知って得するドメイン名のちょっといい話

ドメイン名とDNSの10年を振り返る/知って得するドメイン名のちょっといい話 #23

インターネット社会の形成という大きな意味を持つ10年をドメイン名とDNSという視点で振り返る
JPRS通信 知って得するドメイン名のちょっといい話

21世紀も最初の10年が過ぎ、2011年となった。インターネット社会の形成という大きな意味を持つ10年となったが、今回はこの10年間を、ドメイン名とDNSという視点でその変化を振り返ってみたい。

※この記事は、レンタルサーバー完全ガイドの発行する雑誌『レンタルサーバー完全ガイドVol.24』(2011年2月28日発売)に掲載されたものを再編集して掲載しているものです。

2001年: 汎用JPドメイン名の導入

2001年2月から登録を開始した汎用JPドメイン名は、「○○○.jp」という短くアピール力の強い形で、それまでの1組織1ドメイン名という制約を持つ属性型JPドメイン名では満たすことのできなかったニーズに対応し、10年間で登録数が80万件となりました。これはJPドメイン名全体の3分の2にあたります。

企業によるドメイン名の活用の形として、CO.JPドメイン名で企業情報を発信し、汎用JPドメイン名でサービスや商品の情報を発信する、という形が一般化しました。

図 JPドメイン名登録の推移
図 JPドメイン名登録の推移

2002年: JPNICからJPRSへの業務移管

前身組織のJNICが1991年にJPドメイン名の登録管理を始めてから、ずっとJPNICが担ってきたJPドメイン名のレジストリとしての機能が、2002年4月にJPRSへと完全に移管されました。今でも「JPドメイン名はJPNICが登録管理をしている」という誤解を耳にすることがありますが、移管からもう9年が経とうとしています。

なお、JPNICは、日本のインターネットの中心的役割を果たす団体として、引き続きIPアドレスの管理と、ネットワークインフォメーションセンターとしての活動を続けています。

2003年: 日本語JPドメイン名の利用環境整備

2003年の国際化ドメイン名関連のRFC発行により、ウェブブラウザでの実装が進みました。出遅れていたマイクロソフト社のInternet Explorerも2006年11月にリリースされたバージョン7で対応し、今ではほとんどのウェブブラウザ、多くのアプリケーションで日本語JPドメイン名が利用可能となりました。現在、日本語JPドメイン名は12万件以上が登録されています。視認性が高く、検索誘導との相性がよいことなどもあり、テレビ番組などで活用されるようになっています。

2001年~: 世界的なDNSサーバーの強化の動き

インターネットが社会の中で重要な役割を果たすようになる中で、その基盤のひとつであるDNSにも高い信頼性が求められるようになりました。DNSサーバーに障害が発生すると、日常生活やビジネス活動に支障が生じてしまいます。

DNSの世界的な構造の中で根幹をなすルートサーバーやTLDレベルのDNSサーバーでは、地理的な分散配置やIP Anycastなどの技術導入が進められてきました。JPRSが管理するJP DNSも、世界26拠点に展開し、10年間ずっと無事故・無停止で運用しています。

レンタルサーバーサービスを利用する際にも、ウェブサーバーの運用品質はもちろんですが、DNSの運用も安心して任せられるかどうかを確かめて選択することが大切になってきています。

~2004年: IPv6への対応

IPv4アドレスの在庫枯渇が迫る中で、IPv6ネットワークへの対応が進められた10年となりましたが、レンタルサーバーサービス、そしてDNSの運用においてもIPv6への対応が求められています。

JPドメイン名は、2004年にIPv6ネットワークからのDNSアクセスへの対応、IPv6ネットワークで運用されているDNSサーバーのアドレス登録の両方を可能とし、世界で最初にIPv6の運用に完全対応したTLDとなりました。

ところで、皆さんがご利用のレンタルサーバーサービスは、IPv6ネットワーク時代に対応していますか?

2001年/2005年/2011年: 新たなgTLDの導入

10年前、自由に登録できるgTLDといえば.com、.net、.orgの3種類でした。TLDを管理している国際団体ICANNは、2001年から2002年にかけてgTLDの新設を行い、その結果、.bizや.infoなどいくつかのTLDが新しく提供されるようになりました。また、2005年から2回目のTLD新設を行い、このときに.asiaや.mobiなどが登場しました。

最初の頃は馴染みもなかったせいか、システムでドメイン名と認識されなかったり、利用者にも混乱があったようですが、最近では利用も進み、いろいろな場面で目にするようになってきています。

2011年には、さらにgTLDを追加する動きが具体的な動きを見せる予定にもなっており、ドメイン名のバリエーションはまだまだ広がりそうです。

2003年/2008年: CO.JPドメイン名が登録しやすく

2003年11月、会社を設立する6ヶ月前からCO.JPドメイン名の仮登録が可能となりました。これにより、早い段階からCO.JPドメイン名を登録し、ウェブやメールなどの準備を会社設立以前から進めておくことができるようになりました。

また、2008年6月には、CO.JPドメイン名の登録が即時に完了するようになりました。それまで日本で登記された企業であることなどの資格審査を行っていたことから、登録には数日かかるというのが普通でしたが、これにより汎用JP ドメイン名と同様に、登録手続きの次の瞬間には登録が完了するという高い利便性を提供できるようになりました。

2006年: JP DNSの更新間隔の短縮

2006年4月に、JP DNSの更新間隔は1日1回から、15分に1回へと大幅短縮しました。それまで、JPドメイン名は登録した翌日にならないと利用可能になりませんでしたが、それがレンタルサーバーサービスの申込み後すぐにJPドメイン名が利用可能となるなど、サービスの利便性を大きく高めることに繋がりました。

CO.JPドメイン名のサービス改善とあわせて、レンタルサーバーサービスでのドメイン名のワンストップ提供など、サービスが大きく改善しました。

2008年~2011年: 「.日本」の導入

ICANNは国際化ドメイン名のTLDへの導入を進めており、2009年11月から各国・各地域からの受付を開始しています。すでにいくつかの国では運用が始まっていますが、日本でも「.日本」の導入検討として議論が進んでいます。

2009年9月に「.日本」の管理運営事業者を選定する日本インターネットドメイン名協議会が設立され、2010年6月から8月にかけて「.日本」の管理運営事業者の公募が行われました。

応募したのは結果的にJPRS 1社のみという結果でしたが、JPRSは、「.日本」を「.jp」の付加サービスとして提供することを提案し、協議会により候補事業者として選定されました。今後、政府やICANNなどとの調整を経て、最終的な決定に至る予定です。

2008年~2011年: DNSSECの導入

キャッシュDNSサーバーに偽の情報を外部から仕込み、利用者を悪意あるウェブサイトに誘導する「キャッシュポイズニング」という攻撃が理論的に可能であることは知られていましたが、DNSが誕生してからちょうど25年目の2008年にカミンスキー型攻撃手法が発見されたことで、この脅威は現実的なものになりました。

キャッシュポイズニングの危険性を根本的に排除するためには、DNSにセキュリティ機能を追加するDNSSECを導入することが必要となります。ルートサーバーでは2010年7月にDNSSECが導入され、TLDへの導入も進んでいます。JPドメイン名では2011年1月にDNSSECを導入しました。今後は、レンタルサーバーサービスのDNSSEC対応が進むことが期待されており、利用者のサービス選択材料となるでしょう。

参考資料

JPRSからのお知らせ

JPRSの設立10周年

JPNICが、日本のインターネット基盤を支える企業としてJPRSを設立することを決めたのが2000年12月22日、JPRSはその4日後の12月26日に設立されました。以来10年間、JPドメイン名の登録管理とDNSを通して、JPRSはインターネットの基盤を支えてきています。

ドメイン名を利用される皆さまに支えられ、JPドメイン名は120万件となり、2年連続で世界一安全なccTLDに選ばれました。

JPRSは今後も、ネットワークの基盤を支える企業として、インターネットの発展に寄与し、人と社会の豊かな未来を築くことに貢献します。

※この記事は、レンタルサーバー完全ガイドの発行する雑誌『レンタルサーバー完全ガイドVol.24』(2011年2月28日発売)に掲載されたものを再編集して掲載しているものです。

用語集
DNS / ICANN / JPRS / TLD / ccTLD / gTLD / キャッシュ / ドメイン名 / ルートサーバー / レジストリ / 汎用JPドメイン名
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

DX
Digital Transformationの略。企業におけるデジタル化・電子化 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]