進化が止まらない! 最新ツール

「WixはSEOが弱い」は昔の話! グーグルも認めた進化と、知識ゼロでもSEOできる3つの機能を大公開

グーグルも認めるほどSEOフレンドリーなプラットフォームへと進化している「Wix.com」。知識がなくてもSEO施策ができる3つの機能とは?

Wix.com(ウィックス、以下「Wix」と表記)」は、プログラミングやWebデザインの知識がなくても、ホームページが作成できるプラットフォーム。無料で始められるため、個人事業主や小規模ビジネスをはじめとした方々の強い味方となっている。

そんなWixは「SEOに弱い」と聞いたことがある人もいるのではないだろうか。実際、インターネットで検索すると、そのように書かれた記事が出てくる。

しかし近年は“SEOの民主化”を掲げ、次の3つの機能をリリースしている:

  • SEOダッシュボード
  • SEOチェックリスト
  • SEOアシスタント

SEOフレンドリーなプラットフォームへと進化しているというわけだ。WixがSEOに力を入れている背景について、同社のSEO統括 Nati Elimelech(ナティ・エリメレク)氏を取材。またWixを活用するユーザーに、SEO機能の使い勝手は実際どうなのかを聞いた。

Nati Elimelech氏

Googleとの連携を強め、SEOフレンドリーなツールへと変貌

Wixは2006年にイスラエルで誕生した。サービス開始から15年以上が経ち、現在は世界190か国に2.5億人以上のユーザー数を誇る。2019年には日本法人が設立され、日本でもユーザー数を増やしている。そのWixが現在、力をいれているのがSEOの機能だ。エリメレク氏は、次のように語る。

私たちは、SEOを専門家だけのものではなく皆さんにとって使いやすいものにしていきたいと考えています。難しい知識がなくても使えるようにしていきたいのです。

かつてWixはSEOについて、いい評判がなかったことは事実ですが、今となっては過去の話です。WixがSEOフレンドリーなプラットフォームになるために、何年にもわたりリソースをかけてベストプラクティスを学び、Googleと連携しながら変化を起こしてきました (エリメレク氏)

その証拠に、GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミュラー氏)氏は、ある記事のインタビューで、次のように語っている。

WixはSEOに最適です。数年前はSEOの点ではかなりひどいものでしたが、素晴らしい進歩を遂げ、今ではビジネスにとって優れたプラットフォームとなっています。当時の評判はまだ残っていますが、それに振り回されないでください(ミュラー氏)

さらに、検索順位に影響を与えるとされるGoogleの指標「CWV(コアウェブバイタル)」のデータを見てみよう。他のサイト構築プラットフォームと比較すると、Wixは右肩上がりで、ユーザー体験が改善されている。2022年5月あたりから、WordPress.comShopifyを抜いてトップの成績をキープしている。

The HTTP ArchiveによるプラットフォームごとのCWV評価(値が良好なサイトの比率)。比較サイトはWix(緑)、WordPress(青)、Shopify(赤)、Squreaspace(オレンジ)

誰でもWixでSEO施策ができる3つの機能

では具体的に、どうSEOフレンドリーなのか。次の3つの機能を挙げながら解説する:

  • SEO ダッシュボード
  • SEO チェックリスト
  • SEO アシスタント

機能1サイトのパフォーマンスをリアルタイムで確認できる「SEOダッシュボード」

2023年4月に追加されたのが「SEOダッシュボード」だ。

「SEOダッシュボード」イメージ画

SEOダッシュボード上で、サイトのインプレッション数や検索クエリなどをリアルタイムに確認できる。通常、これらを知るためには「Googleサーチコンソール」を確認する必要がある。しかしWixならば、簡単に連携ができ、Wixの管理画面を開くだけで、すぐにサイトのパフォーマンスを確認できるというわけだ。

Wixを利用する事業者は、人々がどのような検索でホームページまでたどり着いたのかを、一目で理解できるようになりました。Googleと特別なパートナーシップを結んだことにより実現した機能です(エリメレク氏)

またSEOダッシュボードには、SEOについて学べる記事や動画といった教育コンテンツも用意されている。表示する内容はユーザーごとに異なり、Wix内でのユーザーのアクションや使用ツールなどから習熟度を判断して最適化されるという。

機能2SEOのためにやるべきことがリスト化された「SEOチェックリスト」

「SEOチェックリスト」とは、サイトを検索結果に表示させるためにやるべきことをリスト表示したもの。すべての項目を実行し終えると、Googleにインデックス・評価されやすくなる仕組みだ。

たとえば、ビジネス名またはブランド名の欄に「コーヒーハウス」と入力し、狙いたいキーワードとして「上野カフェ」「コーヒーショップ」などを設定したとしよう。

「SEOチェックリスト」イメージ画

すると、次のようにやるべきタスクがリスト化される:

  • トップページのタイトルを設定してください
  • トップページのディスクリプションを追加してください
  • トップページにテキストを追加してください など

さらに対応状況をチェックマークで示してくれるので、対応したかどうかが視覚的にもわかりやすくなっている。

  • 対応済みは、緑色のチェックマーク
  • 未対応は、赤色のチェックマーク

もし、どのようなキーワードを設定するか迷う場合は、Wixと連携しているキーワード分析ツール「Semrush(セムラッシュ)」を利用しよう。これは競合分析ツールで、通常は有料だが、Wixであれば24時間ごとに10キーワードまでが無料で分析できる。

「Semrush」を利用し、キーワードの「コーヒーショップ」を調査

気になるキーワードを入力すれば、次の情報を分析してくれる:

  • キーワードオプション
  • 検索ボリューム
  • トレンド
  • キーワード難易度
  • 検索意図

似たようなキーワードのパフォーマンスを比較したうえで、検索者の意図や傾向を見ながら、最適なキーワードを選ぶことができる。

機能3ブログ記事を最適化できる「SEOアシスタント」

「SEOアシスタント」は、サイトの潜在的な問題を特定し、SEO最適化のための手助けをするもの。ブログのSEOアシスタントでは、フォーカスキーワードを設定すると、ユーザーがやるべきことを「重要」「高」「中」「低」と重要度別に通知してくれる。

「SEOアシスタント」のイメージ画

さらに、たとえば「画像に代替テキストを入力する」という項目をクリックすると、入力する理由と、次のような要件とヒントが解説される:

  • すべて画像に代替テキストを追加します
  • 「生地を型に流し込む女の子」のように正確かつ具体的に説明します
  • 「…の画像」や、「.jpg」「.gif」などのファイル名の使用は避けます
  • この画像がどのように記事の内容と関連するかを説明します
赤い線で囲った箇所に、要件とヒントについて書かれている

今後は、サイト内のさまざまな場所でこの機能が利用できるようになる予定だという。

実際のWixユーザーが語る便利ポイント

作業の工数を減らせるSEO機能が魅力

では実際に、WixのSEO機能について、ユーザーはどのように感じているのだろうか。Wixパートナーであり、奄美大島を拠点に活動しているWeb制作会社「TLWorks」の富永寛之氏に話を聞いた。富永氏は、クライアントから依頼されたWebサイト制作をすべてWixで手がけているという。

WixのSEO機能でもっとも便利なのは、Wixの管理画面から数クリックでGoogleサーチコンソールに接続できることです。管理画面上でサイトパフォーマンスを視覚的にわかるため、Webに詳しくないお客様でもサイトの状況をつかみやすいです。また、Webサイトの分析をするうえで欠かせないGA4との連携も簡単です(富永氏)

通常GA4でアクセス解析データ収集をするなら、WebサイトにGoogle タグのコードを埋め込む作業が必要だが、Wixの場合は、管理画面に測定IDを登録するだけ。初心者でも簡単に連携できる。

GA4と連携するWixの管理画面イメージ

さらにWixのSEOチェックリストを使うことで、SEOに関わる設定が非常にスムーズに進みます。キーワードを設定するとナビゲーションが出てくるため、手順通りに設定していくだけです。これからWixを使ってみようという人にもおすすめしたい機能です。

作業の工数を減らせれば、より質の高いサイトをお客様に安く提供できます(富永氏)

SEO以外にもWeb制作会社にも重宝されるWix

SEO機能のほかに、Wixには、どのような魅力があるのだろうか?

HTMLやCSSの基礎知識がなくてもホームページを作成できるだけでなく、パワーポイントを操作する感覚でデザインができるし、Webサイト制作に必要なテンプレやツールはすべてそろっています。

またネットショップの開設や、オンライン予約システムなどの機能は、すべてアプリになっているので、Webサイトに簡単に導入できるんです。Wixに出合ったことで、人生が大きく変わりました(富永氏)

富永氏がWixと出合ったのは2015年。IT系企業に勤めているときに、会社ホームページのリニューアルを担当することになり、さまざまなツールを調査する中でWixを知ったという。Webの知識がほとんどなかったため、コードを書く必要がなく、感覚的にデザインできるWixを魅力に感じたという。

Wixにハマった富永氏は、会社でWeb制作の事業を始めることになる。1年後にはWixの講師を務めるようになり、さらに翌年には退職して、奄美大島に移住。「TLWorks」を立ち上げた。

そんな富永氏が制作したホームページを紹介しよう。たとえば「水間黒糖」のホームページだ。同社は、大手のECモールに出店するのみで、自社サイトを持っていなかった。そこで、EC機能を兼ね備えたWebサイトをWixで作ることとなった。

「水間黒糖」のホームページ

ホームページを制作した直後に、水間黒糖さんがたまたまテレビ取材を受けてオンラインストアに注文が殺到しました。「奄美 黒糖」で上位表示をしていたので視聴者がすぐにオンラインストアを見つけることができました。その後も自社サイトの売上は好調で、非常に喜んでいただいています(富永氏)

現在も「奄美 黒糖」で検索すると、大手ECモールのページをおさえ、検索順位1位に表示されている。これも「WixはSEOが弱い」ことが過去の話であることを裏付ける一つとなるだろう。

◇◇◇

「SEOの民主化」を掲げ、あらゆる知識レベルの方でも、簡単にSEO施策ができるようになっているWix。今後もGoogleの新しい動きに合わせて、便利なSEO機能を追加していくことだろう。

用語集
CSS / HTML / SEO / アクセス解析 / インデックス / インプレッション / クエリ / ナビゲーション
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

ディープリンク
WWW上でのリンクの張り方の1つ。サイトのトップページへのリンクではなく、個別コ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]