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BtoB企業が実施すべき「コンテンツマーケティング」思考とは?

CINCの平大志郎氏は、同社のプロダクト「Keywordmap」を販促していくための、コンテンツマーケティングの成功と失敗を語った。

BtoB企業がコンテンツマーケティングを活用して、さらに新たな顧客を獲得していくには。

2019年11月28日(木)に開催された「CONTENT MARKETING DAY 2019 @TOKYO」に登壇したCINC(シンク)の平 大志郎 氏(@taira_daishiro)は、同社のプロダクトである「Keywordmap(キーワードマップ)」を販促していくうえでの、コンテンツマーケティングの成功と失敗を語った。

CINC 副社長 ソリューション事業本部 本部長 平 大志郎 氏

CINCが提供する「Keywordmap」は、SEOとSNSのマーケティング分析ツールで、主に企業に勤めるマーケター向けのサービスである。さまざまなマーケティング活動を行っているが、CINCが今まで行っていたコンテンツマーケティングは、ニーズが顕在化した「顕在顧客層」に対するアプローチが中心だった。

しかし、顕在顧客層だけにアプローチする方法では、限界を迎えていたという。コンテンツマーケティングを活用して、さらに新たな顧客を獲得していくことが、今後の新たな課題だった。

商材選定時に「いかに『想起』されるか」

よくBtoBマーケティングでは、「営業(=実際の商談するとき)」がフォーカスされる。しかし平氏は、そのもっと前段階の「想起される」ことが重要だという。

ニーズが顕在化し、商材を選定時するタイミングで、「自社の商品名が想起されるか」、「比較検討されるラインナップに自社の商品名がリストアップされるか」がかなり重要なポイントだという。

想起→営業→成約(想起されたところに営業をかけ、はじめて成約につながる)

情報網の分析

そこで安易にコンテンツマーケティングにおける「顕在層の向けのキーワードを拡張すればいい」と考えてはいけない。

その理由を、平氏が所属するCINC社内で起こった事例をもとに解説していった。

平氏が副社長を務めるCINCでは、社員数が増加したことにより、扱う端末数が増加。そのため、端末の管理が必要になっていた。

当初のニーズとしては、次のようなものだ。

  • 各端末を台帳管理したい
  • セキュリティを常に最新にしたい
  • アクセス権を細かく設定したい

会議では、現場で働くSEから「Googleドライブのエンタープライズプランが便利だ」と提案され、決裁者が検討へ入った。

ここでは「商材選定者=決裁者ではない」ということが重要だ。現場で直に業務に接している人が商材の選定者となる。

では、提案したSEは、どのようにGoogleドライブのエンタープライズプランを知ったのか。平氏は、「NAS 導入」「NAS おすすめ」と検索をしたのではと考えていた。しかし実際は、BtoBの総合代理店に電話で相談をしたという。

商材を選ぶうえでどのような選択肢があるのか聞くと、以下の3つが出た。

  • 大手のBtoB総合代理店
  • 展示会
  • SNS、Web、友人

意外にも、はじめから「検索をする」ことはないという。

選定者の情報網

実際にCINCが提供している「Keywordmap」も、導入会社へのインタビューでは、17社中14社は「展示会やメールマーケが起点」という結果だった。

「顕在予備顧客層」を「顕在顧客層」に変える

BtoCマーケでは「購買行動の7割は非計画的」と言われるが、BtoBでも同じだと平氏は言う。

たとえば、「最近売上があがらないから、リスティング広告を強化しよう」と考え、「関連のワードで出稿を増やす」といったマーケティング施策をすることはあるだろう。しかし本当に、リスティング広告の出稿を増やすことが売上を上げるための最善の策なのだろうか。

売上が上がらない原因をよく調べてみると、申し込みフォームでの離脱率が高いことが判明。リスティング広告の出稿を増やすのではなく、フォームを改善することで、売上を伸ばすことができる。

顧客の多くは「売上が伸びていない」だから「何かを改善しなければいけない」という「大きな目的」自体はわかっていても、最適な解決策を見つけられない状態であることは往々にしてあると平氏はいう。

「本当に欲しているものを知らない顧客層」のことをCINCでは、「顕在予備顧客層」と呼んでいる。

今後顧客になるかもしれない顕在予備顧客層へアプローチをかける

この顕在予備顧客層に対して接触をはかり、課題を発見し、解決方法を提案して「顕在顧客化」していくことがBtoBマーケティングでは重要なプロセスである。ウェブマーケティングが発達した今でも、展示会が盛んな理由がそれだ。

ただ展示会に来る顧客はほんの一部でしかなく、さらに開拓していかなければならない。そこでコンテンツマーケティングが有効なのだ。

顕在予備顧客層へアプローチするには

CINCで行ってきた、顕在予備顧客層へアプローチするため流れとしては、大きく3つある。

1. 興味関心を惹く

「Webでの売り上げを上げたい」「Webマーケティングに力を入れたい」という顕在予備顧客層は、まだ我々のツールを知らない人が多い。まずは気付いてもらうために興味関心をひくことが必要(平氏)

しかし、いきなり「Keywordmapはいかかですか」と提案しても、「営業はお断り」と断られてしまう。まずは顧客へ「最新SEOレポートをお配りしています」とホワイトペーパーを渡し、これをクッション材として顧客との接点をつくっていくという。

2. 体験してもらう

興味を持ってもらったら、次はサービス紹介ページに訪れた人に、まずはすぐにサービスを使ってもらう。

そして、何を解決できるサービスであるか、直感的に理解してもらう必要がある。

3. トライアル

期間限定の無料トライアルに申し込んでもらい、期間内でカスタマーサポートの営業の力を活用し、自己メリットをより鮮明にしてもらう。

顕在予備顧客層との「接点」の作り方

CINCが顕在予備顧客層との「接点」作りのために行っていることは3つ。

メールマーケティング

メールマーケティングは、古典的ではあるが実際にやってみるとかなり効果がある。

CINCでは、展示会やセミナーを聞きに来てくれた顧客へメールマーケティングを積極的におこなっている。平氏自身も当初、効果はないだろうと思っていたが、テスト配信をすると予想外にも開封率が高い傾向にあったという。

11月の結果だと、アポ獲得数は4月と比較して2倍になっており、メールマーケティングはいまだにBtoBではかなり効果があることがわかったという。

メール投函による実績

もともとは効果が低かったメールマーケティングを、平氏は2つのポイントを重視して改善していった。

【改善点 1】メール文章の見直し

はじめは「トライアルを使ってみませんか」「分析してみませんか」という顧客の状況を無視した一方的な営業メールだった。これを顧客にとって「有益な情報提供」に変更した。

顧客は、漠然とした課題しか持っていない。そこに対して「最新SEOレポートをお配りしています」という、課題と合致する解決案を提示する情報を送信し「メリットが明確に感じられる」ものに変更した。

【改善点 2】提供するホワイトペーパー・コンテンツの質の向上

CINCでは、Googleのアルゴリズムアップデートレポートというものを作成している。11月号だけでもページ数が46ページもあり、すべて無料で読める。

私たちが大切にしているのは「無料でこのクオリティ」という印象をメールの受け手に感じてもらうことです。工数をかけて作っています。「この情報ならありがたい」と顧客に思ってもらえるコンテンツが大事です(平氏)

無料体験とUGC

以下はBtoBマーケティングでよく見られる図だ。しかしこの図には、コンテンツで集客しても、次の「接触」へ、ほとんどの顧客に動いてもらえないという大きな壁がある。

「接触」へ繋げるには顧客側に「行動」してもらわなければいけない

たとえば、「接触」とは具体的に「デモを申し込む」、「価格を問い合わせる」、「ホワイトペーパをダウンロードする」といったことだ。これらは顧客側に「行動」を求めるものである。漠然とした課題しかない顧客にとって、わざわざ申込フォームを入力する行為を「面倒くさい」と感じてしまい、離脱率が高い。

この大きな壁を超えていかなければ、プロダクトの良さやメリットの具体的なイメージをわかってもらえない。そこで、面倒くさいフォームの入力を超えるメリットを、コンテンツマーケティングで実施していかなければいけないと平氏は述べる。

商材によっては、そのツールの良さが伝わりづらいこともある。しかし、対面で実際にデータを見てもらったり、使い方の提案をしたりすると、興味を持ってもらえることが多いという。

顧客に「このツールはこの使い方ができる」という「ひらめく」状態を作ることが大切だ。しかし、当然すべての顕在予備顧客層に営業へ行くことはできない。

そこでKeywordmapでは、面倒な登録やログインなしですぐに無料で使える機能を実装したという。1日3回まで、有料に近い分析を無料で行うことができる。顕在予備顧客にとってはこれが重要な体験となる。

また、非ログインユーザーの平均利用回数をみると、広告経由の顧客(赤)は平均で1、2回しか利用されない一方、「これは使えるな。毎日見てみよう」という顧客(青)はオーガニック(検索経由)で入ってきて利用されることが多い。

このことから、定期的に「Keywordmap」と検索し、無料利用しているユーザーが多いことがわかる。

非ログインユーザーの平均利用回数

これは営業の現場でも役に立ち、決裁者の「Keywordmap使ったことあります」という一言で、商談が円滑に進むこともある。

UGC経由での問い合わせや商談につながることも多い

SNS広告

Keywordmapのリード獲得元は、「SNS広告」が全体の51%を占める。

リード獲得元は「SNS広告」が全体の51%を占める

先ほどもあったとおり、BtoBは顕在予備顧客層を取っていくことが売上につながるが、実際にSEOツールなどを検索しようと思っている人は少ない。

ただ、「SEO、SNS、コンテンツマーケ、インサイドセールス、カスタマーサクセス、リスティング広告」など、マーケティングというテーマには興味関心がある。そのため、興味関心属性、ユーザー属性にはFacebook広告やTwitter広告といったSNS広告内でのセグメント配信が有益となる。

Facebook広告

最初は「キーワードマップはいかがでしょうか」という宣伝軸からスタートし、そのあと「一週間無料でできます」というトライアル軸、最後にノウハウ軸というように広告を出した。

結果として、宣伝軸のリード数を1.0倍としたとき、ノウハウ軸のリード数は5.1倍と圧倒的に商談回数が増えた。獲得費用に関しても、宣伝軸と13.1%の差が出た。

媒体別の効果を比較すると、Twitter広告に関しても、BtoBに効果的だと平氏は考える。リード数が多いFacebook広告と比べると、Twitter広告は約2割。しかし、クリック単価、集客単価はFacebook広告に比べるととても安いという。

Twitter広告

Twitter広告の集客方法は2つある。

  • キーワードターゲティング
  • フォロワーターゲティング

「キーワードターゲティング」は、ツイートや検索にキーワードを含むユーザーに出す方法。「フォロワーターゲティング」は、SEOやコンテンツマーケティングに関して権威のある人を近しい人に出す方法。

「キーワードターゲティング」は、顕在顧客層であるため集客ができる。しかし、「フォロワーターゲティング」の方がクリック率が高いうえに、クリック単価が安いことが多い。
SNS広告を活用し、対象とする顧客へリーチして、サービスサイトへ集客。そこから、体験してもらい、UGCにつなげる。このUGCが広告ではないオリジナルのコンテンツとなり、新しい顧客を呼び込むことにつながる。

まとめ

平氏は、BtoBプロダクトを販促する上でのコンテンツマーケティング思考を、以下のようにまとめた。

  • 今一度、顧客の起点やきっかけは何かを調べる
  • 「解決案は知らないが、課題を抱えている」顧客をいかに惹きつけるかがBtoB集客でのポイント
  • コンテンツでメリットを提供し、関係を作る
  • コンテンツは決してブログ記事やホワイトペーパーだけではなく、体験もコンテンツの一部

最後に平氏は「顧客にヒヤリングをして『動線』調査をおこない、コンテンツを用いた『導線』設計をすることがポイント」だと語り、講演を締めた。

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