アクセス向上99のワザ

#00 アクセス向上の昔と今、そして未来――橋本大也のアクセス向上委員会[特別版]

[特別編]

続いていれば今年で10歳の大人気ML
「アクセス向上委員会」元管理人が語る

アクセス向上の昔と今、そして未来

ちょうど10年前、インターネットが本格的に商用利用され始めた1997年に、「アクセス向上委員会」というメーリングリストが生まれた。当時も今も、アクセス数アップが多くの人にとっての関心事であることに変わりはない。しかし、その中身、そしてウェブサイトを取り巻く周辺事情は大きく変わった。

text:橋本 大也(元アクセス向上委員会 代表管理人)

10年たっても変わらぬテーマ

1990年代の後半に私は「アクセス向上委員会」というネットコミュニティを運営していた(2001年ごろ終了)。どうしたらウェブのアクセスの量と質を高められるかを情報交換するネットマーケティングのさきがけコミュニティだった。

ウェブマスター1200人が参加する活気のあるメーリングリストと、書籍にもなった「アクセス向上100の方法」というノウハウ集約サイト、そして読者3万人のメールマガジン「アクセス向上通信」の3つのメディアでアクセス向上の方法論を追っていた。

今もYahoo! JAPANのディレクトリには「ホームページ作成>アクセス向上」というディレクトリがあるが、このカテゴリ名はアクセス向上委員会から取ったものだと、ヤフーのスタッフから後年に聞いた。

アクセス向上委員会の設立から来年で10年。アクセスを増やすためのあの手、この手は10年間で毎年のように中心テーマが移り変わってきた。ここではウェブマーケティングのテクノロジーとマーケティングの歴史として、ウェブマスターたちの関心のトレンドを年表形式でまとめてみた。

アクセス向上の10年史

  • 1996年 ● ホームページの立ち上げの時代

    前年のWindows 95発売と民間接続プロバイダの発足により、インターネット接続人口が増えた。ウェブの新着サイトを紹介するNTT Directoryには新しく開始されたウェブサイトの情報が掲載されていた。この時期はホームページを立ち上げることが重要で、HTMLのコーディングやサーバーの設定方法自体が主な話題であった。

  • 1997年 ● サイト同士の相互紹介の時代

    アクセス向上委員会を開始した97年ごろはウェブマーケティングの黎明期だった。ウェブを見てもらうための努力というと、相互リンクの申し込みやBBSへの地道な書き込みなど、草の根からのアプローチが主流だった。ウェブ全体を1人の人間が見渡せる規模であり大きなメディアの数がまだ限られていたので、効果的な宣伝媒体がなかった。検索エンジンやポータルサイトも、今ほどには整備されていなかったので、サイト運営者同士のつながりが大切だった。

  • 1998年 ● 検索エンジンへの登録の時代

    ポータルサイトとして力を持ち始めたヤフージャパンのディレクトリにどうしたら自分のサイトを登録してもらえるか、ということが大きな話題になった。草の根の宣伝努力ではなく、大きなメディアをアクセス向上にどう使うかに関心が集まる。懸賞サイト経由でのアクセスを集めるために懸賞キャンペーンが花盛りになった。

  • 1999年 ● メールマガジンの時代

    メールマガジン配信サービスのまぐまぐが法人化。1万種類を超えるメールマガジンが発行された。ウェブの読者の囲い込みや会員化のツールとして、個人、企業のメールマガジンが増殖した。投稿型ホームページ紹介メールマガジンの「FIRST NEWS」は、無料で宣伝できる強力な集客媒体としてウェブマスターの間で人気があった。メルマガ広告も本格化した。

  • 2000年 ● 無料サービスの時代

    ドットコムバブルの勢いもあって、企業がパソコンをネットで無料配布したり、本来は有料コンテンツだったものを無料化したりと、なんでも“無料”で集客する戦略が話題になった。無料のクルマや無料の家まで登場したが、バブル崩壊とともに急激に衰退。きちんとビジネスモデルを考えなければサービスは持続しないという当たり前を皆が再認識させられることにもなった。

  • 2001年 ● 検索エンジン最適化の時代

    この年8月に日本法人のグーグル株式会社が設立される。ヤフーとグーグル2つの全文検索エンジンで上位表示される方法について熱い議論が始まる。SEO(検索エンジン最適化)の専門会社も世界中で次々に誕生した。「ページランク」をウェブマスターが意識し始めた。

  • 2002年 ● モバイルメディアの時代

    このネットバブル崩壊による低迷期にあっても、成長していたのが携帯電話や無線LANの市場。PC版ウェブの携帯対応によってアクセス向上を狙うプレイヤーが増えた。モバイル広告代理店の設立も続いた。PC以外からのアクセスを集めるための方法の模索の年であった。

  • 2003年 ● コンテンツマッチ広告の時代

    グーグルがアドセンスのサービスを開始。個人サイトはお小遣い稼ぎとして、企業サイトは収入源及び広告媒体として、コンテンツマッチ広告や検索連動型広告に注目し、いかに効率のいいキーワードを選ぶかが話題になった。

  • 2004年 ● ブログの時代

    日本でもブログブームが本格化。ブラウザとしてのRSSリーダー対応、トラックバックによる集客、ブログ検索エンジン対策など、アクセス向上技術が広がりを見せた。ポータルサイトから人を呼び込むという大きな動線だけでなく、クチコミによるロングテールな集客は、新しいクチコミ時代の幕開けを告げた。

  • 2005年 ● ソーシャルメディアの時代

    はてなブックマークやミクシイなどコミュニティによる集合知が、検索に続くポータルになる可能性を感じさせた。これらはソーシャルメディアと呼ばれて、クチコミの新形態を確立した。その流れの中でアルファブロガーと呼ばれるインフルエンサーにも注目が集まった。

  • 2006年 ● クロスメディアの時代

    YouTube、Gyaoなど動画コンテンツが話題になった。地上波テレビ局がネット対応に力を入れるなど放送と通信の融合、マスメディアとソーシャルメディアの融合といったクロスメディア戦略が、オンラインプロモーションの中心テーマになった。Web 2.0ブームによりユーザー参加のインタラクティビティもマーケティングに必須の要素となった。

2007年のアクセス向上キーワード予想
「それから」マーケティング?

10年の歳月を経てさらにそのセンスに磨きがかかった大也氏は、現在メタキャスト 取締役兼COO/データセクション 代表取締役。アクセス向上委員会は活動を休止したが、大也氏は舞台をメーリングリストやメールマガジンからブログやビジネスシーンに変えて多方面で活躍中だ。

では、2007年以降はどんなアクセス向上のテーマが現れるだろうか。

10年間の流れを踏まえて、元祖アクセス向上委員会管理人として次のように予想してみる。アクセス向上の方法論は今も昔も大きく3つに分類できる。これは10年前に「アクセスを増やすホームページ革命術」という本を書いたときに考えたフレームだ。

  1. 新規訪問者の開拓
  2. 訪問一回あたりのページビューの向上
  3. 訪問頻度の向上

1の新規訪問者の開拓は、これまで広告プロモーションやサーチエンジン最適化など“外部”に依存する他力本願要素が強かった。しかし、近年はWeb 2.0サービスの充実で、集合知の仕組みが成熟して、価値あるコンテンツは宣伝しなくても、自然にコミュニティの話題にのぼりやすくなってきた。物を売るサービスの場合にも広告よりクチコミ経由の方が販売に結びつきやすい。ユーザー同士のコミュニケーションこそ最大の集客源となった印象がある。

これからは、23の要素の強化が重要になる。訪問あたりのページビューや再訪問率の向上である。常に新しい情報の追加や更新があること、ユーザーに更新を見逃したくない気持ちがあることが、そうしたサイトの基本条件である。それはソーシャルメディアが急速に伸びた理由でもあった。

ユーザーは自分の書き込みにどんな反響があったか確認したい。そう思ってまた見にくる。誰かの返信にまた返信する。そうして蓄積されるログが、検索エンジンやソーシャルブックマークからの新規の集客を加速する。今の勝ち組パターンのサイトの賑わいはそうして発生した。1ではなくて、23こそ肝なのである。もはやSEOのテクニックや広告出稿ノウハウだけでは人気サイトは作れないということでもある。

掲示板でもニュースでもブログでも最初の接触の後、すなわち「それから」がどうなったかを知りたいと思わせるサイトに人気が集まっているとも言える。「それから」こそ人気コンテンツなのだ。この傾向は、検索やメタデータのテクノロジーの進歩によって、「それから」の追跡が容易になり、一層強化されるのではないかと考えている。

この記事は、特集「アクセス向上99のワザ」向けに執筆された、本誌の人気連載コラム「アクセス向上委員会」の特別編です。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.4』 掲載の記事です。

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