業界人間ベム

SGO(ソーシャルグラフオプティマイゼーション)

15 years 5ヶ月 ago

 最近、SGOというワードをよく聴くようになった。特にfacebookのPVがgoogleのクエリーを超えたの超えないのっていう話から、検索の最適化じゃなくて、ソーシャルメディアでの最適化なんだという議論のようだ。
 しかし、「AISAS」でいうと、Sはふたつあるので、どっちも最適化が必要ってことではないかと思うが、検索だけなく情報との遭遇にソーシャルメディアが活躍する状況は自分自身でも強く体感する。で、このブログでも何回かSMO(ソーシャルメディアオプティマイゼーション)の概念を紹介しているが、SMOとSGOは何が違うのか、社内で議論してみた。どうもそもそもSMOという概念はあまり普及せず、ソーシャルグラフといういい方で、伝播力のあるキーマン(つまりキーワードからキーマンみたいなパラダイムシフトっぽく語りたいのかな・・・。)、つまり人にフォーカスが当たる感じになっている。
 CGMといわれていたけど、UGCと言い換えられたりするのと似ている感じ。(これはメディアじゃなくて本質はコンテンツみたいに・・・。)
 
 SGOの概念をもっと活用できるものにするためには、ソーシャルテクノグラフのようなユーザー分析をもって、特定のブランドのターゲットに最適化されたキャンペーンを設計するということがあると思う。
 例えば、ソーシャルメディアを活用したキャンペーンの仕掛けを設計するとして、そのブランドのターゲットにとって「動画を撮ってアップロードして送ってください」みたいな施策がリテラシー的に無理があるということも考えられる。何でもかんでもソーシャルメディアさえ使えばいいってもんじゃない。

 そもそものところで云うと、フォロワーの多い人にRTさせることで伝播力の最適化を図るのも重要な要素だし、その信頼性の担保の仕方とか、おそらく凄く奥深いんだと思う。

もちろん従来の広告キャンペーン的な即効性、短期間で打ち上げ花火型は本来ソーシャルメディアの得意とするところではない。せっかく広告キャンペーンをやるなら、中長期のソーシャルメディア活用もプログラムして、コミュニケーション資産を蓄えていくのが、これからのマーケティングかもしれない。

 マーケティングサイドにとってSGOの目指すところは、まさにこれから定義されていく話だと思う。

サッカーにおけるデータマイニング

15 years 6ヶ月 ago

 今では、サッカーの試合での各選手の走破距離データや、動きの軌跡、トップスピードの測定など、様々なデータを取ることができるようになった。カメルーン戦では遠藤が一番、二番が本田とそれぞれ1試合で11キロ前後走破している。もちろん質の問題もあるが、まずは走り勝たないと、フィジカルに差がある日本選手に勝機は乏しい。
企業のマーケティング活動をWeb解析ツールなどを中核に、ダッシュボード化して最適化を測る「ダッシュボード戦略」を標榜し、かつサッカーの名門清水東高校が母校のベムとしては、サッカー競技におけるデータマイニングにはたいへん興味を覚える。
 さて、スポーツに関わるデータが実はこんなに取れるということを、7~8年前に知った。それはデータスタジアム社との出会いで、最初に見せてもらったのは今「データストライカー」というサービスになっているものだったと思う。実際の映像からデータを起こし、そのデータに意味づけして可視化するという手順だと思うが、最近は特定選手の動きをすべて自動的に(カメラ画像やレーザーセンサーを使っているらしい)トラッキングできる技術がどんどん出てきている。
 ベムの友人のサッカーの専門家の後藤さんの言だと、日本チームはまだ全然走ってないのだそうだ。つまり、味方がボールを奪って速攻をかけようという時に、誰も全速力で走ってないらしい。ここぞという時のゴール前にラッシュする迫力が足りないのだ。これは1試合で何キロ走ったからというデータに出てこない。
 また氏いわく、「もっと斜めに長い距離を走ればもっとチャンスはひろがる。例えば阿部が奪ったら、長谷部が右外へ、松井が中へ斜めに走る。右の一番外を駒野が駆け上がる。」と例を上げた。ただ「運動能力で劣る日本は、早いパス交換にシフトした。これが効果を発揮してアジアでは勝てるようになった。でもこのやり方は選手のプレーエリアを限定する方向に向かう。だから斜めに走るとチームのバランスが崩れて、ディフェンスができなくなる。」と指摘している。
 オシムの「考えて走るサッカー」は、もうひとつ上に行くためのサッカーだったかもしれないが、今に至っては分からずじまいだ。

 データから読み取れるのは、「現象」だが、それを知って「じゃあどうするか」を判断するために「ダッシュボード」はある。飛行機の操縦といっしょだ。サッカー競技のデータはたしかにひとりひとりの走破距離と軌跡は分かるが、お互いの連動性や瞬時のスピードアップがどのくらいできているかを局面で抽出する必要がある。これをするには、まずプレーの質や戦略に対する知見があって、分析シナリオがあるから一部のデータにフォーカスでき、そこで初めても見えてくるものがある。
 マーケティング活動も、広告コミュニケーション全般の知見がないと、こういう仮説立てができない。私が云うところの「広告コミュニケーションの理解がある人が、アクセス解析ツールを必死で勉強するから新しいスキル(価値)が創出される」というのはそういうことである。

マスメディアの牽制勢力とソーシャルメディアの真価

15 years 6ヶ月 ago

 今朝、サンデーモーニングをちらっと観ていると、天野祐吉氏がビデオで登場し、日本の首相がコロコロ代わることを端的に「マスコミのせいでしょう。批判ばかりで批評しない。」とさすがに批評のプロらしく語った。これを受けて番組のコメンテーターたちは誰も自分たちの番組を反省するということがない。わざわざこんなVを流してなお、このテーマすら他人ごとのようにコメントするずうずうしさはいったい何なのだろう。

 権力には必ず牽制勢力が存在して、その機能を果たさなければならない。司法、立法、行政の3権はもちろん、メディアの権力に対してもそうである。
 一方、業界では、「3すくみならぬ、5すくみ」の構造があると云われていた。いわく「広告屋は広告主企業に頭が上がらず、企業は役所に頭が上がらず、役所は政治家に頭があがらず、政治家はメディアを畏れ、メディアは広告会社に頭が上がらない。」 ただこれは日本ではとてもこうなっているとは思えない。とてもじゃないが、広告会社がメディアの牽制勢力になっているなんてことはまるでない。(敢えて云えば電通さんくらいだが、一定の影響力はあっても牽制などしていない・・・)誰にも頭が上がらないのが広告屋だ。

 では誰がマスメディアという権力の牽制勢力となるのだろうか。
その答えは、やはり「視聴者であり、読者である」国民、市民である。そしてその発言を支えるのはまぎれもなく「ソーシャルメディア」である。
 ソーシャルメディアの社会的意義のひとつは、大手マスコミの牽制勢力たることであると云える。特に国民共有の財産である電波の、特に経済性の高い周波数帯をもらって免許事業をするテレビ局は、民間会社とはいえ、高い参入障壁で守られているのだから、大きな社会的責任を負う。
 そもそも民放の電波であるVHS帯域は、もっとも経済性の高い周波数帯域だ。ここを民放中心に振り分けたのはGHQの意志だ。占領軍は、「大本営発表」のような悪しきメディア統制を嫌い、民間放送に最もおいしい帯域を分け与えた。
 
 結果、権力の牽制勢力であるマスメディアの意義を高めるあまり、批判しか機能しなくなっていった。批判ではなく批評をして、是々非々で、良いものは評価して育てようとする気持ちがない。まあ批判に徹する方が簡単、単純だからだ。それもある意味仕方ない面もある。変に一部の政治勢力を賛美し始めたらコトだ。


 テレビに出ると、その場の論調に迎合させられる力が働くのか、よっぽど見識をしっかり持った人でないと、自分の独自の意見をしっかり言える人は少ない。
マスメディア特にテレビに登場するコメンテーターが、何故強迫観念に駆られたように、批判合戦になってしまうのだろうか。その場のムードに贖えないのはどうしてか。見識があっても、いったん批判的な論調で進むと、良いことは良いということや、そうした批判論調そのものに対する自省をコメントするのはたいへん難しいようだ。その意味でも、そもそも見識などないタレントがコメンテーターで出てくるに至っては、論外である。政治的な、国民の共通の利益に適うことかどうかというようなまじめな話を、しかも全国放送、1000万人単位で観ているような番組で、しょうもないタレントに平気でコメントさせるテレビの見識のなさに、視聴者は実は相当うんざりしている。ただ多くの人はサイレントだ。いちいち文句をつけるほど暇ではなく、テレビをそれほど重要だとは、もはや思っていない。

 もちろんソーシャルメディアの世界は玉石混交である。自分の意見のない人も多い。しかしここにはマスメディアでは出会えない素晴らしい見識もある。うまく使って、世の中にはマスメディア以外にも良い考え方や物事の捉え方があることを知るのは、たいへん良いことだ。そしてマスメディアに対しては、単純な批判ではなく批評になる。当然だが多くのコメンテーターがいるからだ。評価する人もいっぱいいる。
 
こうしたことと同時にソーシャルメディアによって、今議論するべきことは何かを吸い上げて多くの人の話題とすることが重要だ。マスメディアの力はその論調に影響されるということもあるが、それ以前に「今重要なことはコレ!」とテーマを規定してしまう力だ。マスコミで話題になっていることを受けて反応するだけなく、マスコミは取り上げないが、これは「重要なテーマだ」とソーシャルメディア環境から、議論が渦を巻いて盛り上がってきてこそ、自らのメディアとしての真価を発揮するのであろう。

マスメディアの論調と日本人の気分

15 years 6ヶ月 ago

 鳩山首相の辞任を報道するメディアはどこかウキウキしているようにも見える。また、あれだけ「辞めろ」という論調をつくっておいて、「辞めるのは責任を果たしていない。」とまたしても批判を流してみせる。
 この国の不毛の本当のところは何だろうか。まずは鳩山氏のような確かに首相の資質には欠ける人材しか登場しないこと。ただしこれを「誰がやっても同じ」と切り捨てる議論は全くの間違いだ。必ずやり切れる人材はいるはずで、また国民がやりきれるように支援しなくてはできない。首相たる人材を育てることができないのは、その国の国民の責任でしかない。にもかかわらず、マスメディアは、理屈のたった批判だけではなく、理屈のない非難を繰り返す。自分に意見を持たない国民は(もちろんしっかりとした見識をもっている人はたくさんいる。)メディアの論調に流される。
 マスメディアの一番のパワー、権力は、「今はこのテーマが一番重大なこと」と話題を指定してしまう力である。そして、特にテレビは文字に残らないので、否定的なムードをつくるという手法で、本当は自分の意見をもたない人たちにいかにも「自分の意見」をもったかのように思わせる。
 さて、何故メディアはこうも「否定すること」に夢中になるのだろうか。

そういえば、従来こんなに毎週のように世論調査をして政権支持率など発表していただろうか。マスメディアはどこか、ソーシャルメディアなどの台頭による自らの地盤沈下に潜在意識に大きな不安感を抱いているのだと思う。そして、それが故に必要以上にマスメディアの力の誇示をしようとしているのではないかと思う。
 もちろん実際に鳩山首相のやってきたことが批判の対象にならないとは全く思わない。しかし論調は非難一辺倒で、その結果「ほら、支持率落ちたでしょ。」という、メディアが世論を動かしているぞと誇示したい、ないしはそれで自己の力を確認したいという思いがあるのだろう。おそらくはあまり意識的ではないのだろうが、こうしたことが「否定すること」に夢中になる要因のような気がする。

 もうひとつは今の日本人に鬱屈した「もやもや」があって、他人を誹謗することでその「憂さ」を晴らしたいとの意識が根底にあることだ。マスメディアのこうした行動様式は日本人全体の気分を表しているのであって、私がこうしてマスメディアに批判的なのも含め、お互い「悪口」ばっかり言っている国になっちゃったというのが本質かもしれない。

 権力に対して批判勢力がしっかりしていることはたいへん重要だ。だが自省は全くせずに他人を攻撃することばかりに夢中になる社会が健全である訳がない。


普天間問題にみるメディアの論調

15 years 6ヶ月 ago

 鳩山首相の体たらくにマスコミが一斉攻撃をしている。ただこうした報道の調子に対して視聴者の多くはどこか完全に同調しづらい何かを感じているのではないだろうか。テレビ朝日のやじうまプラスで、この攻撃一辺倒のメディアの姿勢に江川紹子氏が不自然さをコメントしたが、他のコメンテーターに押し流されてしまった。
 彼女の感覚は何なのか。彼女自身がそのメディアの張本人として中にいるので、はっきり言い切れなかったかもしれないが、それはメディアに、こうまで居丈高に首相を攻撃できるほどの資格があるかという違和感だ。メディア=本土の人間にとって、誰も「肩代わりしましょう。」と言わないにもかかわらず、沖縄の人といっしょに、全く同じ立場のようなふりをして、首相を攻撃できるのかという割り切れなさだ。沖縄からは「これは差別だ」という発言がある。差別があるとしたら、それは政治家だけが差別しているのではない。

 結局鳩山さんは前政権の方針より後退させ普天間の危険をさらに長引かせる結果になりそうだ。結果責任がすべての政治家にとって、これは万死に値する失政である。しかし彼が何とか沖縄県外に持っていけないかとしたことは事実で、(それはあまりに稚拙だったが)本土にいる人間が、すべて丸ごと非難の対象にだけして済ませてしまっていいのだろうか。どこか、いくばくかはあるはずの責任は棚において「あいつが悪い」とだけ言っているように感じる。鳩山さんは我々が選んだ首相だ。選んだ責任を全く感じないなら日本人にはやはり民主主義は根付いていない。

 おそらく、こうした一辺倒の論調は次第に多少自己反省的にもなるだろう。ただそれは論調に飽きてくるからで、最初から見識があってではない。
 論理的な批判はメディアの使命でもある。しかし、見識を欠いた「ただの非難」はよろしくない。

『ソーシャルCRMのロードマップ』 by野村総研

15 years 6ヶ月 ago
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 先日リリースされた野村総研さんの「ソーシャルCRMのロードマップ」について、詳しいお話をわざわざNRI情報技術本部技術調査部主任研究員の亀津さんに解説していただいた。亀津さん有難うございました。

 この「ソーシャルCRMのロードマップ」という資料は、野村総研さんのITロードマップセミナーSPRING2010のなかで発表された「ソーシャルメディア時代の顧客リレーションの新展開」というプレゼンテーションのなかにある。このセミナーに参加された方も多いだろう。

 まず、興味深いのは、「ソーシャルメディアのオープン化のトレンド」
「ライフストリームの共有が消費者の新たなメディア接触の入り口」という表題のページで、「消費者のネット利用のスタイルが変わる」と予見している。
 つまり、これまでのAISASモデルの真ん中のSearchがなくなっている。「ソーシャルフィルタリング」(ツイッターでいえばフォローしている人のツイートで情報を得て、認知と興味関心をもち、そのままリツイートというかたちで「ソーシャルリコメンデーション」が行なわれる。

フォローしている人のツイートから情報をキャッチアップして、購買行動に繋がるが、ここではリツイートという情報シェアが先で、アクションがその後という面白い現象もありそうだ。フォロー⇒インタレスト⇒リツイート⇒アクション⇒シェア だとすると、FIRAS かな?(これはNRIさんの資料ではなく、ベムの感想です。)

 いずれにしても、「これまでのWebページを前提とした顧客導線とは異なる流れが登場する。」としている。

 また「ツイッターやフェイスブックのような新しいソーシャルメディアはデータをオープン化している。蓄積された消費者のライフストリームデータを利用する周辺ビジネスが拡大するとともに、これまで企業がリーチできなかった消費者の声が分析可能になった。」
 特にWebページ単位のブログと異なり、APIを介してのデータ取得・操作が容易であることを指摘している。

 そして、今後、ツイッターやフェイスブックのような新しいユーザーの流れが、従来のWebサイトと連動する。Twitter 「@anywhere」やFacebook 「Like」ボタンなどによって、ソーシャルメディアが共有している「関心のネットワーク」が新たに分析可能となるということだ。つまり「人のつながり」から「関心のネットワーク」へ、ソーシャルグラフの定義が拡張するとしている。

 次に、「ソーシャルメディアがもたらすCRMモデルの変化」について語られている。ここが今回NRIさんのレポートのへその部分だろう。
 「ソーシャルメディアのマーケティング活用の核」はCRMにあるということだ。
「従来のCRMが主眼にしてきた既存顧客に加え、顧客になっていない消費者の声を分析できるようになったため、CRMモデル全体に様々な変化が生じる。」としている。

具体的に図に表記されているのは・・・

・ 顧客戦略・・・・・・・・・・・・・・・ソーシャルメディア戦略
・ 顧客インサイト(顧客理解・識別)・・・・ソーシャルインテリジェンス(消費者理解)
・ マーケティング・・・・・・・・・・・・ソーシャルメディアモニタリング
・ セールス・・・・・・・・・・・・・・・セールス管理へのソーシャルメディア追加
・ サービス・・・・・・・・・・・・・・ソーシャルメディア経由のカスタマーサービス

と、CRMの全体構造をささえている要素がそれぞれ変化をきたすということだ。

ソーシャルメディアモニタリングに関しては、リスニングプラットフォームが登場する。組織的にソーシャルメディアを活用するためには、会社の誰かがその個人のスキルで対応するのではなく、会社として装置化しなければならない。
また、まずはソーシャルメディアで自社及び競合のサービスについての評判の分析をすることが肝心だ。
 そして、企業に向けられた消費者の問い合わせ、質問への対応への応用していくことが求められる。
 さらに、最終的には企業からのメッセージの発信にソーシャルメディアを利用していくという順番(プロセス)が良いのでは?としている。

 こうした考え方をベースに、メディア環境、ユーザーの進化を想定して、できているのが「ソーシャルCRMのロードマップ」ということになる。

 この資料が公開されてから、「もっと早い時期にこうなるのでは?」という反応が多いらしい。もちろん早く対応する企業もどんどんでてくるであろうが、大手企業が組織的対応で臨む時期はグラデーションがあるもののこのロードマップの各々の矢印のなかなのではないかというのが亀津さんのご意見だ。
私の感想で言うと、ソーシャルメディアを企業マーケティングサイドから見たときに、これを『CRM革命』の要素だと切り取るところが「実に頭良し」という感じだ。
 
 今はツイッターを熱っぽく語る人が、イノベーター、アーリーアダプター中心にいっぱいいて、のめり込み方もヘビーだが、いずれ普通のプラットフォームになっていく、その時に「話題のツイッターを使ったキャンペーン」ということではなく、一番煎じでも二番煎じでもない、地に足のついた活用法を確立することが重要であると思う。
 そのために、ソーシャルメディア単独での利用ではなく、様々な既存のチャネル(電話・メール、Web・・・)との統合・全体最適が必要だと、NRIさんも話を締めている。

ADKインタラクティブ ソーシャルメディアポリシー

15 years 6ヶ月 ago

ADKインタラクティブが、ホームページで自社のソーシャルメディアポリシーと、それを公開するに至る経緯をADKインタラクティブ総研ブログに掲載している。

http://aii.adk-i.jp/2010/05/adki_socialmediapolicy.html

ソーシャルメディアに関わる仕事のなかで、クライアントにソーシャルメディアポリシー策定の依頼を受けることも想定し、まずは自社のソーシャルメディアポリシーを策定したとのこと。

そのために、公開されている他社のポリシーを研究し、社内での議論及び全社への内容説明が行なわれたとのこと。

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ソーシャルメディアポリシーは、企業の事情や意思を反映させたものであるべきだと思います。したがって、「ADKインタラクティブ ソーシャルメディアポリシー」の汎用性は限られているでしょうが、ソーシャルメディアポリシーに興味を持つ方々の参考になれば幸いです。ADKインタラクティブは、ソーシャルメディアポリシーを策定するうえで学んだことを、企業向けのソリューションに活かしていきます。


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とうことで、きっとバージョンアップされていくと思います。

「紺屋の白袴」であることを意識することから始めた・・・という感じ。


iPadやAndroidタブレットで再興するか出版文化

15 years 6ヶ月 ago

iPadでラグジュアリー系雑誌の電子版サンプルを見せてもらった。極めて単純な感覚として「実に楽しいものになる」と感じた。画面へのタッチで展開する5次元マルチメディア(つまりテキスト、画像、サウンド、動画、インタラクションの5次元)は、その高精細な画質とともに、全く新しいコンテンツ価値が創出したことを表現している。

出版のビジネスをしている人たちがこれを好機として、「やっと紙媒体の呪縛から解き放たれた。」とポジティブに思うのか、危機として「紙が売れなくなる。」とネガティブに思うのか、その差こそ「実に大きな差」であろう。

広告屋の目線で見ると、何て面白くて訴求力がある「編集タイアップ」ができるんだろうかと期待する。指で触れるインタラクションにはマウスとはまた感覚の違うアナログ感がある。体験感覚が強く醸成できる。ブランド体験を展開する「場」として、このデバイスで表現する手は確実にあると感じた。またiPadに限らず、Android タブレットも含めれば、かなりの普及率となってクリティカルマスを超えるだろうし、何より一人がこのデバイスに関わる時間とその関与度は非常に大きいように思う。

広告会社のオフィスロケーション論

15 years 7ヶ月 ago

 インターネットでオペレーション出来ることが増えて、広告会社のオフィスロケーションの考え方も変わって当然になった。都心の1等地にいなくてはいけないのは、どんな機能をもつ人たちで、高い賃料を払ってまで1等地にいなくてもよいのはどういう機能を担うメンバーか、そもそも同じオフィスに同居しなければならないのか、など改めて考えても良い。日本では大手広告会社は比較的1等地にずっといる。しかしニューヨークではアドマンのオフィスは景気のよい時とそうでない時で結構エリアが変わる。テレビシリーズ「マドマン」ように華やかなころはマディソン街にいましたが、今はダウンタウンに近いこのあたり・・・ってな感じだ。欧米の広告マンからすると広告会社が自社ビルを持つなんて信じられないかもしれない・・・。(まあ電通さんは、ただの広告会社じゃない違う業態だし・・・)

 オフィスロケーションの話をするのは、それだけまあ、その家賃が気になるくらい、なかなか儲からない商売になったことの裏返しでもある。しかし本来は、適切な人的リソースなのか(つまりリストラ)をしっかり考えてからでないと、賃料だけを販管費抑制材料にするのは本質ではない。

 そもそも、広告会社は社内間移動が極めて多い業態である。ふつうエレベーターは出入り口である1Fフロアと各々のオフィスフロア間で乗るのが普通だが、広告会社は社内のほかの部署を行き来することが非常に多い。昔の博報堂さんの東京ビルのように水平に広いほうが便利で、電通さんが聖路加にいたときのエレベーターはたいへんだった。おかげで汐留のビルは実にエレベータービルみたいだ。
 
また会議室がたくさん必要である。アイディアが生産物だから、会議室はある意味工場でもある。クリエイティブスタッフのスペースもその意味で工場だと言える。この工場(ファクトリー)機能も、付加価値の高いプランニング機能と付加価値の低いオペレーション機能がある。いわゆるオペレーションも従来の物理的な作業から、ネットを介在させたデジタルデータをやり取りする作業に変わった。昔ほど顔を合わせての打ち合わせが必ず要るわけでもない。だからと言ってコミュニケーション(作業の意味、方向性を認識、理解し合うこと)が大事なのは昔と変わらない。
 しかし、メディアスペースを買ってもらうことで収入となるマージンが比較的高い時代は、周辺作業にかかるコストはすべて吸収できたが、今は周辺サービスも個別に利益を出す必要があるのと、メディアバイイングオペレーションほかに関わるコストを効率化する必要がある。全員が1等地にいないといけない時代ではない。
 
 日本の広告会社も成長一辺倒の時代には、どんどん人員も増えて、オフィススペースもどんどん拡張して、移転を繰り返してきた。ただそろそろ「みんな一緒に1等地」はないんだろうと思う。
 電通さんは、銀座、築地、汐留、博報堂さんは、神保町、東京駅、田町、赤坂、ADKさんは新橋・日比谷、銀座7丁目・日比谷、築地・・・。博報堂さんの田町時代を除いてやはり都心1等地。一方、橋を渡って賃料の安い場所に出て行った広告会社もあるが、業界には橋を渡ると会社の勢いが悪くなると思っている人も結構いる。

 社員のモラールや、学生の就職希望を募るためには、オフィスロケーションは重要である。人しかリソースがない広告会社では優秀な人材を集めるためには最低限賃料コストを裂くのは必要なのだけれど、逆にいいところに拠点を維持するためにも、事業の高収益化、効率化を見直さなければならない。

『Dwell』を解説してみる、 その1「Dwell on Branding」

15 years 7ヶ月 ago

辞書を引くと、古英語の「ぐずぐずする」から「一箇所に留まる」→「住む」という意味になったと書いてある。動詞で「住む」「暮らす」、物事が心に「残っている」「存在する」という意味である。
この「Dwell」というワードを、どうやら新しいディスプレイ広告におけるエンゲージメント力を含むインプレッション効果として表現したいらしい。

「『Dwell』とは、基本的に広告におけるアクティブなエンゲージメントのレベルを意味する。」とマイクロソフトの資料「DWELL ON BRADING」に書かれている。

http://advertising.microsoft.com/europe/WWDocs/User/Europe/ResearchLibrary/ResearchReport/Dwell%20on%20Branding%20Research%20Report%20Apr10.pdf

おそらく、今までのオンマウスでインタラクションを返すフラッシュを使ったりする一連のリッチメディアのディスプレイ広告に対するユーザーレスポンスを、もっと細かくログを録ることで、ユーザーにどれだけ響いたのかを図ろうという試みである。

 ここでは、Total Dwell = Dwell Rate × Dwell Time と公式化されている。

Dwell Rate とは、すべてのインプレッションのなかでDwellしたインプレッションの比率
Dwell Time とは、広告に「Dwell」した平均時間

この指標をもとに800のキャンペーンでのDwellを数値化して、Low Dwell、Average Dwell、High Dwell を分けて比べてみている。

まず、High Dwellのキャンペーンでは、Low Dwell の3倍以上の検索行動を誘発している。
サイト訪問も70%アップ、サイト滞留時間で83%アップ、サイトのページビューは125%アップした。また業種別では、エンタメ、テレコム、金融、小売で平均を上回った。
さらに、広告フォーマット別のTotal Dwell スコアとCTRがグラフ化されているが、クリックレートが高い広告フォーマットが必ずしも高いDwellスコアになるとは限らず、むしろ比較的CTRの高いフォーマットは、Dwellスコアは低い傾向にある。

資料の最初に、「広告の効果の70%~80%はクリエイティブによるもの」と書かれていて、いまさらのように再認識させられる。
日本ではいまだに「掲載スペース」だけを評価するPDCAサイクルが多いが、クリックのみで測ること、短期のレスポンスのみで測ること、クリエイティブの力を測らないことで行なわれるPDCAは実に稚拙なものであることが想像できる。

広告会社が直面する3つの試練

15 years 7ヶ月 ago

 このブログでもいろいろな視点で、「広告ビジネスの構造変化」を書いてみた。広告会社の進化は、スペースブローカーから発して、広告スペースを買ってもらうために、周辺のソフトサービスを提供するスキルを磨いてきたというものだ。特にテレビ広告のタイム・スポットを買ってもらうために、マーケティング調査、クリエイティブ提案、連動したプロモーション施策などを提供してきたのだ。
 しかし、「買うメディア」はマーケティングメディアのひとつになろうとしている。従来の広告活動においては広告メディアを買って、コミュニケーション、プロモーションを行なうことがほとんどすべてだったが、そうした時代は終焉しつつある。
 しかも、「買うメディア」以外に急激に台頭する「所有するメディア」「評判を得る(ソーシャル)メディア」は、いずれも広告会社に知見が乏しいものだ。企業の自社メディアに至っては、全く広告主に太刀打ちできない。
 つまり広告会社に訊かないと分からない世界は、広告マーケティングにおいて3つのうちのひとつになってしまったのだ。
 さらに、その「買うメディア」でさえ、様々な広告プラットフォームの出現で、中抜きに合う可能性が非常に大きい。広告主はオンラインで直に買える。代理店に任せたとしても、それは単に面倒臭いからアウトソースするだけで、そういう付加価値は極めて低い。
 さらにさらに、広告会社以外にも広告マーケティングのプレイヤーが増える。今まで広告会社、システム会社、戦略コンサル会社、調査会社などの領域ははっきりしていたが、これらの領域がオーバーラップしてきている。ネット広告専業会社が台頭したように、新たな参入組は今後も増えるだろう。

 今の広告会社の仕事には、様々な付加価値の仕事が同居している。コンサルティング(これはほとんど出来ていないが・・・)、プランニング、オペレーションなどだが、これらを同一の給与体系で行なうのはすでに無理がある。またこのネット時代にオペレーションを東京のど真ん中でやらなきゃいけない理由はない。とはいえワンストップでこうしたサービスを行なう価値は高い。いずれにしても根本的なリストラクチャーが必要なのである。
 
・ 今の社員の知見の及ぶ範囲が、基本「買うメディア」だけである。
・ 「買うメディア」も広告プラットフォームで広告主が直で買う。
・ 領域がオーバーラップして競合するプレイヤーが増える。

 基本、この3つが「広告会社が直面する試練」である。そしてもちろん最大の敵は、今の経営幹部が未だに持っているマス広告での成功体験であることは言うもでもない。

デロイトトーマツのレポート「メディアデモクラシーの現状」

15 years 7ヶ月 ago

デロイトトーマツコンサルティングがWebサイトに公開した「メディア・デモクラシーの現状」という調査レポートをじっくり読んでいる。

http://www.tohmatsu.com/assets/Dcom-Japan/Local%20Assets/Documents/knowledge/dtc-pdf/jp_k_mds2010_160410.pdf

対象になっているのは、日本、アメリカ、イギリス、ドイツの4カ国で、各国の消費者がメディア、娯楽、情報とどのように関わりあっているか、国際比較を通じて現状と把握すると同時に、今後の動向予測に資するというものだ。

日本では、他の3カ国に比べて、
・オンラインメディアや娯楽などの個人消費に積極的
・ネット上の人間関係構築や情報発信、能動的な活動に関しては消極的
・広告配信に関しては総じて寛容

メディアの消費動向で見ても、PC以外、特に携帯でのインターネット接続時間はほかの3カ国に比べ格段に多い。
他にもオンライン雑誌の定期購読が他国より多かったり、最も影響力のある広告媒体としてインターネットを回答した比率も格段に多かったりしている。

これを見ると、広告メディアにおけるインターネット広告シェアはまだまだ成長する余地があるということと、他の3カ国より消費行動へのネットの影響力が大きいし、ネット広告への受容性も高いのに、シェアが低い原因を掴みたくなる。
要するに消費者は進んでいる。マーケターと広告会社の対応が遅れているとしか評価できないのだが・・・。

「nuTsie Top 100s」にハマる。

15 years 7ヶ月 ago

 最近、iPhoneのアプリで「nuTsie Top 100s by year」をダウンロードして昔の名曲を聴いている。特定の曲を選ぶことはできないが、何年かを選んであとはランダムに流れる。気に入らなければ次の曲ボタンだけ押していけば、基本1947年から2009年までのTop100合計6300曲が聴ける。しかも230円で・・・。

 洋楽が日本でも大きな存在感があったころが懐かしく聴けるのが、このTop100sだ。私の年齢だからということもあるが、21世紀になってからのアメリカのTop100の曲はほとんど知らない。残念だが聴いても何にも感じない。やはり10代の感性にしか響かないのだろう。
 自然に70年代を中心にTop100の年を合わせてしまう。ロックのリスナーとしての感性が多少ともあったのは87年くらいまでのような気がする。このころより少し前から洋楽を中心に、音楽が仕事になってしまってから、好きな音だけを聴くということをしなくなってしまった。だから洋楽特にロックファンとしての実質的なリスナー歴は、アルバムとしては最初に買った69年のアビーロードから87年のU2ヨシュアトゥリーくらいまでの約20年間だ。

 で、このnuTsie Top100にはロックメガパックというのがあって、60年代、70年代、80年代といって年代別や、Top Guitar Solo、Top Guitar Riffs、Top Drum Performanceなどなど切り口がいくつもあって面白い。
 ただ、選曲がアメリカ的なのかどうか、ちょっとセンスが違う。Twitterで我々の考えるTop 100を選曲するのも楽しいかもしれない・・・。

リファラー分析から

15 years 7ヶ月 ago

このブログも当然、google analytics でアクセス分析をしている訳だが、4月になってからリファラーに大きな変化が出ている。今年になってからもリファラーのトップは常にgoogleからで、20%~25%だったものが、4月はTwitterからが逆転してトップになった。

4月は今のところ、Twitterが20.83%、google.co.jpが15.90%という感じだ。(google.comを入れてもTwitterの方が多い。)
 1~3月のTwitterからが7%~15%程度で、じわじわと比率が上がってはいたが、ここに来て一挙に逆転した。また「はてな」をはじめとするソーシャルブックマークからの比率も少し下がった。

 だいたい最近はブログへのコメントやトラックバックもめっきり少なくなった。反応はTwitter上に上がる。

 Twitter効果はログにしっかり出ている。

「横山塾」

15 years 8ヶ月 ago

ADKインタラクティブの社長主催の社内セミナー「横山塾」の実施内容がADKインタラクティブ総研ブログに掲載されている。

http://aii.adk-i.jp/

内容を下記に転載した。

「横山塾」講義

第1週:広告ビジネスの現況と今後(横山)
第2週:トリプルメディアの発想と次世代広告コミュニケーション(横山)
第3週:デジタルセントリックなコミュニケーション開発(横山)
第4週:デジタルソリューションの全体像(横山)
第5週:アドテクノロジー研修 ネットメディアプランニングの実際(DAC秋葉氏)
第6週:Webサイト構築の実際(エクスペリエンス橘社長)
第7週:Webサイトのユーザビリティの実際(beBit遠藤社長)
第8週:アクセス解析ツール活用実践(ADK-i鹿毛)
第9週:SMO概論 ソーシャルメディア対応(ADK-i太駄)
第10週:モバイルサイト構築の実際(駅探河野氏)
第11週:モバイルサイトの実際 EC(ゆめみ深田社長)
第12週:モバイルサイトアドネットワーク(スパイア岡部氏)
第13週アドネットワークとアドエクスチェンジ(横山)
第14週:SEM概論(ADK-i鹿毛)
第15週:リスティング広告とSEO実践(アイレップ紺野社長)
第16週:アドテクノロジー研修広告効果測定ツール(beBit三宅氏)
第17週:メディアとしてのmixi活用法(mixi辻氏)
第18週:アドテクノロジー研修アドサーバー:最適化とリッチメディア(DAC手塚氏)
第19週:アドテクノロジー研修 モバイルソリューション(DI水野社長)
第20週:アドテクノロジー研修 アドビの技術(アドビ太田氏)
第21週:マス広告のプランニング 新聞広告(ADK喜島氏)
第22週:マス広告のプランニング 雑誌広告(ADK久米氏)
第23週:マス広告のプランニング テレビスポット(ADK甲斐氏)
第24週:マス広告のプランニング テレビ番組(ADK甲斐氏)
第25週:マス広告のプランニング ラジオ広告(ADK南氏)
第26週:交通広告のプランニング (ADK飯塚氏)
第27週:クロスコミュニケーション事例解説(ADK井上氏)
第28週:メディア戦略の構築プロセス(ADK亀井氏)
第29週:クロスコミュニケーションプランニング事例(ADK関氏)
第30週:クロスコミュニケーションプランニング事例(Jazzup井上代表)
第31週:クリエイティブの実際(ADK川越氏)
第32週:プラン立案のための確認ポイント(ADK沼田氏)
第33週:バイラルコミュニケーションの創り方(ADK木田氏)
第34週:デジタルメディアと生活者2010レポー(ADK宇賀神氏)
第35週:クリエイティブの実際~ロボット~(ロボット加藤氏)
第36週:最新事例から読み解くキャンペーンの潮流(ADK-i総研太駄氏)
第37週:クロスコミュニケーション事例(ADK竹内氏)
第38週:「Is big media embracing social media?」(ADK原口氏)
第39週:Adobe&Omniure (アドビ 太田氏・小川氏)
第40週:伝わるプレゼンテーション オリエンテーション(ADK甲斐氏)
第41週:伝わるプレゼンテーション プレゼンテーション(ADK沼田氏)
第42週:Googleのマーケティングツールを使い倒す(ADK-i鹿毛)
第43週:プランニング演習 ①
第44週:プランニング演習 ②
第45週:プレゼンテーション演習
第46週:卒業試験 「インターネット広告検定」初級
第47週:卒業試験 「インタラクティブプロデューサー資格試験」


講演のドキュメントだけでなくビデオ録画をしてあるそうだ。

デジタルセントリックということ

15 years 8ヶ月 ago
DSA.gif広告会社のスキルがデジタル対応していくには、いったんデジタル領域をどまんなかに置いて再構成していく必要がある。中心をデジタルとして、周辺に従来のスキルとの接点にそれぞれ融合することでできる新しい価値づくりに挑戦すべきである。

もうひとつの重要な視点は、広告コミュニケーションが分かる人材が、一生懸命テクノロジーを勉強することである。例えばWeb解析ツールは従来システムベンダーさんが主にセールスしてきたと思うが、これを広告マンが勉強して身につけてこそ意味がある。Web解析のデータから意味を読み出す作業は、「仮説立てをして、まずは余計なデータを捨てることから始めなければならない。」こうした作業は広告マーケティング、コミュニケーションが理解できていないとできないことだと思う。何度も言っているが、広告業は広告本来の仕事はシュリンクして、周辺の領域との接点に新しい仕事が拡大している。もともと持っている広告マンのスキルと周辺領域のスキルを融合させて始めて、我々の仕事は増える。

 今までどおりのスキルで広告業を続けることは無理なのであって、新たなスキルを身につける気がない者は早く退出した方がいい。まわりには迷惑な存在でしかない。またこういうことを認識できない経営者こそ一刻も早く引退すべきである。若い従業員がかわいそうである。


 
 

ADKインタラクティブのエキスパート制度

15 years 8ヶ月 ago
expert_2[1].gif

ADKインタラクティブのWebサイトの採用ページの先に掲載されていたエキスパート制度の図。

「インタラクティブプロデューサー」みたいな人材のニーズが求められるのは云うまでもないが、そう簡単に育成できるものでもない。またそうしたスキルを育成するプロセスもまだ試行錯誤の段階だろう。
その意味で、こうしたスペシャリティをそれぞれ身につけていくやり方もある。

広告コミュニケーションが分かっている人間が、Web解析ツールなどのテクノロジーを一生懸命勉強することで初めて開発される価値というものもある。

また「インタラクティブプロデューサー」という知見も、ひとつひとつの積み重ねなので、こうしたエキスパート的な知見を体得していってプロデューサーになれる。デジタル&インタラクティブな領域はしっかり網羅しているが、特にこの領域はエキスパートだというT型人間が、本当のインタラクティブプロデューサーかもしれない。


デマンドサイドとサプライサイド

15 years 8ヶ月 ago
DSP1.gif 前回のエントリーで、「アドエクスチャンジを真ん中にして、アドネットワークまでのセルサイド、DSPなどROI最適化のための第三者配信システムと書いたが、よく分からない表現だったので、説明し直す。

 従来、「広告主」→「エージェンシー」→「パブリッシャー」ないし「アドネットワーク」←「配信システム、メジャーメントシステム」というバリューチェーンだったのが、アメリカではもっと複雑に進化している。

 表のように真ん中に「アドエクスチャンジ」があって、左側にデマンドサイド(すなわちバイイングサイド)、右側にサプライサイド(すなわちセリングサイド)という図式である。それぞれの箱のなかに具体的にどんなプレイヤーが入るかは別途取り上げるとして、日本には第三者配信サーバーを核として、広告配信の最適化を図るデマンドサイドのソリューションがほとんどない。こうしたPaid Media におけるクライアント向けソリューションが発展しないと、広告主のマーケティングコストはどんどんOwned Media と Social Media 施策に振り向けられる可能性がある。
 ネット広告のセルサイドは、もっと自分たちのメディアがクライアントのソリューションのひとつであることを意識して、対応していく必要がある。

 一例を挙げれば、「コンバージョンパス分析」で書いたように、第三者配信環境を整備しないが故に、クリックベースのみのパフォーマンス評価(CPA)の逆算で、CPMの相場が出来上がってしまっていることをメディア自身がもっと気づかなければならない。自身のメディア価値を「直前クリック」という一部分でしか評価されていないこと、またクリエイティブの最適化によって得られる効果を、クリックベースだけ見ているが故にほとんど測定できていないことなど(Last Click しか評価しないとそうなる。)で広告効果そのものが実際より小さく見積もられていることを再認識する必要がある。

 セルサイドがもっとバイサイドのための仕組みに対応することは、自身の価値を従来より高く評価させるチャンスであることを、改めて言明しておきたい。

確認済み
1 時間 27 分 ago
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