【漫画】デジマはつらいよ

お客様の真の来店動機は何なのか? 目に見える現象にとらわれず真因を遡及せよ!/【漫画】デジマはつらいよ・第6話

ブログの更新頻度を増やしても集客に効かなかった理由とは

前回のあらすじ

SEOは好調なのに、来店客数が伸びないのはなぜなのか。理由がわからず悩む月永(和尚さん)に、虎が与えたヒント。それは「イベントを企画しても子どもに喜んでもらえない父親と同じ」というものだった。

ここから始まります

じっくり観察すると遊園地って子連れが多いですねだろ人が多くて疲れるんだよねぇけど見てるだけで京極さんの答えが見つかるんだろうか…?じゃあ俺は筋トレで忙しいからさらばっええっ
どういうことだと思う?さぁ わからないですうぅ…どうしたらいいんだこういう時こそ「行動観察」ですよ!へ?前もそれで解決しましたレッツ遊園地っ!おっおいっ!…で遊園地に来てみたもののいつもと変わらないパパ一緒にあれ乗ろうよー!パパはここで見ていてあげるからお姉ちゃんと一緒に二人で乗ってきなさいえー一緒に乗りたいよーパパは写真も撮らなきゃいけないしお姉ちゃんと一緒の方が楽しいと思うよ…
あの子かわいそう…え?なんで?だってお父さんと一緒に来てるのに全然お父さんと楽しめてないじゃないですかあの子は遊園地に来たいのではなくて…お父さんと遊びたいんじゃないでしょうかそういうことかえ?翌日室長答えがわかりましたほぅ思ったより早かったねじゃあ聞かせてくれる?
これまで僕は息子のためにイベントを企画してましたが息子が求めていたのはイベントではない僕とのふれあいそのものだったんですねしかし僕はいつの間にかイベント自体が目的になっていた…手段が目的化していたんですそしてその本質は店舗ブログの件でも同じつまり――検索結果の順位を上げる事がいつの間にか目的化してしまい本来の目的である「来店客数アップ」からズレてしまっていたということですね大正解!ただ…2年前にブログを始めてから検索結果の順位が上がり店舗ページのセッション数も来店客数も伸びています手段として間違っているとは思えないんです本当にそうかな?え…
そもそもなぜブログの立ち上げ当初は来店客数が増えたんだろうか?理由はもっと深いところにあるんじゃないか?そそれは…観測された現象の背後にある「真因」をいかに導くかそれを「真因遡及」【ルビ:そきゅう】というし…真因遡及…数字やデータは目に見える事象を把握するのに役立つがその原因までは深く追いきれないことが多いだからこそマーケターは想像力と観察を通じて定量的には測れない顧客のインサイトに迫っていく努力が必要になるそのための具体的な手法が事象に対して「なぜ?」を繰り返す事なんだなぜ立つっ!?
なぜ? お客様はサイトを見てお店に行ってみようと思ったんだろう?そ…それは扱っている商品を知ったからじゃないですか…それなら店舗ページのセッション数が伸びればリアルに来店客数は伸びるはずだろしかし今回そうはなっていないそれはなぜ?なぜ?え…えっと…それがわからないんです…じゃあ視点を変えてみよう今回の施策に協力してくれなかった神奈川地区はどんな事をしていたの?Googleマイビジネスの情報リッチ化に注力したと言ってましたなるほどGoogleマイビジネスかGoogleマイビジネスとは無料でGoogle検索結果やGoogleマップなどにサービスやビジネス、店舗情報を表示することができる●ビジネス基本情報の掲載●口コミの管理・返信●閲覧数などのアクセス分析●スマホ対応つけられたコメントにも店長自ら丁寧に返信したり店内画像を豊富に載せたりしていたそうですではなぜそれで来店客数が伸びたんだと思う?それは…お店の雰囲気がわかったり…店員の人となりが伝わるから…
もしかしたら僕が質より量を重視したのがまずかったのかもしれません前回のブログの時は店舗に掲載本数よりも記事の質を重視してもらってましたしかし今回はとにかくなんでもいいから書いてほしいと指示しましたお客様がお店に来る動機は商品だけじゃないそれ以外の情報も重要...!だから更新頻度を増やしても当たらなかったんですね!検索順位や店舗ページセッション数は単なる事象にすぎず真因はもっと深いところにあったという事だね来店客数停滞の真因を「店の雰囲気や店員の人となりが伝わらなかった」という仮説で対策してみますいいんじゃないかご褒美に新オリジナルプロテインをプレゼント
1週間後あれ和尚さんは?社内講演の準備ですああ神奈川事業部の部長に頼んだって言ってたっけえっ私が講師ですか?量にこだわるのは間違ってたかもしれません情報発信の質をイチから見直したいんですなのでGoogleマイビジネスの書き込みを増やして来店客数を増加させたあなたの見識を共有してくださいけど質を重視するのが本当に正しいかもわかんねぇよな確かにだからこそ実際にPDCAを回す!京極さんっ仮説検証を繰り返して顧客理解を深めていこう息子君とのPDCAも回さないとな

次回に続く

5話と6話のまとめコラム:真因遡及を行う方法とは?

こんにちは、『デジマはつらいよ』原案者の中澤です。

今回(第5話、第6話)は、前回までのPDCAの話から少し離れ、マーケターとして重要なコアスキルである「真因遡及」をテーマとしました。

PDCAやSEOをはじめとする各種知識やスペシャルスキルが「技術」の部分に該当するとすれば、コアスキルは「筋肉」にあたる部分であり、マーケターとしての「基本的な考え方」や「思考様式」にあたります。

「マーケティングマイオピア(近視眼的なマーケティング)」「木を見て森を見ず」といった言葉もありますが、マーケティングにおいてもっとも危険な失敗は、「観測された現象面に囚われて、その背景にある真の要因に辿り着く努力をすることなく近視眼的な結論を出し、その解決に邁進してしまうこと」です。

近視眼的になることで、いつの間にか本来の目的を忘れ、目の前の課題を目的と捉えてしまう「手段の目的化」が発生しやすくなります。

まずは課題を正しく設定することが大事

今回のマンガの事例においては、まず正しい課題の設定ができていないことが問題となっています。真因遡及を行う以前に、そもそも何がビジネス上、マーケティング上の課題となっているのかを定義しなければなりません。

具体的に言うと、「検索順位」が下がっていること自体は、観測された事象の1つであり、ビジネス上の課題ではありません。「検索順位」が下がっていることで、ビジネス上何が問題になるのかを、定義する必要があります。

この場合の手法としては「So What分析」を用います。「観測された事象の発生により、何が問題となるのか、何が起こるのか」を問うのが「So What分析」です。「So What分析」とは、「So what?(だから何?)」という質問を何回か繰り返すことで、真の課題を発見するという手法です。

月永が最初に考えていた課題は「検索順位が下がる」でした。これにSo What分析を行うことで、今回解決すべき「ISUUE(課題)」は「来店客数の鈍化」であり、その原因として「検索順位が下がっているから」と仮説を立てている状態であることに気づきました。

課題が明確になったら、そこで初めて「真因遡及」を行い、真の原因を探すプロセスに入ります。ですので、そもそも「課題」設定自体が間違っていた場合、問題の原因には辿り着けないということです。

真因遡及の方法とは?

真因遡及は、解決したい課題を「要因分解(因数分解)」することがスタートとなります。来店客数の鈍化に影響を与えるであろう直接的要因を複数洗い出し、まずは分解します。

その際にさまざまな「分解軸」が発生しますが、いったんは気にせず、考えられる要因(観測される事象)を並べていきます。たとえば、

  • 新規来客数が減少している(新規・既存軸)
  • 店舗ページ経由の来店客数が減少している(メディア軸)
  • Google My Bussiness経由の来店客数は増加している(メディア軸)

といった具合です。

そして、さらにそれらの事象の原因をさらに分解していきます。

  • 店舗ページを、ブログ記事の量と質で分類すると、量の多さと来店客に相関は見られないが、質との相関が見られる
  • 検索順位とブログ閲覧数には相関が見られるが、来店客数とは相関が見られない

といった具合です。

この要因分解を、可能であれば5回、最低でも2回から3回は繰り返し、並べます。そして、並べた個別の事象(観測された事実)同士に共通する要因を「仮説」として導いていきます。

つまり、「垂直的に分解した結果導かれた個別要因を、水平的に繋げて、共通要因を探す」。これが、真因遡及の方法となります。

マンガでは紙面の関係上、そこまで深く実際のプロセスを書くことはできませんでしたが、伝えたかったエッセンスは、「それは本当に解くべき課題なのか? 真に解決すべき課題は何か?」を一度立ち止まって考えることで、「手段を目的化」しないようにしましょう、という点と、「解くべき課題が明らかになったら、その根本原因を探すようにしましょう」という点の2点。そして、それを行うために「真因遡及」という方法を用いましょうということになります。

次回に続く

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

Python
「Python」(パイソン)は、プログラミング言語の1つ。プログラマのグイド・ヴ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]