いしたにまさきのブロガーウォッチング

仕事は人でつながっている

仕事は人でつながっている

いしたに マスメディア的媒体の発想を抜けられたのは、コミュニティを意識したからですか?

徳力 そうですね。大きなきっかけになったのは、梅田さんのオフ会とSNSです。

いしたに おおー。

徳力 CNET主催の梅田さんと語るイベントに参加したんですが、それがすごくフラットな感じでびっくりしました。参加者には「情報化社会の航海図」の渡辺聡さんや「Goodpic」の金子順さんなど有名ブロガーもいて、普通に会って話ができることに衝撃を受けました。それまで僕は社内に閉じこもって仕事をしていたので、ネット上の有名人が実は意外に近くにいる存在なんだというのを理解できてなかったんです。

画面キャプチャー
Goodpic

いしたに そうかそうか。自分が動けば、相手も動いてくれるというのを肌で実感したわけですね。

徳力 そうですね。あと、SNSの力はやっぱり大きかったです。当時は、自分が働いていた会社アリエル・ネットワークの知名度が低いことをどうにかしたいという思いがあり、自分は裏方で自社の看板や他の人を前に出そうとしてたんです。会社の看板が有名になれば、会社同士のビジネスの話が自然と生まれると錯覚してたんですね。そんなときにブログを書き始めて、SNSに招待してもらったんですが、ふたを開けてみると、実はネットベンチャーの人たちって、みんな知り合いだったんだと遅ればせながら気がついて(笑)。

いしたに (笑)

徳力 「仕事は人でつながっている」という当たり前のことをすっかりそれを見失っていたんですよね。

いしたに 梅田さんのオフ会で「意外に簡単に有名な人に会える」という感覚を覚え、SNSで「人とつながること自体が大事」ということを再認識したんですね。

徳力 そうですね。自分を知ってもらえば、自然に会社も知ってもらえる。

いしたに 確かに、私も徳力さんを通じてアリエルを知りました(笑)

徳力 いろんな人に会ったり話をしたりするのは成功してからでいいや、とか勘違いしてたんです。「まずは成功」とばかりにオフィスにこもって仕事してたのが、実は大きな間違いだったという感じですね。

いしたに 「実は逆だった」というのは、ネットではいろんなところで見かける光景ですね(笑)

徳力 あの頃ブログに出会ってなかったら、本当にやばかったと思います。だから心の底から「ブログに人生救ってもらった」と恥ずかしげもなく言えてしまうんです。

いしたに 「No Blog No Life」だ(笑)

ブログはメディアじゃなくて会話

いしたに 「ブログ界」という言葉がありますが、これは「コミュニティを意識しよう」ということでしょうか?

徳力 そうですね。多分、企業担当者の人の中には、「ブログを書いている人=特殊な情報発信をできる人」というような、僕がブログを始める前と同じ勘違いをしている人が多いと思うんです。でも、実際ブログを書いている側って意外に普通の人で、ブログを書いている理由も「他の人に話を聞いてもらいたい」「自分の感動を共有したい」など、いわゆる飲み会に集まる理由と同じようなものだと思うんですよ。要するに、誰でも持っている人間の根本的なコミュニケーション欲=ブログ。だから、その頃にブログの名前を「ネットコミュニケーションの視点」っていうタイトルにしたんです。

いしたに そんな背景があったんですね!

徳力 ブログをメディアとか大げさに捉えるのはやめて、「ブログ=コミュニケーションの場」ということを忘れないようにしようと。コミュニケーションの場という意味では、それぞれのブログがコミュニティ化してるのって当たり前だと思うんですよね。楽しい会話に人が集まってきているわけですよ。

いしたに コミュニケーションしてれば、コミュニティは自然発生しているはずだということですね。

徳力 もちろん楽しくない激しい議論とかもありますけど。それもまた1つのコミュニケーション。

いしたに 清濁両方あって当たり前ですからね。

徳力 だから、企業担当者の人は、そのコミュニケーションの場とかコミュニティに入っていくという感覚でやらないと、間違いを犯しやすいと思うんですよね。

いしたに 「ブログを書く」というよりも、「ブログに参加する」ということですね。

徳力 そうですね。もっと言うと「会話に参加する」で良いのかもしれません。だから、個人的にカンバセーショナルマーケティングという言葉が好きなんです。クチコミマーケティングって、いかにも「クチコミさせよう」っていうイメージが強いんですよね。

いしたに クチコミさせようとしたって、そんなの無理ですからね(笑)

徳力 ブログが自然な会話の場だとすると、そこに無理矢理クチコミを生もうとすることがやっぱりおかしいんですよ。居酒屋で会話しているサラリーマンのところに、タバコ持って売り込む感覚ですから。

いしたに ああ、タバコもってお姉さんがテーブルを回るやつですね。

徳力 凄い違和感あるじゃないですか。

いしたに あるある(笑)

徳力 会話がすごく盛り上がってたのに、いきなり割り込んできて。

いしたに それはいいたとえですね。

徳力 そこはやっぱり相当ちゃんと考えて割り込まないと駄目ですよね。ブログをメディアとして捉えると、その辺を間違えてしまうんじゃないかと思ったりします。

いしたに そういう意味では単体のブログだけみていてもダメですよね。

徳力 と思いますね。どうしても、私自身がアルファブロガーという言葉の片棒をかついでしまったので、そう言う意味では辛いのですが。

いしたに 片棒だけですか(笑)

徳力 たくさんのブログが共鳴、連動して反応するから結果的に大きな影響力が出るのであって、1つ1つのブログだけを取り出して、雑誌のように取り扱うのは、やっぱりちょっと無理があるように思います。「Gizmodo」のようにメディア的なブログならまだいいですけどね。

画面キャプチャー
Gizmodo

いしたに やっぱり、「コミュニケーション→コミュニティ」ですね。

徳力 そう思います。

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