グーグルのローカル検索およびプレイスページの問題点と改善案(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。Googleマップの問題点を取り上げた前回に続き、今回はユニバーサル検索における問題点と、筆者が考える改善案を見ていこう。
ユニバーサル検索でプレイスページが表示される(2010年10月以降)
ご存じのように、グーグルは2010年10月に検索結果ページを大幅に変更し、通常の検索結果の中に直接プレイスページが大きな位置を占めることになった。これ以降、プレイスページはオーガニックなリスティングから(3件、7件、または10件を1つのパックにして)区別されたものではなくなり、グーグルによって関連性があると判断された自然検索の結果に統合された。
これにより、前回示したような“間違いだらけのプレイスページ”がいっそう目立つようになっただけでなく、オーガニック検索の結果とプレイスページの組み合わせがまったく新しい厄介な問題を引き起こした。
ここでは、混合型リスティング(オーガニック検索の結果とプレイスページが混ざった表示)の不正確さについて例を挙げたい。オーガニックなリスティングに「関連性のある」プレイスページを組み込むアルゴリズムには間違いが多い。それなのに、人々はこれを信じてしまうのだから問題は大きい。
例「Abilene Hotels」で検索すると、オーガニック検索ではFairfield Inn & Suites Abileneのリスティングが表示されるが、これがまた別のホテルであるCourtyard Abileneのプレイスページの内容とおかしな具合に混ざっている。
企業のSEO担当者に聞きたい
ローカル検索について当社の経験を述べてきた。ローカル検索を、とりわけ大企業レベルのキャンペーンにGoogleマップ活用しているほかの業界のSEO担当者の声をぜひ聞かせてほしい。一般的な質問をいくつか挙げておく。
同じような間違いを見たことがありますか? ある場合、あなたの業界は?(旅行、販売、健康など)
どんなモデル、体制を採用していますか? Googleプレイスページの作成と管理を各事業部門にそれぞれ任せているのか、あるいは本社レベルで一元管理しているのか。
企業レベルでこういった間違いをどのように解決していますか?
ローカル検索の全般的な質やマップ製品の改善のために、グーグルにどんな提言をしたいですか?
グーグルに言いたい
グーグルが表明しているように、同社の最優先事項は「可能な限り最高のユーザー体験を提供すること」だ。グーグル利用者の体験を向上させる原理は、グーグルにおけるマリオットホテルの顧客の体験も向上させてくれる。グーグルの狙いとマリオットホテルの狙いはまったく同じ方向を向いている。
しかし現状はというと、Googleマップが正確な情報であると考えてホテルへ向かった顧客たちは、道に迷い、ひどい体験をすることになっている。
グーグルに言いたい。ローカル(地域)データを扱うやり方は、オーガニック検索の質に対処する方法と別物でなければならない。「言うは易く行うは難し」とは理解しつつも、この製品にどのような改善が考えられるのか、私の提案を挙げておきたい。
- Googleマップのブラックボックスを公開し、企業にGoogleマップのアカウント管理者を引き合わせる
グーグルにいるマップのエキスパートに話をさせてほしい。正確であるべきデータを広める製品は、データの所有者と開かれたコミュニケーションを持つべきだ。プレイスページはPPC広告と違い、お金になる製品には(まだ)なっていないが、Googleマップへの有料掲載、Android、まもなく登場するクーポンコンテンツなど、下流製品の売上でグーグルに貢献している。この分野で企業と協力することは、それ自体、ビジネスとして有益なはずだ。
- ローカル検索のアルゴリズムを見直す(その1)
今のアルゴリズムは破綻している広範なウェブからローカルデータをクローリングしてインデックス化するのはまったく問題ない。しかし、情報の提示までにより厳格な検証プロセスが必要だ。
- ローカル検索のアルゴリズムを見直す(その2)
特に、データの過剰な収集について私の理解では、目標はできるだけ「信頼性の高い」ローカル検索のリスティングを作ることであり、それゆえに複数ソースからデータを集めているのだろう。とはいえ、事業者が自らのリスティングを申請しているのに、他のソースからのデータを追加し続ける理由があるのだろうか? 事業者が自前のプレイスページを申請している場合は、事業者が認めないデータや、事業者が編集も削除もできないデータを「収集する」のはやめるべきだ。その多くは間違っており、ユーザー体験の向上にはつながらない。
- ローカル検索のアルゴリズムを見直す(その3)
特に、オーガニック検索とプレイスページの混合型リスティングを生成するアルゴリズムうまく機能していないことが多いからだ。
- コミュニティによるwikiスタイルの編集は許可しない
Wikipediaは私も好きだが、データの正確さには当たり外れがある。Wikipedia上の情報ならばそれもありかもしれないが、場所を扱うローカル情報でそんなことは許されない。ローカル情報の追加と編集をコミュニティに開放しても、コンテンツの質の向上にはつながらない。リスティングは不正確になり、乗っ取りも起きる。許可するならはWikipediaがやってきたように、献身的な編集者のコミュニティを養成し動機付けを行う必要がある。
- 自動化の割合を減らし、手作業による最適化を増やす
手作業がグーグルの主義に反することはわかっているが、自動化された現在のプロセスから生み出されている間違いは、人間の知能だけが判読して修正できるものだ。提案1で述べたように、ローカル製品をもっと丁寧に扱うのはビジネスとしても有益なのだ。最終的には、企業との新しい関係が築かれ、PPC広告以外の収入源を開拓できるのだから。
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