数年前からGoogleは、「サイトリンク」機能を複数回にわたって更新してきた。サイトリンク機能というのは、あるドメイン名上のページを視覚的にわかりやすくまとめたもので、通常はブランド名や会社名など、特定の行き先を求める検索を実行した場合に、検索結果の先頭項目にプラスアルファのリンク先として表示される。
最近の更新で、このサイトリンク機能では最大8件までの内部リンクをセットで表示し、さらに「該当ドメイン名からの検索結果」というリンクも同時に表示するようになった。
このように、ある検索結果の下にサイト内の別ページを表示し、従来ならば下位順位の検索結果が出ていた場所を占めることで、実質そのサイトあるいはブランドが、該当の検索結果を独占することになる。
たとえば、Googleで「Web担当者」を検索した結果を例として見てみよう。
自分のブランドが検索対象の場合、これは実に美味しい話だが、サイトリンク表示は一般的なものではないし、完全に理に適ったやり方で適用されるわけでもない。そこには、合理性から外れたことや奇妙なことがいくつもあって、サイトリンク表示を行う(あるいは行わない)特別な理由を列挙するのは難しい。この問題をわかりやすくするために、いくつか例を示そう。
まずは、いくつか基本的なところから始める。次に示したのは、サイトリンク表示が出ることが予測できない検索だったかもしれない例だが、現れたサイトリンク表示は、少なくとも大いに理に適っている。
「seobook」というクエリなら、アーロン・ウォール氏のSEOBookにサイトリンク表示が付くのは、まあ当然のことだろう。しかし、より広範な一般的クエリ「seo book」(スペースを追加したもの)でも、同様にSEOBookのサイトリンク表示が出てくるのは、おまけの旨みだと言える。
こうした状況から、だれもが非常に価値の高い2単語ないしは3単語の組み合わせの検索を前提に、企業名やブランド名やドメイン名を作ろうとするのは間違いない。
次は「movie database(映画 データベース)」による検索だ。この検索は、それほど頻出するものではないが、僕らの検索結果(seomoz)よりは一般的だ。
もちろん、このクエリでIMDb(インターネット映画データベース)がサイトリンク表示を得るのは、それほど意外なことではない。しかしこれは、SEO Bookの例で示したのと同じような形で、いかにしてより一般的なクエリを自分のブランドに引き込むことができるのかを示している。
さて次に、上記の例に比べてサイトリンク表示を行う意図が多少不明の例を2つ紹介しよう。
「seo expert」で1位に表示されるBrad Fallonはたしかに、オンラインでリンクを張ったり言及したりして、自分自身を「SEO Expert」としてブランド化することに成功した。この例から、たとえ自分のブランドやドメイン名が複数語に分かれた名前だったとしても、その複数語をセットにした言及が十分にあれば、関連する語に応じてサイトリンク表示を得られる可能性があることを如実に示す例だ(少なくともこれは僕の解釈)。
同様に、「The Times」の検索では、TheTimesOnline.co.ukが検索結果として現れ、「the」のように通常は無視する単語でも、それがクエリに関係していれば、いかにGoogleがその単語を考慮に入れるのかがわかる。非常に多くの新聞が過去1世紀半もの間にわたって、自分たちを「The Times」として位置づけようとしてきたことから、これはTimesのブランド力にも影響を及ぼす。
次に示すのは、まったく奇妙な例だ…。
おもしろいだろ? CNNこそ「news」であるとでも言わんばかりの扱いっぷりだ。Googleにとって、キーワードとブランドの見分けはつかないんだ。
正直な話、僕はこれこそすべての先進的SEOにとって、「究極の目標」の1つであるべきだと思う。すなわち、最も広範かつ最も一般的なキーワードによる検索結果において、クライアントのドメイン名がサイトリンク付きで表示されるような状態に持って行くことだ。ここまでくると、支配性と所有性ともにおよそ太刀打ちできないレベルになる。
じゃあ、これはどうかな?
こうした離れ業を成し遂げるのに、大手ブランドである必要はない。「Maui Honeymoon Packages(マウイ 新婚旅行 パッケージ)」というキーワードによる検索は非常に広範な上、ブランドを示そうという意図もない。それにもかかわらず、unforgettablehoneymoons.comがサイトリンク付きで検索クエリを支配している(実を言うと、ここと競合するTheBigDay.comはSEOmozのクライアントなんだ)。
最後に、予想を大きく裏切るかもしれない非合理的な例をいくつか取り上げてみたい。
Googleの表示設定で表示言語が日本語になっていると、「ebay」の検索でサイトリンクが表示され、「ge」の検索ではGeneral Electric in Japanが1位に表示されてサイトリンクが表示される。
GEとeBayはどちらも、世界最大のブランドの1つだ。しかしいずれも場合も、サイトリンク表示が付いていない。
それって株価情報リンク(「Stock quote for~」というリンク)が付いているためじゃないのか、と思うなら、もう一度よく考えてみてほしい。Microsoft、Yahoo!、News Corp、ホンダなど、両方とも表示するサイトはいくらでもある。なぜGoogleは、上記のサイトを例外的に扱うのだろうか? 正直なところ、僕にはうまい答が見つからない。
これは僕の推測なんだが、おそらくこれらのサイトには、重要な内部のページよりむしろ、サブドメイン名の使い方に関係する何かがあるのだと思う。あるいは、これらのサイトがGoogleウェブマスターセントラルのコンソール使って、すべての重要な内部ページをサイトリンクとして表示させないようにしたのかもしれない。しかし、これらはいずれも何ら根拠のない推測に過ぎない。
以上をまとめると、ブランドを指すクエリを支配するにあたり、サイトリンク表示は大きな要素で、扱い方を知っているSEOにとって、すばらしいツールだということは明らかだ。
以下に、「最も妥当と思われる推測」に基づき、サイトリンク表示を獲得する可能性に影響しそうな要因を改めていくつかリストアップしておこう。ただし、これらは正式なものではなく、なぜそうなるのかをきちんと示せるテストを行ったわけでもない。
- ドメイン名の権威と信頼性(主にリンクと、おそらくはなんらかの運営年数的要素を基準にしたもの)。
- ブランド名検索クエリの量。
- 高いページランクを複数獲得しているか否か。内部ページに対する検索が数多く行われているか否か。
- 相当量のドメイン名トラフィックがあるかどうか(ツールバーユーザーなどのデータを通じて計測したもの)。
- ウェブに存在するページ全体における、ブランドやドメイン名への言及の数。
- リンクの増加傾向(該当サイトに対するリンクが、常時増えているか、あるいは突発的で定常性のない増え方をしているか)。
さて、今夜はビギナーズガイド改訂版をもう1セクション書くつもりだったんだけど、半分ほど書き終えた(40分ほどかかった)ところで、うっかり保存し損ねてしまい、心がぼっきり折れちゃって書き直す気になれなかった。これを教訓にして、みんなも記事の保存を常に心がけるように!
追伸:最近、Graywolfもサイトリンク表示について優れた記事を書いていたことに気がつくべきだった。
ソーシャルもやってます!