検索エンジンの上位表示を狙ってアクセス数アップ!
本誌の読者ならばSEOに関して相当詳しく理解して実践していることだろう。しかし、改めてSEOの基本を理解しておくことも大切だ。
SEOとは「検索エンジン最適化」(Search Engine Optimization)のこと。検索エンジンで検索したときに、検索結果で自分のウェブサイトの表示順位をより上位に押し上げるためのマーケティング上のテクニックだ。検索結果の上位に表示されるものほど、より多くのユーザーの目に留まりクリックされることは明らかなので、SEOのアクセスアップに対する効果は非常に大きい。
SEOの対象とする検索エンジンは、日本でよく使われている順に、ヤフー、グーグル、そして余力があればMSN(Liveサーチ)を選ぶのが一般的だ。オプトとクロス・マーケティングが2006年4月に発表した「検索エンジン利用状況実態調査」では、国内検索エンジンのシェアはヤフーが59%、グーグルが25%、MSNが4%という統計が出ている。
まずはサイトのキーワードの再考から
SEOのテクニックを実施する前に、順位を上げたいと思っている今のキーワードが適切なものかどうかを改めて見直そう。自分が考える「人はこのキーワードで探すだろう」という推測が、単なる思い込みである場合も少なくはない。可能なら、顧客となりそうなユーザーの挙動を調べてみるといい。p.37で紹介している、キーワードごとの人気度が調べられるツールも使ってみよう。
単純に人気の高いキーワードを選ぶと、競合が多いのでSEOを行ってもなかなか上位にならないということが起こる。その場合、複数キーワードを使ったSEOで対象範囲を絞ったり、まだ知られていないキーワードを探したりといったことも重要となる。
12基本は1つのページに1つのキーワード
1つのページに対して2つのキーワードで上位に表示させるというのは、狙わないほうがいい。売り込みたいキーワードが複数あれば、それぞれのキーワードを適したページを複数作るのがいいだろう(ここで言うキーワードは、複数単語での検索を対象にする場合は、その複数単語の組のことを指す)。
SEOは「外部」と「内部」の2つ
SEOは、大きく2つに分けられる。1つ目は、自分のサイト内でのURLやページ内の構成によるもの(「内部要因」と呼ばれる)。もう1つは、他のサイトからどのようにリンクされているかというもの(「外部要因」と呼ばれる)だ。
一般的には、ヤフーの検索エンジンであるYST(Yahoo! Search Technology)は比較的内部要因を重視し、グーグルは外部要因を重視していると言われている。ヤフーとグーグルのどちらをより重視するかによって、優先すべき対策も決まる。
ここでは、それぞれに対する代表的なSEOの手法とその意味を紹介する(特に効果が高いものを中心に取り上げたが、もちろんこの他にもさまざまなやり方がある)。
内部要因に属する最適化手法
内部要因に属する手法は、どのようにサイトやページを作ると検索エンジンからコンテンツやキーワードが見つかりやすくなるかというもの。検索エンジンに「どのキーワードが自分のページが伝えたいキーワードか」を伝えるために気をつけるべき内容で、おもにウェブ制作担当者が知っておくべき項目だ。
●ページ
13<title>にキーワードを入れる
→被リンク時の外部要因にも影響14<meta description>に簡潔なページの説明を入れる
→YSTが参考にする15<meta keyword>に10個以下のキーワードを入れる
→多すぎたり、関係の薄い単語まで入れると逆効果16<h1> <h2> <h3>などを本来の用法の見出しとして使う
→文章全体の階層構造を作る17<h1>タグは1ページに1つ。<body>のできるだけすぐ後、<h2>よりも前に書く
→文章全体の階層構造を作るように18<title>や<h1><h2>などの見出しタグの内容から、無関係なテキストを減らす
→キーワードとの関連性を高める19<strong>や<em>でキーワードを強調する
→どれが重要なキーワードかを検索エンジンに伝える20キーワードが複数語の場合、離さずに並べて書く
→複数キーワードで検索されるときに影響する21ページのサイズは100Kバイト以下にする
→大きすぎるページは最後まで見られない22コンテンツのキーワード登場率を適度に上げる
→5%前後から始めて調整。ただし絶対的に正しい比率があるわけではない23キーワードに関連深いコンテンツはページの最初の方に置く
→最初のコンテンツは重要視される24FlashやJavaScriptによるメニュー、ナビゲーション、リンクを排除する
→プログラムがたどれるリンク構造が重要25ページ間の移動はJavaScriptではなく<a>タグで
→プログラムがたどれるリンク構造が重要26テーブルレイアウトよりCSSレイアウト
→パフォーマンスにも効果27トップページから4~5クリック以上が必要な「遠い」ページを減らす構成にする
→無視されるページを減らす28ページ中のリンク個数を100個以下にする
→多すぎると無視される29<img>タグにはaltで代替テキストを入れる
→画像を表すキーワードにも価値がある30テーブルを何階層も多用したレイアウトを行わない
→ロボットがたどるのに大変な構成は避ける
●URL
31URL中のパラメータ(「?」以降のコンテンツに応じて変化する文字列)を1個程度にとどめる
→ロボットに無視されないように32URLの中(ドメイン名、ディレクトリ名、ファイル名)にキーワードを入れる
→数値やランダムな文字列ではもったいない33URL中のキーワードは、アンダースコア(_)ではなくハイフン(-)で分ける
→キーワードを英単語として認識してもらうために
●サイト構造
34sitemapでページの存在を知らせる
→リンクを辿らせる以外にもページの存在を知らせる(sitemapは、Googleだけでなく、YST、Liveサーチでも参照される規格となった)35検索エンジンのロボットからのアクセスをブロックしない
→設定ミスで検索エンジンから見えなくなる事故も起こっている36ログインしなくてもコンテンツにアクセスできるようにする
→コンテンツの存在が知られること自体に問題がなければこんな手も37ページデザインでフレームを使わない
→検索エンジンは複数フレームをひとまとまりのものと認識してくれない38誤ったrobot.txtを設置しない
→ロボットがたどれないのは致命的39リダイレクトの方法には注意する
→HTTPステータスコード301で転送40リンク切れはなくす
→リンク切れもロボットの巡回に悪影響41サイトはできるだけ早く公開し、検索エンジンに登録しておく
→登録から日が経っていないドメインは信頼度が下がるため
外部要因の最適化手法
外部要因に属する手法は、インターネット上の他のサイトやページから、どのように参照してもらうかというもの。どの検索エンジンも多かれ少なかれ「人気のあるサイト、権威のあるサイトからのリンク」を見ることで、あなたのページの重要度を判定している。他のサイトからリンクを張ってもらうときに気をつけるべき内容で、おもに広報担当者が知っておくべき項目だ。
●リンク元ページ
42リンクしてもらうときのテキストに、検索キーワードが入るように
→リンク元のリンクテキストをどうするかもある程度までは制御できる(内部要因の<title>の内容が、ここでも重要になる)43自分のページのキーワード、リンクしてもらうテキストと関連の深いコンテンツのページからリンクしてもらう
→無関係なジャンルからリンクされても効果は低い44リンクしてもらったページ内にあるリンク数が100個を越えないことを確認する
→多すぎるとロボットはたどって来ないかもしれない45リンクしてもらったら<a>タグに「rel="nofollow"」が付いていないことを確認する
→これが付いているとリンク効果がなくなる46リンクしてもらったらJavasScriptで表示されたリンクではないことを確認する
→JavaScriptによるリンクは効果がないと思ったほうがいい47イメージでリンクをしてもらうときは、イメージのalt属性でテキストを付加してもらう
→リンクとキーワードの関連性を付けてもらう
●ディレクトリ型検索エンジン、リンク集、ソーシャルメディア
48Yahoo!ディレクトリへ登録する
→登録ページはロボット検索でも高く評価される49Open Directory(dmoz)へ登録する
→被リンクが増える50リンクを貼ってもらえるコンテンツを作る
→便利なもの(リンク集やまとめサイト)、専門性の高いもの、用語解説、ニュース解説や考察など。ブログやWikiを利用したり、ソーシャル系サービスで言及されたりするものを作る。
順位決定の仕組みは日々進化し続ける
SEOの歴史は、検索エンジンの裏をかいて順位を異常に押し上げようという「SEOスパム」が現れ、検索エンジン側ではそれを見破る対策を実施するということの繰り返しだ。そのため、過去に問題のなかった手法でも、検索エンジンの改良によって不正な対策と判断されてしまうようになり、順位が下がったり登録から消えたりすることもある。変化に対応し続ける自信がなかったり作業が負担になったりする場合は、素直に予算を確保してSEOのプロに頼むのも1つの手だ。
「正しいSEO」かどうかの判断基準は、その対策が「本来あなたのページを見に来るべき人にちゃんと伝える」ためのものなのか、「あなたのページを見ても利益のない人をも無理やり呼び込む」ようなものなのかどうかだ。最終的には、検索エンジン向けではなく、サイトの潜在顧客のためになるサイト作りこそが、時間が経っても変わることのない王道のSEOだといえる。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.4』 掲載の記事です。
ソーシャルもやってます!