ここ2~3年で急激にユーザー数が拡大しているコンテンツプラットフォームの「note」。TwitterなどのSNSから記事を読もうとリンクをクリックしたら、note上の記事だったという経験をした人も多いのではないでしょうか。最近では、個人だけでなく、企業の利用も目立ってきています。
では、なぜnoteの人気が高まっているのか、企業がnoteを活用するメリットは何なのか。noteの企業活用のメリットや、運用方法ごとの活用事例をまとめました。
noteとは
noteは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに、テキストや写真、イラスト、音楽、動画などのコンテンツを、誰でも創作・投稿できるプラットフォームです。
2014年4月にサービスを開始し、数年はじわじわと月間アクティブユーザー数(MAU)を伸ばしていましたが、2018年ごろから急激にMAUが拡大。サービス開始から約5年経った2019年1月に1,000万人を達成して以降は、約1年後の2020年3月に4,400万人を、そのわずか2カ月後の2020年5月には、コロナ禍における外出自粛の影響もあり、6,300万人を達成しました。
また、2020年5月の会員登録数は260万人、法人アカウントは1,600件となり、1日の平均投稿件数は2.6万件にのぼっています。今、noteは様々なSNSの中でも、個人・法人ともに非常に注目度が高まっていると言えるでしょう。
その他、noteで作れるコンテンツの種類やブログとの違いについては、こちらの記事をご覧ください。
note(ノート)とは?企業が取り組む前に知っておきたい基礎知識
企業がnoteを運用するメリット
noteには、すでに1,600ほどの企業アカウントが開設されており、今後も増えていくことが予想されます。
noteを活用している企業の目的は、プロモーションやブランディング、コミュニティづくり、リクルーティングなど様々です。また、企業や部署のアカウントとして運用する場合もあれば、企業の代表者が個人名で運用する場合もあります。
ターゲットの考え方としては、顧客や顕在層を優先しつつ、そこから同心円状に外側のステークホルダーへコンテンツを届けていく感覚を持つと良いでしょう。
noteは、企業向けに「note pro」というサービスも展開しています。note proは月額5万円からで、導入すると、独自ドメインの取得やロゴの変更、ページメニューのカスタマイズなどができるようになります。また、運用の個別相談や勉強会、契約企業のコミュニティへの参加もできるようになるため、それらをよりよい運用につなげるきっかけにもできるでしょう。
企業がnoteを運用するメリットは主に4つあります。
①すぐにコンテンツ運用を始められる
オウンドメディアを持っていない企業であれば、noteのプラットフォームを使うことで、サイト構築をせずとも、すぐにオウンドメディアと同等のコンテンツ運用を始められることがメリットです。プラットフォームを利用するだけであれば費用もかからないので、コンテンツ運用の人件費など、必要最小限のコストで始められます。
②集客がしやすい
すでに6,300万人のユーザー(MAU)がいるため、自社サイトでオウンドメディアを運用している企業であっても、自社サイトより集客がしやすいという点に運用のメリットがあります。また、noteのユーザーを巻き込んだキャンペーンを開催し、認知の拡大やブランド好意度の向上につながるコミュニケーションが取れる点もメリットと言えるでしょう。
③SEOに強い
コンテンツ量が多く、その表示速度も速いため、Amazonや楽天などの大手プラットフォームと同様に検索サイトにとっての信頼性が高く評価されています。つまり、記事がGoogle検索などの検索サイトの上位に表示されやすいという特長があります。そのため、キーワードを意識した記事づくりをすることで、外部から記事を見つけてもらいやすくすることができます。
このようにnoteは、外部の検索サイトやTwitterなど拡散性の高いSNSからの流入も多く、一つひとつの記事が入口になるため、どの記事も丁寧につくっていくことが大切になります。
④ECと連携できる
shopifyやBASEなどのECサイトと連携できるため、商品紹介や販促から実際の購入につなげていくことも可能です。ECと連携する際は、note上に商品URLを埋め込むと、店舗名や商品名、価格、商品画像がカード形式で表示されます。
noteの運用方法
では、実際にどのようなコンテンツを発信していくとよいのでしょうか。
運用方法は、大きく以下のを5つに分類することができます。
①企業型…企業名で運用するもの。自社サイトでは伝えきれない、企業としての思いなどをコンテンツにするなど、明確なコンセプトを持って運用することが多い。ユーザーとのコミュニケーションの場としても活用することがある。
②部署・部門型…部署や部門名で運用するもの。企業型よりもターゲットやコンテンツ内容を絞って運用ができる。
③コミュニティ(ファンマガジン)型…サービスや製品、企業自体に対して、より知ってもらい、興味を持ってもらうためのコンテンツを発信。製品の便利な使い方や社員インタビューなど、目的に応じてコンテンツ内容は変わってくる。
④代表者型…企業の代表者名で運用するもの。コンテンツ内容は幅広いが、ブランディングやリクルーティングを目的とすることが多い。
⑤自治体型…都道府県市区町村(区は23区のみ)が運用するもので、地域の魅力を発信したり、事業者や住民や団体の声を集めるのに活用される。noteは自治体に対して「note pro」を無償提供している。
noteの活用事例14選
先ほどご紹介した5つの運用方法ごとに、それぞれ事例をご紹介します。
①企業型
キリンビール
https://note-kirinbrewery.kirin.co.jp/
2019年4月にnoteの運用をスタートしたキリンビール。note活用の先行事例として注目されることの多い企業アカウントです。自社や製品に絡めた連載企画、レシピ紹介を含むエッセイなど、テキストをメインに、質が高く読み応えのあるコンテンツを発信しています。
また、ユーザーを巻き込んだ施策である投稿コンテストの開催や他企業・クリエイターとのコラボ、Instagramなど多媒体との連携施策なども積極的に開催。一方的に情報発信するだけでなく、ユーザーとの双方向のコミュニケーションや、ユーザーを楽しませるという視点が随所に窺えます。
Netflix
https://note.com/netflix
映画やドラマなどに関する情報を発信しています。内容は、作品の紹介やインタビューのほか、作品を様々な視点から分析するマニアックな記事など、映画やドラマに少し興味を持っている層からマニア層まで、幅広い人が読んで楽しめるコンテンツになっています。オリジナル作品のイベントレポートでは、写真だけのフォトギャラリーを展開するなど、ユニークな活用を拡大しています。
東急リバブル TOKYU LIVABLE INC
https://note.com/tokyu_livable
『「住まい」へ向ける想いや、ブランドとして“いま”伝えたいメッセージを届ける』というコンセプトで運用しています。住宅ローン控除や内見のコツについての記事など、住宅購入を検討している方に役立つコンテンツだけでなく、思わず住んでみたくなる街紹介の記事があります。昨年12月に開設したばかりのアカウントなので、これからまた違った切り口のコンテンツも増えていくと期待されます。
②部署・部門型
ZOZO FashionTechNews
https://ftn.zozo.com/
足の形を計測する「ZOZOMAT」などの開発で知られる、ZOZOグループの技術開発会社が運用しています。ファッションやテクノロジーに関する情報を、主に外部へのインタビュー取材を通じて発信しており、客観性と情報に厚みのある記事が特徴です。あわせて公式Twitterも開設し、noteの更新をツイートで知らせています。
Kurashicom Engineers' Blog
https://note.com/kurashicom_tech
「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムのエンジニア(とデザイナー)によるアカウントです。「技術者向け」とありますが、「北欧、暮らしの道具店」スマホアプリが公開から半年で約30万DL突破した軌跡をまとめた記事など、エンジニアとして働く人以外も楽しめるコンテンツを多く発信しています。
Yahoo!ショッピング公式
https://note.com/yahoo_shopping
ヤフー株式会社が提供するインターネットショッピングモール「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」のプロダクト改善に絞って情報発信してます。
機能アップデート情報が主で、ユーザーにとって欲しい情報がさくっと読めます。
③コミュニティ(ファンマガジン)型
ぺんてる シャープペン研究部
https://note-pentel-sharppen.jp/
2020年6月に、ぺんてるがノック式シャープペンなどを発売して60周年を迎えたことを記念に開設。「シャープペン研究部」として、シャープペンにまつわるエピソードや豆知識などを紹介しています。
特に注目を集めているのが、ぺんてる社員がリレー形式でシャーペンについての思い出やストーリーを語る連載「#忘れられない一本」。なかでも7月に公開された「サイドノック式シャープペンが好きで入社したら廃番になった話【#忘れられない一本 03】」は、Twitterでユーザーに「泣いた」「良い文章」とシェアされてバズり、記事自体は「スキ」を9,000以上も獲得しました。シャープペンは、多くの人が多感な学生時代を共に過ごし、少なからず思い出を持っているもの。それが様々な人の視点からとても赤裸々に語られており、それが共感につながっているようです。
また、それ以外の記事もとても身近に感じる語り口で、好印象を与えています。
ベーシック
https://note.basicinc.jp/
こちらは、Webマーケティングメディア『ferret』を運営している会社のnoteです。社員を巻き込みながらnoteとTwitterを連携して運用し、会社の取り組みやカルチャーを発信していくことで、採用面での注目度アップや内定承諾率の向上、離職率の低下につなげています。また、自社の経験も活かし、noteとのコラボセミナーなども開催しています。
JUMP j BOOKS
https://note.com/jump_j_books
集英社が刊行する「週刊少年ジャンプ」の連載作品を小説化した作品などが並ぶレーベル「JUMP j BOOKS」の編集部が運用しています。作品の紹介やインタビューのほか、短編小説、ノベライズ作品の試し読みなどを積極的に行っており、ブログサービスとは異なる、創作を推奨するnoteだからこそのカルチャーに合った運用だと言えます。
#sio 公式
https://note.com/sio_co
代々木上原sio・丸の内o/sio・渋谷パーラー大箸などのレストランを運営する「sio株式会社」が運用しているアカウントです。 昨年のステイホーム期間中、「自宅でsioの味を楽しんでほしい」とsioオーナーシェフ・鳥羽周作さんがお店の看板メニューのレシピ「#おうちでsio」を発信したところ、瞬く間に話題となり、レシピ本まで発売されました。メインコンテンツとして、sioで働くスタッフたちのインタビュー「sioのつくりかた」を連載しています。
④代表者型
けんすう
https://kensuu.com/
マンガサービス「アル」を運営するアル株式会社の代表取締役 古川 健介さんこと、けんすうさんもnoteを運用しています。個人にもかかわらず、8万人以上のフォロワーがいる人気アカウントです。
「2021年はどんなサービスを作っていきたいか」や、今話題の「Clubhouse」についてなど、経営者目線のコンテンツが楽しめます。
栗原康太
https://note.com/kotakurihara
BtoB企業の営業・マーケティングのデジタル化を支援する株式会社才流の代表である栗原康太さんが運用しています。BtoBマーケティングに役立つ情報を、自社だけでなく、他社の記事も紹介しながら、より役立つコンテンツとして発信しています。ブランディングだけでなく、プロモーションとしても効果がありそうです。
緒方 恵(おがた けい)|中川政七商店 取締役
https://note.com/keiogata
工芸技術を活かしたものづくりと販売をしている中川政七商店の取締役 緒方恵さんが運用するnoteです。中川政七商店は創業300年の老舗企業で主に麻や綿の織物を作り続けてきたメーカーで、2003年よりブランディングを肝にした製造小売業(SPA事業)に転換し、現在全国55店舗展開にまで成長を遂げています。
note以外にも主要なSNSアカウントは運用しており、まさに「不易流行」の精神で情報発信を続けています。記事数こそ少ないですが、1記事が7,000文字以上と、かなり読み応えのあるものになっています。
⑤自治体型
広島県公式note
https://hiroshima-pref.note.jp/
広島県県庁職員が運用する「広島県公式note」。47都道府県で一番最初にnoteの運用を始めました。企業誘致を担当する「toB(企業向け)の営業部」と移住促進を担当する「toC(個人向け)の営業部」が運用しており、企業向けに企業誘致助成制度の情報や、個人向けに広島に移住を決めた方のインタビューなど、広島の魅力が感じられるような情報を発信しています。
おわりに
noteの企業活用のメリットや運用方法ごとに事例をご紹介しましたが、いかがでしたか。
noteの記事を多くのユーザーに読んでもらうためには、一定以上のコンテンツの質が求められますが、一つのコンテンツにじっくり触れてもらうことで、企業やブランドへの理解を深めることも期待できます。
つくり込んだコンテンツを通して企業やブランドのPRにつなげたいときは、ぜひnoteの活用を検討してみてください。
企業によるnoteの活用でお悩みの企業さまは、ぜひコムニコにご相談ください。SNSマーケティング専門のプロがご支援いたします。
1989年生まれ。小中高を広島で過ごし、京都の大学に進学、上京後、東京で求人広告の制作職として社会人をスタート。2017年から株式会社コムニコへ入社し、現在はセールスとして国内の大手企業をはじめ、SNSを活用した施策を提案している。今後、SNSを使って地域活性化をサポートしていきたいと考える。
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