衣袋宏美のデータハックス

コンバージョン分析は道筋の前半と後半の2つに分けて考える [アクセス解析tips]

コンバージョン分析は、ユーザーの動線を2つに分けて分析するのがコツだ。
衣袋宏美のデータハックス

コンバージョンへの道筋は2つに分ける

コンバージョンとは、サイトに訪れたユーザーに最終的にとってほしい行動のことで、サイトの目的によって異なる。ECサイトであれば商品の購入がコンバージョンになるし、新規顧客開拓サイトであればメールアドレスの登録や資料請求がコンバージョンとなる。

たとえば、あるサイトの目的(コンバージョン)が、自社サービスの資料請求だったとしよう。この場合、コンバージョンへの道筋は次の2つに分けて分析する。

  1. 前半ユーザーが「行動喚起ボタン」を押すところまで

  2. 後半「行動喚起ボタン」を押した後のページから最後の「資料請求完了画面」まで

コンバージョンまでのプロセスが下図のようであれば、サイトトップから「資料請求ボタン」を押すところまで(青の部分)と、資料請求画面に入ってから、資料請求が完了するまで(赤の部分)に分けるということだ。

コンバージョンは「コンバージョン分析前半」と「コンバージョン分析後半」に分けて分析する

前半ステップの分析にはシナリオを活用しよう

前半部分については、回遊分析でも指摘したとおり、ユーザー動線はさまざまなので、全体で見る場合はもちろん、新規ユーザーなどで絞り込んだとしても、典型的な太い動線を探すことは難しいだろう。

この場合、2つの方法を試してみよう。

1つは回遊分析のところでも話した「シナリオ」を登録して、その流れを見てみること。

上の例で言えば、サービストップからサービス詳細への移動がそもそもないために資料請求まで来る人が少ないいうことがわかるかもしれない。また最後の「資料請求ボタン」が押されないのであれば、調べものユーザーが大半を占めている可能性もある。

もう1つは、遷移分析で「資料請求ボタン」を押した後のページを基点にした逆引き(前に辿る)をしてみるということ。つまり行動を起こしたユーザーは、どのページの「資料請求ボタン」を押しているかという観点で見てみることだ。

これも、ページで見る場合とページ群でまとめて見るといったことを行ってみるとよい。

後半ステップは各画面での離脱を見る

さて「行動喚起ボタン」から「申し込み完了画面」までのステップについては、直進するようなページ構成になっていることが多いだろう。資料請求であれば、「資料請求ボタン」を押したユーザーには100%申し込みを完了してもらうようにしたいわけだ。

最近は離脱する機会が増えないようにできるだけステップを少なくし、資料請求レベルであれば必要最小限の情報だけシンプルに入力してもらうケースが増えている。「情報入力画面」→「確認画面」→「完了画面」という3ページ、ボタンを押すのは2回で済ませることが多い。

この場合、文字通りこの3ステップの遷移分析を行って、各ステップでの離脱を見るということでよい。遷移分析のためにも、この3ステップにおいては、他のページへ回り道するようなリンクやボタンはなるべく設置しない方がよいだろう。上記の例では、確認画面からの離脱率は2%~3%くらいでに抑えたいものだ。ここで1割でも脱落があれば非常に問題があるといわざるを得ない。

どこまで情報入力したのかも調べられる

入力画面から確認画面への遷移は、求められた情報を正確に入れていかないといけないので、ユーザーにとっては敷居が高くなる。何割もここで脱落することは容易に想像できるし、実際普通に起こっていることだ。

ここで重要なのは、入力エラーを把握できるような仕組みを導入しているかどうかだ。たとえば、エラーの種類によってURLを分けて、どのようなエラーが多いのかを簡単に判別できるようにしたURL構造にしておくといった工夫があるとよい。

また実際いくつもの情報を入力しなければならない場合に、ユーザーがどの項目まで入力しようとしたのかを知ることも重要だ。JavaScriptの計測タグによるデータの取得を行っているのであれば、各入力項目のonfocusイベント(フォーム要素に入力しようとした時点で実行される)を取得するような計測タグを実装しておくことによって、どの項目まで進んだのかを推測することもできる。入力項目が多い場合は、こういった工夫をしてみるというのも手だろう。

アクセス解析だけにこだわらない

上記までのプロセスでページを改修したとしても、そのもととなる仮説は運営者側の想像でしかない。ユーザビリティテストを重ねてじっくりページの改修を試みることも1つの手だが、実際の反応から最善策を残すという手法を行うのがよいだろう。すなわち、サイトでA/Bテストを行うということだ。時間を短縮するという点でもそうだし、同じ条件で比較して優劣を決めるという点で優れている。これはコンバージョンプロセスの改善だけに留まらない。

行動喚起までに至らないユーザーは、単に調べものをしていただけかもしれない。いろいろなユーザーがいるので、彼らを無理やりコンバージョンさせる必要もないし、そもそも無理な話だ。こういったユーザーも含まれているので、むしろ全員をコンバージョンに誘導するための努力をするのではなく、別の評価指標も用意しておこう。たとえば訪問目的別に目的完遂度を測るということをしてみるとよい。サイト上で簡単なアンケートをしてみるわけである。アクセス解析だけからすべてを導くのではなく、さまざまな手法を並行して用いることも必要である。

まとめ

  • コンバージョンへの道筋は2つに分ける
  • 後半のステップは各ステップでの離脱をみる
  • どこまで入力したのかも見てみよう
  • ユーザーに教えてもらうアンケートやテストも併用する
用語集
JavaScript / アクセス解析 / コンバージョン / コンバージョン分析 / コンバージョン率 / ユーザビリティテスト / リンク / 訪問 / 離脱
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

ビッグワード
Googleなどのインターネット検索で、頻繁に検索される単語のこと。一般には“月 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]