広告を出したら申し込みが増えたような気がします。効果はあったのでしょうか?
当クリニックの代表。
イケメンの研修医。
優しい天然ボケの研修医。
ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
広告を出したら申し込みが増えたような気がします。効果はあったのでしょうか?
最近問い合わせが増えたが……。増えたのは何?
最近、私のクライアントが広告出稿を始めたの。そしたらやっぱり申し込みが増えたのよね。
それは良かったね。
でも、広告費もかかっているから、その費用帯効果を知りたいって。
申し込みが増えたということだけど、どこ経由の申し込みが増えたのか、おさえているかな? Googleアナリティクスでいえば、新画面(Ver5)の[コンバージョン]>[目標]>[ゴールフロー]を見るとわかりやすいよ。
私はゴールフローを押したら目標設定の画面が出てきました。
それは目標設定が完了していないんだね。左下に表示されている[目標を設定]ボタンを押して、まず目標を設定しよう。
設定方法については、公式サイトやGAフォーラムが詳しいよ。あと最近、Web担当者Forumでも衣袋宏美氏による新連載が始まっていて、こちらでも「プロファイルの目標を設定する」の回で取りあげられているから要チェックだね。
広告経由:Googleアドワーズ広告だけはわかる
ところで先生、ゴールフローを見ても、どれが広告経由のアクセスかわかりません。
そうだね。実はGoogleアナリティクスで最初から広告経由だとわかるのは、Googleアドワーズ広告くらいしかないんだよ。
え、なぜですか?
たとえばYahoo!リスティング広告からのアクセスだったとしても、Googleアナリティクスでは、それが広告経由(PPC)なのか、自然検索(SEO)からなのか、判別がつかないからだよ。他の広告も同じ理由でわからない。
でも、Googleアドワーズ広告だけは、初期設定でリンクをすれば、ゴールフローでアドワーズ広告のデータが確認できるようになるよ。同じGoogleのサービスだからね。
では、Googleアドワーズ広告以外の広告の効果は測れないってことですか?
いやいや。Googleアナリティクスの標準の状態で何もしなければできないというだけで、判別できるようにする方法はあるよ。
広告経由:他はアイデアを絞り出して計測する必要あり
では、がんばれば、雑誌広告やYahoo!リスティング広告などの費用対効果を計測できるようになるってことですね? どうしたら良いのでしょうか?
たとえば雑誌広告ならば、雑誌広告専用のサイトを作り、雑誌にはそのURLを載せることだね。その上で、そのサイトは雑誌以外には知らせないようにすれば、そのサイトの成果からだいたいの雑誌広告の効果がわかるようになるね。
そんなの工数と費用がかかりすぎて、無理ですよ。
そうだね。でも広告の効果測定というのは、このようにいろいろアイデアを絞り出して測定するしかないんだ。
ただ、セオリーはある。一般的には、Googleアナリティクスが推奨しているURLパラメータを、各広告ごとに設定するんだよ。これは以前、「リスティング広告(検索連動型)の効果がよくわからないのですが、どうすればよいでしょうか?」の回に説明したね。
そういえばそうでした。思い出しました……。
苦手意識を克服して、初期設定をしてみよう
おそらく今回の質問というのは「初期設定なしで、簡単に広告の費用対効果がわからないか?」という質問に近いと思うんだ。でも、それはGoogleアナリティクスを使う限り不可能だ。対策は3つしかない。
- Googleアナリティクスが推奨しているキャンペーン用URLパラメータを設定する。
- Googleアナリティクス以外の解析ソフトを使う。
- Googleアナリティクスのサイト内検索を応用するなど、独自アイデアを出す。
最後の独自アイディアを出すのは応用編になってしまうので、まずはGoogleアナリティクスを使用するならば、URLパラメータを使おう。
最初は少し取っつきにくくて設定がめんどくさそうに思えるかもしれないけど、コツを覚えれば簡単だし、標準でサポートされている方法だから安心して使えるね。
でも雑誌広告の場合、URLパラメータを付けたら長くなりますよ。それでは誰も入力してくれません。
たとえば短縮URLサービスを使う手があるね。短いURLに変更してくれる。「短縮URL」と検索すればサービスが多数出てくるし、Googleも「Google Url Shortener」を提供しているよ。
もしくは、雑誌広告用のランディングページを1枚作って、その流入数を計測してもいい。この場合、コンバージョン計測には、少し工夫が必要になるけどね。
さらには、テレビCMなどでよくある「○○で検索!」といった広告を出す手もある。この方法で出稿した場合は、そのキーワード流入とコンバージョン数を見てもいいね。それと、雑誌広告を見た人は、商品名や会社名で検索することも多いので、そちらも要チェックだ。
まとめ
広告の費用対効果を知りたいならば、その広告からの流入数とコンバージョン数を調べる必要があるけど、Googleアナリティクスを使用するならば、目標設定とキャンペーンURLパラメータの設定が必要だ。設定はそれほど難しくないので、広告を出稿する場合は、ぜひやっておこう。
広告の効果測定で気を付けておきたいことがある。効果を厳密に計測することはほぼ不可能に近いということだ。
たとえば、雑誌広告を見た人がどういう経由でサイトに到達するかは厳密にはわからない。サイトを見て直接電話がかかってくることもあるけれど、それはアクセス解析ツールでは計測できない、
つまり、純粋に広告の効果を100%計測することはとても難しいんだ。各広告専門の電話番号や問い合わせフォームを設けるなど、なるべく計測する努力をする一方で、解析ツールで取得できた数値だけを信じずに「見えない値を推測する」ことも忘れてはいけない。
そのためには、ゴールフローの詳細部分だけを見るのではなく、各広告からのアクセス数と申し込み数の相関関係を見極めるなど、全体の傾向についても分析する必要がある。
ぜひ、「木を見て森を見ず」ではなく、木も見て、さらに森も見て、各広告の費用対効果を推測しながら、広告費の最適化を勧めていこう。
お悩み広告を出したら申し込みが増えたような気がします。効果はあったのでしょうか?
アドバイスGoogleアナリティクスのゴールフローレポートを見た上で、効果を推測してみましょう。以下、3ステップで進めます。
※あらかじめ、キャンペーンURLの設定などをしてレポートで広告からのアクセスを区別できるようになっている前提とします。
- 【1分】 ゴールフローレポートを表示させる
- 左メニューで [コンバージョン]>[目標]>[ゴールフロー]を選びます
- 右側上部の[ゴールフロー:]のドロップダウンリストから、達成数を調査したい目標設定を選びます。
- 【1分】 ゴールフローレポートで[参照元/メディア]を選択する
フロー図の上部に緑色で表示されている[参照元]をクリックして、ドロップダウンリストから[参照元/メディア]を選択します。そうして表示されたデータから、各広告からのコンバージョン数をメモします。
- 【3分】 広告経由でかかってきた電話など、“見えないデータ”を推測する
ゴールフローレポートでは表示されない、直接かかってきた電話などの影響を考えます。 たとえば、エクセルのデータ分析機能や散布図などを使って、各広告別のアクセス数と、毎月の電話の数に相関関係があるかどうか調べましょう。
【参考】
※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作
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