【レポート】デジタルマーケターズサミット2021 Summer

ClubhouseとInstagramで京都の魅力を発信! MKタクシーが実践、ファンとのコミュニケーション術

コロナ禍で厳しい状況下の観光業界。そんななか、SNSを使ったマーケティングを積極的に実施している「MKタクシー」。SNSを通じたファンとのコミュニケーションについて事例を交えて紹介する。

いち早くClubhouseで公式企業アカウントを開設し、月に2回イベント開催しているMKタクシー。コロナ禍において大きな影響を受けた観光業だが、MKタクシーではInstagramのライブ配信を強化するなど、ファンとのコミュニケーションに力を入れている。

デジタルマーケターズサミット 2021 Summer」で、SNSの運用体制やClubhouseに取り組んだ理由、コロナ禍の新しい取り組みなどについて、エムケイの中村正明氏に、Web担当者Forumの四谷志穂が質問する形でセッションが進められた。

(左)エムケイ株式会社 経営企画部商品開発課 課長 中村正明氏
(右)株式会社インプレス Web担当者Forum編集部 編集長 四谷志穂

SNSはTwitter、Instagram、Facebook、ブログ、YouTubeを運用

タクシー・ハイヤー・バスによる旅客運送業、旅行業、自動車整備業などを事業とするエムケイ。本社は京都市にあり、グループで全国8都市にてタクシー・ハイヤーを運行している。登壇した中村氏は、2020年4月にエムケイホールディングスに入社し、新規商品、新規コンテンツ開発や、新規事業企画、オンラインツアー映像配信などの業務を担っている。

現在、旅行業はコロナ禍で大きな影響を受けている。そのような状況下でも、同社では新しい取り組みに挑戦している。それは、グループ会社であるMKトラベルが提供する「オンラインツアー」だ。一般のお客様や、外出が難しい方も多くいる介護施設向けに、京都の観光スポットから収録ではなく、リアルタイムで現地情報を配信するオンラインツアーを開催している。

MKトラベルが提供しているオンラインツアー

今回のテーマはSNSだが、特にClubhouseとInstagramの事例を詳しく紹介していく。中村氏はまずMKタクシーで活用しているSNSと目的を解説した。MKタクシーでは次のSNSでアカウント運用を行っている。

  • Twitter
  • Facebook
  • ブログ
  • Instagram
  • YouTube

Twitterの公式アカウント(@MKofficial_PR)はフォロワー数が約7万人おり、ドライバーの魅力紹介に加え、各地の猫の写真と風景などを発信している。Facebookとブログは、主にオウンドメディアとして情報発信をしている。

Instagram(mktaxi.jp)も好調でフォロワーは約1.8万人、京都の観光スポットの写真を掲載している。YouTubeのチャンネルもある。2021年3月からはInstagram、YouTubeでライブ配信にも取り組み、京都の四季を中心に「京都の今」を伝える配信を行っているという。

各SNSには専任の担当者。各担当者が企画・制作・撮影を担う

かなり多くのSNSを活用しているが、運用体制はどうなっているのだろうか。

「経営企画部が広報を担当しており、各SNSに専任の担当者がいます。18人いるメンバーのうち、6名がSNSに携わっており、企画、制作、撮影などを一貫して担っています」と中村氏。SNS運用はフォロワー数を増やすのに苦労する担当者が多いが、投稿内容についてどのような工夫をしているのだろうか。

中村氏によると、広報活動として情報発信をしてほしいと依頼する場合もあるが、SNSの投稿は担当者の裁量に任せているという。「会社としては材料を渡すところまでで、その先の調理方法は担当者に一任している」と中村氏。投稿内容について上司への報告は行っているというが、各担当者のセンスや裁量に任せた運用となっている。

公式Twitterを開設したのは2011年だが、2014年の時点でフォロワーは70人だったという。「今の担当者になって、さまざまな工夫をして年間1万人ずつフォロワーを増やして現在に至っています。フォロワーを増やすにあたって、費用をかけたキャンペーンは行っていません」と中村氏。

一方、SNS担当者に裁量を渡しすぎると、時に炎上するリスクもある。驚くことにMKタクシーで炎上対策は、特別なことはしていないが、他社の炎上事例があれば共有し、意識の向上につとめているという。また、SNS担当者は経営企画部という1つの部内にいるので、投稿内容について周りがサポートし、リスクがありそうなら指摘や情報交換をしながら運用をしているという。このやり方でこれまでに炎上したことはない。

京都へ訪れることが難しいコロナ禍。ファンとのコミュニケーションを大切にし、MKタクシーを好きになってもらいたい

SNSのKPIは、新規ファンの獲得を目的にフォロワー数としているという。

SNSによってはフォロワー数が増えると、使える機能が増えるので、その数値を目標にしていることもあります。Instagramは、私が入社したときはフォロワー1万人でしたが、1.5万人を目標にして、担当者がアイデアを考えて運用した結果、現在は1.8万人まで伸びました(中村氏)

歴史のある企業の場合、SNSに積極的になれないこともある。「MKタクシーの場合SNSは、新しい広報ツールの一つとして活用していて、一番はドライバーの魅力を伝えるために発信していると認知されています。最近は、他の部署から発信の依頼も来るようになりました」と中村氏。

特にコロナ禍でお客様が京都観光に来ることができない中、ファンとのコミュニケーションを重視しています。SNSの投稿に『状況が落ち着いたら京都を訪れたい』『MKタクシーに乗りたい』『ドライバーを指名したい』というコメントも頂いています。ファンとの交流でよりMKタクシーを好きになってもらいたいです(中村氏)

Clubhouseにチャレンジ! 公式アカウントとして月に2回、イベント開催

2021年1月に話題になったのが音声SNSのClubhouseだ。MKタクシーでは、早々に公式企業アカウントを作成した。2月にアカウントを作成し、2月25日に最初のイベントを実施した。2021年8月20日時点では551名のフォロワーがおり、月2回のペースでイベント開催しているという。すでに12回のイベント開催しており、話すテーマは毎回異なる。テーマはおすすめの京都のパン屋やラーメン屋、ドライバーのおすすめ観光コースのプレゼン大会など、京都に関わる内容が中心だ。まだ企業アカウントの事例もない中、早々のタイミングで配信を開始したのはどのような理由があったのか。

MKタクシーのClubhouse活用事例

2021年1月にドライバーからドライバーが話すラジオ番組をやりたいという声があったんです。そこで、アプリを探していたのですが、そのタイミングでClubhouseが話題になり、取り組みをはじめました。ノウハウもない、触り方もわからないという中で、社会情報大学院大学 特任教授の高広伯彦さんから、MKタクシーのアカウントのストーリーや運用方式について、さまざまなアドバイスをいただき、開設する運びとなりました(中村氏)

世の中でもまだ事例がない新しいSNSの運用なので、炎上や放送事故の心配もあったという。対策として、話をするのは10年~15年のドライバー経験があるハイヤードライバー、そして必ず中村氏がモデレーターとして参加し、場をコントロールする体制で運用することにした。イベントの企画や参加ドライバーは、ドライバーが中心になって決め、中村氏に伝える。中村氏がイベント設定を行い、配信に立ち会うという流れだ。コロナ禍でタクシーに乗るお客様が減り、ドライバーがお客様と話す場がなくなっている中、Clubhouseが重要な接点になった。

ドライバーが6時間貸し切り観光コースを考えてプレゼンするイベントでは、オーディエンスの投票で優秀賞を決めました。その後、ダイレクトメッセージでツアーの予約が入り、そのツアーを実施しました。この成果はドライバーのモチベーションを高めましたし、ドライバーの所属部署の部長も喜んでいました(中村氏)

マネタイズを考えたオンラインコミュニティにも挑戦中

Instagramのライブ配信にも注目したい。MKタクシーでは京都の寺院や観光スポットからライブ配信を行っている。初めてライブ配信に挑戦したのは、2021年3月だ。きっかけはコロナ禍で京都に桜を見に来られない人のために、お花見スポットを届けたいという思いからだ。平日に毎日配信を行い、視聴者から感謝のコメントを多くもらったという。この配信をきっかけに、ライブ配信に積極的に取り組むようになった。ライブ配信の運用はどのように行っているのだろうか。

担当者がほぼ1人で、観光スポットの選定から、観光スポットに企画書を送ってアポ取り、当日の撮影・配信などをやっています。天候によってはライブ配信の場所を変えることもあります。当日の機材は、スマホ1か2台、スマホで撮影をする際に手ブレを防いでくれるスタビライザーを使って撮影をしています。撮影場所によっては先方もSNSアカウントをお持ちなので、その場合は2アカウントで同時配信することもあります(中村氏)

ライブ配信の1回あたりの平均のべ視聴者数は700人、リアルタイムでの同時視聴者数は150人~200人ほどだという。神社仏閣に限らず、トロッコ列車などさまざまなスポットで配信している。

MKタクシーのInstagram活用事例

SNSは担当者、ドライバーなどが協力して実施している取り組みだが、運用には工数がかかる。マネタイズはどうしているのだろうか。「Instagramは投げ銭機能があるので、視聴者から投げ銭をいただくことがあります。もう1つは、有料のオンラインコミュニティ『MK KYOTO LIVE MEMBERS』という取り組みをはじめています」と中村氏。

有料のオンラインコミュニティ「MK KYOTO LIVE MEMBERS」

コミュニティには月額1,000円で参加できる。普段は非公開の場所からの配信や、ゲストを招いた配信コンテンツの企画をすすめているという。得られた収益はライブ配信の運用費用や、協力してくれたお寺へのお礼などに当てているという。

SNSはプロモーションではなくコミュニケーション!

最後に中村氏はSNS活用で担当者にとって重要なこととして、次のように述べ、セッションを締めくくった。

SNS活用で大切なポイントは、プロモーションではなく、コミュニケーションととらえることです。SNS活用はお客様との交流の場であり、ファンマーケティングです。弊社で取り組んでみて、ドライバーという“個”にファンが付いてきて、ドライバーが資産になっていると感じます(中村氏)

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