インタビュー

小さな会社のWebサイト構築には、やっぱりWordPressが最適?『いちばんやさしいWordPressの教本』の著者に聞いた

ロングセラーの著者に、WordPressの良さと使用の際に気をつけるべきポイントを伺った。

「Webサイト制作未経験なのに、会社のWebサイトを立ち上げるように言われた」――長い間、そのような人に手をさしのべてきた『いちばんやさしいWordPressの教本』の最新版が出版された。小さな会社のWebサイト構築に、WordPressが適している理由は何なのか? 本書の著者3名に、あらためてWordPressの良さと使用の際に気をつけるべきポイントを教えてもらった。

いちばんやさしいWordPressの教本 第6版 6.x対応 人気講師が教える本格Webサイトの作り方』(著:石川栄和氏、大串肇氏、星野邦敏氏 出版:インプレス)

小さな会社にWordPressをお勧めする理由

――一般に、小さな会社でWebサイトを立ち上げる場合、担当者の方はどのようなサービス/ソフト/手段を比較・検討するものでしょうか?

大串 肇氏(以下、大串):まず、飲食店や美容室などは、「Instagram」や「Google ビジネス プロフィール(旧:Google マイビジネス)」でも十分という場合がありますね。あるいは、「食べログ」や「ホットペッパービューティー」のようなポータルも検討されています。

ただ、「オリジナルなテキスト情報をもっとたくさん載せたい」とか、「問い合わせのメールフォームをつけたい」といったカスタマイズをしたい場合は、自前のWebサイトが必要になります。

Webの専門知識のない方がWebサイトを制作するには、HTMLやCSSといった技術的なことを知らなくても作れるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を使うのが一般的です。

大串 肇氏

――CMSにはどのような種類がありますか?

大串: CMSにはパッケージ型、オープンソース型、Web上で使えるSaaS型などがあります。WordPressは世界で一番使われているオープンソース型のCMSです。

――WordPressの特長は何ですか?

大串: 特別なWebの知識がなくてもコンテンツを公開できる、インストールが簡単、独自ドメインが使える、デザインや機能拡張の自由度が高いことなどが挙げられます。

あとは、WordPressは利用者が多いので、インターネット上に情報がたくさんあるのもメリットです。「うまくいかないけれど、どうするんだろう」とか、「こういう機能はないのかな」とか、調べればたいてい出てきます。

SaaS型のCMSの場合、サービスによっては、デザインの自由度が少ない場合もありますし、広告を入れられないこともあります。また、大量のコンテンツを上げた後で、サービスが終了してしまうことも、ないとは言い切れません。まさかと思うかもしれませんが、実は意外とあるんです。WordPressの場合、アップしてあるコンテンツはすべて自社の所有物なので、制約がなく自由です。

インストールが簡単

――インストールでつまずく人も多そうです。

大串: インストールはずいぶん簡単になりましたが、それでもWordPressが初めての人には、最初のハードルです。『いちばんやさしいWordPressの教本』では、サーバーのレンタル方法からインストールまで、ステップバイステップで書いてありますので、本に書いてあるとおりに進めていけば大丈夫です。

 

独自ドメインを使える

――独自ドメイン(自社だけのオリジナルURL)をつけられるのもメリットですね。

星野邦敏氏(以下、星野):サイトは自社の営業マンでもあるので、URLを自社できちんと管理するというのは大事です。WebサイトのURLはインターネット上での自社の住所のようなもので、名刺にも印刷します。独自ドメインなら、ぱっと見てわかりやすいので認知も上がりますし、SEO的にも有利とされています。

星野邦敏氏

星野: 独自ドメインの利用はWordPressでなければできないというわけではありませんが、自社ドメインを自分で維持管理できるというのは、会社にとって大きなメリットです。SaaS型の場合、独自ドメインを使えるサービスもありますが、引っ越すとURLが変わってしまうこともあります。『いちばんやさしいWordPressの教本』では、独自ドメインの設定方法も丁寧に説明しています。

 

業種ごとのデザインも容易

――Webサイトのデザインはどのように進めるのでしょうか?

石川栄和氏(以下、石川):WordPressは「テーマ」という機能でデザインやレイアウトを設定していきます。テーマはいろいろあるのですが、『いちばんやさしいWordPressの教本』では、初心者でも使いやすいテーマを使ってやり方を説明していますので、そのままやればできあがります。

 

各ページのコンテンツを作る際に、ゼロから作るのはハードルが高いと思います。弊社ベクトルの「パターンライブラリ」というWebサイトで、さまざまなパターンのデザインを無料配布していますので、ぜひ利用してみてください。コピーしてWordPressのブロックエディタに貼り付け、写真や社名など必要な部分を書き換えれば、オリジナルのコンテンツが簡単に作れます。

パターンライブラリ」では、よく必要とされるページやレイアウトのパターンを配布している
石川栄和氏

機能を拡張できるプラグインがたくさん用意されている

――WordPressの機能拡張では、プラグインが便利ですよね。

星野: はい、プラグインを利用してどんどん機能を追加していけるのもWordPressの魅力です。たとえば、「問い合わせフォームを作成する」「画像を最適化してページの表示速度を向上させる」「コメント欄を非表示にする」など、Webサイトをカスタマイズしたいときは、プラグインを追加するだけです。

 

現在、「WordPress公式プラグインライブラリ」に6万以上の無料のプラグインが公開されていますから、やりたいと思ったことは、探せば出てくると思います。どうしてもなければ、自分で作ることもできます。もちろんこれは、上級者になってからですが。

アップデートだけは絶対に忘れないで

――WordPressを使ってWebサイトを構築する際の注意点は何かありますか?

石川: きちんとアップデートすることです。WordPress本体もプラグインも、頻繁にアップデートがあります。管理画面にアップデートの通知が表示されていたら、必ずアップデートしてください。

WordPressのアップデートは、機能や使いやすさの強化だけでなく、脆弱性の改善も行われています。最新版へのアップデートを怠ると、外部からの攻撃を防げないことがあるので、アップデートは必須です。

「WordPressは不正アクセスのリスクがある」といった噂を聞いたことがあるかもしれませんが、プラグインのアップデートをしていないために改ざんされたという話がほとんどです。

大串: OSS(オープンソースソフトウェア)であるWordPressは、企業ではなく有志が開発し、不具合などもユーザーから指摘があればすぐに修正しています。

プログラムに何かミスや不足があって、動作に問題があるという報告があると、修正して更新ファイルが配信されます。

WordPressは利用者が多いので、不具合に気づいて報告する人も多く、更新もたくさん出ます。Windows UpdateやiOS、Android OS、スマホアプリのアップデートと同じように、必ず最新の状態を維持してください。管理画面から簡単にできますし、今は自動更新の機能もあります。

 

ロングセラーになっている理由とは?

――『いちばんやさしいWordPressの教本』は2013年に初版を刊行してから、今回で第6版となるロングセラーです。読者からどこが支持されているとお考えですか?

星野: 当時、今でいうノーコード的な本がありませんでした。WordPressの本なのにソースコードの説明をいっさいしない本は斬新でした。ちょうど、Web制作をプログラムがわかる人ではなく一般のビジネスパーソンがやるようになり始めた頃で、そういう人向けの本が売れるタイミングだったのでしょう。

石川: コードがまったくわからない人が見ても、きちんとサイトを作るところまでできるように書籍では説明していますので、読者ターゲットの数が多いんですよ。プログラムがわからなくても、パソコンに触れる人ならみんな対象ですから。

大串: 図版がたくさん使われていて、書いてある通りに設定すればいいようにできている。編集部がすごくがんばってくれたと思います。今回の改訂では、WordPressのバージョンが6.2になって「フルサイト編集」という機能が正式リリースになったので、その説明を追加しています。

――ちなみに、フルサイト編集というのはどのような機能ですか?

大串: ヘッダやフッタなどもブロックエディタから変更できるようになった、つまり、より自由にデザインできる機能です。便利だと感じる人が多いと思います。

石川: フルサイト編集の操作手順を解説している書籍は、まだほとんどないはずです。特に、ノーコード向けに振り切った本は他にないのではないでしょうか。

――最後に、これからWebサイトを立ち上げようと考えているWeb担当者の方へ、メッセージをお願いします。

星野: インターネット上で情報発信することで、お店にお客様が来ることも、製品の問い合わせが来ることも、本当に増えています。その良さを味わうきっかけづくりとなる本なので、売上向上の一助になればと思っています。

大串: インターネット上に自分の作ったモノが出るというのは純粋に楽しいです。今はSNSで気軽に発信できる時代になりましたが、WordPressで自分のお城を作れて、好きなように運営できるというのは楽しいし、その楽しい気持ちが見ている人にも伝わる気がします。

石川: この本でWebサイト構築の基礎を一度覚えると、友人のお店のWebサイトを作ってあげたり、自分の趣味のブログを作ったり、いろいろ応用がきくようになると思います。そういう入り口として楽しんで作っていただけると嬉しいです。

WordPressは、世界的なものから地域のものまでさまざまなイベントがあります。公式で大きなものだと、10月に「WordCamp」というイベントがあります。

地域の勉強会もあるので、わからないことがあったらお近くのイベントに参加してみてください。ダッシュボードに案内が出るようになっています。悩みを共有できる人や教えてくれる人に出会えると思うので、積極的にそういうところに顔を出してみるのも良いと思います。

いちばんやさしいWordPressの教本 第6版 6.x対応 人気講師が教える本格Webサイトの作り方』(著:石川栄和氏、大串肇氏、星野邦敏氏 出版:インプレス)

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