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デザイン本50冊以上の著者ingectar-eがオススメする! 「デザインアイデア」を生み出す7冊

数々のデザイン本ヒット作を著してきたingectar-e(寺本恵里)さんに、デザインのアイデア出しに役立つ書籍を紹介してもらった。

各業界のエキスパートにオススメの書籍を教えてもらう本連載。今回お話をお聞きしたのは、株式会社インジェクターイーの取締役/アートディレクターの寺本恵里さんだ。「ingectar-e」という著者名で、デザインに関する書籍を50冊以上手がけている。今回は、受け手の心を動かすクリエイティブを作成するための 「デザインのアイデア出し」 に役立つ本を紹介してもらった。

株式会社インジェクターイー・株式会社ROCCA
取締役 / アートディレクター 寺本恵里さん

デザイン会社とカフェの会社の二刀流! 衣食住のデザインのインプットを欠かさない日々

寺本さんは、グラフィックデザイン系の会社から独立してフリーランスになり、創業。ingectar-eは代表作として『けっきょく、よはく。余白を活かしたデザインレイアウトの本』『3色だけでセンスのいい色』『あるあるデザイン』などがあり、現在スタッフ10名ほどの組織となっている。

一方、株式会社ROCCAでは、カフェブランド「ROCCA&FRIENDS」として、大阪でカフェやクレープ店を運営。寺本さんは旅と食べることが大好きで、デザイン以外で自分の好きなこと、見て経験してきたことを活かすためにカフェを立ち上げ、運営してきた。飲食の方では店舗のデザインやメニュー開発をディレクションしており、日々、衣食住に関わるインプットをしているという。

デザインの基本が身に付き、アイデアの源泉となる5冊!

1冊目
『[DESIGN IDEA 100] 展開・バリエーション』(BNN編集部:編 ビー・エヌ・エヌ:刊)

オススメ書籍の1冊目は、商品の広告展開やビジュアル、商品パッケージ、店舗の内装など、さまざまなデザインの展開事例を知ることができる本だ。制作背景についても紹介されており、各事例は「写真、色、形」「文字、色、絵」など、そのデザインの要素を記載してあるので、要素と構成とを一緒に見てインプットできる。

ただ見るだけでなく、インプットするときに言語化することが重要なので、この本を見ながら自分なりの言葉で事例を言語化していくと良いでしょう。たとえば、「この事例では色のトーンの渋さが効いている、さらに黒で締めていて、フォントに装飾している」といった具合です。そうすると、自分が制作するときに、デザインコンセプトに合わせて「この文字と形にしよう→さらに色で特徴をもたせよう、色でグッと締めるのも良いかもしれない→フォントに装飾してみよう」などのように、デザインの要素が引き出されてきます(寺本さん)

2冊目
『[DESIGN IDEA 100] タイトルまわり』(BNN編集部:編 ビー・エヌ・エヌ:刊)

2冊目は1冊目と同じシリーズで、タイトルまわりのデザインアイデアに絞った1冊だ。2023年11月に発売された。「実例に使用されたフォントも記載されており、すごく参考になる」と寺本さん。

本書では、取り上げたタイトルについて、「書体ミックス」「動かす」「四隅」など、特徴をひと言で言語化してくれています。その上で、掲載されている事例のデザインに対して自分でも言語化することが大事です。最初はなかなか言語化できなくても、続けていくとできるようになります。
とにかく優れた事例、デザインをたくさん見て、さまざまな表現を知ることがアイデアを生みやすくする一歩です(寺本さん)

3冊目
『発信する・共感を呼ぶ Web&SNS時代のブランディングデザイン』(パイ インターナショナル:著・刊)

3冊目も、多様なデザインの展開事例が見られる書籍だ。

「情報収集はネットやSNSが当たり前」の今、WebサイトだけでなくSNSの見せ方や展開へのこだわりがとても大事です。この本では、ブランドごとにサイトのデザインに紐づくSNSのフィードの世界観の見せ方、写真のトーンの統一感、そのバリエーションが紹介されているので参考になります(寺本さん)

4冊目
『あるあるデザイン 言葉で覚えて誰でもできるレイアウトフレーズ集』(ingectar-e:著 エムディエヌコーポレーション:刊)

4冊目と5冊目はingectar-eの著書で、デザインの基本がわかる本。どちらもグラフィックをベースにしているが、Webサイトなどにも応用可能だ。

ingectar-eが2018年に作った本で、このシリーズはデザインの引き出しを増やすのに役立つのでオススメです。デザインのアイデアや要素を「丸インパクト」「だいたいツートーンでいける」「さんかく散らす」など、見たら一生忘れない言葉とともに、作例のバリエーションを掲載しています。こうした言葉と作例をセットにしてインプットしてもらうことで、デザインを考えるときにすぐに思い出してもらえるんじゃないかと思います。
『けっきょく、よはく。』という本も、読者が余白を作ることが大事だと、一生忘れないようなタイトル名を考えて付けたんです(寺本さん)

5冊目
『あるあるレイアウト すぐに使えて素敵に仕上がるデザインカタログ集』(ingectar-e:著 エムディエヌコーポレーション:刊)

こちらは4冊目と同じシリーズで、レイアウト事例を紹介したもの。作例と一緒にグレーレイアウトを掲載しおり、色や文字の情報を排除して、レイアウトだけで記憶しやすくしている。また、このグレーレイアウトに自分のデザインを当てはめてみることもできる。

グレーレイアウト部分は、ご自身で写真や文字を入れて配置する練習にも使っていただけます。初学者さん向けのドリルとしても、活用できると思います(寺本さん)

イラストを描かなくても、イラストを理解することでイラストを使ったデザインがうまくなる本

6冊目
『スタイル別イラストデザインブック レトロ、アメリカン、スペース、和、アジアン…デザインのつくり方が楽しくわかる!』(小尾洋平(オビワン):著 マイナビ出版:刊)

デザイナー自身はイラストが描けなくても、イラストレーターに依頼をしたり、できあがったイラストをデザインに組み込んだりする機会は多い。そこで、6冊目として紹介してくれたのが、イラストを活かしたデザインのコツをインプットするのにオススメの書籍だ。

寺本さんは、Kindleで購入したというが、開いた瞬間中身の充実度に驚き、著書のオビワンさんの熱意を感じ、感動したという。本では、森のくまさんがキツネさんに教えてもらいながら学ぶというストーリー仕立てで、初心者にも優しいイラストデザインの本だ。

1つの作例を、そのレイアウトデザインのコツ、イラストの作り方、配色のポイントまで、14ページ構成でわかりやすく解説しています。この本を活かすには、この丁寧な解説を全て読んで、一見凝ったように見えるイラストやデザインを分解していくかのように、作り方を把握していくと良いでしょう。そうすることで、このイラストレーターさんのイラストとデザインの組み立て方がよくわかります。
作り方がわかれば自分でも作れるようになりますし、解説どおりにやってみたくなる本でした(寺本さん)

デザインツール「Canva」で、オシャレなデザインが制作できる

7冊目
『アプリ1つでパパッとおしゃれにデザイン Canva Design Book』(ingectar-e:著 インプレス:刊)

最後に紹介するのは、デザインツール「Canva(キャンバ)」で、オシャレなデザインを制作するためのデザインアイデア集だ。Canvaは、無料で使えるオンラインのデザインツールで、非デザイナーでも簡単に扱えると人気のサービス。本書では、その基本操作はもちろん、SNSやバナー、チラシなどのデザインアイデアを提供している。

Canvaには、もともとテンプレートがたくさん用意されているので、そのままでも十分便利にデザインが作れるのですが、やはりどこかテンプレートを打ち替えただけという感じになったり、自社のサービスや商品にレイアウトが合わなくて違和感が出たりということがあります。もう少しプロっぽくならないか、とか、アレンジしたいなという方のため、本書ではデザインアイデアやテンプレートのアレンジ方法をたくさん紹介しています。
真似して作ってみると「え、これCanvaで作ったの?」と驚かれるかもしれません。ぜひ、手にとって見てみてくださいね(寺本さん)

書籍以外情報ソースは、RSSフィードと専門新聞

書籍以外の情報についても教えてもらった。1つは、RSSリーダーの「feedly」。興味があるWebメディアを登録して、更新情報を一覧で見られるようにしているそう。

もう1つは、マーケティング専門紙の「日経MJ」。寺本さんがフリーランスとして独立してから20年、欠かさず購読している専門新聞だ。

今はネットの方が、情報が早いことは多々ありますが、日経MJに掲載されて「ほんとに流行っているんだ」と実感できる信頼があります。衣食住は全て繋がっているので、継続して読んでいると、商業、インテリア、サービス、食、アパレルの経済がどうなっていくのかが見えてきますし、何が求められているのか、消費の動き、時代の空気感がわかりやすく掴めます。
また、新聞は自分の興味とは関係ない情報が面で視覚に入ってくるので、セレンディピティの塊なところが最高です。そして記事のサイズ感で重要度がわかるところも大好きです(寺本さん)

◇◇◇

50冊以上の書籍に携わっているという寺本さん。書籍を作る際には、読者が一生忘れない学びになるように考えて本にしているという言葉が印象的だった。本の中には、「けっきょく、よはく」や「さんかく散らす」など、言葉を聞いただけでデザインのイメージが浮かぶようなオリジナルな表現でわかりやすいものが多く、日頃からデザインの言語化をしている蓄積が感じられる。カフェもおしゃれで、大阪を訪れた際には行ってみたい。

寺本恵里(てらもと えり)

株式会社インジェクターイー 株式会社ROCCA 取締役/アートディレクター

デザインと飲食、2社の会社で取締役とアートディレクターを務める。
株式会社インジェクターイーでは「ingectar-e」という著者名で本の制作をしており、今まで50冊以上のデザイン書を作成してきた。代表作は『けっきょく、よはく。余白を活かしたデザインレイアウトの本』『3色だけでセンスのいい色』『あるあるデザイン』など。
株式会社ROCCAでは、大阪でカフェやクレープ店を運営。店舗デザインやメニュー開発をディレクションしている。日々、衣食住のデザインに関わるインプットを行っている。

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