ウェブ解析士会議

2時間でマーケティング施策の全体像を可視化する「サイト集客マップ」とは?

A4一枚の手書きの集客マップを関係者と2時間ほどで完成させることで、案件がドライブすると平岡氏は説く。ウェブ解析士会議2019レポート

「SNSの効果が実感できない。ブログを継続する意味がよくわからない」といった、担当者の声を聞くことも多い。

6月15日に開催された「ウェブ解析士会議 2019」(主催:ウェブ解析士協会)に登壇した、アクシスの平岡謙一氏は、A4用紙一枚の「サイト集客マップ」をメンバーと2時間程度で作ることで、案件がドライブするようになると説く。

今回はパティシエで有名な青木定治氏を例に挙げ「サイト集客マップ」を解説する。撮影:イイダマサユキ

株式会社アクシス COO 平岡謙一氏

マーケティングを行う上での課題

サイト集客マップをどのように作るかの説明の前に、平岡氏はまず企業におけるマーケティングのよくある課題を挙げた。

  • SNSの効果を実感しにくい
  • 獲得単価が悪い施策だけが目につく
  • ブログ更新の目的がわからなくなる
  • 何から手をつけていいか分からなくなる

こういった課題の本質的な原因は、「施策の全体像が見えていないから」だと平岡氏は言う。マーケティング施策の全体像が可視化されていないため、部分最適化ばかりを追い求めてしまい、結果としてマーケティングが進まない。

マーケティングの全体像とは、下図に集約される。

マーケティングの全体像
  • 「知らない層」→「認知促進」
    「知らない層」に対して、「認知促進」の施策をする
     
  • 「知っている層」→「連想強化」
    すでにサービス名や社名、今回の例でいえば青木氏を「知っている層」に対して、商品が必要となったタイミングで思い出してもらうための「連想強化」の施策をする
     
  • 「ファンの層」→「関係強化」
    一度購入してくれた「ファン層」へ「関係強化」のためのアプローチをし、リピート注文や口コミを拡散してもらう施策をする

平岡氏は、シンプルなマーケティングプロセス推進において重要なことは、施策全体を関係者全員で共有することだという。

仮に企業のWeb担当であれば、関連する部門はたくさんあるはず。そういった関連する部署と全体像を共有しないと、部分最適になってしまう。すると、戦略を持って施策を行っているにも関わらず、施策単体の成果を求められることになる。

その根源には、関係者全員とマーケティングプロセスの合意形成ができていないからだと平岡氏は指摘する。

それらを解消するめに、作るのが手書きのシンプルな「集客マップ」だ。クライアントをはじめ、関係者全員と2時間程度で「集客マップ」を作成することで、先に挙げたマーケティングを行う上での課題がほぼすべて解消するという。

実際に作成した手書きの集客マップ
手書きの集客マップをアイコンで示したもの

マップの作成事例

具体的な集客マップの作成方法としては、「知らない層」「知っている層」「ファンの層」のユーザーの層ごとに、入口と出口の設計して、図式化していく。

知らない層へのアプローチ方法

たとえば、「知らない層」へのアプローチ方法として今回の青木氏の場合、入口と出口は大きく分けて3つある。

入口設計

  • スイーツ関連のInstagram
    スイーツ関連のInstagramを公式アカウントとしてポストして「#フランス」、「#お菓子」、「#高級マカロン」などといったハッシュタグをつけて、ポストして青木氏の認知促進を促す
     
  • お菓子や料理など興味関心に基づくバナー広告
    お菓子や料理といったことに興味関心がある人にインタレストマッチのバナー広告を活用してアプローチしていく
     
  • スイーツ購入検討段階で検索連動型広告
    スイーツの購入を検討しているタイミング、たとえば「スイーツ」、「通販」、「父の日プレゼント」、「バレンタイン」などのキーワードで検索連動型広告を使ってアプローチする

ここで注意したいのが、「知らない層」へアプローチした後の誘導先である。認知施策の場合は、ブランド訴求サイトに誘導することが望ましいという。

「青木氏を知らない層を集める施策において、ECサイトを誘導先にしてしまうのは、離脱が増えるばかりでうまくいかない。知らない層に対しては、青木氏の魅力を知ってもらう、認識してもらうことが重要。だからブランド訴求サイトに誘導する全体設計する」(平岡氏)

誘導先のブランド訴求サイトでは、次のような内容を説明するページを用意している。

  • 青木氏はどんな人なのか
  • どんな受賞歴があるか
  • 原材料にどんなこだわりがあるのか

出口設計

次に、知った後に達成してほしいゴール「出口設計」をしていく。

  • ECサイトを訪問してもらう
    ブランド訴求ページを見たら、その後はECのサイトに送客する
     
  • SNSのフォローやいいね!
    Instagramでのフォロー、その他ソーシャルメディアのいいね!などをしてもらう
     
  • 「アオキサダハル」という指名検索をして再訪問
    離脱しても、お菓子を購入段階で、指名検索をしてサイトに戻ってくる

認知促進ができているかの評価指標

入口と出口の設計をしたら、認知促進ができているかの指標を考える。今回の場合のKPIは次の通り。これらの数値を取得して、PDCAを回していく。

【入口KPI】
  • 非商標での流入数
  • ブランド訴求サイトへ流入後の滞在時間
【出口KPI】
  • ECサイトへの送客数
  • 指名検索の増加数

知っている層へのアプローチ方法

次に、青木氏のサイトに訪れたことがある、青木氏のことを「知っている層」に対し、商品が必要になったタイミングで商品を思い出してもらい、ECサイトに来てもらって、商品を買ってもらう。誘導先は、ここでようやく「ECサイト」となる。

青木氏のことを「知っている層」へのアプローチ方法としては、大きく次の2つが考えられる。

入口設計

  • 指名検索(アオキサダハル)をするタイミングでの検索広告
    すでに青木氏のことを知っているため、お菓子の購入を検討しているタイミングで、指名検索ができる状態になっている
     
  • 青木さんに関連するソーシャルアカウントやブログなどからの流入

出口設計

ECサイトへ誘導し、商品購入後にユーザーに期待するゴールとしては、次の4つが考えられる。

  • 商品の注文完了
  • メルマガ/LINEへの登録
  • ソーシャルでのいいね! とフォロー
  • 実店舗への訪問

連想強化ができているかの評価指標

青木氏を「知っている層」に対し、商品が必要になったタイミングで連想してくれることが重要で、その連想強化をするKPIは次の項目が挙げられる。

【入口KPI】
  • ECサイトの指名検索の増加数
  • ECサイト流入後の商品購入率
【出口KPI】
  • ソーシャルフォロー数
  • メルマガ/ブログ読者数

ファンになった層へのアプローチ

一度商品を購入しているユーザーに対して、青木氏をより好きになってもらい、さらにファンになってもらうアプローチ方法としては、次の3つが考えられる。

実店舗への来店、青木氏が行っているお菓子教室、イベントなどへも誘導するといった形でオフラインを含めてユーザー体験をつくっていく。

入口設計

  • 青木氏個人のソーシャルアカウントのフォロー
    公式アカウントではなく、青木さん個人のアカウントでエンゲージメントを高める
  • メルマガなどでお知らせするキャンペーン
  • ブログでの新商品紹介記事

出口設計

  • ソーシャルでシェア/ハッシュタグ「ご褒美スイーツ」などをつけて投稿
  • 店舗へも足を運んでもらう
  • イベント/青木氏が主催するお菓子教室への参加

関係強化のKPI

【入口KPI】
  • メルマガからの流入数
  • ブログからの流入数
  • ソーシャルからの流入数
【出口KPI】
  • ソーシャル言及数
  • リピート注文率
  • イベント参加者数
チャネルとユーザー層ごとのアピール方法

まとめ

このように、各ユーザー層の特徴から接触方法を想像し、流入経路を構築。目的に合ったメディアに誘導して、そこでユーザーにとってもらいたい理想的なゴールへ誘導する。そして各施策に対してKPIを設計し、集客マップとしてA4一枚にまとめることによって、マーケティングの全体像を可視化する。

この一連の流れを関係者全員で作ることで、マーケティング全体を俯瞰的に把握し、施策単体での狙った効果も見えるようになるという。「ぜひマーケティングにかかわる全員で集客マップを作ってみてください」と言い、講演を締めくくった。

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