ローカルSEOで見過ごされている「ローカルパックの見出し」3つの特徴と5つの最適化手法
今回のテーマは「ローカルパック」だ。
ローカルパックという見慣れた画面の中に隠れている要素と言えば何だろうか? SERPの少なくとも33%に表示されるにもかかわらず、業界内で定まった呼び名がなく、その興味深い動作がこれまでほぼ見過ごされてきた要素である。それを私は「ローカルパックの見出し」と呼ぼう。
周囲の人たちに内々に聞いてみたところ、ローカルSEO業界では、ローカルパックの見出しを飾るこのよく見る目立つ機能に名前らしい名前を付けていないことが明らかになった。
そう聞いて、君はおそらく「あまり気にしたことはなかった」と思っているだろう。少なくとも私は、尊敬すべき同僚のドクター・ピーター・J・マイヤーズと一緒にこれについて調査を始めた時点で、そう思っていた。私たちはデータを集めることで、グーグルがこれらの大きな見出しで何をしているのか明らかにできないか調べてみることにした。その結果、いくつか意外な発見と参考になるポイントがあった。
この記事ではローカルSERPについて学び、スマートな戦略を立てられるようにしよう。記事末尾では、ローカルパックの見出しを活用する5つの手法をチェックリスト形式でお届けしている。
ローカルパックの見出しについてわかったこと
Mozでは、合計1万件のクエリからローカルパックのクエリ3392件分のデータを抽出し、ローカルパックの見出しとクエリについて調査した(詳しい調査概要は記事末尾に記載)。
その結果からわかった3つのことを、次に簡単にまとめた:
- 固有のローカルパックの見出しは極めて多様性に富む
- ローカルパックの見出しのもととなる意味論的な関係は多岐にわたる
- ローカルパックの見出しには、少なくとも5つのタイプがある
それぞれについて解説していこう。
わかったこと1
固有のローカルパックの見出しは極めて多様性に富む
3392件の検索のうち、約2000件は見出しが固有のものだった。私たちローカルSEO担当者は、Googleビジネスプロフィール(旧称:Googleマイビジネス)の標準的なカテゴリに基づいて考えることに慣れているため、
- 「50th birthday party ideas(50歳の誕生日パーティーのアイデア)」
などのキーワードで検索したときに、次のような固有のローカルパックの見出しが表示されなかったので少し意外に感じられる:
- 「party store(パーティーショップ)」
- 「amusement center(アミューズメント施設)」
ローカルパックの見出しは関連するカテゴリではなく、検索キーワードから取得されている場合が非常に多い。
私たちのデータセットでは、ほぼ3回に2回の割合で、グーグルが見出しとして表示したのは完全に固有なものであり、今回の調査で検索結果に表示された他のどのキーワードとも違っていた。
わかったこと2
ローカルパックの見出しのもととなる意味論的な関係は多岐にわたる
グーグルがローカルパックの見出しをクエリのキーワードと完全に一致させた割合は、わずか40%だった。このセグメントには、「Arbys」と「Arby's」のように記号が少し違うだけでほぼ同じクエリや結果も含めている。
残りの60%では、クエリに関連性があるとグーグルが判断した別の見出しを使っていた。つまり10回のうち6回は、たとえば「baby stroller(ベビーカー)」を検索しても、ローカルパックの見出しにはそのキーワードが反映されたものではなく、「department store(デパート)」などが表示されたということだ。
この調査をしていて特に不思議だったのは、こうした意味上の関係が無作為に作用しているように思われたことだ。その例をスクリーンショットとともにいくつか紹介しよう。
たとえば、「adopt dog(犬を引き取る)」と検索すると、「Animal Rescue Services(動物保護サービス)」というローカルパックの見出しが表示される。
しかし、「adopt bunny(ウサギを引き取る)」と検索すると、これも動物保護施設で一般的に行われていることだが、なぜかキーワードとまったく同じ見出しが表示される。
また、「mop(モップ)」を検索すると、キーワードとまったく同じ見出しが表示される。
しかし、「broom(ほうき)」を検索すると、モップとはまったくの別物だとでも言うように、どういうわけか「In-store Availability(店頭在庫の有無)」という見出しが表示される。
同様に、「desk(机)」に対しても「In-store Availability」が強調される。
しかし、「couch(ソファ)」に対しては、なぜか自分で「Furniture Stores(家具店)」に電話して在庫を確認しなければならない。
次の4つの検索では、どれも「martial arts schools(武術スクール)」という見出しが表示される:
- 「karate(空手)」
- 「wing chun(詠春拳)」
- 「aikido(合気道)」
- 「jiu jitsu(柔術)」
しかし、「tai chi(太極拳)」を検索すると、なぜかクエリと完全に一致する見出しが表示される。
食べ物を検索し始めると、ますます訳がわからなくなる。「jasmine tea(ジャスミン茶)」を検索してみると、「Grocery Stores(食料品店)」の情報を得られれば私が満足するとグーグルが思っていることがわかる。
だが、「pickles(ピクルス)」の情報を求めると、キーワードがそのまま見出しとして表示される。
一方で「tacos(タコス)」を検索すると「Mexican restaurants(メキシカンレストラン)」という見出しが、「pho(フォー)」を検索すると「Vietnamese restaurants(ベトナムレストラン)」という見出しがつく。
しかしグーグルは、「spaghetti(スパゲッティ)」の検索が「Italian restaurants(イタリアンレストラン)」と関連性が高いとは考えないようで、代わりにキーワードと同じ見出しが表示され、それに続くローカルパックにはイタリアンレストランの情報が並ぶ。
なぜ、「pants(ズボン)」の見出しは「Clothing Stores(衣料品店)」なのに、「t-shirts(Tシャツ)」の見出しはキーワードそのままなのか。
なぜ、「tomato seeds(トマトの種)」には「Garden Centers(ガーデンセンター)」という見出しがつくのに、「petunias(ペチュニア)」だとそのままの見出しがついたローカルパックが表示されるのか。
なぜ検索エンジンは、「vinegar(酢)」の「In-store Availability(店頭在庫の有無)」は知っているのに、「BBQ sauce(バーベキューソース)」の在庫を知らず、そのままの見出しをつけるのか。
グーグルのこうした対応はどれも奇妙であり、もととなる意味論的な論理の多くが説明できないものであることを示していると言っておけば十分だろう。私としては、次のようにシンプルに説明したいが、これまでのところ証明できないでいる:
これらの見出しはGoogleビジネスプロフィールのメインカテゴリに由来する
カテゴリのキーワードとはかなり異なるキーワードである場合が多く、今のところ私にできる最大の貢献は、ローカルパックの見出しを大別することだけだ。
わかったこと3
ローカルパックの見出しには、少なくとも5つのタイプがある
ほとんどの見出しは、基本的に次の5つに分類される:
- ブランド名
- 商業上のコンテナ型キーワード
- 完全一致の商業的なキーワード
- 情報関連
- 行動喚起
どのような検索では、どのタイプのローカルパックの見出しになるのだろうか。
ブランド名
「Chuck E. Cheese near me(近くのChuck E. Cheese)」といった検索では、「Chuck E. Cheese」を見出しとするローカルパックが表示される。
商業上のコンテナ型キーワード
特定の製品やサービスを検索すると、次のようなフレーズが見出しとして表示される場合が多い:
- 「Grocery store(食料品店)」
- 「Department Store(デパート)」
- 「Chiropractor(カイロプラクター)」
- 「Legal firm(法律事務所)」
- 「Plumber(配管工)」など
検索しているのが「vacuum cleaner(掃除機)」であれ「back pain(腰痛)」であれ、グーグルはこれらの検索キーワードを何らかの包括的な分類のビジネスタイプと関連付けることが多い。
これらのキーワードは、通常のGoogleビジネスプロフィールのカテゴリと完全に一致することもあるが、多くの場合はそうならない。たとえば、「vacuum cleaner」を検索すると、標準的なカテゴリである「vacuum cleaner store(掃除機店)」ではなく、「vacuum cleaner」という見出しのローカルパックが表示される。
完全一致の商業的なキーワード
すでに見たように、グーグルは「pickles」や「spaghetti」などの商品検索に対しては見出しを完全に一致させることが多く、「tax preparation services(納税申告書作成サービス)」などのサービス検索にも同じ対応をするだろう。
情報関連
冒頭に挙げた「50th birthday party ideas」の例のように、グーグルはこういった情報関連のクエリを、パーティーショップのような商業的なものであれ、地域の公園のような市民に関連するものであれ、ローカル検索結果に対応させることができる。
情報関連のクエリは、完全に一致する見出しか、あるいは一致はしないが何かしら暗黙の関係があると思われる見出しのいずれかになる。
行動喚起
「In-store Availability」という見出しは、「Sold here(ここで販売中)」や「In stock(在庫あり)」と同様にローカル性を強調するもののように見える。しかし、この最も実用的なCTAでさえ、どう見てもこれらの強調表示とはリンクしていない。
たとえば、グーグルが何をしようとしているか注意して見ておくために、私がときどき検索する「accent chairs corte madera(アクセントになる椅子 コルトマデラ)」について紹介しよう。
上のスクリーンショットでわかるように、ローカルパックに表示される3つの結果にはすべて「Sold here」の情報も含まれているが、ローカルパックの見出しは「In-store Availability」ではなく、「完全一致の商業的なキーワード」に分類される。
また、「In stock」の情報が含まれている場合でも、「In-store Availability」の見出しが表示されるとは限らない。次の例でも、ローカルパックの見出しは完全一致の商業的なキーワードだ。
こうした状況を踏まえて、ではどうすればいいのか?
人工知能(AI)や機械学習によって検索がいかに賢くなったか絶賛するニュースの見出しを目にしたとき、その逆を証明する事例をあまりに多く見てきただけに、苦笑してしまった経験はないだろうか。「機械は今や人間と同じくらい賢くなった」と開発者が主張するのを聞いて、ため息をついたことはないだろうか。
そして、私たち人間が知的に自立していると言えるまでには進化する必要があることを示す十分な証拠があることを考えると、こうした人たちがイルカか何かに匹敵するような、もっと高いハードルを課してくれることをひそかに願ったことはないだろうか。
このことを念頭に置いて、50歳の誕生日パーティーのアイデアについて改めて見てみよう。
みんなの場合はどうかわからないが、ドクター・ピートも私も、8月の50歳の誕生日を「Cucu's PlayHouse」のような場所で過ごしたいと思うだろうか。ここでレビュアーたちは、この場所が小さな子どもたちにとってとても楽しい施設だと賞賛している。実際のところはピートに聞いてみなければわからないが、とりあえずこのローカルパックには、50歳の誕生日パーティーを、次と関連付けたグーグルの「賢さ」に疑念を持たせる証拠が示されている。
「kiddos(子ども)」や「sons(息子)」について書いているレビューが表示される
メインカテゴリが「Language school(語学学校)」の検索結果が含まれている(言語学者にとっては楽しいパーティーになるだろうが)
グーグルも頑張って「Party store(パーティーショップ)」や「Amusement center(アミューズメント施設)」を絞り出しているのだろうが、全体としての関連性には不満が残る。
実際のところ、検索技術はようやく幼稚園を終えたほどのレベルにすぎないため、ローカルビジネスを売り込みたいのであれば、この技術が基本のABCを学べるように後押ししてやる必要がある。だからこそ、ローカルパックの見出しのように見落とされている要素を調査することは、競争上の優位につながる可能性があるのだ。次のチェックリストを確認してみてほしい。
主要なキーワードで検索し、キーワードごとに表示されるローカルパックの見出しを確認する。
これらの見出しのキーワードに合わせてウェブサイト内の関連ページを最適化したことがなければ、最適化する。
これらの見出しのキーワードを含むレビューが表示されるような方法で、レビューリクエストを書く。
自分のサイトやGoogleビジネスプロフィールにPointy経由で製品を掲載することで、表示される見出しがこちらのコンテンツと一致することをグーグルが認識できるようにしていなければ、これもやった方がいい。
Googleビジネスプロフィールのカテゴリにズレがあり、特定の見出しに関連するローカルパックに表示されるカテゴリを追加することで、そのズレを修正できる可能性があるのなら、追加する。
カテゴリや情報の表示といったフィールドや機能が、基本的なセマンティック(意味上の)マッピングの一環であるかは定かではない。これらのセマンティックマッピングは、グーグルがどのような方法でこうした非常に多岐にわたる見出しを掲げてローカルパックを表示しているかを教えてくれるものだ。しかし確かなことは、グーグルに「ねえ、これは関連性が高いよ」というシグナルを送るために利用できるものであれば、文字通り何であれ検討に値するということだ。
まとめ
今回は最後に、MozCon 2022カンファレンス(映像販売中)で複数のスピーカーが露わにしていた感情で、私の心に残っているものを紹介したい。スピーカーたちは、参加者に次のように自問するよう訴えていた。
自分にとって今日の検索はどのようなものか?
次々と導入されるSERPの機能は困惑するほどで、Near Mediaの私の同僚などはグーグルの検索結果をラスベガスの騒々しさに例えている。ここは腰を落ち着けて、売り込もうとしているビジネスを表すあらゆる優れた要素、ただし時には目立たないこともある要素について、意識的に学習する時間を取る必要がある。
このインターフェースは常に変化しているため、君(と君の顧客)にとって今日の検索はどのようなものになっているかを考え、その上で明日、ローカルパックの見出しのように大きなスペースを占めるプロモーション要素がすぐ身近なところに隠れていないか、改めて確認する必要がある。
今回のケースでは、ショッピングモールの看板やパッケージのラベルに相当する大きさの機能に注目することで、グーグルが意図と資産を一致させようといかに奮闘し、成功し、そして失敗しているかが見えてくる。これらの資産はたまたま君のものでもあるため、君の認識と実験が必要になる。ローカルパックの見出しを独自に調査して、今回取り上げなかった新しいパターンを発見した人がいたら、Twitterで私に知らせてほしい。
これからも一緒にローカルパックを学んでいこう!
調査の方法
私たちはMozCastを利用して(合計1万件のクエリから)ローカルパックのクエリ3392件分のデータを抽出することで、次の情報を取得した:
- ローカルパックの見出しの有無
- 動作に関する元データ
そして、スプレッドシートでクエリのキーワードとSERPを比較した。これと併せて、検索キーワード50件を手動で検索し、グーグルがこの要素をどう処理するかをさらに観察した。ただし、結果は次のような要因で異なる場合がある:
- 場所
- 言語
- デバイス
ソーシャルもやってます!