[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

罰ゲームも自ら体験する! 感性を広げる経験から見つける消費者心理

マーケターコラム、今回は明坂真太郎。マーケターとして、自ら体験してみることの大切さを考察しています。
明坂真太郎氏

こんにちは、企業のマーケティング支援やプロモーション企画などの仕事をしている明坂です。

先日、“メトロタイムゲート”という東京メトロの地下鉄を実際に使って移動しながら行う謎解きゲームイベントに参加しました。東京メトロは以前にも“ 地下謎への招待状”という謎解きイベントを行っていますが、それは累計43万人が参加したヒットコンテンツです。

”地下謎への招待状”のWebページ。開催時はこのトップ画面がデザインされた手提げをもって歩く人を見かけた人も多いのでは? (引用:https://realdgame.jp/chikanazo/2023/

普段から私は新しいエンタメやコンテンツは自ら消費するようにしています。それは、消費者のことを考える際の解像度をあげるためでもあります。

たとえばプロモーションの企画をする際には、メッセージを届ける相手(たとえば事業の顧客)が何を考えているのか、何をどう伝えようか、深く考えることと思います。その際、自分のなかでまったく未知の領域や未経験のものだと、解像度があがらないのではないでしょうか。いろいろな立場で物事を考えられるようになるためにも、社会勉強として体験獲得のスタンスが必要だと思っています。

日々、生まれる新しい体験とビジネス

皆さんは、リアル脱出ゲームを体験されたことはありますか。テレビゲームやテレビ番組などでしばしば存在した謎解きゲームを、自らが主人公となり、リアルで謎解きをするという遊びです。2010年に株式会社SCRAPがリアル脱出ゲームを商標登録し、2017年12月には新宿の歌舞伎町に、謎解きイベントが毎日開催されている大型の施設“東京ミステリーサーカス”をオープンしました。

歌舞伎町に複数のフロアを構える東京ミステリーサーカス (引用:https://mysterycircus.jp/access/

だいたい1回のゲーム参加は1,000円~3,500円程で、所要時間は長いもので2時間程度。私は2017年当時初体験しましたが、映画と同じような時間とコストで、いままでに無いおもしろさを体験できたことが深く印象に残っています。

“メトロタイムゲート”や“地下謎への招待”は東京メトロの24時間チケットを使い、実際に東京のさまざまな施設や公園をめぐりながら現地にあるヒントを元に謎解きを行います。謎解きが得意かどうかもありますが、長いと丸一日かかり、15,000歩以上歩くことになるので夏場に行うと結構カロリーを消費します。店舗で実施するものに比べて参加者各々のペースで参加できるので、友人どうし、パートナーどうしはもちろん、親子や、小中学生など、さまざまな年代が参加していたのが印象的でした。

また、こういった機会でなければ降りることがなかっただろう駅に行くことになるので、その土地にしか無い飲食店や名物を体験する機会にもなり、そのエリアの活性化にもつながります。

以前、ポケモンGOが流行った際にも、人が一部に集まりすぎてしまう、歩きスマホが増える、といった問題は発生していましたが、リアルとデジタルを融合させたコンテンツにはそれだけ人を動かす新たな魅力があります。多くの人がコストやカロリーを消費するパワーがあるということは、大変興味深いと感じます。以後、なにかしらプロモーションを企画するときの参考にできるのではないか、と思うようになりました。

罰ゲームは一通り自分でもやる

テレビでよくみる罰ゲームといえば、どんなものが思い浮かぶでしょうか。

  • バンジージャンプなどの怖い系
  • ゲテモノ(昆虫食とか、ヘビ、カエルとか)や激辛などを食べる系
  • タライ、電気ショック、脱毛などの痛い系 など

これらがポピュラーでしょう。このあたりも、若い頃から一通り自分でやりました。自分で体験してみると、思ったより大丈夫だな、というものと、絵面として伝わりづらいけど実際は結構やばいなというものがそれぞれあります。

特殊な食材が食べられる居酒屋「獣肉酒家 米とサーカス 高田馬場店」で食べたワニの天ぷら

先日、高校生が激辛チップスを食べて複数人が病院に搬送されたというニュースがありましたが、私も以前同じ製品の激辛チップスを少量食べ、その後しばらく腹痛になったことがあります。テレビで見ても激辛って実際どれぐらい辛いのか、あまり想像がつかないと思うのですが、だからこそ多少大げさに伝えるなど、どれぐらい辛いかが客観的に解るような見せ方の工夫が必要だなと思います。

テレビに出ている芸人が大げさなリアクションを取っているのは、ヤラセをしようという意図でやっているのではなく、それぐらい表現しないと伝わらない、という背景まで汲んで見ると一段見方が変わるかもしれません。いずれにせよ、普段は行わないことをするという背徳感や、怖いもの見たさという感情にも人を動かす力があります。

なお私の場合、痛みに比較的耐えられることもありますが、しばかれる系や脱毛などは思ったよりも痛くなく、バンジージャンプは慣れれば大丈夫です。ただ、最初に飛ぶまではけっこう本当に怖いですが。

千葉県にあるマザー牧場には21mの高さのバンジージャンプがあるので、興味がある方は試してみてはいかがでしょうか。もしすでに試したことがあって、余裕でしたということであれば、茨城県にある竜神大吊橋バンジージャンプは高さ100mの橋の上から川に向かって飛び降りるので、こちらもオススメです。

マザー牧場のバンジージャンプは、前からと後ろからで2回飛んだ

技術の進化で発展する体験

6月に、お台場海浜公園であった“STAR ISLAND”というショーのチケットを買って参加しました。ドローン、花火、レーザーラティング、フライボード(足から水を噴射して空中に浮くやつ)に乗ったパフォーマーやダンサーなど、さまざまなパフォーマンスが組み合わさったショーです。どんなものなのかはYouTubeに上がっている次の動画を観てもらうのがわかりやすいと思います。

チケットは一番安いランクで1枚9,350円と決して安価ではないですが、東京の花火大会の有料座席が平均5,000円~8,000円程度だと思うので、特段高価というわけでも無いと思います。なにより、花火、ドローン、ライティング、音楽が融合した空間というものは、日常のなかでは特別な新たな体験でした。

花火とドローンの組み合わせで表現の幅もかなり広い

これまで、ドローンのみのショーもいくつか観覧しましたが、比較的ゆったりした動きのドローンによる視覚効果だけでなく、花火のダイナミックな光と音、ライティングや音楽による演出などが組み合わさるとまったく別物のような印象を受けました。

ドローンショーの始まりを調べると2013年3月にロンドンで行われたものらしく、もう10年以上前になることにやや驚きがありますが、ドローンの制御技術、ライティングの技術、演出などは、近年大きく技術進歩による向上が行われていると思います。ドローンショーのように、特に技術進歩によって表現方法が高度化する領域については、定期的に自ら体験しに行く必要があると感じています。

湾岸エリアの夜景や屋形船をバックに飛び回るフライボードのパフォーマー

自分の興味が薄い領域こそあえてミーハーになる

今回は、比較的エンタメや新体験のようなものを軸に書いてきましたが、ニュースサイトやキュレーションアプリでの情報収集はもちろん、TwitterやTikTokは日課のように見るようにしていたり、原宿に新しい商業施設ができたと聞けばとりあえず足を運んだりもしています。

それぞれの領域を深く見れば見るほど、特定領域ではポピュラーなことが別の領域には一切出てこないなど、情報取得の難しさを感じます。自分がいまの時代に学生だったら、周りの話題に置いていかれないように永遠にSNSを見続けることになっていただろう、と思うと多少恐ろしさを感じます。

今回、具体例としてエンタメに寄った話が多めでしたが、新たな製品、新たなサービス、新たなプロモーションのキャンペーンなど、日々多くの方が触れるものについては、あえてミーハーになって、積極的に体験するというスタンスを今後も続けていきたいと思います。

新たな扉を開けられた体験がある方は、ぜひオススメを私のX(旧Twitter)にリプライしていただければと思います(https://x.com/dr_akesaka)。それではまた。

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