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SEOの可能性を見積もって目指すべき掲載順位を決めよう(前編)

検索ボリュームを調べ、どれだけのクリック数を取れるのか見積もるという作業はSEOの取り組みで非常に重要だ。検索の機会を見積もって、どの掲載順位を目指すべきか、どこに注力すべきかの参考にしよう。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

SEOのさまざまな取り組みのなかでSEOの可能性をビジネス成果にひもづけて見積もることは、次の2点で重要な仕事だ:

  • どこに注力するべきかを判断するのに役立つ
  • 君の仕事の潜在的な価値を他者に証明できる

今回は、SEO会社Airaの新しいキーワードの機会見積もりワークシートについて紹介した最近の記事に基づき、ロビン・ロード氏がこの重要な見積もり作業の優れた戦略について解説する。

前編後編の全2編でお届けするが、前編となるこの記事では、次の内容について解説する:

  • クリックスルー率曲線
  • 現在の順位を加味した見積もりと目指す掲載順位
検索順位とクリック数の見積もり作業
検索順位とクリック数の見積もり作業

こんにちは、世界各地でこれを見ているみんな。僕の名前はロビン・ロード。英国のAiraというデジタルマーケティング・エージェンシーで働いている。今回は、さまざまなSEOの可能性を見積もることについて解説します。

先にも述べたように、SEOの可能性を見積もることは、自分たちのプロダクトが他者から見てどれだけ価値があるかを示し、どこに力を入れるべきか明らかにするのに役立つ。

さまざまな場所でどれほどの可能性がありそうかを知ることは、非常に重要だ。そこでまずは、最も基本的なアプローチから始めて、もう少し複雑で感覚的なアプローチへとステップアップしていこう。

キーワードを検索した人がすべて自分のサイトに来るとは限らない

SEOの可能性を見積もろうとしている場合、まず調べるのは、ターゲットにしたいキーワードに関する数値だ。たとえば、「会社の設立(setting up a business)」という検索フレーズを狙っているならば、この検索フレーズに対する検索ボリュームを入手する。

※Web担編注 検索ボリュームとは(クリックで説明が開きます)

検索ボリューム(SV: Search Volume)とは、検索エンジンで特定のキーワードが何回検索されているかの数値。

Google広告のキーワード プランナーで調べられる「月間平均検索ボリューム」のことを指す場合が多い。

「setting up a business」は月に6500回ほど検索されているとする。1か月に6500回、誰かが「setting up a business」を検索しているということだ。ただ、これらの人たち全員が僕たちのウェブサイトにまっすぐ来てくれると想定してはいけない。

おそらくほとんどの人が検索表示順位が1位のサイトをクリックすると思うが、2位をクリックする人もいるだろうし、3位や4位をクリックする人も、それ以下のリンクをクリックする人もいるだろう。可能な限り上位に表示されたとしても、すべての位置を独占できるわけではない。したがって、6500回分のクリックがそのまま僕たちのウェブサイトにつながっていると思ってはいけない。

クリックスルー率曲線(CTR曲線)とは

特定の検索フレーズからどれだけの検索トラフィックを獲得できるかを知るには、次の3つの情報を使う:

  • 検索ボリューム
  • 検索順位
  • クリックスルー率曲線(CTR曲線)
※Web担編注 CTRとは(クリックで説明が開きます)

リンクがクリックされた頻度を表す。たとえば、検索結果や広告などがユーザーに1000回表示され、100回クリックされた場合CTR(クリックスルー率)は10%となる。

クリックスルー率曲線とは、たとえば次のようなものだ:

クリックスルー率曲線の例のグラフ
クリックスルー率曲線(縦軸がCTR、横軸が検索順位)

横軸には検索表示順位の1位から10位が並んでおり、縦軸はクリックして僕たちのサイトに来ると思われる確率だ。通常は表になっていて、Excel関数などのVLOOKUPなどで算出できる。

※Web担編注 VLOOKUPとは(クリックで説明が開きます)

VLOOKUP(ブイ・ルックアップ)は、表を縦方向に検索し、特定のデータに対応する値を取り出すExcel関数。詳細は「VLOOKUP関数の使い方」を参照。

クリックスルー率曲線を見ると、たとえば次のようなクリック率だということがわかる:

  • 1位はクリック率35%ほど
  • 8位はクリック率5%ほど

SEOの最初の成果を「検索からサイトに来てもらうこと」だとすると、得られる成果はこの曲線を使って想定できる。計算式は次のものだ:

検索ボリューム(検索された回数) × クリック率 = 予想されるクリック数

今回の例でいうと、月間検索ボリュームが6500なので、1位のクリック率(35%)で計算してみると次のようになる:

  • 月間クリック数 6500 × 0.35 = 2275
  • 年間クリック数 2275 × 12 = 2万7300

つまり、検索表示順位1位が35%のクリック率になると仮定すると、検索キーワード「setting up a business」で検索1位になったページは、検索結果ページで1年間に約2万7000回クリックされることになる。

重要なのは現状からどれだけクリック数が増えるか

仮定のクリック回数の算出方法さえわかればいい人もいるが、次のように考えることもできる:

すべてのキーワードで1位を獲得できると仮定して、どれほどのトラフィックを得られるかをキーワードごとに検索ボリュームとCTRから計算していけば、的外れな予測ではない。よし。

確かに、これである程度は正確な見積もりができるが、考慮から漏れている要素がある。それは、現状ですでに獲得している検索トラフィックがあることだ。

たとえば、この検索キーワードに対して、自社のページが現在8位に表示されているとしよう。ここで、8位はすでにクリック数をいくらか獲得していることがわかる。

もし1位に上昇した場合、当然ながらクリック数は現在より増えることになるが、増えるクリック数は2万7000件ではない。EO施策の成果と見なせるのは、「今8位で獲得している検索トラフィック」と「1位になって得る検索トラフィック」の差だ。

つまり、本当に重視したいのは現在獲得しているクリック数からどれほど増えるかということだ。

現在の順位を加味した計算

現在のクリック数からどのくらい増えるかを計算するには、どうすればいいだろうか? 幸い、この計算はかなりシンプルで、先ほどとまったく同じ計算だ。

8位の掲載順位の場合、クリック率は5%なので、1か月と年間のクリック数を求める計算式は以下だ。

  • 月間クリック数 6500×0.05=325
  • 年間クリック数 325×12=3900

キリが良いので、現在は年間約4000件のクリックを獲得しているとしよう。1位になれば獲得できるのは年間約2万7000件だ。そのため、2万7000件から4000件を引いて、年間約2万3000件の機会が得られるということだ。

このようにして、さまざまな場所でどのような機会があるのか、もう少し感覚的にわかるようになってくる。現時点である程度うまくいっているものに注力し続けるのではなく、未開拓の成長が見込める分野に重点を移せるようになる。

目指す掲載順位

さらにもう少し踏み込んでみよう。1位になったらどれほどクリック数を増やせるかは、すでに理解した。しかし、本当に1位をとれると仮定して見積もるのが正しいのだろうか?

たとえば、次の図を見てほしい。「会社の設立(setting up a business)」のキーワード検索で、上位は次のような状況だとする:

  • 1位: 政府のウェブサイト
  • 2位: Amazon
  • 3位: Google
例:キーワード「会社の設立(setting up a business)」の順位
例:キーワード「会社の設立(setting up a business)」の順位

Googleは、政府のウェブサイトを参照して、関連性がかなり高いと判断すると、これをなかなか置き換えようとしない。これらのサイトは非常に信頼性が高く、とても優れた情報を持っている傾向があるからだ。

GoogleはAmazonも置き換えようとしない。さまざまなクエリに対する検索結果として優れている場合が多いという理由だ。そしてもちろん、Google自らを置き換える可能性も低い。

そのため、このキーワードに対してどれほどの成果を上げられるかを現実的に考えてみると、「1位は無理だろう」「もう少し下の順位で見積もるほうが良さそうだ」と思うかもしれない。

下に順位に注目するなら、5位や4位のポジションがいいだろう。4位以下は次のような感じだ:

  • 4位: 会社の作り方に関するページ
  • 5位: Wikipedia
  • 6位: 会社設立サービスの販売業者(ここからサービスを購入できる)
  • 7位: 会社設立を50%割引でするサイト(売り込みだが、50%も割引されるのでメリットがある)

これらすべてを見ると、「自分たちのサイトはとても1位、2位、3位にもなれない」と思ってしまうかもしれない。それどころか、5位のWikipediaに取って代わろうとも思わないほうがいい。

ここで僕が目を向ける最善の位置は、実は4位だ。ここで、クリック率の見積もりに戻る必要がある。1位ではなく4位で推計値を出し、それを使って、このキーワードで得られる総合的な機会を把握するのだ。

今回、ロード氏は最善の順位を4位と結論付けた。どのような方法で結論にたどり着いたのか、その考え方や実際の順位獲得のための方法や、SEO担当者としてもつべきビジネスの考え方について説明する。

→後編を読む

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