お客様の真の来店動機は何なのか? 目に見える現象にとらわれず真因を遡及せよ!/【漫画】デジマはつらいよ・第6話
前回のあらすじ
SEOは好調なのに、来店客数が伸びないのはなぜなのか。理由がわからず悩む月永(和尚さん)に、虎が与えたヒント。それは「イベントを企画しても子どもに喜んでもらえない父親と同じ」というものだった。
5話と6話のまとめコラム:真因遡及を行う方法とは?
こんにちは、『デジマはつらいよ』原案者の中澤です。
今回(第5話、第6話)は、前回までのPDCAの話から少し離れ、マーケターとして重要なコアスキルである「真因遡及」をテーマとしました。
PDCAやSEOをはじめとする各種知識やスペシャルスキルが「技術」の部分に該当するとすれば、コアスキルは「筋肉」にあたる部分であり、マーケターとしての「基本的な考え方」や「思考様式」にあたります。
「マーケティングマイオピア(近視眼的なマーケティング)」「木を見て森を見ず」といった言葉もありますが、マーケティングにおいてもっとも危険な失敗は、「観測された現象面に囚われて、その背景にある真の要因に辿り着く努力をすることなく近視眼的な結論を出し、その解決に邁進してしまうこと」です。
近視眼的になることで、いつの間にか本来の目的を忘れ、目の前の課題を目的と捉えてしまう「手段の目的化」が発生しやすくなります。
まずは課題を正しく設定することが大事
今回のマンガの事例においては、まず正しい課題の設定ができていないことが問題となっています。真因遡及を行う以前に、そもそも何がビジネス上、マーケティング上の課題となっているのかを定義しなければなりません。
具体的に言うと、「検索順位」が下がっていること自体は、観測された事象の1つであり、ビジネス上の課題ではありません。「検索順位」が下がっていることで、ビジネス上何が問題になるのかを、定義する必要があります。
この場合の手法としては「So What分析」を用います。「観測された事象の発生により、何が問題となるのか、何が起こるのか」を問うのが「So What分析」です。「So What分析」とは、「So what?(だから何?)」という質問を何回か繰り返すことで、真の課題を発見するという手法です。
月永が最初に考えていた課題は「検索順位が下がる」でした。これにSo What分析を行うことで、今回解決すべき「ISUUE(課題)」は「来店客数の鈍化」であり、その原因として「検索順位が下がっているから」と仮説を立てている状態であることに気づきました。
課題が明確になったら、そこで初めて「真因遡及」を行い、真の原因を探すプロセスに入ります。ですので、そもそも「課題」設定自体が間違っていた場合、問題の原因には辿り着けないということです。
真因遡及の方法とは?
真因遡及は、解決したい課題を「要因分解(因数分解)」することがスタートとなります。来店客数の鈍化に影響を与えるであろう直接的要因を複数洗い出し、まずは分解します。
その際にさまざまな「分解軸」が発生しますが、いったんは気にせず、考えられる要因(観測される事象)を並べていきます。たとえば、
- 新規来客数が減少している(新規・既存軸)
- 店舗ページ経由の来店客数が減少している(メディア軸)
- Google My Bussiness経由の来店客数は増加している(メディア軸)
といった具合です。
そして、さらにそれらの事象の原因をさらに分解していきます。
- 店舗ページを、ブログ記事の量と質で分類すると、量の多さと来店客に相関は見られないが、質との相関が見られる
- 検索順位とブログ閲覧数には相関が見られるが、来店客数とは相関が見られない
といった具合です。
この要因分解を、可能であれば5回、最低でも2回から3回は繰り返し、並べます。そして、並べた個別の事象(観測された事実)同士に共通する要因を「仮説」として導いていきます。
つまり、「垂直的に分解した結果導かれた個別要因を、水平的に繋げて、共通要因を探す」。これが、真因遡及の方法となります。
マンガでは紙面の関係上、そこまで深く実際のプロセスを書くことはできませんでしたが、伝えたかったエッセンスは、「それは本当に解くべき課題なのか? 真に解決すべき課題は何か?」を一度立ち止まって考えることで、「手段を目的化」しないようにしましょう、という点と、「解くべき課題が明らかになったら、その根本原因を探すようにしましょう」という点の2点。そして、それを行うために「真因遡及」という方法を用いましょうということになります。
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