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「除外キーワード」判決の影響で検索連動型広告での商標の扱いが変わる?

願わくは、この投稿がSEOmoz読者各位の御意にかないますように。

先日フロリダ州の連邦地裁が出した「除外キーワード(対象外キーワード)」に関する命令を巡り、ちょっとした騒動があったの。

無理もないことだけれど、多くのSEOおよびSEM業者は、その命令のせいで、キーワード広告において競合相手の商標に入札できなくなるのではないかと心配しているわ。

Ars Technicaというニュースサイトは、「『除外キーワード』命令が検索広告に及ぼし得る少なからぬ影響」という見出しで記事を掲載したわ。それから、Search Engine Watch.comもその判決に強い懸念を表明し、これを「危険な先例」だと表現してみせたの。おお、怖い!

そこで私は、この判決がそこまで極端なものではなく、キーワード広告にとって悪材料になる可能性が低いことを、検索業界の人たちにはっきりと示してあげたいと思ったの。

では、さっそく見ていきましょうか。

訴訟の経緯

オリオン・バンク 対 オリオン・レジデンシャル・ファイナンス訴訟(Orion Bancorp Inc. v. Orion Residential Finance、No. 07-cv-1753、フロリダ州中部連邦地裁、2008年3月25日)では、オリオン・バンクが競合のオリオン・レジデンシャル・ファイナンスを提訴したの。

社名と業種が近いところを見れば、訴訟の内容は概ね想像がつくわね。そう、商標侵害訴訟よ。

オリオン・バンクは、オリオン・レジデンシャル・ファイナンスを登録商標侵害で訴えたわけ。オリオン・バンクは「ORION」「ORION BANK」「ORION BANCORP」の3つについて商標権を持っているわ。一方のオリオン・レジデンシャル・ファイナンスは、オリオン・バンクにあまりによく似ているし、おまけに、業界も重なっている。

というわけで、オリオン・バンクはオリオン・レジデンシャル・ファイナンスに対し、商標の使用差し止めと、いくばくかの損害賠償を求めたの。

もちろんオリオン・バンクは、商標の使用許可をオリオン・レジデンシャル・ファイナンスに与えたりはしなかったわ。すぐさまオリオン・レジデンシャル・ファイナンスとの和解交渉に入ったの。両社は約半年にわたって交渉を進め、合意に達したわ。判事が署名した判決文は、実のところ、両社が作成し、お互いに納得した上で受け入れた合意文書だったの。

判決文の内容

ご想像どおり、判決文は基本的に、今後オリオン・レジデンシャル・ファイナンスは、自社事業を特定する言葉として「Orion」を用いることができないとしているわ。

この種の判決では、被告があらゆる種類の従来メディアにおいて、問題の名前の使用を禁じるのが一般的なの。ただ、今回の事例で唯一異なるのは、両社合意の内容の中に、キーワード広告に関する条項を盛り込んだこと。中でも、この判決は被告に次のような行為を禁じたの。

(被告は)インターネット広告において、原告の商標あるいは混乱を招く可能性のある類似商標を含むキーワードまたは「アドワード」を用いたいかなる形式の広告も、一切購入もしくは使用してはならない。また、キーワード、アドワード、あるいはそれに類するものを用いたインターネット広告を購入する際、購入あるいは利用するすべてのインターネット広告において、「Orion」なる単語を除外キーワードあるいは除外アドワードとして指定しなければならない。

(中略)

本判決文において、「除外キーワード」あるいは「除外アドワード」とは、広告主が用いる特殊なキーワードマッチングオプションであって、ある特定の語がインターネット検索または検索文字列に表われた際に、当該広告主の広告を表示しないよう指定する語を意味する。これは、被告がそれ以外の目的において、当該の単語を除外キーワードあるいは除外アドワードとしての使用することが可能であると示唆するものではない。

※Web担編注 判決文中の「アドワード」は、グーグルのアドワーズ広告を指すのではなく、「広告に使用する語句」といった意味の普通名詞として使われているようである。「キーワード」と並置されていること、「広告に含まれる」と述べられていること、「除外アドワード」という表現が使われていることなどから、ここでは、アドワーズ広告ではなく一般的な意味として扱った。

この判決がインターネットにマイナスの影響を及ぼさないと言える根拠

第1の根拠

この判決文は、今後一切、競合相手同士が互いの商標に入札できないとしたものではない。それどころか、それとは程遠い内容なのよ。

このような命令が出た理由はただ1つだけ。競合企業同士が混乱を招きそうなほど類似した社名を持っていて、一方のみが商標を有していたから。言い換えると、仮にオリオン・バンクがロブスター・レジデンシャル・ファイナンス社に対して同じ訴訟を起こしたとしても、裁判所は今回のような命令を決して出さなかったはずよ(それに両社も決して合意しなかったはず)。

裁判所は、キーワード広告だけを問題として扱った訳ではないの。というより、今後、オリオン・レジデンシャル・ファイナンスは混乱を招きかねないほどオリオン・バンクと似通った単語を商業的に使用できない、という点について両社が合意したというわけ。

第2の根拠

元々の申し立てが、相手の名前を特定しない被告を含んでいたものだったことから、この判決文はオリオン・レジデンシャル・ファイナンス以外の会社にも適用し得るという見方もあったわ。

けれども、そんなことが起きるなんて心配は無用。なぜなら、まず裁判では氏名不詳の被告が除外されたから。そして判決文には、氏名不詳の被告ではなく、オリオン・レジデンシャル・ファイナンスに適用と明示してあるから。

第3の根拠

この判決が、グーグルのキーワード広告および商標に関するポリシーに何らかの影響を及ぼすのでは、とか、規制が厳しくなってグーグルも巻き込まれるのでは、という懸念があったわ。

でも、いい知らせよ。「登録商標を広告コピーで使用しない限り、競合同士が互いの商標に入札してもかまわない」とする米国におけるグーグルの現行ポリシーに、今回の判決は何ら影響を及ぼさないの。

今回の判決は、当事者たる両社間でのみ有効なもの。つまりオリオン・バンクは、グーグルがこの命令に違反したと主張し、グーグルを法廷に引き出すことはできないということなの。オリオン・バンクに与えられる選択肢は、オリオン・レジデンシャル・ファイナンスを法廷に引き出して、法的に禁止措置を求めることだけ。だから、この判決によってグーグルに火の粉が降りかかることはないだろうと私は確信しているわ。

結論

早い話、今回の訴訟では、競合相手の商標に入札する行為が商標侵害に当たるかどうか、という興味深い議論まで踏み込まなかった。

というより、今回はただ単に、A社の社名がB社の社名を侵害していれば、A社は社名を変更しなければならない、ということを確認したに過ぎないのよ。

今回の訴訟で興味深かったのは、エリック・ゴールドマン氏が指摘しているように、双方の弁護士と判事がキーワード広告の仕組みをよく理解していたらしいことだわね。これこそニュースの価値あり!、なところよ。

この記事で、今回の訴訟とそれが業界に及ぼす潜在的影響について誤解が解けますように。

それでは、ごきげんよう。
サラ

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