グーグルの「アドワーズ広告」が10周年、日本初の広告主は“はんこ屋”

米国でのサービス開始から2010年10月で10周年のアドワーズの歩み

2000年10月に米国でサービスを開始したグーグルの検索連動型広告「Google AdWords(アドワーズ)」が10周年を迎え、グーグルは10月7日に都内で記者発表を行った。発表では、米グーグルの製品管理部門ディレクター ニック・フォックス氏と、執行役員 オンラインビジネス ソリューション 本部長の王子田 克樹氏が、アドワーズの理念や歩み、日本での活用例などを話した。

米グーグル 製品管理部門ディレクター ニック・フォックス氏

今回、日本市場の理解を深め、より良いサービスを日本の検索ユーザーや広告主に提供する方法を学ぶために来日しているというフォックス氏は、アドワーズがどのような理念のもとで進化してきたのかを話した。エンジニアと営業が議論を積み重ね、現在の形となったアドワーズだが、サービス当初は、従来の広告手法を根本的に変えるということで、社内外でさまざまな議論を呼んだという。そうしたなかで、原則としてあったのは次の6つの理念だ。

  1. 広告は邪魔になるものではなく有益なもの
  2. あらゆる規模のビジネスに対応
  3. 価格はオークションによって決定
  4. ユーザーの意見を広告に反映
  5. 実験、試験、調整
  6. 広告はウェブとともに進化
アドワーズの歴史

98年頃のインターネットでは、ポップアップ広告が主流で、その内容は必ずしもユーザーに気持ちの良いものではなかったと話すフォックス氏。グーグルのミッションとして、「あらゆる情報を整理して世界中の人が利用できるようにすること」があるのは有名だが、この理念をアドワーズにもあてはめたという。キーワードに関連する広告を表示することで、ユーザーの興味にあった有益な情報を、検索結果だけでなく、広告からも入手できるようにしたのだ。

規模を問わず、企業でも個人でも利用できるアドワーズだが、世界で初めて利用したのは、米国のロブスターの通販会社だったという。この通販会社は、これまで広告をだしたことはなかったが、アドワーズのリンクを掲載してすぐに申し込みがあり、決め手はリビングからも登録できる使いやすさだったという。現在、広告主の数が100万社を超えるまでに成長しているというアドワーズだが、成長のポイントはセルフサービスであるとフォックス氏は話す。

オークションによって価格が決定するアドワーズだが、入札価格が高い広告主が優先されるわけではない。デジタルカメラと検索した場合に、きちんとデジタルカメラの広告が表示されるように、ユーザーの意見を反映するシステムとして作られたのが品質スコアだとフォックス氏は話す。また、「ユーザーが何に興味をもっているか、一番顕著にあらわれるのが検索キーワードで、これ以上、ユーザーの興味を示すものはない」と、アドワーズの優位性を話した。

現在のアドワーズのシステムは、実験や試験、調整を日々行っており、10年前と比べて大きく変わってきているという。たとえば、現在のブルーのリンク色は、50回を経て落ち着いたものだという。また、検索結果の一番下に広告を表示するスタイルは、日本では好評だが、米国では芳しくなく、現在は日本のみ実装されているスタイルだという。なお、日本ではつい最近、広告の文字数が増加されたが、こうした変更も、実験の結果、広告のクリック率やコンバージョン率の改善が得られたからだという。

また、「検索は日々進化している。グローバルでも日本でも、広告主、ユーザーのみなさまにより優れた広告を表示できるように革新を続けている」と、動画、地図、モバイルなど、Webの進化とともに、アドワーズも常に革新を求めていることを話した。

日本初の広告主は「はんこ屋」

グーグル 執行役員 オンラインビジネス ソリューション 本部長 王子田 克樹氏

王子田氏は、日本の市場でのアドワーズ活用例を紹介。2002年に日本で開始したアドワーズの初めての利用者は、はんこ屋であり、同業者が次々と使い始めたのが日本での始まりだったという。また、王子田氏は、アドワーズが目指すのは、「大きな企業と小さな企業が、インターネットの世界で台頭に戦える環境を提供すること」と話し、最新テクノロジーを活用した老舗「せんべい屋」、地域に密着した「カギ屋」、地域から全国、日本から海外へとビジネスを拡大する企業の事例など、小さな企業でのアドワーズ活用例をいくつか紹介した。

日本でのサービス開始から8年が経過したアドワーズ。広告主の数は2009年上半期から2010年上半期までに40%増えており、現在も順調に力強く伸びていると話す王子田氏は、最後に「これからも、アドワーズは新しい環境のなかで新しい機能を提供し続けていきます。広告主の方々にとって意味のある広告ソリューションとして、ビジネス拡大に貢献できればと考えています」と、アドワーズの今後を語った。

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