【レポート】Web担当者Forumミーティング 2019 Spring

KPIツリーを作って満足していませんか? 真にユーザーを理解しアプリを成長させるために重要なこと

ユーザーを正しく理解し、最適なユーザー体験を実現するためのノウハウと成功事例を紹介
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モバイルファーストが当たり前といわれるなかで、アプリユーザーの顧客体験(CX)向上は大きな課題だ。その肝となるのが、アプリの継続率だ。しかし、データを活用してユーザーを理解し、最適な施策を実施するのは簡単なことではない。

Web担当者Forum ミーティング 2019 春」に登壇したプレイドの杉浦氏は、「CX向上のためには、ユーザー行動を“点”ではなく“線”で捉え、それをKPIツリーに落とし込むことが重要だ」と述べ、アプリを成長させるためのユーザー理解に必要なポイントについて語った。

杉浦椋太氏
株式会社プレイド Customer Experience Designer 杉浦椋太氏

アプリ成長のための「答え」は誰が持っているのか?

スマホの普及により、アプリの利用時間は増加傾向にあり、App Annieの「モバイル市場年鑑2019」によると、全世界におけるアプリの利用時間は2016年から3年で50%増加した。日本でも、アプリ市場は、ダウンロード数、アプリ利用率、収益などを見ても成熟期を迎えている。「2019年に、世界アプリストアの消費支出は映画興行収入の2倍に達する見込みだ」と杉浦氏は話す。

近年はサブスクリプション型のビジネスモデルが増えており、アプリユーザーと長期的な関係を築き、「インストールしたら終わり」ではなく、その先のコミュニケーションを設計していくことが重要だ。

マーケターであれば誰しも「アプリを成長させる答え」を欲しているものだが、現状は、情報があふれすぎており、何を信じてよいかわからない状況にある。また、アプリ成長のための知見が一部に集中していて情報が出回らなかったり、他社の事例が自社には当てはまらなかったりといった課題もある。つまり、答えは自社で見つけるしかない(杉浦氏)

なぜKPIツリーを使うのかを考える

こうした課題解決に「KPIツリー」などのフレームワークを活用することがある。しかし、杉浦氏は「成長のヒントを探す上でフレームワークや手法は非常に有効だが、活用には条件がある」と指摘する。というのも、フレームワークはあくまで手段であり、「目的がないと運用できない」からだ。

よくある失敗例に、「KPIツリーを作ったものの、結局運用されずに終わってしまった」というものがある

「新規ユーザーの継続率を向上させる」という目的でKPIツリーを作ってみたものの、アクティブユーザー数やアプリ新規DL数、継続率などさまざまある数字をどう捉えるかべきかわからず、思考が止まってしまうのだ。

KPIツリーにおいて、アクティブユーザー数や、アプリの新規インストール、継続率など、数字をどう捉えたらよいかわからない

思考停止状態にならないためには、「継続率」といった大きな指標で捉えるのではなく、ユーザーの体験を指標として定める必要があります。たとえば、「継続率」を見るのであれば、「新規翌日継続率」「新規7日後継続率」といった体験に分解できます。

さらに、「新規翌日継続率」を見るには、「初回オンボーディングゴール率」あるいは「初回Push ON率」「初日価値ある体験突破率」といった指標を設ることができます。ユーザーの“体験”をKPIツリーに組み込んで可視化していくことで、運用できるKPIツリーを作っていくのです(杉浦氏)

“体験”をKPIツリーで可視化する必要がある

つまりKPIツリーを作る前に、「ユーザーがアプリを起動する目的は何か」を考え、起動したときの体験を最適化していく、その結果がユーザーがアプリを再度使うことにつながり、継続率にカウントされていくというのだ。

作成したKPIツリーの数字は、あくまでアプリの体験を向上させる際のヘルスチェックに使うものであるべき」と杉浦氏は述べる。

ユーザーの行動を理解する3つのポイント

杉浦氏は「KPIツリーを使うなら、ユーザー体験の流れを点ではなく線で理解しよう」と呼びかけ、そのためのポイントを3つ示した。

① 仮説をブラッシュアップし、事実に近づける

仮説を立て、近くにいるメンバーや他のメンバー、社内の人にインタビューを行い、仮説をブラッシュアップする。あるいはアプリ内の行動やイベントログがあれば、点ではなく線で見るようにする。

② ユーザーになりきる

ペルソナに近い社内の人に聞くなどして、ユーザーになりきるのも有効だ。ターゲットユーザーの生活のタイムラインを想像したり、アプリを使うときの感情を考えたり、地域特性や趣味・嗜好、細かいところでは「スマホの通信容量を気にする人かどうか」「爪が長い女性なら、小さいボタンをタップしにくい」といった部分まで、仮説を持ってインサイトを理解しようとする。

③ ファクトデータと突き合わせる

最後は、仮説を事実に近づけるためにファクトデータと突き合わせる。この際に重要なことは、PVやUUを取ればいいということではなく「その数字から何が見えるか?」という問いに答えられるよう行動ログを可視化することだ。

なぜそのユーザーにとってアプリが重要なのか、目的を達成することにフォーカスし、ユーザーが価値を感じてアプリを使用し続けてくれる体験を可視化していく。それらをファクトデータと突き合わせることで仮説を事実に近づけ、価値ある体験を作る施策を考えることに活用していく(杉浦氏)

<ここまでのポイント>
  1. フレームワークは手段であり、数字は結果である
  2. ユーザーの行動を、点ではなく線で可視化する
  3. ユーザーを理解するために、仮説を立てて事実に近づける。また、ファクトデータと突き合わせる

“ユーザーを知る”CXプラットフォームと活用事例

だが実際に、全体の数字から仮説を立て、KPIを考え、核心に迫っていくのは容易なことではない。そこで杉浦氏が紹介するのが、プレイドが提供するCXプラットフォーム「KARTE」だ。

KARTEは来訪者に関するサイト、アプリ内外のあらゆるデータを取り込み、個客軸で解析・可視化、あらゆる個客接点で活用していくことが可能(杉浦氏)

2018年3月には「KARTE for App」が正式ローンチ。アプリ利用者がどういうモチベーションで、何をしているのか、企業のあらゆる部署を顧客目線に変革していくことを支援する。

機能 ① “知る”

KARTEは、ユーザーの行動データなどさまざまなデータを人軸で捉え、多様なデータをひとりの人として理解することを可能にしている。「ユーザーの興味とモチベーションを把握、スコアの変化でユーザーのエンゲージメントをリアルタイムに可視化することができる」と杉浦氏は述べる。

これにより、ユーザー1人ひとりにあった施策を実施し、「いつ」「どこで」「どんなときに」「何をしたか」を顧客単位で知ることが可能だ。

事例 ①: Rakuten TV(楽天TV)

杉浦氏は、動画配信サービス「Rakuten TV(楽天TV)」の事例を挙げた。Rakuten TVでは、「複数カテゴリーのコンテンツを購入しているユーザーのほうがエンゲージメントが高いのではないか」という仮説を立て、KARTEによって該当セグメントを絞り込み、エンゲージメントのスコアを比較した。

その結果、「『NBASpecial』というコンテンツを購入したユーザーの中で、洋画コンテンツを購入したことがあるユーザーが、エンゲージメントが高い」ということがわかった。KARTEでは、ユーザー行動のファクトデータをもとに粒度の細かいセグメント設定を行い、エンゲージメントを表すスコアリング機能とかけ合わせてユーザー分析をすることが可能となる。

セグメントを絞り込み、エンゲージメントの高いユーザーを把握した

事例 ②: Creema(クリーマ)

ハンドメイド・クラフト作品のマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」では、「ユーザーは、アプリ起動時には買いたい商品が決まっており、最初に検索したカテゴリの商品を購入する傾向があるのではないか」との仮説を考えた。

そこで、KARTEでユーザーをサンプリングし、リアルタイムでユーザーの行動を見ることができるユーザーストーリー画面でアプリ起動から購入までの流れを分析したところ、起動時に見た商品とは全く別の商品を購入している傾向があることがわかった。

これまでは、「起動時から最短距離で欲しい商品が探せることが価値」だと考えていたが、商品点数の多さ、素敵な商品、素敵な作家と偶然出会う楽しさをアプリの価値とし、施策をブラッシュアップしているところだという。

ユーザーの行動を線で理解することでCX改善につなげた

事例 ③: テレビ東京ビジネスオンデマンド

「テレビ東京ビジネスオンデマンド」では、課金促進のため、おすすめ番組を全画面表示バナーで告知する施策を実施した。しかし、施策を実施しないときの平均CVRを下回る結果となってしまった。

そこで、KARTEでユーザーをサンプリングしバナー表示前後の動きを分析したところ、バナー表示直後にアプリをバックグラウンドに遷移させている(閉じている)ユーザーが多い、つまりユーザーにとってバナーが何らかのストレスに繋がっていることがわかった。

そこでユーザーの体験を損なわないように、バナーを画面下の位置へ表示したり、むやみに表示させるのではなく、セグメントをより詳細に絞り込んで表示したりすることで、結果的にCVRの大幅な改善につながったという。

課金促進のバナー表示施策のCVRを改善

機能 ② “合わせる”

KARTEでは、ユーザー1人ひとりの状況などに合わせて、その体験の向上に貢献するような施策を展開することができる。例えば下記のようなものだ。

事例 ④: ゴルフSHOPアプリ

ゴルフサービスポータルサイトのゴルフダイジェスト・オンラインが提供する「ゴルフSHOPアプリ」では、ユーザーがお気に入り登録した商品の値下げ情報を、プッシュ通知でお知らせする施策を実施している。

事例 ⑤: PAL CLOSET

パルの公式通販サイト「PAL CLOSET」では、特定の機能を使っていないユーザーに、利用を促進するフォローガイドをポップアップで表示する施策を行っている。

事例 ⑥: サンプル百貨店

話題の商品をお得な費用で試せるサンプリングサイト「サンプル百貨店アプリ」では、アプリインストール直後の一週間で、全ユーザーに対して初回限定商品を訴求するプッシュ通知を行い、購買促進する施策を実施している。

事例 ⑦: JapanTaxi

タクシー配車アプリ「JapanTaxi」では、下記のような、顧客の状態に合わせたステッププッシュによる、継続率向上施策を行っている。

  • インストール後1日経過しても会員登録していないユーザーに、会員登録のメリットを訴求するプッシュ通知を発信
  • インストール後3日経過してもネット決済未登録のユーザーに、ネット決済のメリットを訴求
  • クーポン期限切れの3日前にアプリ利用を促進するプッシュ通知を実施
◇◇◇

KARTEを活用し、さまざまな角度でユーザーを知って、コミュニケーションを最適化することで、顧客体験を最適化することが可能になる。

プレイドでは、KARTE導入企業のミートアップイベントを定期的に実施している。導入企業であるスポーツメーカーのミズノは、「KARTEはペルソナではなくリアルなお客様を把握して接客できる。“何を買ってもらうか”よりも“誰に買ってもらうか”という考え方を持ち、施策をただ作るのではなく、考えて作るように意識が変わった」とコメントしている

杉浦氏は「KARTEはさまざまな業界で導入が進んでいる。これからもアプリ成長のためのお手伝いをしていきたい」と述べ、セッションを締めくくった。

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