認をしておこう。

[コンバージョン]>[eコマース]>[商品の販売状況]レポートで「商品カテゴリ」ディメンションを選択(図1赤枠部分)する。こうすれば商品カテゴリ別にグルーピングされたデータになる。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
  3. メニューが開くので、[eコマース]、[商品の販売状況]を順にクリックする
  4. [商品カテゴリ](図1赤枠部分)をクリックする
図1:[コンバージョン]>[eコマース]>[商品の販売状況]レポート

各商品カテゴリの単価の違いによって、売上の内容はそれぞれの特徴が出てくるだろう。重要だと判断するカテゴリの視点が、金額なのか販売数量なのかは各サイトの判断による。

ちなみに、このレポートは販売数量が多い順に並んでいる。販売金額ベースで並び替えして見たほうがよければ、「商品の収益」(図1青枠部分)をクリックして、売上の多い順に並び替えるなどするとよい。

また季節によって売れ行きが変化する点やキャンペーンなどで売れる商品カテゴリに大きな変動があるのは当然なので、それを考慮しながら分析軸に意味のある商品カテゴリをピックアップしていこう。

トラッキングコードの準備の時点で気をつけたいのは、Googleアナリティクスで分析軸(ディメンション)として扱うことを念頭に置いて、この「商品カテゴリ」を付与しておくということだ。将来どういう分析軸が必要になるだろう、汎用性はあるだろうか、拡張性はあるだろうかといったことをある程度想定しておかないといけない。商品カテゴリの付与のしかたについては、下記記事の「_addItemメソッドは、注文内の購入商品の情報」の箇所を参照してほしい。

途中でこのカテゴリ分類に大規模な変更を行うのは面倒になるので、導入時の設計はやはり重要だ。ただセグメントという視点だけで言えば、もともと細かい分類がされていれば、後で大くくりにして抽出することは可能なので、細かく分類しておくに越したことはなさそうだ(ただし商品の販売状況レポートで大雑把に把握するのは少し難しくなる)。

実際の購入パターンを確認するには?

データはさらにもう1つだけ見ておくとよい。実際の購入パターンだ。具体的には、一度に多く買ってくれたお客さんの購入パターンを把握するのだ。

まず[コンバージョン]>[eコマース]>[トランザクション]レポートを表示させよう。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
  3. メニューが開くので、[eコマース]、[トランザクション]を順にクリックする
図2:[コンバージョン]>[eコマース]>[トランザクション]レポート

これは1回の購入(トランザクション)ごと(図2赤枠部分)の売上総金額や商品購入総数量などが把握できるレポートだ。ここで、右端の数量の指標(図2青枠部分)を見よう。

ここが1より大きい数字になっていれば、同じ商品を複数個買ったか、あるいは複数の商品を買ったということになる。そこで数量の多いトランザクションID(図2赤枠部分)をクリックしよう。

図3は数量が4のトランザクションIDをクリックしたときのレポート画面で、この1回の購入で売れた商品明細を見ることができるわけだ。このケースでは、全部で4つ購入され(図3赤枠部分)、その内訳は4つの商品がそれぞれ1つずつ(図3青枠部分)だということがわかる。

図3:[コンバージョン]>[eコマース]>[トランザクション]レポートでドリルダウンした画面

何がやりたいかというと、こうすることで、多くの商品を買ってもらった場合について、その購入パターンを確認できるので、一度に多く買ってくれたお客さんの購入パターンを把握できるのだ。

当然すべての購入明細を全部見ている暇な人はいないと思うが、このように個々のデータを時間があったら少し見ておくことをお薦めしたい。なぜなら全体を丸めた統計数字(平均××値)で見るのと、1人1人のお客さんの購買行動のいくつかを実際に確認しておくことには、大きな違いがあるからだ。

この作業を事前にやっておくことで、セグメントを掛けて意味がありそうな商品カテゴリの「あたり」をつけておくことができる。このようにして、いくつか掛け合わせてみたい商品カテゴリをピックアップしておこう。

特定の商品カテゴリを購入したセッションやユーザーに絞って分析できるようにする方法

標準に用意されているセグメントには今回紹介する2つのセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。まず多くのレポートの左上にある[v]のようなマーク(図4赤枠部分)をクリックする。

図4:[v]マークをクリックする

図5のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメントを作成」(図5赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。

図5:セグメント機能の左上部分(グリッド表示)

注:一覧表示(図5青枠部分)を選択している場合や、自分ですでにカスタムセグメントを作成している場合などでは、図5と同じ見え方にはならない。

初期画面では、「ユーザー属性」(図6赤枠部分)の部分が選択されているが、今回使用する2つのセグメントは、どちらも自由に条件指定を行う「条件」(図6青枠部分)を利用する(1つは「eコマース」(図6黄枠部分)でも設定可能)。

「条件」は、自由にディメンションや指標を選択して条件を記述(図6緑枠部分)し、それらを組み合わせ(図6黒枠部分)たりすることで指定していく。

図6:「条件」セグメント指定の初期画面

今回作成したい「特定の商品カテゴリを購入したセッション」と「特定の商品カテゴリを購入したユーザー」はそれぞれ図7図8のように設定しよう。

図7:特定の商品カテゴリを購入したセッションのセグメント指定
図8:特定の商品カテゴリを購入したユーザーのセグメント指定

「フィルタ」の指定はそれぞれ「セッション」と「ユーザー」を指定(図7赤枠部分、図8赤枠部分)する。

ディメンションや指標を選択して条件を記述する部分は、どちらも「商品カテゴリ」ディメンションを選択し、「完全一致」を合致条件から選択し、該当の商品カテゴリを個々に記述する(図7青枠部分、図8青枠部分)。

合致条件はプルダウンから「完全一致」「含む」「先頭が一致」「最後が一致」「正規表現に一致」「次のいずれか」「完全一致しない」「含まない」「先頭が一致しない」「最後が一致しない」「正規表現に一致しない」「次のいずれでもない」の12種類から選択できるので、細かく商品カテゴリが分類されていれば、さまざまなグルーピングも可能になるだろう。

設定ができたら、この2つのセグメントを保存(図6茶枠部分)して新規登録する。

あるカテゴリの商品を購入したセッションに絞り込んで分析するには?

次は実際のデータにこのセグメントを掛けていこう。今回の例は商品カテゴリ間の併せ買いの傾向を知るためなので、[コンバージョン]>[eコマース]>[商品の販売状況]レポートで「商品カテゴリ」ディメンションを選択し、このセグメントを適用することになる。

[商品の販売状況]レポートで「商品カテゴリ」ディメンションを選択し、「ある商品カテゴリを購入したセッション」セグメントを適用した出力例が図9だ。

図9:[コンバージョン]>[eコマース]>[商品の販売状況]レポートにセグメントを適用

一番上の行は、該当セグメントを掛けた全体のデータが表示(図9赤枠部分)されている。多くの場合は、自分自身が一番多く購入された商品カテゴリになるので、次の行(図9青枠部分)はセグメントしたのと同じカテゴリの商品カテゴリになっていると思う。

見るべき箇所はその下の3行目以下図9緑枠部分)ということになる。このセグメントの商品カテゴリと他のカテゴリの併せ買いのパターンはここで見よう。

これを「特定の商品カテゴリを購入したセッション」と「特定の商品カテゴリを購入したユーザー」の2つのセグメントで適用して、それぞれの併せ買いのパターンを把握しよう。どちらも基本的には図9の形式になる。同じセッションでの併せ買いになるか、最大90日間(ユーザーレベルのセグメントで絞り込める上限が90日のため)でのユーザーの併せ買いになるかの違いだ。

ユーザーに対して他の商品を薦める(レコメンドする)観点から考えると、基本的に「ユーザー」ベースのセグメントを掛けるだけでよいとも言える。ただ購入頻度の高いサイトだと1回の購入においては同じカテゴリ内だけをまとめ買いするような行動をするのではないだろうか

「ユーザー」ベースのセグメントを中心にするにしても、ユーザー行動をより深く理解するために、「セッション」ベースのセグメントも作って、両者のデータを比較してはどうだろう。


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