企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用の現場

Twitterの運用に人的リソースを取られることはほとんどない

Twitterの運用に人的リソースを取られることはほとんどない

アットコスメのTwitterアカウントは服部氏ともう1名、同じサイト開発部 第3グループの後藤氏の計2名で運用しているという。業務時間外の対応は行っているのだろうか。

業務時間外にも見ていますし、返信もしています。Twitterってその時に返さないといけないと思うんです。たとえば3連休とかの後に返すと『えっ? そのつぶやきっていつのだっけ』という反応にもなりかねないので、できる限り24時間以内で返したいと思っていて、もし返せない場合は、お休みなので少しお待ちくださいといったようにフォローをするようにしています」(服部氏)

実際にTwitterにかけている人的コストは何%ぐらいなのだろうか。

今はイベントをやっているので、0.5人月くらいかかっています。ただ、サイト上のコンテンツを引っ張ってきたり、カスタマーサポートに聞いたりしているので運用時間はそれほどかかっていません。あとは、Twitterクライアントの『つぶやきデスク』を使って、占いなどの基本的なツイートを自動的に配信したりしています。コンテンツの更新情報もRSS連携で自動配信されるのでサイトを更新するだけでいいので、Twitter側に時間を取られることはないですね」(服部氏)

企業向けのTwitterクライアントを使い始めたきっかけはなんだったのだろうか。

Twitter上のユーザー管理ができなくなってきたことが理由です。フォロワーが6000人を超えたあたりから、喋った相手がどういう人だったかということを管理することが難しくなり、何か解決策がないかと探し始めたんです。最初は他のTwitterクライアントを使っていましたが、ソフトの動作が重かったんです。毎日たくさん届くリプライに、サクサクと返事ができないところが、私たちのなかで一番のストレスだったので、もっと軽いツールを探し、いろいろなツールを検討したなかで、つぶやきデスクをご紹介いただいたんです」(服部氏)

企業向けTwitterクライアントのなかには軽快な操作を実現するためにAjaxを利用しているサービスが多いが、企業のなかにはInternet Explorer 6などのブラウザによる利用を義務付けている企業も少なくない。そのため、軽快な操作を実現するためのAjaxが、逆に動作が重くし、運用のストレスとなってしまうこともあるようだ。

会員向け企画は別アカウントにしてアンフォローを防ぐ

アットコスメ会員がフォロワーの約60%を占めるという公式アカウントでは、どのようなツイートをしているのだろうか。

つぶやきの種類としては、占いやニュース、プレゼント情報を発信していて、配信するタイミングは編集会議で決めています。たとえば、占いはその日の1日を決めるものだから朝、プレゼントは応募する商品をじっくり選んでほしいので、考える時間が多い夜寝る前など。もともと、アットコスメ自体のPVが上がるのが22時からということもあって、それに合わせてプレゼント情報も22時に発信することに決めたんです。楽しみにしてくださっている方へ、どういうタイミングでどのような情報を投げかけた方がよいのか、コミュニティサイトの運営で得た知見をTwitterにも活かしています」(服部氏)

ブランド関連ワードを含むツイートに対して何かアクションはしているのだろうか。

公式アカウントの開始時期には、アットコスメに関してつぶやいている人など、サイトに興味を持ってくださっている方を積極的に探して、こちらからフォローしたりもしていましたが、今はそこまでは行っていません」(服部氏)

フォロワー数を増やす方法などはつかみつつあるのだろうか。

アットコスメの場合、フォロワー1万人達成したのが2011年1月1日だったんですが、フォロワー1万人までは速かったと感じています。1月以降は、ユーザー参加型のコンテンツをTwitterで始めたので、既存ユーザーとのコミュニケーションが増えました。ただ、そうすると自分に関係のないツイートがタイムライン上に流れてくることも多くなってしまうので、フォローを外されること(アンフォロー)も増えてしまったり。それなら、会員向けの別アカウントを持ったほうがいいだろうということになり、アットコスメ編集部のアカウント(@ayaka_atcosme@merry_atcosme)を用意することにしました。ユーザー参加型のイベントをやるときは、アットコスメ編集部のアカウントを使うことで、フォロワー数を減らさないように考えています」(服部氏)

フォロワーを継続的に増やしていくためには、新規フォロワーの開拓と同時に既存フォロワーの維持も視野に入れるべきである。この発想はウェブサイトやリアルの世界ではすでに定着した考えであるが、Twitterのフォロワー増加施策として実際に行動を取れている企業はまだ少ないのではないだろうか。コミュニティサイトを長年運営してきた同社ならではの先進的な取り組みとして注目すべきだ。

Twitterを使えばユーザーの声を気軽に聞くことができる

アイスタイルでは、Twitterを通したリアルタイムのコミュニケーションも企画している。その取り組みの1つとして、リアルタイムに肌の悩みが解決できる企画「スキンケア学園」について伺った。

Twitterで『どんな企画があったらいいですか?』とアンケートをとったときに、お肌の悩みやメイクに関する情報を発信してほしいという要望がすごくあったんです。そこから、タイムリーに悩みが解決できたら嬉しいはず、という話になり、美容のプロの方に回答してもらうコーナーとしてスキンケア学園を始めました。スキンケア学園を始めたことで新しいユーザーが増え、アットコスメを知らないユーザーにも情報を届けることができましたので、良い結果になったと思っています」(服部氏)

キャンペーンの参加人数は当初の目標に対してはどうだったのだろうか。

基本的には達成しています。ただ、効果測定はTwitterキャンペーンの難しいところだと思います。求める指標によっては、数値が出せなかったりするので、広告の施策などには活かしづらいかもしれないですね。クライアントに対してのお約束とか取り組みというのは、ハードルが高い部分もあると思いますし。私たちのアカウントでは指標も目標もありますが、どのくらい数値が達成できたのかだけを目的としていません。だからこそ、自由にできているのだと思います

その他に、Twitterを始めてみて気づいたことなどはあるのだろうか。

ユーザーの声をすぐに聞くことができて、反応を気軽に確かめることができたのは予想以上に良かったことですね。『こんなコンテンツアップしました』とつぶやくと、『ここをもうちょっとこうしたほうが良かった』とか、そういった意見がすぐに聞ける。また、アンケートツールとしても使えるかな、と思っています。たとえば、『化粧品には月にどのぐらいの金額を使いますか』とか、そういう質問をつぶやくとみなさんが答えてくれるんです。特集を作るときにも、『春の新色で気になるブランドを3つ挙げてください』とつぶやけば、みなさんが答えてくれる。もちろん母数がどのぐらいなのかという部分はありますけど、編集部の会議でも大切なみなさんからの声ということで、参考にさせていただいています」(服部氏)

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