MA×インサイドセールスで年間2000件の商談を創出! 確実に成果を上げる10のTipsを紹介
SNSや比較サイトなどWebでの情報収集が当たり前となり、営業が企業に直接アプローチすることが難しくなっている。このため非対面での営業活動が重要になっており、そのひとつの手法が「インサイドセールス」だ。
「Web担当者Forum ミーティング 2019 春」に、SATORIの尾崎氏が登壇し、「インサイドセールスで成果を生み出す仕組みとして、MAツールが効果的」と述べ、MAツール活用で年間2000件以上の商談創出に成功しているインサイドセールス部門における10のTipsを紹介した。
営業が会える担当者はごく一部、非対面の見込み顧客開拓が重要に
かつて、企業が新規製品に関する情報収集をする際には、営業マンに来てもらって、話を聞かなければ情報が得られなかった。しかし今は多くの場合SNSや比較サイト、口コミサイトで情報収集するのが当たり前となっている。2020年には「顧客とのコミュニケーションのうち85%が非対面」になると言われており、「会わずして見込み客と接触し、セールスを行える仕組み構築が急務である」と尾崎氏は指摘する。
この仕組みを構築するためにSATORIが提唱するのが、マーケティングオートメーション(MA)ツールとインサイドセールスを組み合わせて活用することだ。
尾崎氏によれば、「MAツールは非対面で見込み客を開拓する仕組み」で、基本的な機能として以下の2点を提供している。
- 見込み客が情報収集するWebサイト、メール、オフラインでの接触などの情報を一元管理できるデータベース
- 匿名客と実名客に分けて管理し、それぞれのフェーズに適したコミュニケーションを可能にする
従来のセールスは“今すぐ客”ばかりを追っていたが、継続的に質の高い商談を作り続けるためには、“そのうち客”の母数を増やすことと、“そのうち客”を“今すぐ客”に育てるという視点が重要。“今すぐ客”とは導入時期が近いもの、“そのうち客”とはニーズはあるが導入時期が遠いものを指す(尾崎氏)
下図は、「SATORI」導入企業が実践したマーケティング事例の全体像を示したものとなる。同社では、このうち、「リード獲得」と「リード育成」についても主にMAで実現しているが、今回のセッションでは触れず、それ以降の、インサイドセールスの効果に絞って紹介する。
インサイドセールスの役割は、マーケティング活動全体のうちナーチャリング機能の一部とリード抽出や商談化・追客の部分となる。図における左側の領域ほど母数が多く、右側の領域に進むほど確度は高まるが母数は少なくなる。
「MA×インサイドセールス」10個のTips
ここからは、同社のインサイドセールスがMAツールを活用して実践し、実際に効果があったMA×インサイドセールス10のTipsを紹介していこう。
Tips ① オフラインイベントからの即時お礼メール
展示会でブースに来場し名刺交換した人と、会話して別れた後ですぐにMAツールにカスタマー情報を入力する。MAにはあらかじめシナリオを設定しておき、即座にお礼&フォローのメールが送付されるというものだ。これには、以下のようなメリットがある。
- 展示会の数日後、一斉に送られてくる他社のメールに埋もれない
- 「すぐにメールを送った」ということが会話のフックになる
「この一手間があると非常に深いヒアリングが可能なのでお勧め」だと尾崎氏は言う。ブースでの会話から商談化する確率が、この一手間で少なくとも5~6%まで増えるという。
Tips ② 自社キラーコンテンツによる見込み客のあぶり出し
キラーコンテンツとは、Webサイト上で「今すぐ客」が見るコンテンツのことだ。「今すぐ客」が契約前に見る可能性の高い「他社との比較表」や「契約の流れ」「サポート」「運用保守」といったコンテンツがそれにあたる。
そこで、サイト訪問者がこれらのキラーコンテンツを閲覧したら、インサイドセールスに即座に通知するよう設定しておく。これにより、今まさにWebサイト上を回遊している見込み客リストを自動で生成するフローが構築できるわけだ。
結果がすぐに出やすいので、自社におけるキラーコンテンツ発掘のPDCAを高速に回せるというメリットもある。
Tips ③ 外部メディアによる見込み客のあぶり出し
自社サイトのキラーコンテンツだけでなく、外部メディアの閲覧履歴と組み合わせる手法もある。自社コンテンツが必ず検索順位で上位表示されるわけではないため、「自社サイトを見た」かつ「検索上位に表示される外部メディアのキラーコンテンツを見た」という条件の掛け合わせでリスト化するのだ。
たとえば、「MA 比較」などで検索した時に、自社のキラーコンテンツと、外部メディアの比較サイトの両方を見たユーザーは、「興味が深化して、検討を始めた」と判断するということだ。
ちなみに、SATORIの調査によると、「他社との比較サイトを見た」というシンプルな条件でも、インサイドセールスが連絡した際の商談化率が10倍近く高くなったという。
Tips ④ スコア活用によるコール優先順位づけ
コールリストは一定数あるが、爆増した際に優先順位がつけられずに困っている場合に有効なのが「スコアリング」だ。メールを開封したら1点、メールのリンクをクリックしたら2点、資料請求したら10点など、自由に加点減点ルールの設定を行い、スコアリングする。閲覧したホワイトぺーパーの種類によって点数を変えることも可能だ。たとえば、下記のようにスコアを活用することができる。
- 過去、特定のイベントに参加した人をスコア順にコールする
- 過去失注案件からスコアが高い順にコールする
このように、前述したキラーコンテンツによるあぶり出しとスコアリングを掛け合わせることで、キラーコンテンツ該当者の中でさらに優先順位付けが可能となり、商談創出までのスピード感が向上する。
Tips ⑤ アクセス企業履歴の活用
MAツールの機能のひとつとして、自社サイトに「いつ」「どの会社から」「何人」「どのページに」アクセスしたかがわかるため、「コールリストが少なく、同じリストをかけまわして涸渇している」という場合は、個人ではなく企業を切り口にしてアプローチ対象リストをつくることができる。
過去に商談のあった企業であれば検討が進行しているかもしれないし、未開拓の企業の場合でも最近多くの社員がアクセスしたとわかる企業であれば自社に興味を持っているはずだ。そのため新規開拓の企業リストとして活用することができる。
Tips ⑥ アラートを適切に案件担当へ割り振る仕組み
MAツールから新規案件を獲得するインサイドセールス部隊へ、アプローチすべき見込み客のアラートが上がってきた際、すでに商談・契約済みの案件が含まれるとコールの効率が悪くなる。最悪の場合誤ってコールしてしまった場合は悪印象を与えるなどブランド毀損にもなりかねない。
そこで、下図のようにシナリオを設定し、条件分岐によってアラートを担当ごとに割り振ることで、インサイドセールスが新規開拓に注力する仕組みが構築できる。
Tips ⑦ ABM(Account Based Marketing)アプローチ
メインターゲット像が明確になっているなら、最近注目されているABM(Account Based Marketing)の手法を取り入れのも効果的だ。ABMは、明確にターゲット化した顧客リストに対して、集中的にアプローチすることを言う。
「業種」「企業規模」「地域」などの企業データベースを外部データ購入等で入手し、そのデータをMAツールに取り込むことで、例えば「製造業」「大企業」「関東」など、ターゲットに特化したアプローチが可能になる。メインターゲットのみに集中してリソースを投下し、キャンペーン機能を使うことでROIも可視化できる。
Tips ⑧ 商談1か月後のフォローアップ
営業のフォローアップ不足を自動でリマインドすることで、失注を防ぐための施策は、以下のような流れになる。
- インサイドセールスが電話をして商談を設定
- コミュニケーション履歴を残すと同時に顧客情報に「営業が訪問した」というフラグを立てる
- 1か月後に、進捗確認アラートが自動で営業に届く
この流れで、営業が再度アプローチした後、その案件を営業自身で追いかけるか、インサイドセールスによるナーチャリングに戻すか判断する。営業が「インサイドセールスに戻す」フラグを立てると、インサイドセールス担当者に自動通知される。商談後の案件もインサイドセールスと連携することによって、以下のようなメリットがある。
- 案件の継続的なフォロー
- 再商談の設定
Tips ⑨ インサイドセールスの案件管理
キラーコンテンツによって見込み客をあぶり出したが、そのアラートをインサイドセールスの担当が見落とすという問題は、実運用上発生することが非常に多い。そこで、アラートとは別に進捗情報を管理・ストックしておくという手法がある。
同社が利用するMAツールの管理画面では、カスタマー情報の管理項目を自由に追加できる。例えば「コール担当者」「次回アプローチ日」「ステータス(アポ打診、リサイクル、完了)」などを設定しておくと、管理者としてのマネジメントが容易になる。また、顧客管理システムとしても使える。
Tips ⑩ コールNGからのメールによる商談アポ獲得
インサイドセールスがコールしても、以下のような理由で電話がつながらないというケースもある。
- 会社や役職者によっては“受付”を突破できない
- 外出が多くつながらない
尾崎氏によれば「3回かけてつながらない方は、4回目以降の接続率が10~15%くらい」といい、3回かけてつながらない人にはその後もつながる確率が低いと言える。そこで、3回つながらない場合は不在フラグを立て、自動でメール送付されるようにシナリオを設定する。これによって、返信が来て商談に繋がるケースも多いという。この時のポイントは以下のとおり。
- 営業メールではなく、「最新事例の紹介」にすると反応が良い
- 返信のチャネルを複数提示する(メール、電話、問い合わせフォームなど)
尾崎氏は、「この手法を当社で実施したところ、たった1か月で問い合わせが17件、商談が9件、受注2件という成果を上げた。電話がつながらないのは興味がない・受注確度がないということではない。ぜひ試してみてほしい」と述べる。
あらためて、10個のTipsをまとめたのが以下の図だ。
最後に尾崎氏は、MAツール「SATORI」について簡単に紹介した。「SATORI」のポイントは、匿名客の情報を非対面データベースとして管理し、名前やメールアドレスを知らない匿名客に対して、さまざまなチャネルを通じたアプローチが可能という点だ。これによって、自社サイト来訪者の大多数にアプローチできるようになるというわけだ。
尾崎氏は「SATORIでは、セミナーや運用サポート、コンテンツ提供など多くのメニューを無償で提供しており、導入後のフォローアップミーティングや利活用セミナーも実施している」とアピールし、講演を締めくくった。
ソーシャルもやってます!