Twitterの新しい広告「プロモトレンドスポットライト」って何? 動画広告活用Tipsも聞いた
広告媒体としての期待も高まっているTwitterだが、TwitterのmDAUは全世界で1億5,200万、2019年第4四半期の決算では、前年同期比で21%増加だという。その伸長の背景やTwitterでの動画広告運用のコツ、2020年1月に加わった新しい広告メニュー「プロモトレンドスポットライト」に関して、コロナウイルスで世界的に在宅勤務が推奨されるようになる直前に、Twitter Japanに聞きに行った。
【聞き手】Web担当者Forum編集長 四谷志穂 【撮影】小沢朋範
TwitterのmDAUは全世界で1億5,200万
現在、Twitterではユーザー数ではなくmDAUという数字を公開している。これは「毎日使っていて、確実にメッセージが届くユーザーの数」という意味で、mDAUのmはmonetizable(収益につながる)の略だ。つまりボットではなく、ちゃんと人が使っているアカウントに広告を配信できる総数と考えるといいだろう。
広報事業本部長の松山歩氏によれば、そのmDAUは「グローバルで1億5,200万。2019年の第4四半期の決算では、前年同期比で21%増加。内訳はUSが3,100万、その他で1億2,100万」だという。
mDAU伸長の背景として松山氏は、以下のプロダクトの改良によるユーザーの活性化であると言い、2点を挙げている。
背景① 「トピックフォロー」機能の追加で、関連性の高いツイートが見つけやすくなった
たとえば、ラグビーワールドカップが盛り上がった時をイメージしてほしい。元々ラグビーファンであれば、注目選手や国内リーグのチームのアカウント、ラグビー専門メディアのアカウントをフォローしていることだろう。ワールドカップ予選が始まれば日本ラグビー協会のアカウントがレコメンドされてきて、それもフォローしたかもしれない。
しかし、これまでラグビーに興味がなかった「にわか」にとって、どんなチームがあってどんな選手がいるのかわからず、誰をフォローすれば欲しい情報が見られるのかもわからない。そんな時に「ラグビーワールドカップ」というトピックスをフォローすれば、関連性のある選手やメディアのツイートが自分のタイムラインに出てくるという機能だ。トピックフォローは、以下の方法で設定可能。
トピックフォローの機能によって、より自分の興味のあるツイートを見つけやすくなっている。それによって滞在時間などが伸びて、最終的にmDAUが伸長する(松山氏)
背景② 機械学習を活用し、会話の健全性を追求
こちらは引き続きの取り組みだが、ユーザーが安心して使えるように、人的検出と機械的検出の両面で強化を進めている。「間違いでアカウントが凍結」というケースもゼロではないものの、「24時間365日スタッフが見ているので、そのような場合はご報告いただければ。報告いただくことで、機械学習の精度も上がります」という。
その他、「自分のツイートについたコメント(返信)を非表示にする機能」や「会話に参加できる人を決定できる機能(未定)」など、新機能の実装やテストを進めているという。
また松山氏は、Twitter広告の価値として、「ローンチ」と「コネクト」の2点を挙げている。
- ローンチ: 新製品やイベントのスタートについて、一気に日本中に知らせたい
- コネクト: 世の中の出来事(モーメント)に合わせて訴求したい
(改元のタイミング、オリンピック、お花見に合わせて、など)
ローンチとコネクトの2つの文脈がある程度ご理解いただけるようになり、何かキャンペーンをスタートするなら、まずTwitterでCMの素材を先出ししてみようといったことが大きく増えた(松山氏)
効果的な動画広告のためのTips
現在、デジタル広告の業界では動画広告がトレンドだが、実は、動画広告が流行っているのはむしろ「結果」に過ぎないと、Twitter Japanのジェイク・ズウェルジキ氏は次のように言う。
広告に限らずということですが、Twitterでの動画視聴は、毎日25億ビュー。その2割程度が日本です。Twitterはテキストのメディアというイメージがあるかもしれませんが、実はテキストだけでなく動画もよく見られている(ズウェルジキ氏)
広告動画の適切な長さは「短いほど最後まで見てもらいやすい」という。ただし、ターゲットや動画広告の目的によっては、長い広告の方が有効な場合もある。たとえば、某スポーツ選手を起用した約30秒の長尺動画は、選手やそのスポーツのファン層を中心に幅広いターゲティングに配信することで、高いエンゲージメントを獲得したという。
ズウェルジキ氏は、動画広告制作時のTipsとして3つ挙げた。
Tips ① 短いほど最後まで見てもらいやすい
- 長さは15秒以下が基本で、プレロールフォーマットを使う時には6秒
- 15秒でストーリーを伝える時も、ロゴを最初に出す
たとえば、「新製品が出た」ということや「ブランド」だけを伝えるなら、6秒でも十分。テレビCMのようにストーリーを伝えたい場合でも、15秒までというのを意識する方がいい。
さらに、「テレビCMの場合は、ストーリーがあって最後にロゴが出てくる作り方が多いが、動画広告でブランドを知らせたいなら、最初にロゴを出す方が望ましい。ユーザーは最後まで見てくれるとは限らないから」とズウェルジキ氏は言う。
また、「広告動画の長さは6秒程度の短尺から長めのものまで、3~5種類用意すると効果が出やすいという調査結果が出ている」と松山氏は言う。
Tips ② 複数フォーマットを組み合わせるのが効果的
たとえば、キャンペーン等で広告施策を実施するときは、「シーン」×「広告フォーマット」をそれぞれ組み合わせて行うのがいいという。たとえば、「シーン」では「キャンペーン実施前」「ローンチ」「キャンペーン後半」と分類し、「広告フォーマット」では「5~6秒」「15秒」「30秒」の動画をそれぞれ用意する。
- キャンペーン実施前は、5~6秒の動画
- ローンチは、15秒の動画
- キャンペーン後半は、30秒の動画
Tips ③ サウンドがオフでも伝わるメッセージ設計にする
「電車内で見ているなど、サウンドがオフになっている可能性がある」ことに配慮する必要もある。
- 文字を使った演出
- 字幕を入れる
新メニュー「プロモトレンドスポットライト」
Twitterの広告メニューには、タイムラインに表示される「プロモツイート」、タイムラインの最上部に表示される動画広告枠「ファーストビュー」、 [検索] タブの [おすすめ] セクションで一番上または2番目のスロットに表示される「プロモトレンド」があった。そこに現在、「プロモトレンドスポットライト」というメニューが追加されている。
「プロモトレンド」と「プロモトレンドスポットライト」の違いを、以下に比較する。
- 検索タブ画面内のテキスト広告
- ハッシュタグと、短文のみ投稿可能
- 検索タブ画面の上部1/3を占める動画広告
- 静止画以外に、6秒以内の動画またはGIFを投稿可能
- フリークエンシーは2回まで(それ以降は通常のプロモトレンドと同じテキスト表示)
つまり、「タイムラインではなく検索タブが広告面として使えるようになった」(ズウェルジキ氏)ということだ。同氏によれば、「実は、Twitterの検索はかなりトラフィックが多い。以前の調査では、検索エンジンと比べても負けないくらいだった。そこにテキスト広告しか出せないのは、もったいなかった」という。
「プロモトレンドスポットライト」用動画を作る際の注意点としてズウェルジキ氏は以下の点を教えてくれた。
Tips ① 白抜き文字が載っても邪魔されない動画にする
ハッシュタグとサブメッセージ(20文字程度)は、画像にオーバーライトされる。文字は白抜きなので、背景となる画像は濃色の方がいいし、動画のメッセージは文字に邪魔されないように作る方がいい。
サブメッセージの内容についても、いくつかコツを教えてもらった。
- アクションを求める場合は「〇〇してね」と直接的に言う
- ハッシュタグと同じ内容を繰り返さない
- 可能なら、ユーザーが反応できる内容にすると盛り上がる(「あなたは□派? △派?」など)
Tips ② ループ再生可能な動画にする
6秒の動画がループ再生されるので、ループしても違和感のない、むしろおもしろい動画がお勧め。
Tips ③ 検索タブで表示されることを前提に動画を作る
検索タブのおすすめトピックと並んで表示されるので、そこで違和感なく見てもらえる動画の方が視聴される。効果としては、従来のプロモトレンドに比べて以下のような効果があるという調査結果が出ている。
- 広告想起が、113%向上
- 将来のブランド利用意向が、67%増加
- ブランド検討が、18%向上
「プロモトレンドスポットライト」はすでに千寿製薬、集英社、日本コカ・コーラといった企業が新製品発売やキャンペーンのローンチ時に活用しており、新製品の特徴やブランドのメッセージを伝えるという点でプロモトレンド以上の効果を発揮しているという。
展望
取材日が年度末ということもあり、最後に新年度に向けての展望を聞いてみたところ、お二人からは次のような話があった。
ローンチとコネクトのうち、コネクトの文脈を強化したい。グローバルイベントなど多くのモーメントがあるので、その中でブランドが世の中のムーブメントにうまく乗って会話を生み出すお手伝いをしたい。もうひとつは、テレビとTwitterは非常に相性がいいと言われているので、そこについても、うまくコネクトしたご提案ができたらと思っています(松山氏)
デジタルやTwitter広告はまだこれからという大企業も多いので、今年はそこにチャレンジしたい(ズウェルジキ氏)
会話を生み出すことが得意なTwitterだからこそ、そこをうまく活用すれば企業にとっては大きな広告効果が期待できそうだ。
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