集客効率を高める「リテンション分析」を知っていますか? [アクセス解析tips]
セッションをまたぐ分析の重要性
ECサイトで一度お客さんになってくれた場合は、その既存顧客に何度も買ってもらう(リピーターになってもらう)ことが最も効率のよい集客手段で、新規顧客を集客する場合の何倍も効率がよいと言われている。ここではECサイトなどでのリテンション(顧客の維持)戦略に役立てるためのアクセス解析データの活用を中心テーマとして考えていく。
商品やサービスの購入といった有料のコンバージョンに限らず、無料コンバージョンである資料請求などの場合でも、サイトに最初に訪問したセッションでなく、後日改めて訪問した際にコンバージョン(資料請求)をするケースもあり、まずはセッションを跨いだ分析の活用について言及しておきたい。なぜならシナリオ分析のところでもお話したが、セッションではなく人を軸にして、過去含めてどのように行動してきたかを見ることで、行動を起こすユーザーの特性を把握するという点では同じなのだ。
なぜ直近購入までの間隔が重要なのか
1人の顧客が同じ商品を繰り返し買い、リピーターになってもらえるような商品を扱っているサイトでは、RFM分析が有効だ。RFM分析とは、購買において直近の購買時期(Recency)、購買頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)の3つのマトリクスで対顧客戦略を立てようという考え方である。RFMそれぞれをたとえば5つに分けると、計125の顧客セグメント(順列組み合わせで5×5×5=125)で最大利益を出すような対顧客戦略を考えるわけだ。
もちろん商品・サービスごとにそれぞれの特性があり、明確な1つの黄金則があるわけではない。とはいえ、直近の購買時期から時間が経っていれば、その顧客は他のサイトに奪われている可能性が高いため、非常に重要な指標になる。まずはアクセス解析でも、コンバージョンの直前訪問までの期間が全体的に長くなっていないかといった指標をしっかり追っておくことがまずは重要になる。
アクセス解析でこれらのすべての情報が取れない場合は、実際の購買履歴をマージすることで、このRFM分析をきちんとすることができるようにしておこう。
最終的には全体で見るのではなく、分析知見から顧客ごとのマーケティング施策に落としていくということが重要だ。
LTV(生涯価値)で考える
繰り返しが見込める商品カテゴリであれば、これをリテンション戦略だけでなく、集客戦略にも生かすべきである。どういうことかというと、既存顧客のLTV(Life Time Value:生涯価値)を見定めて、長期で元を取れるような集客をしておこうという提案だ。
目先の利益だけを追求すると、どうしても新たなキャンペーンなどでROIがマイナスにならないように萎縮してしまうこともあるだろう。特に結果が細かくわかる検索連動型広告などで顕著な行動だと思うが、同じ集客方法で獲得した彼らが、どのくらいリピーターになって利益に貢献してくれているかというデータを少し時間を掛けて蓄えていくことが重要だ。
このデータがあれば、1回目では利益が出なくても、生涯価値(利益)が黒字になるような限界コストを計算して、そこまで獲得単価の余裕を持ってみてあげるという視点が可能になる。アクセス解析でも、人を軸に価値を計算していこう。
一生に一度の買い物を扱う場合のリテンション分析は?
ECサイトといえども、商品カテゴリによっては一生に一度の買い物というケースもあるだろう。1人の顧客が何度も繰り返し買うような商品・サービスでない場合は、どういう視点でみるべきだろうか?
アクセス解析ツールが対応しているという前提で、まずコンバージョンする前に何度サイトを訪問しているのか、直前訪問からの訪問間隔はどのくらいなのかということを把握すべきだ。コンバージョンしたということは、つまり成功パターンであるので、成功の理由がないかをそこから探るということである。
このケースで、しかも複数回訪れてから買い物をするなら、コンバージョンしたセッションにおける検索語や入口ページなどのパターンはまず指名買いになっているはずだが、その客がスムーズに買い物をできる道線になっているだろうか、確認してみよう。
コンバージョンした人が過去に辿ってきた主要なページや検索したキーワードの履歴などが取れたとすれば、どういうページや言葉が決め手となったのか、そういったことに思いを巡らすべきだろう。
まとめ
- セッション単位ではなく人を軸にした分析が必要
- 過去含めてどのように行動してきたかを見ることで、行動を起こすユーザーの特性を把握する
- 繰り返し購入される商品・サービスの場合はRFM分析が有効
- 顧客のLTV(生涯価値)を見定めて、長期で元を取れるような集客をしておこう
- コンバージョンセッションの直前セッションを調べる
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