【レポート】デジタルマーケターズサミット2021 Summer

広告効率を最大化する「入力フォーム最適化」 3つの最新トレンドとは?

コンバージョンの直前に位置する入力フォーム。離脱を防ぎコンバージョンへつなげる「入力フォーム最適化」の最新トレンドを3つ解説する。
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コンバージョン改善を目的として、入力フォームの最適化を図るEFO(Entry Form Optimization)ツールが注目されている。「デジタルマーケターズサミット 2021 Summer」に登壇したシェアNo.1*1のEFOツールを提供するショーケースの上級ウェブ解析士*2、樫木厚二氏は、そのトレンドや考え方、分析・改善の勘所などについて、EFOツール「フォームアシスト」のコンサルタントとしての経験や事例を踏まえつつ解説した。

*1 出典:ITR「ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2021」
*2 WACA認定 上級ウェブ解析士資格

株式会社ショーケース SaaS事業部 カスタマーサクセスグループ 樫木 厚二氏
株式会社ショーケース SaaS事業部 カスタマーサクセスグループ 樫木 厚二 氏

入力フォームを最適化する「EFOツール」でコンバージョン率を向上させる

Web施策における集客からコンバージョンまでの経路を考えたとき、入力フォームはコンバージョンの直前に位置する。つまり、申し込み意欲が高いユーザーが集まるページといえるだろう。しかし、必要情報の入力という「唯一入力作業が発生する箇所」でもあり、離脱が生じやすい階層ともいえる。

到達したユーザーの50~60%が離脱しているというケースもあり、その多くは入力フォームの“つくり”が原因になっている。コンバージョンに近い階層だからこそ、いかに離脱を抑えるかが大きな課題(樫木氏)

そんなフォームの状況をデータとして閲覧できるのが、「EFO(入力フォーム最適化)ツール」だ。EFOタグを設置することによって、Googleアナリティクスでも取得できないフォームに特化した細かいデータを見られる。

たとえば、「ページ単位」で取得できる数値としては、PVやUUをはじめ、以下のようなデータがある。

  • 直帰数/率:フォームに触らずに離脱
  • 準直帰数/率:フォームに触るが入力せずに離脱
  • 途中離脱数/率:入力の途中で離脱
  • CMP数/率:必須項目を入れた数/率
  • CV数/率:コンバージョン数/率

また「項目単位」でみた場合、以下の数値が閲覧できる。

  • アクセス回数やアクセス人数
  • 未入力数/率
  • エラー数/率や離脱数/率
  • 平均アクセス回数
  • 平均記入時間

管理画面ではこれらの数値が毎日更新されるため、ページ単位・項目単位での数値もデイリーで閲覧できる。Excelでのデータ出力も可能だ。その中で、どの数値をどのように分析し、施策・改善へとつなげていけばよいのだろうか。

EFO分析のコツは、大項目から小項目への落とし込み

EFOツールを分析し、改善につなげるためには、以下の4つのステップがカギになる。

  1. ページ全体の数値を分析し、課題を抽出する
  2. その上で離脱ポイントを発見する
  3. 離脱要因を分析する
  4. 改善施策の実施へとつなげる

樫木氏自身が過去に手掛けたサイトの分析事例を挙げ解説した。

1のページ全体分析では、「フォームの入力途中での離脱」が多いことがわかった。2の離脱ポイントの発見では、「パスワード入力時」であることが判明。さらに3の離脱要因の分析では、パスワード入力時の「エラー率」が高いことが判明。

そこで、フォーム画面を確認したところ、パスワードの入力文字列が黒丸(●●●)でマスクされているため入力したパスワードが正しいか確認できないことがわかった。さらに、パスワードには、大文字や数字を含める必要があり、これらがエラー率の高さにつながっていることが見えてきた。

そこで4の改善施策では、入力中の文字列が見えるようにし、パスワードで必要な文字が入力されたかをチェックできる機能などが盛り込まれ、入力難易度を低下させる改善施策を実施した。

EFOツールを使った4ステップの分析
EFOツールを使った4ステップの分析

樫木氏は、分析データの見方のコツとして「全体を見てから細かいところに落とし込んでいくこと」を挙げる。

たとえば、ページ単位で見て“途中離脱が高い”のであれば、項目に離脱要因があると考えられ、それがどの項目かを絞り込んでいけばよい。“直帰が多い”場合は、直帰させないためにフォーム全体の構成を考える必要がある。Webサイト運用ではPDCAを回し続けることが大事だが、フォームの改善についても同じことがいえる(樫木氏)

こうしたフォームの改善について、ショーケースではコンバージョン向上を目標とし、プランニングからディレクション、アナライズ、グロースハック、そしてテクニカルサポートまでを包括的に提供しているという。

コンバージョン率を向上させる「フォーム改善」のトレンド3事例

こうしたフォームの分析・改善について、樫木氏より3つのトレンド事例が紹介された。

フォーム改善のトレンド①
第一印象を改善する「デザインの変更」

直帰率やコンバージョン率の改善を目的としたフォームデザインの変更ポイントは、「見た目=第一印象」を改善することで、アクセスした際に「入力してもいい」と思わせることだ。

NGポイントとしては、「色が使われすぎてうるさい=見にくくて煩雑な印象」「注意事項や文字情報が多い=面倒くさそうな印象」「項目の枠が小さい=入力しにくい」などがある。なお、この事例ではデザインの変更でコンバージョン率が4.5ポイントも向上したという。

「見た目=第一印象」の改善をねらったデザイン変更例
「見た目=第一印象」の改善をねらったデザイン変更例

フォーム改善のトレンド②
入力の手間を軽減する「項目離脱変換」

続く2つ目は、項目での離脱を減らすための改善策だ。たとえば、全角・半角での入力指定がある場合、特にスマートフォンではデフォルトが半角のため、全角での入力を促されるとストレスになってしまう。

逆にPCなら半角で指定されるのは手間だろう。さらに誤った形式で入力しても気づかず、最後の送信ボタンで確認する際にエラーアラートが出て気づくことも少なくない。

そこで全角・半角に関わらず、カーソルアウトした瞬間に入力された数字を所定の形に変換する「項目離脱変換」を行うことで、記入者は書式を意識せずに入力できるため、ストレスを下げられるというわけだ。

ごく軽微な修正ながら、コンバージョン率は2.1ポイントもアップするなど即効性があり、実装する価値はある(樫木氏)

全角・半角の入力指定を自動変換する入力制御で離脱を防ぐ
全角・半角の入力指定を自動変換する入力制御で離脱を防ぐ

フォーム改善のトレンド③
前ページに戻らせない「スワイプロック」

iPhoneの機能として、左から右に画面をスワイプすると前ページに戻れるようになっている。しかし、誤ってスワイプしてしまうこともあり、意図しない離脱を生むことがある。そこで、入力フォームのページではスワイプで戻れなくする「スワイプロック」を施すことで、離脱を防ぐというわけだ。非常にニッチな施策ながら、コンバージョン率は7.2ポイントも改善したという。

「スワイプロック」はニッチな施策だが離脱を防ぐ効果は高い
「スワイプロック」はニッチな施策だが離脱を防ぐ効果は高い

今後のフォームは「ステップフォーム = ページ分割型」へと予測

こうした知見を積み上げ、今後のフォームはどの様になっていくのか。その一例として、樫木氏は離脱率とコンバージョン率の改善を目的とした「ステップフォーム」の事例について紹介した。

ステップフォームとは、入力項目を数項目程度で分割し、次へ次へとページを移動させることで入力ハードルを下げるという手法だ。金融機関での導入事例もあり、5~12ポイントもコンバージョン率を向上させたという。

従来は、ページを分けると移動量が多く見えて負担と感じる人が多く、いい結果につながらないと思われていた。しかし、実際に行ってみると、ページ数が増えるデメリットよりも、1ページごとの作業負荷を軽減するメリットの方が大きいことがわかった。改善幅が大きく、今後は分割型のフォームが主流になるのではないか(樫木氏)

Googleアナリティクス連携による「チャネル別EFO」で広告効果の改善へつなげる

こうしたEFOの施策を実施していると、流入元によってコンバージョン率が違うのではないか、もっと詳細に離脱を分析して改善につなげたいというニーズが生じてくる。

その場合、ショーケースのEFOツール「フォームアシスト」をGoogleアナリティクスと連携させて、流入ユーザーごとに分析を行なう「チャネル別集計」を勧めているという。そうすることによって、Googleアナリティクスで分析したチャネル別で、「フォームアシスト」のページ別、項目別のデータが閲覧できる。

フォームアシストとGoogle Analyticsと連携させたチャネル別集計
フォームアシストとGoogleアナリティクスと連携させたチャネル別集計

たとえば、広告のCTR(クリック率)を改善しサイトに誘導できたとしても、CVであるフォーム利用が上がらない、もしくは下がってしまうことがある。

そうしたときに、チャネル別でデータを閲覧することで、離脱が多いペイドメディアやキーワードを発見したり、離脱改善の施策として、フォームの見た目を変えたり、チャネルのLPO(ランディングページ最適化)や導線を工夫したり、広告のターゲットを変えてみたりするなど、チャネルに応じたCV向上のための取り組みを実施できる。

つまり、CVにもっとも近い地点であるフォームでのユーザー行動を見て改善を行うことで、入り口となる広告の効率を最適化できるというわけだ。

そしてもう一つ、改善施策は実施しているが、仮説が正しいかどうか不安に感じているというケース。その場合は、ユーザーに直接質問できるアンケート機能「CVリフト」の活用が効果的だという。

原則的に申込完了後にアンケートを取るため、熱量のあるタイミングで離脱を招くことなく、インセンティブを付与する必要もなく、高い回答率でユーザーの声を集めることができる。また、そうしたユーザーの生の声と、ログデータを掛け合わせることで、より精度の高い分析と施策が可能になる。

以上、樫木氏が紹介したEFOによる分析・改善は、ショーケースが提供するEFOツール「フォームアシスト」で実現が可能だという。ユーザーの入力をリアルタイムにサポートする「入力補助機能」に加え、専属の担当者が伴走しながら解析・コンサルティングを提供し、既存のフォームを変更せずとも改修・変更が可能なオーダーメイドサポートを行っている。興味のある方は問い合わせてみてはいかがだろうか。

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