私の本棚

今こそじっくり読みたい! 実は仕事に役立つ「歴史、スポーツ、雑学の本」

今回は、運営堂 森野さんの本棚を拝見!影響を受けたWeb解析の本だけでなく、いろんなジャンルの本を紹介してくださいました!

第4回となる「私の本棚」に登場していただいたのは、運営堂の森野誠之さんです。マーケティングやWeb解析の本だけでなく、ビジネスにも役立つ歴史書やスポーツ関連本なども紹介していただきました。(編集部)

運営堂の森野誠之さんと本棚

生き方や物事の考え方が身につく本をじっくり読んでいる

本を読むのは喫茶店、移動中の電車の中、就寝前が多いですね。机に向かってメモを取りながら読むということはないです。買うのは紙の本で、タブレットやスマホで読むことはほとんどありません。日頃からPCとスマホばかり見ていますし、ブルーライトで頭が刺激されているのでそれを戻すというか落ち着かせる意味で「紙の本」を読むことにしています。「仕事の合間のリラックス」という意味合いですね。

興味のある本はとにかく買ってみるので積読になっていますし、本棚も全く整理されていません。本は本棚かどこかに積まれているということだけを覚えていればいいという考えです。図書館と違って私しか読まないですから、整理しておく意味もありませんからね。

森野さんの本棚
本棚以外にもいろいろな場所に本を積んでいるという

仕事関連の本は、「新たな知識を得るためにそのジャンルの本を3~5冊読んでみる」、あるいは「知っているジャンルの新刊を読んで知識のアップデートをする」、この2つの目的のために読むことが多いです。完全に仕事なので飛ばし読みで、要点だけを読むようにしています。じっくり読むのは本当に初めてのジャンルで、用語も何もかもわからないときだけです。

ちなみに、『ザ・ゴール』(エリヤフ・ゴールドラット:著)とか『ビジョナリーカンパニー』(ジム・コリンズ:著)など意識が高そうな本は買ってはみるものの読んでいません。性に合わないというかセレブ感があるというか、お金持ちの立食パーティに参加するイメージなので読んでいても息苦しいからです(笑)。

それ以外は、スポーツ、歴史、雑学の本を読むことが多いですね。私自身がこのあたりに興味があることもありますが、仕事に役立つことが多いからです。たとえば「社内ルールを決めるときには韓非子関連の本」「組織論ではスポーツチームの組織論」が役に立ちます。

歴史関連の書籍には、人間が数千年の年月を経た中での経験が書かれているので、生き延びるというか勝ち残るというか、とにかく人間にとって本質的なことが書かれています。特に戦争関連の本に関しては得るものが大きいです。

『孫子』や『六韜(りくとう)』などの「武経七書(ぶけいしちしょ)」は何度読み返しても気づきがあります。アレクサンダー大王やハンニバル、ナポレオンの戦史も面白いですね。北方謙三の『水滸伝(すいこでん)』『楊令伝(ようれいでん)』『岳飛伝(がくひでん)』も生き方の参考になります。

スポーツではサッカー関連を読むことが多いですね。単に世界で最も人気があるスポーツなので書かれている本も多いという理由からです。選手・監督の個人の本、戦術論、組織論、歴史などなど、サッカーという1つのテーマをいろんな角度から知ることができるので、物事の考え方の参考になることが多いです。どちらかというと、こうした歴史関連やスポーツ関連系の本をしっかり読んでいます。

今の自分に影響を与えてくれた3冊!

今の自分に影響を与えてくれた3冊を次の2つに分けて紹介します。

精神的に楽にしてくれた1冊

『心が安まる老子』(伊藤淳子:訳 PHPエディターズグループ:刊)

『心が安まる老子』

本書は、会社員だった私が独立して、しばらくしたときに読んだ本です。上手くいかないことも多い時期ですし、自分自身の能力の足りなさなどを痛感していたときに読んで、心が洗われるような感じがしました。詩的に書かれているので老子の思想と相まってとにかく読みやすいですし、横文字や英語3文字だらけのWebマーケティングの世界から完全に逃避させてくれます。かつて、Amazonのレビューも書いていました(笑)。だいたい次のような内容です。

上司や周りの人からああしろ、こうしろと言われ、家族からもいろんなことを言われ、自分自身でも何をしたら良いのかわからなくなります。そんなときにこの本を読んでなんだかほっとしました。この本の中で、「あるがままに生きればいい」「いいことも、わるいことも、かならず繰り返す」と言ってもらえるだけで「そうだよな」って思え、精神的にかなり楽になりました。

どうやら当時の私は落ち込んでいたようです。この本を読んでからは、無理せず自然にやれることだけを確実にやろうと決め、Google アナリティクスに専念して今に至ります。あのときに違うことをやっていたら食っていけなかっただろうと思います。

アクセス解析の世界で生きるために読んだ2冊

『Web解析Hacks ―オンラインビジネスで最大の効果をあげるテクニック & ツール』(Eric T. Peterson:著 株式会社デジタルフォレスト:監修 木下哲也、有限会社 福龍興業:訳 オライリー・ジャパン:刊)

『Web解析Hacks ―オンラインビジネスで最大の効果をあげるテクニック & ツール』

『Webアナリスト養成講座』(アビナッシュ・コーシック:著 衣袋宏美:監修 内藤貴志:訳 翔泳社:刊)

『Webアナリスト養成講座』

Google アナリティクスの使い方はなんとなくわかったものの、根本的な理解が足りていない時期に、アクセス解析の世界で生きていこうと思って読んだ2冊です。最初はさっぱりわからなくて何度も挫折しかけましたが、これを読まないとこの世界では生きていけないし、お金がもらえるスキルは身につかないと思って苦しみながら読んだ記憶があります。

データのとり方そのものや分析の手法が書かれていますので、ツールの使い方だけの本とは書かれていることが違います。ツールのことだけを覚えていては応用が利かないので、何かを身につけようと思えば基礎的な本は読まないといけないですね。

そのかいあってか、これ以降に読んだアクセス解析の本はすらすら頭に入ってくるようになりました。この2冊の本を読んでいなかったらやはり食っていけてなかったと思います。

おもしろくて役立つ、オススメの3冊!

真面目な本は他の皆さんがオススメしている本が良いと思いますので、そうではない本を紹介します。

三国志の登場人物たちと学ぶマネジメントの本

『水煮三国志』(成君憶:著 呉常春、泉京鹿:訳 日本能率協会マネジメントセンター:刊)

『水煮三国志』

出てくる人物は劉備や諸葛孔明、曹操といった三国志の英雄たちなのですが、テーマがマネジメントになっています。なんと、超難関大学に入った劉備が関羽や張飛と出会い、3人での起業を誓い合います。卒業後は董卓のマルチ商法会社に見習いで入ったり、陶謙が社長の会社で劉備が次期社長になったりと、波乱万丈の物語です。面白くて、私はあっという間に読み切りました。内容もしっかりしているので、小難しい洋書のマネジメント本で挫折した人、特に三国志に詳しい人にはドラッカーよりもこちらを強くオススメします!

人はどうすれば動くのかが学べるサッカーの本

『FCバルセロナ 常勝の組織学』(ダミアン・ヒューズ:著 中竹竜二:解説 高取芳彦:翻訳 日経BP:刊)

『FCバルセロナ 常勝の組織学』

Web担当者の皆さんは必ず「組織の中の人」ですよね? そして必ず他の人が動かないとか、部署間の壁が厚いといった問題が出てきて、自分がやりたいことが進まなくなりますよね。そんなときにTwitterや同業種の交流会で愚痴って発散しても意味がないですし、会社のせいにしていてはそこまでの人です。組織を動かさないことには担当者としての存在意義がないので、もう一回り成長するために読んでほしい本です。

サッカーに興味がある人ならどんどん読めると思いますし、グアルディオラが監督になってからのバルセロナが好きな人なら読まないとダメです。レアル・マドリードが好きな人は読んではいけませんが(笑)。

そして、バルセロナといえばクライフです。そのクライフの名言が書かれています。

技術というのはリフティングが1000回できることではない。そんなものは練習すれば誰にでもできる。技術というのは、ワンタッチで、適切なスピードで、味方の適切なほうの足にパスできることだ。(『FCバルセロナ 常勝の組織学』より引用)

これをアクセス解析に言い換えればこうなります。

技術というのはGoogle アナリティクスが素早く操作できることではない。そんなものは練習すれば誰にでもできる。技術というのは、短時間で、相手にわかりやすく、すぐに判断できる資料を作ることだ。

何のためのツールや技術か。何をしなければいけないのか。そして、相手はどうすれば動くのか。ここを考えない限りはWeb担当者でもマーケターでも先がないと思います。

結果を出す心構えを学ぶ本

『プロ論。』(B-ing編集部:編 徳間書店:刊)

『プロ論。』

Web担当者の肩身が狭いとき、それは結果が出せていないときに尽きるかと。自分は頑張っていて細かいことも専門的なこともやっているのに…と思いがちですが、それが会社にどれだけ貢献したのかを考えると、そんなに貢献していなかったりしませんか? 仕事でやるからにはここにこだわらないといけません。

では、結果を出すにはどういった心構えでいればいいのか? それを学ぶにはこの本が良いと思います。続編として2、3もあるので、全部読んでみましょう。NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」とか「SWITCHインタビュー達人達」と似たような内容です。

ある世界で結果を出している人たちには共通の考え方があります。その考え方に気づくには多くのプロフェッショナルの話を学んで共通項を探ることしかありません。誰かに教えてもらったところで、そりゃそうだよね、となるだけです。

「結果、結果!」と言われると重たいことのように感じますが、いわゆるKGIでありKPIです。ここにこだわれと言っているわけです。日頃から口にしていることを実行する。つまり有言実行こそWeb担当者に求められることだと思います。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

CX
「CX」(Customer Experience)は、「顧客の体験の心地よさ」に ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]