B2B企業のSEO競合分析 5つの手順(前編:競合相手・キーワード分布・ギャップと機会)
B2Bの分野では、競合相手は誰かを現実に即して見極めることが重要だ。
このルールを踏まえて、今回のホワイトボード・フライデーではObilityのジョイス・コラーデ氏をゲストプレゼンターに迎え、競合相手に関するSEO監査を実施する方法について紹介する。
B2B企業でSEOに携わる人なら、
- 改善すべきポイントに対処し
- SERPで競合より上位に表示されるようにする
うえで役立つはずだ。
Mozファンのみんな、こんにちは。B2BビジネスのSEO競合分析に関するこの動画を見てくれてありがとう。
私の名前はジョイス・コラーデ。ObilityでSEO担当のスーパーバイザーを務めている。Obilityは米国オレゴン州ポートランドに拠点を置くデジタルマーケティングエージェンシーで、テキサス州オースティンとマサチューセッツ州ボストンにもオフィスがあり、B2B企業を専門にしている。
SEOの競合分析を取り上げる理由は、次のとおりだ:
SEOの競合分析は、SEO戦略やSEOの成功にとって非常に重要な部分を占めているから。
ご承知のとおり、SEOは無人の荒野でやるものではなく、必ず競合がいる。そのため、
- SEOのトラフィック
- クリック率
- ターゲットとするキーワードで検索した場合の順位
- 最終的にコンバージョン
を改善したければ、いま競合相手が占めている場所を奪い取らなければならない。
この記事では、競合分析の5つの段階について紹介していく。
まずは、競合相手を選択する方法から始めよう。
それから、キーワードの分布を理解するために重要なことについて検討する。
その後、キーワードやコンテンツのギャップと機会を考える(ここまでが前編)。
次に、君のウェブサイトと競合相手のウェブサイトの技術的な健全性に話を移そう。
そして最後に、被リンク分析を取り上げる。
また、5つのステップを解説したあとに、各ステップにどれだけ時間(工数)を配分するべきかについても、経験からベストプラクティスを補足するので期待してほしい。
ステップ1 競合相手の選択
競合相手の選択は、特にB2Bの分野では非常に重要なステップだ。というのも、B2B分野は競争が非常に激しく、この分野には、すべての企業にとって事実上の競合相手と見なせるマーケティング超大手がいくつかあるからだ。たとえば、次のような企業を競合とするところは多いだろう:
- オラクル
- Amazon Web Services(AWS)
- Marketo(Adobe)
- グーグル
- などなど
しかし残念ながら、その考えはよろしくない。そのような考え方をしていると、多くの興味深いインサイトを見落としてしまうことになる。
なぜなら、これらのウェブサイトはあまりに巨大なため、膨大な数のキーワードに対して検索結果に表示される可能性があるからだ。リンクが数百万件に上ることもあるし、ドメインオーソリティが98ということもある。そのため、自分とこれらの大手を比べると、自分のウェブサイトについて良い情報を見つけるのが非常に難しくなってしまうのだ。常に下位に甘んじてしまうので、心から落胆することにもなる。
そこで強く勧めたいのが、現実に即して真の競合相手を見極めることだ。具体的には、次のような考え方だ:
まずは半年後や1年後の時点で、このサイトより検索上位を獲得したい(しようと思う)。
こうした選択した競合相手を1年後に追い抜いたと感じたら、また新たな相手を見つければいい。
同様に強調したいのは、購買ファネルの段階ごとに異なる競合相手を複数選択することだ。
たとえば、次のような考え方だ:
ターゲットキーワードのリストに、「クラウドコンピューティングとは」など、言葉の定義に関するキーワードが含まれているとしよう。こうしたキーワードはリードの前段階で情報収集をし始めた人が使う検索ワードだ。こうしたキーワードでの競合相手は、ZDNetやTechTargetのようなメディアかもしれない。
しかし、「クラウドコンピューティングのソリューション」「クラウドコンピューティングのソフトウェア」といった具体的なニーズが表出しているキーワードは、もっと見込み段階が高い。そうした検索ワードをターゲットにする場合、競合相手はIBMかもしれない。
このように、ファネルの段階によって検索ユーザーの意図はまったく異なるため、おのずと競合相手も変わってくる。また、そうした検索意図を区別して考えられなければ、多くのすばらしいインサイトを見落としてしまうことにもなる。
また、デジタルマーケティングでは、領域によって競合相手は非常に異なることを指摘したい。
PPC(リスティング広告)のキーワード(またはペイドソーシャルのキーワード)は、SEOのキーワードとは異なる(つまり競合も異なる)
もちろん、オフラインマーケティングでは、PPCやSEOといったデジタルとはまた別の相手が競合となる
優れた競合相手を特定する最善の方法は、ターゲットキーワードをグーグルで検索することだ。それだけでいい。そして、表示される企業を見て、各社の戦略を知る。
ステップ2 キーワードの分布
次に、キーワードの分布に目を向けよう。
ここで注意してほしいのは、しばしば発生する次のような状況だ:
競合相手を調べてみると、実に多くのキーワードに対して表示されるように見え、やや怖気づいてしまう。
しかし実際のところ、「多くのキーワードに対して表示されること」は、最も重要な目的ではない。本当に注意を向けるべきは、キーワードの分布だ。
次のことを調べてみてほしい:
これらの「競合が表示される多くのキーワード」のうち、ブランド名を含むものはどのくらいあり、ブランド名を含まないものはどのくらいあるだろうか?
もちろん、競合相手のブランドネームで検索して自分のコンテンツを検索結果に表示させることはできない。そのため、重点を置くべきはブランド名を含まないキーワードだ。
また、次のことも調査してみるといいだろう:
- これらのキーワードは検索ボリュームが大きいだろうか?
- 検索結果に表示させる難易度はどの程度宇だろうか?
たとえば、競合相手が数百ものキーワードで検索上位に表示されているとして、単に「数百キーワードで上位!」と考えるのではなく、次のように考えるのだ:
数百キーワードといっても、そのうち月間検索ボリュームが0件や10件のものはどれぐらいあるだろうか?
数百キーワードといっても、そのうち自分が本当にターゲットにしたいキーワードはどれぐらいあるだろうか?
そして、もちろん「検索結果の1ページ目に表示させることに成功したとして、それは本当にSEO戦略全体の役に立つことか?」を問うことは必須だ。
もう1つ、注目すべきは多様性だ。次のことを調べよう:
競合相手は、特定キーワードカテゴリでのみ上位に表示されるのか、それともさまざまなカテゴリで上位表示しているのか?
競合相手が検索上位に来ているキーワードが次のような状態ならば、あまり危険な相手ではない:
- ブランド名を含むキーワードだけ
- 検索ボリュームが非常に少ないキーワードだけ
- ある特定のカテゴリだけ
また、先ほど話したように、自分が手がけているすべてのターゲットキーワードに対して同じ競合相手を設定するべきではない。ファネルの段階・検索意図・チャネルなどごとに設定した競合相手のそれぞれのグループに対して、このステップを繰り返そう。
ステップ3 キーワードのギャップと機会
次は、コンテンツやキーワードのギャップと機会だ。
この段階では、自分と競合相手のキーワードのギャップ、つまり競合のコンテンツと自分のコンテンツの差について真剣に考える必要がある。
この「差」は、たとえば次のようなことを調査することで明らかにできる:
競合相手がコンテンツを公開する頻度
競合相手がターゲットにしている対象
競合相手が製品ページやソリューションページで
- 最も多く公開しているトピック
- 最も重点を置いているトピック
競合相手はどのような種類のコンテンツを好んでいるか? ブログ記事だけを公開しているのか? ほかに次のようなコンテンツを公開しているか?
- 動画
- 用語集のページ
- 電子書籍
- ホワイトペーパー
- オンラインセミナー
コンテンツの種類には大いに注意を払う必要がある。なぜなら、すべての競合相手がブログ記事を利用している場合に、君がオンラインセミナーを公開してユーザーに登録と情報の提供を求めても、競合相手を打ち負かすことはできないからだ。競争の場で利用できるものにある程度合わせる必要がある。
頻度も重要だ。競合相手が1週間に2回ブログを更新したり、毎週ライブデモを公開したり、毎月新しい電子書籍を公開したりして、対象の顧客層にメールしているような場合には、こちらもその頻度に合わせる必要がある。
私の見解では、競合分析のうち、この分析は特に重要な段階だ。というのも、自分がどういった機会を追求しているのかを認識する必要があるからだ。
このことは、先ほど競合の選択で話したことに関係してくる。現実的にならなければならない。自分が誰に対抗しようとしているのか認識することが非常に重要だ。そうでなければ、いくらブログ記事を公開しても、
- 適切な競合相手を決めていなかったり
- 作成する必要のある適切な種類のコンテンツがわかっていなかったり
といった状態ならば、そのブログ記事はどれもサイトのパフォーマンス向上にはつながらないからだ。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、今回に引き続いて競合分析の第4段階「技術的な健全性」と第5段階「被リンクの機会」について説明する。→後編を読む
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